1年3ヶ月ぶりに死刑執行(4名)

 朝日新聞より転載。

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<死刑執行>4人に 安倍政権で初 1年3カ月ぶり  
12月25日12時7分配信 毎日新聞

 96年に広島県内で女性4人を殺害したとして、強盗殺人と死体遺棄の罪に問われた元タクシー運転手、日高広明死刑囚(44)=広島拘置所収容=ら4人に対して25日、死刑が執行された。法務省は同日、死刑囚の名前などは明らかにせず、執行人数だけを発表した。

 死刑の執行は昨年9月16日以来、1年3カ月ぶり。杉浦正健前法相が死刑執行命令書への署名を拒んだことで、後任の長勢甚遠法相の対応が注目されたが、就任から3カ月で執行を命じた。これで、93年から14年連続の執行となった。一度に4人の執行は97年8月以来。

 他に執行されたのは▽75年に千葉県内で知人を殴り殺したとして、強盗殺人や死体遺棄罪などに問われた秋山芳光(77)=東京拘置所収容▽81年に栃木県内で前妻の親族2人を殺害したとして、強盗殺人罪などに問われた藤波芳夫(75)=同▽78~81年に高知県内で親族ら3人を殺害したとして殺人・死体遺棄罪などに問われた福岡道雄(64)=大阪拘置所収容=の各死刑囚。【森本英彦】

 ◇死刑制度の維持したい法務省の強い意思
 9月末に就任してからまだ日の浅い長勢甚遠法相が25日、一度に4人もの死刑執行を命じたことは、毎年執行の実績を積み重ねることで、死刑制度の維持を確かなものにしたい法務省の強い意向を反映している。杉浦正健前法相が死刑執行命令書への署名を拒否したまま退任したことから、同省としては今月の執行を逃せば14年ぶりに「死刑執行なし」になるという事情があった。

 かつては、90年12月~91年11月に法相を務めた左藤恵氏が署名を拒んだケースがある。左藤氏と杉浦氏はともに真宗大谷派を信仰しており、署名拒否の背景には宗教的信念があった。これに対し、法務省内には「時の法相の信条で、死刑が執行されたり、されなかったりすれば、国民の不信を招き、死刑制度の根幹が揺らぐ」との懸念が広がっていた。
 今回の執行で、法務省は従来通り執行人数を明らかにしただけで、死刑囚の名や執行場所の拘置所を発表していない。杉浦氏も、執行を見送った自らの判断について語っておらず、死刑制度の在り方について論議が深まる契機とはならなかった。

 死刑は人の命を奪う究極の刑罰であり、執行が適正に行われているか国民が判断するためには、もっと積極的な情報公開が求められる。死刑囚が拘置所でどのように処遇されているかも不透明な部分が多い。09年に裁判員制度が始まれば、国民から選ばれた裁判員が死刑を選択するという重い判断を迫られる場面も出てくる。死刑制度の在り方についてもっとオープンな論議が求められている。【森本英彦】
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 就任から3カ月で執行を命じた長勢甚遠法相による死刑観はこちら。いまいち要領も得ないし、なにを言いたいかわからない文章ですが、まあこれくらいのことしか書けないんだろうなあと。しかし驚いたのは『このホームページに死刑執行についてのご意見を非常にたくさん頂きましたが、その大部分は「法務大臣は死刑執行命令書にサインすべきだ」という内容でした』という部分。これが事実であれば、ずいぶん短絡的な世の中になったなあと思う。具体的にその「ご意見」とやらを読んでみたい。

 そもそも無期懲役っていう曖昧なものがあるからいけないわけで。終身刑にして、狭い独房に死ぬまで閉じ込めて、死ぬよりも苦しい思いをすればいいと思うんですけどね、私は。「いつ死刑の日がくるんだろう」って恐怖におののく日々もまあ苦しいかもしれないけど、死刑になったらあっという間にすべて終わりでしょ。そんなの割に合わない。

 にしてもクリスマスに死刑執行するなんてね、小粋ですね、驚きです(とはいえ、クリスマス執行はたしか前もあったと思う)。法相は「(死刑執行命令書にサインするのは)気の重い役目です」と書いてるけど、今日、死刑執行のボタンを押した係員の方たちはどんな思いでクリスマスを過ごしているかとかって考えないんだろうか。
 だいたい死刑執行って未明や早朝に行われるんですが、執行係は執行後に「執行お駄賃」みたいなわずかばかりの臨時ボーナスを手渡されて、午後の業務はナシになるんです。そのもらったお金をどうやって使うか。ひとりで酒を飲んでぜんぶ使う人が多いらしいのですが、その辛さといったら想像もつきません。しかも今日はクリスマス。彼らが少しでも気が楽になるようにとお願いするしかない。ちょうどいまこの時間に、そういった思いをしている人がこの日本にいる、ということを想像してほしい。

 そういうことも想像して「法務大臣は死刑執行命令書にサインすべきだ」って意見を投稿しているんだろうか。みんな(遺族の方たちを除いて)、あともう一歩、もう少しだけ想像力を働かせてほしいものです。投稿する前にせめて村野薫著『死刑はこうして執行される』くらいは読まないと。

乙女日記 | Posted by at 12 25, 2006 14:10 | TrackBack (0)

備忘録 061204

 ごぶさたしていました。転職でバタバタしていたら、あっというまに12月。いやはや、時間の流れが速すぎてどうにもこうにもなりません。新しい職場はとても楽しいんですが、モーレツに忙しいです。

 そいえば先日、高宮先生の退官本についての打ち合わせで久々に大学を訪れました。善さんや創順さん、吉岡君、ナカジさんなど、なつかしいみなさんにお会いできて楽しい時間を過ごせました。5号館の製図室も懐かしかったなあ。なんかもうだいぶ遠い昔の記憶になってしまったんだけど、その場に戻ると一瞬にしてあの頃に引き戻されますね。場の持つ力ってすごいなと実感。また遊びに行きたいです。

<行った色々>
・9/15【観賞】梅田宏明、鈴木ユキオ、遠田誠(まことクラヴ)『Three men's Choreography』@吉祥寺シアター
・9/16【観賞】渋谷慶一郎×池上高志『filmachine』@山口YCAM
・9/16【観賞】渋谷慶一郎×evala×maria×クリストフ・シャルル×逢坂芳郎『musimissile』@山口YCAM
・9/19【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@渋谷CAMP
・9/21【鑑賞】渋谷時代 vol.24“伊藤啓太 NO! PROJECT”@公園通りクラシックス
・9/29【社会科見学】目黒寄生虫館
・9/29【社会科見学】蕎麦の会@西麻布某蕎麦屋
・10/08【鑑賞】nino trinca@上野水上音楽堂
・10/10【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@渋谷 7th floor
・10/14【鑑賞】唐組『透明人間』@ジブリの森記念館横
・10/20【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@横浜ファイブスターレコード
・10/22【取材】miroque“映画『ストロベリーショートケイクス』を巡る音の旅”@UPLINK
・10/22【鑑賞】ダンストリエンナーレ(上村なおか「最後の星」、カンパニー7273「Simple proposition」)@スパイラルホール
・10/29【鑑賞】ダンストリエンナーレ(斉藤美音子「整形」、トンミ・キッティ&カンパニー 「Pasos Nuevos, second movement」)@スパイラルホール
・11/04【鑑賞】ダンストリエンナーレ(ル・カルデロンブ「Dous pour corps et instruments」、まことクラヴ「むつかしはなし」)@青山円形劇場
・11/14【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@赤坂グラフィティ
・11/19【鑑賞】ダンストリエンナーレ(美加理×種子田郷、マシモ・モリコーネ 「「#06 & #07.2006 skin-fatman/ littlebastard」)@スパイラルホール
・11/25【鑑賞】大駱駝艦『天体のズー』@壺中天
・11/25【取材】op.disc showcase hub@代官山UNIT
・11/26【鑑賞】フィリップ・ドゥクフレ『SOLO』@天王洲銀河劇場

<観た映画>
・フーベルト・ザウパー『ダーウィンの悪夢』@映画美学校(試写)
・ハンス・カノーサ『カンバセーションズ』@松竹試写室(試写)
・山海塾『卵熱』
・デイヴィス・グッゲンハイム『不都合な真実』(試写)

<読んだ本>
・阿部和重『ニッポニアニッポン』
・金子達仁、戸塚啓、中西哲生『魂の叫び』
・オスカー・ワイルド『獄中記』
・筒井康隆『笑うな』
・新潮45『殺ったのはおまえだ―修羅となりし者たち、宿命の9事件』
・新潮45『その時、殺しの手が動く―引き寄せた災、必然の9事件』
・Jeffrey Kipnis『Perfect Acts of Architecture』
・フォークナー『フォークナー短編集』
・『色川武大・阿佐田哲也エッセイズ3 交遊』
・『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』


 えーと、まあ色々あるんだけど今回はふたつだけ。『ダーウィンの悪夢』と『不都合な真実』について。

 まず『ダーウィンの悪夢』。これはもうすぐシネマライズで公開しますね。ぜひ見てください。以下感想。ネタバレもあるかも!?

 インタビューや話がひとつひとつ短くて、しかもポンポン飛ぶので映画としてはかなり観辛かった。全部観てから「なるほどなあ」と頭の中で整理する必要がある。この監督、編集はあまり上手くないんじゃないかな。
 しかしながら、ここで綴られているドキュメントはそれぞれ壮絶で、まったく救いようがないし、はっきり言って手立てはナイと思う。たまたまこれはタンザニアの“巨大魚が放されて産業形態が激変した”という特異なドラマがあるために映画になったんだろうけど、アフリカ各地ではなんのドラマのないところでもこの救いようのなさっていうのは、それこそ宿命のように散らばってるんだろうなあと思うと本当に恐ろしい。

 そしてもちろんそれはアフリカを蹂躙し続けてきたヨーロッパ諸国の問題でもあって、さらには日本の問題でもある、というのを意識しないといけないなと。私もナイルパーチを口にしている可能性だって大いにあるわけで。(※ちなみにナイルパーチとは、2003年までは“白スズキ”という名で日本では流通しており、現在では“ナイルパーチ”と表記されている。外食産業や給食などの白身魚フライによく使われるほか、スーパーで味噌漬け、西京漬けなどとして並ぶこともある。だって)

 で、まあ私は偽善者みたいなことは言いたくないので、「だからこれからは白身魚は口にしない」とかはまったく思わないけれど、自覚して食べるようにはなると思う。たとえばファミレスとかで白身魚を口にしたとすると、この映画のことを思い出すだろうなと。というか、それくらいのことしか想像がつかないくらい、本当にアフリカ大陸は悪夢で覆われているんだなあと再認識しました。キビシかった。


 一方『不都合な真実』。これももうすぐ公開でしょうかね?

 これも重かった。なんかもう人類が滅びればぜんぶ解決するじゃーん、と思った(苦笑)。ちょうど試写を観たときに、私の精神がかなり不安定だったっていうこともあって、いろいろと考えたり、危機感を持ったり、心配したりするの面倒だから早く滅びちゃえばいいじゃん、とけっこう真顔で思ってしまいました。それくらい現実を突きつけられる、重い映画です。

 まあでもこの映画はエンドロールで興醒めしましたが。「あー、けっきょくアメリカさんが作るのってこういう映画だよね」みたいな。アル・ゴアのやってることはまったく間違ってないし、あの時本当に大統領になっていたらなあと思うけど。それにしてもどうかと思います、この映画のスタンスは。でもこういうのがみんな好きなんだろうなあというのは容易に想像できる。

 ……と、臭わすだけ臭わせておいてすいませんが、興味のある方はぜひ映画館へ。

 試写はだんぜん『不都合な真実』のほうが入ってたけど(すでにものすごい人気)、私は『ダーウィンの悪夢』のほうが説得力あるし、誠実だと思った。


 久々にフォークナーを読み直したら、その秀逸さにあらためて脱帽しました。おもしろいなあフォークナー。

乙女日記 | Posted by at 12 4, 2006 1:05 | TrackBack (0)

備忘録 060911

 そういえば去年の今日は、目を覆うような出来事がありましたよね……いやまあ、選挙なんですケド。あれから1年ですか。自民党に入れた、大多数の人たちは何を感じているんでしょうか。日本は良くなりましたか? あなたのまわりの人たちに笑顔は増えましたか?

 ……なんつって。

 えーと、突然ですが(?)転職することになりました。9月末で6年間働いてきたいまの会社を辞め、10月から新しい会社で新しい人たちと苦楽をともにしていく予定。環境が変わるということにいまは素直にワクワクしています。6年って長いもんねー。今年中になんとか辞めようとは思っていたものの、次については実は何も考えていなくて、「これまでずっと突っ走ってきたことだし、ま、しばらくボンヤリ過ごすかぁ」と思っていたのですが、運命というか、縁というか、そういう不思議なものに導かれるように出会ってしまいました。これだから人生って楽しい。

 にしても、会社の私のデスクにあるこの大量の書籍、CD、雑誌類をどうすればいいのか途方に暮れる。第2の我が家と化してるこのデスク……。

<行った色々>
・8/16【夏行事】神宮花火大会@神宮球場アリーナ席
・8/19【観賞】マシュー・ボーン『シザーハンズ』@ゆうぽうと簡易保険ホール
・8/21【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@赤坂グラフィティ
・9/01【観覧】茂木健一郎×是枝裕和“脳とこころを考える─脳と映画”@朝日カルチャーセンター
・9/02【観賞】森山開次ソロ『KATANA』@青山スパイラルホール
・9/02【スタッフ業】WIRE06@横浜アリーナ
・9/06【ライブ+ちょっと出演】角森隆浩ソロ@下北沢lete
・9/10【観賞】パパ・タラフマラ『僕の青空』@下北沢ザ・スズナリ

<観た映画>
・池谷薫『蟻の兵隊』@イメージフォーラム

<読んだ本>
・三好達治『三好達治詩集』
・三島由紀夫『音楽』
・室生犀星『あにいもうと・詩人の別れ』
・森山大道『昼の学校 夜の学校』
・アレクサンドル・ソクーロフ『映画『太陽』オフィシャルブック』
・奥村和一『私は「蟻の兵隊」だった―中国に残された日本兵』


 特筆すべきはイメージフォーラムで観た池谷薫監督『蟻の兵隊』。これはできるだけ多くの人に観てほしいです。

 戦争が悲劇しか生み出さないとか、軍幹部の卑劣さとか、もちろんそういうものもあるわけだけど、なんといっても「ひとりの人間の心の奥底にあるもの」の逃れがたさ、みたいなとんでもないものを目の当たりにしてしまう、というところがね。衝撃すぎて唖然とする。内容は公式サイトで見てください

 カメラワークが圧巻。“慣れないDVカメラを駆使して”とパンフレットには書かれていたけど、撮影の福居正治氏のカメラワークはワンカットワンカットが緻密で、美しく、ドキュメンタリーとは思えないくらい詩的だった。いや、ドキュメンタリーだから詩的だったのかな。
 池谷監督は撮影中もがんがん主人公の奥村さんに対して質問してて、おもいっきり映画に入り込んでいるんだけど、とあるワンシーンを除いては(そのワンシーンだけはどうにも好きになれなかった)、その入り込みぶりが逆にとても客観的なものに感じられて、まあそれは監督の投げかける質問がベタすぎるっていうのもあるんだけど、それが妙に効果的であって。“目の前に展開されているドキュメント”として観客である私も冷静に受け止められたかなあと思う。
 とはいえ、その“目の前に展開されているドキュメント”というのがもうとんでもなくて、人間の本質が垣間見れてしまったような、ギョッとするような衝撃を受けた。おそらく監督もここまで撮れるとは思ってなかったんじゃなかろうか。

 と、まあ私の抽象的な感想はどうでもいいので、とにかくこれは観て下さい。必見。ほんと必見。時間さえあれば何度でも観に行きたいくらいです。今年はほんと、いいドキュメンタリーが映画館で観れるなあと思う。少しはまともな国(?)になってんのか知ら。ダントツで今年いちばん(といってもそんなに映画観てないけど)でした。『送還日記』抜いた。

 茂木さんと是枝監督の対談も非常に面白かったので、これは茂木さんのサイトのMP3で聴いてみて下さいませ。感想はまたいつか書けたら書きます。思うところがたくさんありました。

 室生犀星『あにいもうと・詩人の別れ』が相当良かった。

乙女日記 | Posted by at 9 11, 2006 16:18 | TrackBack (0)

備忘録 060816

みーす

 ご無沙汰しておりました。あいかわらずバタバタと、そして惰性で生きています。暑中お見舞い申し上げます。

 前に備忘録を書いたのは5月だから……そっから振り返ると色々あったわけで。覚えてるだけ書き出してみます。すごい長くなりそ。自分のために書いてるので、うっとおしかったらスルーしてください

<行った色々>
・5/12【観戦】よしもとフットサルリーグhype@駒沢
・5/13【鑑賞】山海塾『遥か彼方からの―ひびき』@君津市民文化ホール
・5/14【WS】市原昭仁・舞踏ワークショップ@吉祥寺 スタジオアムリタ
・5/16【ライブ】渋谷時代vol.20@公園通りクラシックス
・5/17【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@赤坂グラフィティ
・5/20【鑑賞】山海塾『遥か彼方からの―ひびき』@グリーンホール相模大野
・5/21【WS】市原昭仁・舞踏ワークショップ@吉祥寺 スタジオアムリタ
・5/23【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢mona records
・5/25【ライブ】tricomi+ウルトラスラッグ@吉祥寺曼荼羅2
・5/26【鑑賞】ローラン・プティ『こうもり』草刈民代編@新国立劇場
・5/28【WS】市原昭仁・舞踏ワークショップ@吉祥寺 スタジオアムリタ
・5/29【試写会】藤原敏史監督『映画は生きものの記録である~土本典昭の仕事』@映画美学校
・5/30【鑑賞】ラブレラvol.6「ネオ」~八木美知依(箏)+トチアキタイヨウ(舞)@公園通りクラシックス

・6/02【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@吉祥寺曼荼羅2
・6/04【WS】市原昭仁・舞踏ワークショップ@吉祥寺 スタジオアムリタ
・6/07【ライブ】ash-ray@渋谷7th floor
・6/08【鑑賞】華道家アカギマキ『0+』展@渋谷UPLINK
・6/08【パーティー】D/I@渋谷module
・6/09【鑑賞】室伏鴻ソロ『quick silver』@麻布die pratze
・6/10【ライブ】keiichiro shibuya solo@渋谷UPLINK FACTORY
・6/11【WS】市原昭仁・舞踏ワークショップ@吉祥寺 スタジオアムリタ
・6/12【W杯PV】日本×オーストラリア@恵比寿リキッドルーム
・6/15【ライブ】渋谷時代vol.21@公園通りクラシックス
・6/18【WS】市原昭仁・舞踏ワークショップ@吉祥寺 スタジオアムリタ
・6/19【主催】第三項音楽進化論『コンピュータとダンスによる即興:渋谷慶一郎(ATAK)+トチアキタイヨウ(山海塾)』@東京大学駒場キャンパス
・6/21~7/02【脱出】W杯行脚@ドイツ
・6/22【観戦】イタリア×チェコ@ハンブルグ
・6/23【観戦】ウクライナ×チュニジア@ベルリン
・6/24【観戦】アルゼンチン×メキシコ@ベルリンPV
・6/26【観戦】ウクライナ×スイス@ケルン
・6/27【観戦】ブラジル×ガーナ@ドルトムント
・6/30【観戦】イタリア×ウクライナ@ハンブルグ

・7/14【鑑賞】モンテカルロ・バレエ『Le Songe』@オーチャードホール
・7/15【パーティー】CHaOS@西麻布yellow
・7/25【ライブ】Black Bottom Brass Band@渋谷BYG
・7/29【パーティー】dance rodriguez@渋谷module

・8/04【鑑賞】服部有吉×首藤康之“hs06”@Bunkamuraシアターコクーン
・8/08【ライブ】「ドラム部」その壱@公園通りクラシックス
・8/09【観戦】日本×トリニダード・トバゴ@国立競技場
・8/10~12【脱出】市原昭仁・舞踏ワークショップ“海合宿”@千葉・松尾
・8/13【夏行事】BBQ@多摩川

<観た映画>
・ニコラ・フィリベール『Etre et avoir』(邦題『ぼくの好きな先生』)
・ディレクターズ・シリーズ4『20世紀の巨匠 ピエル・パオロ・パゾリーニ』
・アモス・ギタイ、ケン・ローチ他『セプテンバー11』
・ケン・ローチ『夜空に星があるように』
・ケン・ローチ『SWEET SIXTEEN』
・ケン・ローチ『やさしくキスをして』
・藤原敏史『映画は生きものの記録である~土本典昭の仕事』@映画美学校

<読んだ本>
・三島由紀夫『花ざかりの森・憂国―自選短編集』
・幸田文『崩れ』
・森山大道『犬の記憶 終章』
・フィリップ・ゴーレイヴィッチ『ジェノサイドの丘』上・下
・野口三千三『原初生命体としての人間 ― 野口体操の理論』
・羽鳥操『野口体操入門―からだからのメッセージ』
・金原ひとみ『蛇にピアス』
・武者小路実篤『友情』
・岡本太郎『自分の中に毒を持て』
・夏目房之介ほか『作家の猫』
・見沢知廉『愛情省』
・岡田利規『三月の5日間』
・林房雄『青年・文明開化』
・ブルーノ・シュルツ『シュルツ全小説』
・岡田暁生『ピアノを弾く身体』
・東京裁判研究会『共同研究 パル判決書』上・下
・小島信夫『抱擁家族』


 こう見ると、5月6月はアホほど遊んだなと。見てのとおり、まあドップリと舞踏(というか山海塾)に浸かっていたわけで。山海塾の舞踏手、市原昭仁さんに舞踏を習い始めてからけっこう経ちますが、知れば知るほど奥深く、とても楽しい反面、自分の筋力のなさや、重力の意味を痛感します。いやほんと、重力ってすごいわー。

 先日告知した東大でのイベント、“渋谷慶一郎(ATAK)+トチアキタイヨウ(山海塾)”の即興セッションは色々と勉強になって面白かった。これは完全に私の趣味で選ばせてもらった(笑)セッションであり、他にもまあ色々とやりようはあったんだろうけど、ほぼ初対面の両氏が即興でセッションするということを考えると、やり方はベストだったと思います。
 つまり、セッションに臨む条件としてはひとつだけ。“これはショウではなく実験です”ということで、ようするに客に見せることを意識せずに(無料だし)、ラップトップミュージックの身体性ってなんだろうね? っていうのを、それぞれが即興のなかで模索していってくれればいいんじゃないか、ということだったんですが。もちろんプロフェッショナルな両氏ゆえ、すぐにその意図を完全に理解し、それぞれ楽しんで模索しておられました。その過程が見れたことが本当に幸せだったし、とても勉強になりました。

 こういうイベントは今後もゆるやかに続けていきたいと思うので、また決まったら告知いたします。遊びにきてねー。

 で、W杯についてはこないだ書いたからいっか。ドイツは旅行しやすい国ですね。快適すぎて拍子抜けしちゃうほど。ハンブルグ→ベルリン→ケルン→ドルトムント→ハノーバ→ハンブルグとまわってきましたが、ベルリンとハノーバが楽しかった。デュッセル近辺(ケルンとかドルトムントとか)はあんまり好きじゃなかった。
 ハンブルガーバンホフ美術館でキーファー+ロングの空間に居れたことが本当に幸せだった。新ナショナルギャラリーとホロコースト慰霊碑も良かったです。ハノーバのシュプレンゲル美術館でおもいがけずタレルのインスタレーションに出会えて(あるの知らなかった)、お得な気持ちになりました。

 とかとかとか。

 鑑賞した色々、読んだ本色々について、書きたいことはたくさんありますが、このへんでチャオ。

乙女日記 | Posted by at 8 16, 2006 13:30 | Comments (4) | TrackBack (0)

備忘録 060509

 だんだんとワールドカップの気配がしてきましたが、まだまだボーッとしています。とはいえ、ぼちぼちチケットも届き始めて、あと1ヵ月で完全にテンションは上がりきるんだろうなと沸々と。にしても、トッティに始まり、ルーニー、オーウェン、シェフチェンコ、メッシ……続々と怪我してるんですけど。みんなしっかりしてくれよー!

 ドイツのshinyaさん、地元はどんなカンジなんでしょうか? カールスルーエは関係ないのかな。


<最近行った色々>
・3/28【ライブ】東京中低域@大久保・イシモリ管楽器
・3/30【鑑賞】山海塾『金柑少年』@世田谷パブリックシアター
・4/07【鑑賞】ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踏団@国立劇場
・4/10【ライブ】Small Circle of Friends@渋谷クアトロ
・4/14【鑑賞】モーリス・ベジャール生誕80年記念『ベジャール=ディアギレフ』ベジャール・プロ@東京文化会館
・4/15【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@恵比寿 switch
・4/20【鑑賞】美輪明宏『愛の賛歌』@ル テアトル銀座
・4/25【鑑賞】高橋アキ×田中泯@東京文化会館
・4/29【鑑賞】山海塾『かがみの隠喩の彼方へ―かげみ』@ルネこだいら
・5/01【鑑賞】トチアキタイヨウ×津上 研太×パードン木村「いい波」@六本木super deluxe
・5/03【パーティー】CHaOS@西麻布yellow
・5/07【WS】市原昭仁・舞踏ワークショップ@吉祥寺 スタジオアムリタ

<最近観た映画>
・アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』
・ファブリス・ドゥ・ヴェルツ『変態村』@渋谷シネマライズX
・綿井健陽『Little Birds』
・三島由紀夫『憂國』

<最近読んだ本>
・色川武大『怪しい来客簿』
・金子光晴『ねむれ巴里』
・谷川俊太郎『詩選集3』
・美輪明宏『天声美語』
・中川ちえ『器と暮らす』
・石原吉郎『石原吉郎詩文集』
・原田広美『舞踏(BUTOH)大全―暗黒と光の王国』
・バリー・ユアグロー『一人の男が飛行機から飛び降りる』


 はい、もうドップリと舞踏(というか山海塾)にハマっています。『金柑少年』を観て以来。ピナもフォーサイスも上野水香のボレロも美輪明宏(笑)も、全部吹っ飛んでしまいました(ギエムは残ってるよ。シュイナールも違う意味で残ってる)。

 とんでもなかった! 以上。

 スーパーデラックスで観たトチアキタイヨウさん(@山海塾)の踊りもすごかったし、高橋アキさんの演奏で踊る田中泯さんのタンゴもすごかった。いやあ、舞踏ってすてきー。新しいオモチャを与えられたカンジでハマっています。

 あとはFF12ばっかりやってて映画も読書も少なかったかな。アレクサンドル・ソクーロフ『太陽』(これはUKから取り寄せたもの)と三島由紀夫『憂國』はモーレツおすすめ。『憂國』は三島由紀夫ファンなら買って損はないと思います。
 色川武大『怪しい来客簿』金子光晴『ねむれ巴里』は極限状態に生きる人間の不条理さ、滑稽さ、そのなかにある小さな温かさみたいのが生き生きと描かれていてホッとする。石原吉郎『石原吉郎詩文集』は私にとっては諸刃の剣となる危険な作品で、何度も何度も読み返しています。

乙女日記 | Posted by at 5 9, 2006 17:45 | Comments (3) | TrackBack (0)

備忘録 060324

 久々の備忘録です。以下を見るとわかるように、1月、2月は意識的に活動しないようにしていました。精神的に完全に参ってしまったため、人に会うのがしんどく、自分の時間が作れるときはひたすら家にこもっていたような気がします。厭世観と虚無感が酷かった1月、2月。やっと抜け出し、直島旅行からまた徐々に活動していったら、やっぱりちょっとしんどくなってきました。何事もバランスが大事ですね。


<最近行った色々>
・1/30【ライブ】RAUL MIDON@渋谷AX
・2/12【ショー】ESMODE JAPAN OPENDAY@エスモード・ジャポン
・2/14【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢 lete
・3/03【パーティー】dance rodriguez@渋谷 module
・3/05【鑑賞】The Forsythe Company 2006@彩の国さいたま芸術劇場
・3/08【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@恵比寿 switch
・3/09~11【旅行】直島、高松
・3/14【ライブ】ATAK NIGHT2@中目黒 space force
・3/17【鑑賞】カンパニー マリー・シュイナール@新宿パークタワーホール
・3/21【観戦】川崎フロンターレ×FC東京@等々力競技場
・3/22【鑑賞】ブエノス・タンゴ@文京シビックホール
・3/23【観戦】よしもとフットサルリーグ“heat”@駒沢体育館

<最近観た映画>
・オーソン・ウェルズ『市民ケーン』
・アレクサンドル・ソクーロフ『ドルチェ─優しく』
・トレイ・パーカー『TEAM AMERICA』
・イム・チャンサン『大統領の理髪師』
・小林正樹『スキージャンプ・ペア』@渋谷シネマライズ
・テリー・ジョージ『ホテル・ルワンダ』@渋谷シアターN
・ポン・ジュノ『殺人の追憶』
・アキ・カウリスマキ『レニングラード・カウボーイズ・ゴーアメリカ』
・アキ・カウリスマキ『レニングラード・カウボーイズ、モーセに会う』
・スティーヴ・ジェームス『スティーヴィー』@ポレポレ東中野
・青山真治『エレ・エレ・レマ・サバクタニ』@シネセゾン渋谷
・マルコ・フェレーリ『最後の晩餐』
・キム・ドンウォン『送還日記』@渋谷シネ・アミューズ

<最近読んだ本>
・重松清『世紀末の隣人』
・中原昌也『あらゆる場所に花束が』
・谷川俊太郎『詩選集1』
・吉田修一『最後の息子』
・ジャン・ユンカーマン『映画日本国憲法読本』
・村野薫『死刑はこうして執行される』
・大西暢夫『ひとりひとりの人―僕が撮った精神科病棟』
・吉岡忍『M/世界の、憂鬱な先端』
・別冊宝島『隣のサイコさん』
・パウロ・コエーリョ『11分間』
・阿部和重『アメリカの夜』
・谷川俊太郎『詩選集2』
・森山大道『犬の記憶』
・保坂和志『明け方の猫』
・森達也『送還日記』公式パンフレット


 えーと、もうほとんど遠い過去になってしまってるので詳しいレポートとかはできませんが、スティーヴ・ジェームス『スティーヴィー』とキム・ドンウォン『送還日記』についてはのちほど書きます。両方ともまだ公開中ですが、これは出来るだけ多くの人に観てほしいので是非、足を運んでみてください。私が観に行ったときの観客数は、『スティーヴィー』9人、『送還日記』20人弱といった悲惨な状況で、これはもうちょっと考えられないことなのでね。両方ともドキュメンタリーフィルムです。この2本が公開されたということで今年はかなり期待できるんだけどなあ。『送還日記』は今年の暫定1位(まだ3月だけどね)。

 直島は最高でした。ずっと天気が悪かったのが残念だけど、幸せな時間が過ごせました。地中美術館に出会えてよかったなあ。ベネッセハウスの私が宿泊したクリストのスケッチが飾ってある部屋も良かったです。あとリチャード・ロングはやっぱり大好き。

 フォーサイスは期待が大きかったせいか、満足できませんでした。シュイナールはウワサどおり。変態エレガント。

 吉岡忍『M/世界の、憂鬱な先端』はもっとシンプルに書けなかったのかなあとストレスが溜まりました。特に最初のほうは酷くて、主観をかなり押し付けられているカンジがして苦しかった。膨大で緻密なルポルタージュをああやって書いてしまうのはもったいない。重松清『世紀末の隣人』も同様。こちらはルポ不足、っていうのもありますが。
 パウロ・コエーリョ『11分間』はいまいち。パウロは最近の作品では『悪魔とプリン嬢』が図抜けてるような気がします。『ザーヒル』読んでないけどね。
 阿部和重『アメリカの夜』はなにが面白いのかサッパリわからなかった。導入部分の読み心地の悪さと構成が最後まで続いてくれれば、ずっと面白いものになったと思うんだけど、途中でスコーンと簡単なものに落ちてしまった。これはわざと……デスヨネ? 「え? なにこの落ち具合?」と一気に白けてしまいました。最後はまた多少戻るんだけど、んー。なんだこれは。
 森山大道『犬の記憶』は素晴らしいです。全部とっぱらって、いちばん大事なものしか残っていない人が無意識に書いてしまっているんだろうなあという文章。全然かんけいないし、接点もないんだけど、なんとなくソクーロフ監督の『ドルチェ』を思い出した……ので、読んだあと見直してみました。
 保坂和志『明け方の猫』はノーコメント……っていうか、まあなんか全体のバイブレーションがハッキリしてるから読みやすいなあというくらいで、別に衝撃もなく印象も薄い。併録されてる『揺籃』のほうは好き。


 といった具合でしょうかね。とにかく『スティーヴィー』と『送還日記』! 余裕があったら『ホテル・ルワンダ』も。


 余談としてはフェレーリの『最後の晩餐』。友人に誕生日プレゼントでいただいたんですが、これはイイです。マストロヤンニはやっぱカッコイイ! アンゲロプロス作品のマストロヤンニ(といっても日本で見れるのは限られてるけど)もカッコイイけど、このマストロヤンニはもっとかっこよかった。
 この作品はもちろんサドの『ソドムの百二十日』ないしパゾリーニの『ソドムの市』の現代版(?)なんだけど、ソドムほど完璧に悪徳やエロティシズム、サディズム、スカトロジー、デカダンス、ペシミズムを徹底できていないところがまたイイ。全然優雅じゃない。すべて中途半端で不恰好で、だからこそ愛しい。 大変癒されました♪

乙女日記 | Posted by at 3 24, 2006 15:58 | Comments (2) | TrackBack (0)

また落ちたYO!

 石垣島に住む友人が、「内地でこれ報道してる?」と教えてくれました。こちらでは事故当日の17日に毎日新聞と産経新聞に掲載されたようですが、私が見たかぎりテレビでは報道してなかったなあ(といってもテレビをほとんど見ないのでアレですけど)。こちらでは連日ホリエモンと耐震構造偽装問題ですからね。

 コレです(以下、毎日新聞 2006年1月17日東京夕刊より)。

 墜落:米軍機、那覇の東北東沖に パイロットは無事

 17日午前10時ごろ、那覇市の東北東沖約120キロの太平洋上で、訓練中の米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機(1人乗り)が墜落した。防衛庁などによると、パイロットは緊急脱出し、救出に向かった米軍ヘリコプターが午前11時ごろ、洋上を漂流しているパイロットを救助した。嘉手納基地は「パイロットは無事」としている。
 嘉手納基地や第11管区海上保安本部によると、現場は公海上で、米軍の訓練空域。周辺には南北約8キロ、東西に約1・8キロにわたって油が浮いているという。
 沖縄県基地対策課のまとめでは、同県内で昨年1年間に発生した米軍機のトラブルは63件あり、うち26件がF15戦闘機。【三森輝久】

※補足
 墜落機は嘉手納基地の第44戦闘中隊に配備。宜野座漁協によると、現場はソデイカ漁やパヤオ漁の漁場で、組合員も漁に行く場所。琉球新報は連日この事故について、詳しく報道しています。


 これを受けて、

【17日(事故当日)】
・沖縄担当大使は、嘉手納基地のジュアス司令官に遺憾の意を表明し、徹底的な原因究明や再発防止策を取るよう電話で申し入れた。
・沖縄県は米軍に厳重抗議し、墜落原因解明まで同型機を飛行中止にするよう要請。
・沖縄地域調整事務所のフランクリン海兵隊大佐は「不安を与え申し訳ないが、第18航空団の所属機であり、詳細については把握していない」とし、「一般論としては原因究明に60日間かかる」と述べた。その上で「乗組員の安全のためにも、飛行訓練を継続する必要がある」と語り、墜落事故の原因究明までの間の飛行中止を拒否する姿勢を示した
・外務省の梅本和義北米局参事官は17日、ラーセン在日米軍副司令官に電話し遺憾の意を表明。原因の徹底糾明と再発防止も申し入れた。ラーセン氏は「事故発生は遺憾で、原因の究明と再発防止に最大限努める」と答えた。

【18日(事故翌日)】
・米軍再編協議について米国防総省でラムズフェルド国防長官と会談した額賀長官は会談後の記者会見で墜落について「会談では直接の言及はなかったが、ラムズフェルド長官からは、横須賀の事件をはじめ、いろんな不祥事があったことについて遺憾の表明と弔意が示された」と話した。
・中城湾港第11管区海上保安本部は18日午前、F15戦闘機の墜落事故の現場付近で回収した物品を米軍に引き渡した。同本部が米軍側に回収品について問い合わせたところ「引き取りたい」との返答があった。
・米軍嘉手納基地は18日、事故後中止していた同型機の飛行を19日から再開することを明らかにした。沖縄県は「県民への配慮に欠ける。あくまで中止を求めていく」と反発している。
・飛行再開について米軍嘉手納基地のチャック・エニス大佐は「事故のあった17日から2日間飛行しなかったのは事故発生時の通常の措置。沖縄県民に配慮したのではない」と説明した。
・嘉手納町議会は18日、事故原因の究明まで同型機種の飛行停止と航空機整備の徹底、それにF15戦闘機部隊の撤去などを求めた抗議決議案を原案通り全会一致で可決。
・県漁連は18日午後、緊急の漁業制限等対策小委員会を開き、墜落地点の「ホテル・ホテル訓練水域」を全面解除するよう関係機関に求めることを決定。漁連が米軍の訓練水域の全面解除を求めるのは初めて。委員会終了後、記者会見した西銘会長は「那覇防衛施設局から事故情報の提供もない。原因が究明されないままの飛行再開は無神経だ」と憤った。

【19日(事故から2日目)】
・19日、米軍嘉手納基地はF15戦闘機の飛行を再開。午前9時ごろにエンジンを始動する音が響き、約45分後からF15が爆音とともに次々飛び立った。嘉手納基地は「全機体の点検を行い、安全が確認された」と飛行再開の理由を説明している。
・墜落事故を起こした嘉手納基地のF15戦闘機の同型機が訓練飛行を再開したことについて、政府は米軍が安全管理を徹底する姿勢を示したことを挙げ、事故原因が究明されないままの飛行再開を容認した
・西正典那覇防衛施設局長は原因究明までの飛行中止を求めていたが、19日の定例記者懇談会で姿勢を転換。米軍側が飛行の安全に万全を期すとしていると説明した上で「原因究明までは相当の期間を要する。操縦士の技量の維持、日米安保の任務達成のため、どうしてもF15戦闘機を使わざるを得ない。事情は理解できるので了解した」と説明した。

【20日(事故から3日目)】
・沖縄県知事は20日、米軍が県の飛行中止要請を受け入れずに19日から同型機の飛行を再開したことについて「大変な不満を持っている」と憤りを表明した。同知事は、事故原因が究明されるまで同型機の飛行を中止させるよう、23日に麻生太郎外相、額賀福志郎防衛庁長官、安倍晋三官房長官らに要請する。


 気になるところに色をつけましたが(ツッコミどころ満載)、どう考えてもこれは理不尽だと思います。ホリエモンも耐震構造偽装問題も大事だけど、これもすごく重要ですよね。米軍再編が進んでいるこの時期はなおさら。

 「原因究明に60日間かかる」と断言しているのに、2日後から飛行再開。「乗組員の安全のためにも、飛行訓練を継続する必要がある」と、意味がまったく分からない理論でごり押しし、「事故のあった17日から2日間飛行しなかったのは事故発生時の通常の措置。沖縄県民に配慮したのではない」と言い放つ傲慢なアメリカさんに、日本政府はサクッと“事故原因が究明されないままの”飛行再開を容認……しちゃうんですか。

 ……しちゃうんですか。

 ……しちゃうんですか。

乙女日記 | Posted by at 1 20, 2006 18:00 | Comments (2) | TrackBack (0)

ご臨終メディア

 simonさんのところで、ちょうどこの話になっていたので、別の場所に書いたテキストを貼り付けておきます。

<以下、貼り付け>

 宮崎勤が最高裁で死刑判決を受けましたが。

 リビングから聞こえてくるテレビの音声だけをボーッと聞いていて、なんの番組だか知らないけど、「宮崎勤被告が所有していた大量のビデオに関して、ほんのごく一部だけが幼児ポルノなどの異常なモノだったということで、逆にとても恐くなりました。(わりとノーマルだったことに対して)私たちの身のまわりで、もしくは自分たちの心にも闇が潜んでいる可能性がある、ということで」みたいな(ベタで陳腐な)内容を中年男性らしき声のコメンテーターかなんかが言っていたんですね。

 ……え? それテレビで言っちゃうの?

 と思ったわけです。その浅はかさは何なんだと。それに同意しているメディアの人間たちもいったい何を考えているんだろうか。

 発言の後半はまだいいとしても(発想の乏しさに唖然とするのは置いておいて)、前半の“宮崎勤被告が所有していた大量のビデオに関して、ほんのごく一部だけが幼児ポルノなどの異常なモノだったということで”。これおかしくないですか?

 当時、各メディアはこぞって宮崎勤が性的な異常者であって、部屋には幼児ポルノのビデオが何千、何万本もあったと騒ぎ立てていましたね。たしかにテレビに映ったガサの映像には、ビデオテープが入った大量の段ボール箱を運び出す警察の姿が見られたわけですが、そのほとんどのビデオテープが幼児ポルノだとメディアは決めつけて報道していたわけで。私たちも当然「そうなんだー、やっぱりねえ」と感じていたわけで。

 で、前に森達也氏と話をしてて「あれってほとんどが普通のビデオだって知ってた?」と聞かれて「えー、マジですかー?」と半分以上疑ってたんだけど、今回のこの報道で「やっぱりそうだったんだ! ……っていうか、それをテレビで言うわけ?」と驚愕したのです。しかも発言したコメンテーターはその“実は普通のビデオだった”というところに意見の軸を置いてるわけで。ほんと驚愕。過去にどんな報道をされていたのかとか忘れちゃったのかな?


 宮崎勤はもちろん異常者だし、姑息で卑怯だと思うし、死を与えられるほどの罪を犯したとは思いますが、この人がこんなことを言ってはいけないだろうと、さすがに左翼でもなんでもない私でも思ってしまった↓ 我らが純ちゃんは今年も爆走しています。

・連続幼女誘拐殺人:宮崎被告の「死刑は当然」 小泉首相

 まったくどいつもこいつも安易だ。松陰先生の本でも読もう。

<貼り付けオワリ>

乙女日記 | Posted by at 1 18, 2006 13:33 | Comments (7) | TrackBack (0)

備忘録 060105

 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今年の目標は“力を抜く”にしました。惰性で生きていきます。ということで、お正月は携帯の電源を切って、ひたすらひきこもっておりました。飲酒三昧。フォアグラ並みの肝臓です(10月にやった健康診断でγ-GTPが148という結果が出ました。女性の平常値は0~32)。


<最近行った色々>
・12/09【鑑賞】パパ・タラフマラ『百年の孤独』@世田谷パブリックシアター
・12/13【鑑賞】ザ・ニュースペーパー第68回公演@こまばエミナース
・12/14【ライブ】PEPPERMINT CAFE 25周年記念ライブパーティー@吉祥寺スターパインズカフェ
・12/15【受講】茂木健一郎×保坂和志@東京芸術大学美術解剖学
・12/17【鑑賞】茂木健一郎×高橋悠治@ICC
・12/17【ライブ】高橋悠治、高橋悠治×渋谷慶一郎@ICC
・12/18【ライブ】池上高志×渋谷慶一郎@ICC
・12/22【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢 lete
・12/23【テクノ】CHaOS@西麻布 yellow
・12/27【ライブ】Mr.Children@東京ドーム
・12/27【鑑賞】森達也×綿井健陽×鈴木邦男×阿曽山大噴火×篠田博之@ロフトプラスワン


<最近観た映画>
・サム・メンデス『ジャーヘッド』(初)@完成披露試写
・パク・チャヌク『オールドボーイ』(初)
・パク・チャヌク『復讐者に憐れみを』(初)
・エイアル・シヴァン『スペシャリスト』(初)
・イングマール・ベルイマン『叫びとささやき』(初)
・ジャン・ヴィゴ『ニースについて/競泳選手ジャン・タリス』(初)
・ジャン・ヴィゴ『新学期 操行ゼロ』(初)
・ジャン・ヴィゴ『アタラント号』(初)
・パク・チャヌク『JSA』(再)


<最近読んだ本>
・オーシュ卿(G・バタイユ)『眼球譚(初稿)』(初)
・野矢雅彦『猫のほんね』(初)
・中島らも『とらちゃん的日常』(初)
・五木寛之『不安の力』(初)
・森達也、森巣博『ご臨終メディア』(初)
・吉田修一『パーク・ライフ』(初)
・石丸元章『平壌ハイ』(初)
・見沢知廉『七号病室』(初)


 茂木さんの芸大の授業にまたまたお邪魔してきたんですが、保坂和志さんの話し方はけっこうユルくて拍子抜けしました。こういうキャラの方なんですね。授業の内容を聴きたい方はこちら。散文と韻文のくだりがとても興味深い。保坂さんは(当然なんだけど)本当に小説が大好きで、小説のことばかり考えてるんだなあと羨ましく思いました。私も小説が書けるような人間に生まれたかった……。
 授業の後、茂木さんの研究室にオジャマしてお鍋をご馳走になりました。ありがとうございました(茂木さんはたまにここを読んでいらっしゃるようで・笑)。インディペンデントのキュレーター、渡辺真也さん(「もう一つの万博」を作った人)を紹介していただき、色々とオシャベリしました。私の大好きなマリーナ・アブラモビッチと親交が深いそうで、11月にマリーナがグッゲンハイム美術館で行ったパフォーマンス「Seven Easy Pieces」についても色々と聞かせていただきました。真也さんによる詳細レポートはこちら。いいなあ。生で観たかった。

 ICCで行われたATAKによるイベントはもうすごかったのです。茂木さんと、音楽家の高橋悠治さんの対談はここ最近でベストの内容。色々と考えさせらることが多く、いまだに引きずっています。内容を聴きたい方はこちら。これはぜひみなさんも聴いて、考えてほしいです。モノを創ること、批評すること、言語の限界などなど……考えることが多い。
 翌日の池上さん(複雑系研究者で、うちのご近所さん)と音楽家の渋谷慶一郎氏による“第三項音楽”も大変興味深いものでした。非フーリエ的思考によるプログラム(セルオートマトン等)で吐き出された音たちは渋谷氏いわく「(いままでを刺身とすると)生の魚を扱っているようだ」とのこと。その感覚が聴いてる側も非常によくわかる。音が生きてるカンジがして不思議な体験をしました。今後このプロジェクトは色々な方向へ進んでいくようなので注目です。

 映画はイングマール・ベルイマン『叫びとささやき』が図抜けていました。70年代初頭に撮られたこの映画の色はとんでもなく美しい。北欧の森、真紅の部屋、純白と漆黒の衣装、女たちの静かな情動。これらすべてが静寂の中で、まばゆいほどのコントラストを作りあげています。傑作+必見。ベルイマンは天才ですなあ。
 ジャン・ヴィゴ作品はどれも良いです。『ニースについて』がいちばん好きかな。
 アドルフ・アイヒマン(ナチス親衛隊でユダヤ人強制移送の専門家=スペシャリストと呼ばれた)の裁判についてのドキュメンタリー映画、エイアル・シヴァン監督の『スペシャリスト』もすごかった。数百万人をガス室に送ったひとりの男が語る言葉は、あまりにも淡々としていて驚きました。「自分はただ忠実に義務を果たしただけで、組織の歯車として働いた自分に責任はない」と平然と言ってのけるアイヒマン。感情をあらわに激怒する検事長と、アウシュビッツから生還してきた証人たちの生々しい告白、そして冷静にこの裁判の目的(ユダヤ人虐殺について問うのではなくて、強制移送という役目にいたアイヒマンの罪について言及する)へ話の筋を戻そうと心掛ける裁判長。『フォッグ・オブ・ウォー』、『東京裁判』と並んで“人間の本質3部作”と呼びたいような作品。

 読書はえーと……バタイユの『眼球譚』ですね。第二部「暗号」のところを読んで、不覚にも泣きました(あまり泣くような内容じゃないらしいですが・苦笑)。いままで読んだバタイユのなかでいちばん心に響いた作品。これを最初に書いてしまったバタイユは、あとはもう違うアプローチからこれをなぞるしかなかったんじゃないか、と思わせるほどでした。
 石丸元章『平壌ハイ』を読んだら、がぜん北朝鮮ツアーに行きたくなりました。

乙女日記 | Posted by at 1 5, 2006 17:40 | TrackBack (0)

備忘録 051208

 とうとう12月ですね。日に日に寒さと忙しさを増す今日このごろ。今年を振り返る余裕もなく、このまま駆け足で2006年に突入しそうな勢いです。結局今年もあまり代わり映えしなかったなあ……。

<最近行った色々>
・11/10【ライブ】パワートリオ@西麻布 SuperDeluxe
・11/13【鑑賞】横浜トリエンナーレ
・11/18【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@渋谷 7th floor
・11/21【バレエ】シルヴィ・ギエム“最後のボレロ”@東京文化会館
・11/22【ライブ】ash-ray@渋谷 7th floor
・11/29【生演奏】柳下美恵『裁かるるジャンヌ』@アテネフランセ
・11/30【ライブ】XNOX@下北沢 lete
・12/03【テクノ】op.disc showcase@代官山 UNIT
・12/05【バレエ】シルヴィ・ギエム“最後のボレロ”@東京文化会館

<最近観た映画>
・小林政広『バッシング』(初)@東京フィルメックス
・ソン・イルゴン『マジシャンズ』(初)@東京フィルメックス
・アミール・ナデリ『サウンド・バリア』(初)@東京フィルメックス
・アモス・ギタイ『フリー・ゾーン』(初)@東京フィルメックス
・カール・ドライヤー『裁かるるジャンヌ』(ピアノ生演奏つき)@アテネフランセ
・小林正樹『東京裁判』(初)
・パク・チャヌク『JSA』(初)
・ジュリアン・シュナーベル『夜になるまえに』(再)
・カール・ドライヤー『裁かるるジャンヌ』(再)
・某監督が来年の某国際映画祭に出す予定の作品


<最近読んだ本>
・見沢知廉『ライト・イズ・ライト』(再)
・北原童夢+早乙女宏美『「奇譚クラブ」の人々』(初)
・本田健『ユダヤ人大富豪の教え』(初)
・レイナルド・アレナス『ハバナへの旅』(初)
・パゾリーニ『生命ある若者』(初)
・平岡梓『伜・三島由紀夫』(初)


 今月はやたら映画を観ました。どれもこれも面白かったんですが、突出していたのは前回書いたアモス・ギタイ『フリー・ゾーン』と小林正樹『東京裁判』。

 すごかったです、『東京裁判』。

 これ絶対観たほうがいいですよ。DVD2枚組で277分。アメリカ国防省が秘蔵していた2年6ヶ月にわたる極東国際軍事裁判(東京裁判)の記録をまとめて編集したもの。アメリカ国防省が秘蔵していたフィルムはなんと3万巻! で、25年後にようやく解禁したわけだけど、その中の約930巻(170時間分)の入手に成功。制作期間5年、制作費4億円というものすごい作品です。東京裁判の映像も非常にいい状態で保存されていて、生の声がばっちり聞ける。証人にはあのラストエンペラー、愛新覚羅溥儀(!)まで出てきて、もう大興奮で見てしまいました。
 この秘蔵フィルムはただ単に東京裁判の様子だけじゃなくて、ヨーロッパ戦線、日中戦争、太平洋戦争の記録も収められていて、さらに二・二六事件、ナチスの圧政等々の資料映像も充実。解説も詳しくて、ポイントポイントで認識してた歴史(特に枢軸国と連合国に世界が分かれたあたりから、太平洋戦争くらいまで)が全部つながった。マーシャル・プランとか、コミンテルンとか、遠い昔に学校の社会で暗記させられた用語まで出てきて、ようやくその本質が理解できました。

 いちばんの山場はやはり東條英機vsキーナン検事の論戦でしょう。GHQの方針に従って、天皇に戦争責任を問わない(つまり戦犯にしない)指令を担っているキーナン主席検事と、それをじゅうぶんに理解していてそのポイントだけは同調する東條(しかし思わぬ失言をしてしまう)。GHQのその方針が全く理解できずに天皇の戦争責任を問いたいオーストラリア人のウェッブ裁判長。彼らが織り成す大変複雑微妙な、ギリギリのところで繰り広げられる論戦は圧巻です。いちばん天皇の近くにいた存在でありながら、被告となった宮中政治家の木戸幸一(木戸孝允の孫)の弁論もギリギリのラインで展開されていて興味深い。

 違う意味ですごかったのは大川周明。この人は北一輝と同じくらい過激な軍国主義者、国粋主義者、国家主義者、ファシズム信奉者なんだけど、28人の戦犯のなかで最も博識な知者でした。が、裁判が始まってすぐに、挙動不審を繰り返し(突然泣いたり立ち上がったり)、あげく前に座ってた東條の後頭部をパッコーンと叩いて、とうとう“精神異常”と判断されて入院し免訴されるのです。実際このとき大川は梅毒にかかっていたので本当に発狂したという意見と、わざと発狂してるふりをしたんだという意見とでいまだに議論されているとのこと。その東條を叩くシーンも入っていて、かなり面白いのです。

 外相で日本降伏文書に調印した重光葵はそれまでの誠実な外交が評価され、海外から続々と減刑要請(重光自身は担当弁護士に「海外の友人たちに減刑要請してくれるようにこちらから頼むようなことは絶対にしないでくれ」と厳しく言っていた)が集まり、刑期4年という寛大な判決が下されました。彼はのちに日ソの関係回復に力を尽くしたわけだけど、松葉杖をつきながら法廷に静かに入ってくる彼のたたずまいと、この作品の最後のほうに出てくる彼の俳句がとても印象的でした……どんなだったか忘れたけど(苦笑)、最終弁論でアメリカ人の弁護士が「あなたたちがもし彼ら(つまりA級戦犯)のような国を代表する立場にいたらどうしますか? 彼らには愛国の精神があります。あなたたちも同じことをしたのではないでしょうか? 少しの間だけでもいいので、彼らの側にも立ってみてください」みたいなことを言うんだけど、そのときに東條が天を見上げてひそかに涙するわけです。これまでずっと気丈にふるまい、ふてぶてしいほどだった東條が。それに気付いた重光が詠んだ俳句なんですけど。

 もちろんA級戦犯たちの行ったことを肯定するわけではまったくないし、同情の余地すらない戦犯も多いけど、いろいろと考えさせられました。この裁判の意義や正当性はやはり今後も問われていくべきであって、インドのパル判事の意見書はぜひ読んでみようと思います。ともあれ、これは必見。南京事件のところの映像(これだけ実写フイルムではない)はおもいっきり中国側が捏造してるのがわかるのでアレですけど……。


 話はかわってシルヴィ・ギエム“最後のボレロ”。

 これはもう奇跡の体験でした。11月21日に観に行って感動に打ち震え、我慢ならずにオークションでチケットを大人買いし、12月5日に再び観に行きました。ちょうど2回のプログラムがボレロ以外は異なっていたので、たくさんの演目を楽しめました。以下、それぞれの感想。

 ギエムとマッシモ・ムッルによる「Push Too」(ラッセル・マリファント振り付け、世界初演):非常にギエムらしい、まさにギエムのためにあるような作品。バレエというよりはコンテンポラリーダンスに近く、アート色が強い作品。照明による明暗と、ふたりの身体が作る流れるような造形がピッタリはまっていてかっこよかった。ものすごい力技ばかりでダンサーにとっては非常にしんどいと思うんだけど、さすがにギエムは微動だにしないとんでもないバランス感覚と筋力でした。

 東京バレエ団の「春の祭典」(モーリス・ベジャール振り付け、音楽はもちろんストラヴィンスキー):男性ダンサーたちのレベルが低すぎて驚く。東京バレエ団はベジャールから「春の祭典」を踊ることを許されている世界唯一のバレエ団なんだけど(いまでもそうなのかな?)……これでいいんでしょうか? 女性ダンサーたちはすごかった。このギャップがかなり痛い。にしてもベジャールの「春の祭典」は官能的で野性的で、ときに楽しく、ときに恐ろしい、飽きない作品でした。なぜか『家畜人ヤプー』を思い出してしまった(苦笑)。いや、これはアジア人が踊るのに向いている作品だなあと。手足の長い欧米人には踊れないだろうな。女性パートはいいとしても、男性パートが。

 ギエム+ムッルの「小さな死」(音楽:モーツァルト、振り付け:イリ・キリアン):これもやっぱりギエムのためにあるダンスとしか言いようがないくらい、パワーバレエでした。尋常ならざる筋力とバランス感覚と雄大さが求められるダンスで、しかもすっごく官能的。最高でした。あのしなやかな身体は奇跡だと思います。とても短い作品なのが残念。もっともっと見たかった。

 東京バレエ団の「シンフォニー・イン・D」(音楽:ハイドン、振り付け:キリアン):喜劇でした。可笑しくて笑っちゃう。この曲でこの振り付けって……ある意味すごい。隣に座ってた親子連れの、どうやらバレエを習ってるらしい小さな男の子が大喜びしていたから良かったのではないでしょうか。「春の祭典」のほうが全然好きだけど。

 ギエムの「ボレロ」(音楽:ラヴェル、振り付け:モーリス・ペジャール):これもベジャールが東京バレエ団にしか踊るのを許可してないらしく。私はボレロといえばメロディ(赤い円卓の上に乗って踊る人)もリズム(円卓の下で踊る取り巻きたち)も男性のしか観たことがなかったので、今回が初の女性メロディ+男性リズム。この組み合わせはどんなにか官能的だろうとワクワクしていました。
 いや、もう、圧倒的だった。女性男性うんぬんよりも、魅入ってしまってすべての思考が停止。ギエムにしか目が行かず、結局リズムはどうだったか(1度目に観た時は)知りません。すっごいものを観てしまった。ベジャールの振り付けはとんでもなく、ローラン・プティ振り付けのユルユルのボレロがぶっ飛びました。
 
 えーと、2度目にボレロを観た時はさすがに泣いてしまいました(苦笑)。1度目にも増して鬼気迫るダンスで圧倒的。ギエムの身体が3倍くらい大きく見え、言葉には表現できない、とんでもないダンスでした。会場を徐々に渦巻いていくあの高揚感たるや、みんなまるで魔法にかかったようだった。ダンスが終わった瞬間に会場のほとんどがスタンディングオベーションで、カーテンコールが延々と続きました。あー、なんかもう死んでもいいなと本気で思った20分間でした。至福。これがもう観られないと思うと、本当に残念でなりません。


 ……って、こんな長い文章をいったい誰が読むんだろか。

乙女日記 | Posted by at 12 8, 2005 17:51 | TrackBack (0)

備忘録 051110

 10月は近年まれにみる最悪な月でした。叔父が亡くなり、愛猫のガン発覚。人間関係もうまくいかず、読書や映画、ライブ、演劇鑑賞で気を紛らわしておりました。はぁー、なんか面白いことないですかね。

<最近行った色々>
・10/8【遠足】外房を鴨川くらいまで
・10/9【レイブ】渚音楽祭@お台場
・10/11【観覧】鈴木邦男×二木啓孝@高田馬場トリックスター
・10/14【社会勉強】とある集会
・10/17【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢mona records
・10/18【ライブ】東京中低域@渋谷 公園通りクラシックス
・10/19【観覧】安藤忠雄×福武總一郎@大さん橋ホール
・10/20【取材】すかいらーくスーパーカップ(女子フットサル)@駒沢体育館
・10/26【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@渋谷 7th floor
・11/2【芝居】黒テント『ぴらんでっろ~作者を探す六人の登場人物』@神楽坂 theatre iwato
・11/2【テクノ】luciano@代官山 UNIT
・11/4【芝居】あぁルナティックシアター『バスキア』@池袋 東京芸術劇場
・11/5【観戦】ナビスコカップ決勝@国立競技場
・11/7【ライブ】epoch@代々木 zher the zoo
・11/8【ライブ】角森隆浩@高円寺 楽や

<最近観た映画>
・犬童一心『メゾン・ド・ヒミコ』(初)@渋谷シネマライズ
・ジャン=リュック・ゴダール『アワーミュージック』(初)@日比谷シャンテシネ
・ゴダール、パゾリーニ他『ロゴパグ』(再)
・ジャン・ユンカーマン『映画 日本国憲法』(再)

<最近読んだ本>
・島田裕巳『創価学会』(初)
・村上龍『空港にて』(初)
・宮崎学+大谷昭宏『殺人率』(初)
・見沢知廉『ライト・イズ・ライト』(初)
・見沢知廉『囚人狂時代』(再)
・小宮山典寛『ペットの万能薬―薬を超えたクスリ・バームの不思議』(初)
・宮野のり子+花田道子 『ペットがガンになってしまったら』(初)


 レポートしたいイベントはたくさんあったんだけど……もう記憶の遠くへ行ってしまいました。安藤忠雄×福武總一郎おもしろかったですよ。安藤さん相変わらずオシャベリがお上手で、たくさん笑いました。

 黒テントの『ぴらんでっろ~作者を探す六人の登場人物』は良かった! 私は客演のさとうこうじさんが大好きなのです。特に黒テントと組む時のさとうさんは素晴らしく、何年か前に初めて観た『メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス』ですっかりファンになってしまったのです。とんでもない存在感と、あの独特な語り口調は他を圧倒する。おまけに今回の『ぴらんでっろ』は高橋悠治さんもピアノ演奏で登場。これは行くしかないだろうと。
 ご存知、ルイージ・ピランデッロの代表作「作者を探す六人の登場人物」はものすごい難しい作品です。原作が難解すぎて、演じてる本人たちもよくわかってない、という状態に陥りやすい。黒テントは昨年初演したメンバーを総とっかえして、お芝居の中心人物“父”役にさとうこうじさんを客演で抜擢。原作にはない作家本人(つまりピランデッロ)役に悠治さんを登場させ、これがバッチリとハマりました。昨年のを観てないからなんともいえないけど、たぶん数段に良くなったと思う。

 話の4分の1くらいから登場するさとうさんは、信じられないくらい膨大なセリフを与えられていて正直しんどそうでした。それでもやはり彼の怪演は圧倒的だった! 悠治さんは最初と最後できっちりと場を全部かっさらっていって素晴らしかった。若手中心の配役だった黒テントは多少物足りなかったけど、この難解な作品を考えると健闘していたと思います。
 にしても、この作品は一度観ても難しくてなかなか本質を理解できないですね。難解な言葉が降り注ぐ膨大なセリフに気を取られちゃって、もっとじっくり体感したかった。できればもう1度くらい観に行きたかったんだけど結局行けずじまいで公演終了。theatre iwatoはとてもいい空間で、目の前に舞台があって、役者さんがすぐ横や目の前に座ったりして面白かった。

 一方、お友達のサックス奏者・松本健一さんが客演(?)した、あぁルナティックシアター『バスキア』は非常にわかりやすい陽気な作品で、なにも考えずに楽しめました。天使役のまっちゃんは舞台であきらかに困惑してて面白かった。


 で、今回特筆したいのはゴダールの『Notre Musique(邦題:アワーミュージック)』です(それにしてもこの邦題は酷いな。信じられないセンスです)。以下、長くなると思うので適当に流してください。

 ひとことで言うと、素晴らしかったのです。

 『Notre Musique』のゴダールは、ドキュメントとフィクション、音楽と音響、BGMと効果音、それらの枠組みをスコーンと超越して、すべてが絶妙な関係性を保ち、社会的な問題を芸術レベルまで引っ張り上げていました。これはある意味ドキュメンタリーよりも説得力があった。とある批評家が言っていたように、ここ最近のゴダール作品はアイロニーに満ちたシニシズムと、その裏に隠されたメランコリーを美しい映像と音楽で包み込むものが多く、そこがたまらなく素敵なんですが、『Notre Musique』は撮り方も違うしシニカルさも薄れていました。
 けど、そのせいか(?)ぐっと説得力があって、あらためて“映画”の力を見せつけられました。いやー、ゴダールすごいわ。いまさらですけど。今後もさらにすごくなりそうな予感です。

 私が観に行く前にすでに観ていた友人の音楽家・渋谷慶一郎氏とこの作品について語っていたんですが、「例えばアメリカとイラクのことに関しても、ゴダール以上の批評、というかアメリカ批判は映像に出来ないわけで、それはあくまでもゴダールが映画の側からやってるからというのもデカイなと思った。ドキュメンタリーには出来ないなーという感じだよ。今回のは」と言っていて、まさにそのとおりでした。第3章に出てくるアメリカ兵とかって……本当に発想がすごいと思う。

 ここ最近、ドキュメンタリーフィルムに興味を抱き、いろんなものを観てきましたが、やっぱり“映画”ではなく“映像”なんですね。どんなにキレイに撮ろうが、どんなに素晴らしく編集しようが、結局“映像”の枠からは出られない。
 もっとわかりやすく言うと、原一男や森達也や綿井健陽やエロール・モリスやジャン・ユンカーマンやモーガン・スパーロックは“映像”作家(というかジャーナリスト)であって“映画監督”ではない。是枝裕和やマイケル・ムーア(毛色が違いすぎるけど)は“映像”を“映画”にしようとしてる人(なぜかこの層は社会的に評価が高い)。で、ゴダールは“映像”を“映画”で飲み込んだ正真正銘の“映画監督”ではないかと。

 そう考えるとやっぱり社会問題を扱う作品に関してもいちばん心に響くのは“映画監督”が撮った映画であって、圧倒的な説得力がある。ということに気付きました(←遅い)。もちろんジャーナリストたちが撮るフィルムもじゅうぶん興味深くて楽しめるんだけど、こういう『Notre Musique』みたいなのを観てしまうと「うっわー! 全然圧倒的だ!」と思ってしまうわけですね。
 で、日本にもそういうゴダールみたいな人が出てきてほしいんだけど、いまのところ思い浮かびません。海外でも(私が知るかぎり)あまりいないような気がする。素晴らしい劇映画を撮る監督だったらたくさんいるけど、ドキュメンタリーをフィクションで飲み込んでしまうほどの圧倒的な力を持っている映画監督は、いまのところゴダールとアモス・ギタイしかいないなと。というか、策略的にそういうアプローチで撮ってる監督がいないんだろうな。このふたりは策略的に撮ってるもんね。そこを期待すると森達也はセンスが全然ないし、是枝裕和も力量が足りない(ふたりとも大好きですけどね)。エロール・モリス(いまのところ“映像”寄り)とケン・ローチ(いまのところ“映画”寄り)が開眼してくれればいいんだけど(笑)。

乙女日記 | Posted by at 11 10, 2005 16:21 | Comments (4) | TrackBack (1)

備忘録 051007

 9月もあっというまに過ぎていきました。9月といえば、なんといっても衆議院総選挙。これはもういろんなところでいろんな人と、徹底的に議論し尽くしたのでもうやめときます(苦笑)。選挙が終わって1週間くらいは、落ち込みまくっていたことだけ記しておきます。


<最近行った色々>
・9/8【観覧】月刊「創」プレゼンツ「メディア・市民・国家」@新宿ロフトプラスワン
・9/9【テクノ】PLUS@代官山AIR
・9/10【夏行事】バーベキュー@多摩川
・9/11【映画祭】第18回東京国際映画祭プレイベント@赤坂区民センターホール
・9/12【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢lete
・9/13【観覧】見沢知廉さんの追悼会@高田馬場トリックスター
・9/17【テクノ】CHaOS@西麻布yellow
・9/27【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢mona records
・9/30【社会勉強】拷問博物館見学
・9/30【観戦】ヤクルト×阪神@神宮球場
・10/1~10/3【旅行】法事@北海道
・10/4【即興】dub lilac / 高橋悠治+ATAK(渋谷慶一郎 and maria)@新宿ピットイン

<最近観た映画>
・イム・チャンサン『大統領の理髪師』(招待)@第18回東京国際映画祭プレイベント
・フアン・パブロ・レベージャ/パブロ・ストール『ウィスキー』(招待)@第18回東京国際映画祭プレイベント
・オリヴァー・ヒルシュビーゲル『ヒトラー ~最期の12日間~』(初)@渋谷シネマライズ
・ジャン・ユンカーマン『映画 日本国憲法』(再)

<最近読んだ本>
・角田光代『空中庭園』(初)
・鹿島茂『関係者以外立ち読み禁止』(初)
・岩波ブックレット『憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言』(初)
・石原昌家『沖縄の旅・アブチラガマと轟の壕 国内が戦場になったとき』(初)
・熊谷伸一郎『金子さんの戦争 中国戦線の現実』(初)
・関岡英之『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』(初)
・滝口範子『行動主義レム・コールハースドキュメント』(初)

鉄の処女さん
 えーと、相変わらず節操なく色々やっていたんですけど、会社を休んで行った(笑)拷問博物館見学は最高に面白かったっ! 明治大学のアカデミーコモン地下にあるんだけど、これがもう大興奮の内容でした。十手、刺又からはじまり、石抱、釣責、さらし首を置く台などの江戸~明治にかけての拷問器具に加えて、ヨーロッパの芸術作品である“鉄の処女”と“ギロチン”、“貞操帯”、中国のちょっとマヌケな刑具なども飾ってありました(写真は鉄の処女。倒立型は貴重です。彼女が着ている服は当時の流行をふんだんに取り入れてたんだって。オシャレさん♪)。

 会えば必ずバイオレンスの話で盛り上がる友人とふたりで見に行き、「うわ、鉄の処女って拷問がおわって蓋をあけるとき、床が抜けて死体が落ちる仕組みになってるんだって! しってた?」「しらなかったー!」「うわー、ほんとだ、この床落ちるように細工してあるんだー」と食い入るように見つめたり、「この拷問器具はサイズがなんか小さくない?」「いやほら、江戸や明治の日本人ってまだ背が小さかったからこれくらいでちょうどいいんじゃないの?」とか真剣に話し合って堪能しました。他のお客さんはドン引きしてました。

 入場無料なのでまた行きたいと思います。日大5号館からも近いので、みなさんも是非! 解説希望の方は付き添いますよ♪

 という話はまあいいとして。9月に観たイム・チャンサン監督の『大統領の理髪師』オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の『ヒトラー ~最期の12日間~』はとても良い作品でした。
 『大統領の理髪師』に関しては、いまの時代に、韓国人の監督(35歳)が1960~70年代の韓国について撮ったっていうのがまず驚き。当時の韓国は腐敗政治家たちの圧政がはびこっていて、人々は本当に苦しい思いをしていましたが、いままでこういったカンジの風刺映画は出てきませんでした。それをこの若い映画監督は、押し付けがましくなく、ユーモラスに描いていて、ピューンと飛び越えてしまった。すごい才能の人だなあ。こういう若者がこういう作品を撮って、国内でもきちんと評価されているということは、いまの韓国もなかなか捨てたもんじゃないなと思いました。主演のソン・ガンホが素晴らしい! しかしながら、非常にいたたまれないシーンも小さくたくさんあります。風刺が身に沁みる。とあるシーンで、日本人である会場の観客たちがケラケラ笑っていたのには相当驚きました。他人事なんだなあと。
 『ヒトラー ~最期の12日間~』は本当に良い作品だけど、いろんな意味で問題作。ドイツ国内で大論争になったのは納得。最初と最後に警笛としてのフィルムが挿し込まれているけど、全体的には“人間”としてのヒトラーを描きすぎているような気もします。ともあれ良かった。155分という長丁場なんだけど、見入ってしまってあっというまでした。ヒトラー役のブルーノ・ガンツは素晴らしい役者だなあ。傍役たちもすごかった。DVDになったらまた絶対見ると思います。

 最近の小説でも読んでみようと、角田光代『空中庭園』をジャケ買いしたんですけど……すいません、まったく心に響かなかった。小説を書く技巧はものすごい優れていて、おそらくすごい巧妙にプログラムされた優秀な小説なのかもしれませんが、なんせ心にまったく響いてこない。3時間くらいで読了。んー。

 一方、何年かぶりに本を読んで涙を流しました(ちなみに最後に涙を流した本は子母沢寛『新選組物語 新選組三部作』の「流山の朝」。傑作中の傑作)。熊谷伸一郎『金子さんの戦争 中国戦線の現実』の、179ページから180ページにかけて。出勤途中の電車の中で思わず泣いてしまった。この本には、平時においての人間の軽やかさ、天真爛漫さと、有事(つまり戦争下)においての人間の残虐さ、絶望感、苛立ち、諦め等、ありとあらゆるすべての感情が、たったひとりの人間のなかに溢れているのが描かれていて、自分のなかにも同じ感情が潜在しているかもしれないと思い知らされます。
 で、そのなかで件のシーンは、どんなにむごい仕打ちを日本軍にされてきても、捕虜になった日本兵を“人間”として扱い通す、常に冷静な戦犯管理所の中国人たちの姿が描かれていて、その成熟された精神に圧倒されました。この本はぜひ読んでみて下さい。あと、沖縄でアブチラガマに入った人は『沖縄の旅・アブチラガマと轟の壕 国内が戦場になったとき』もぜひ。こちらも途中で読むのをやめたくなるほど壮絶ですが、25年もかけて行った綿密な調査と秀逸なルポルタージュに敬意を表して必読。

 吉岡くんオススメの『行動主義レム・コールハースドキュメント』はとても面白かった(誤植が多くて本としてはヤバいと思う)! 関係者のインタビューが表面的すぎてイマイチだったので、2部のインタビュー対象を減らしてひとりひとりの内容を濃くして、1部をもうちょっと長い追っかけ取材にしてほしかったけど……レムを長期取材するとなったら破産してしまいそうですね(笑)。
 いろんな位相で同時にモノゴトが進行していくダイナミズムは、モノゴトの世界が大きければ大きいほど刺激的で、ゾクゾクするんだろうなと思った。レムの事務所を覗いてみたいなあ。レムの頭にcamとか設置してほしい(笑)。レムは言葉とか理論とかブックレットとかよりも何よりも、本人そのものがいちばん面白そう。

乙女日記 | Posted by at 10 7, 2005 18:00 | TrackBack (1)

備忘録 050906

 夏もほぼ終わりに近づいてきました。ションボリです。今年の夏はかなり満喫していたので寂しい……。

 と思っていたところに、衆議院解散・総選挙という夏の終わりのビッグイベント(?)が舞い込んできました! と、喜ぶものでもないんですけど。総選挙を1回するのに1000億かかるという説や500億かかるという説がありますが(もちろん税金)、いったい本当はどれくらいかかるんだろか。
 まあでも面白いですよね。普段まったくテレビを見ないんですが、毎晩テレビの前にかじりついて、各党の党首討論、論客討論をゲラゲラ笑いながら見ています。ものすごいエンターテインメントぶりですよこれ。小泉首相は「総理の任期が終わったら、あとはみんなで勝手に考えれば?」みたいなニュアンスの発言をしてしまって大ブーイングを浴び、民主党の岡田さんは今回のマニフェストに将来的に消費税を3%上げるということを書かないのは卑怯だみたいな指摘に「これだけ私が公の場で発言してるんだから、マニフェストに書いてあるも同然だ」と開き直る。公明党は靖国問題について「総理の公的な靖国参拝はやめていただきたい」と、この大事な時期に明言しちゃうし(まあ別に全然いいですけど)、共産党と社民党は絵空事を相変わらず並べ立て(消費税を0%にするらしい・苦笑)、国民新党と新党日本はいまだもってどんなスタンスなのかハッキリせず。

 んー、悩む。


<最近行った色々>
・8/1【夏行事】神宮花火大会@神宮球場
・8/2【上映会】綿井健陽×広河隆一×高遠菜穂子@文京シビックホール
・8/5【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢club Que
・8/10【観覧】鈴木邦男×松尾貴史×斉藤貴男@新宿ロフトプラスワン
・8/11【お笑い】ピース単独ライブ~ジェシカ・パンディ~@新宿シアターモリエール
・8/12【ウクレレライブ】角森隆浩@吉祥寺曼荼羅2
・8/13【夏行事】バーベキュー@多摩川
・8/21【お笑い】千鳥のスーパートークパーティ@新宿ロフトプラスワン
・8/27【テクノ】メタモルフォーゼ@伊豆サイクルスポーツセンター

<最近観た映画>
・綿井健陽『Little Birds』(再)@文京シビックホール
・ロン・ハワード『シンデレラマン』(試写)@よみうりホール
・カール・ドライヤー『裁かるるジャンヌ』(再)
・ロベルト・ロッセリーニ/ジャン=リュック・ゴダール/ピエル・パオロ・パゾリーニ/ウーゴ・グレゴレッティ『ロゴパグ』(初)

<最近読んだ本>
・中村文則『土の中の子供』(初)
・渋沢竜彦『エロティシズム』(初)
・高橋哲哉『靖国問題』(初)
・小林よしのり『新ゴーマニズム宣言SPECIAL靖国論』(初)
・日本ビジュアル・ジャーナリスト協会『フォトジャーナリスト13人の眼』(初)
・野村浩也『無意識の植民地主義―日本人の米軍基地と沖縄人』(初)
・目取真俊『魂込め』(初)
・又吉栄喜『豚の報い』(初)


 書きたいことはたくさんあるんですけど……。


 まず宣伝。プロマリンバ奏者・三村奈々恵さんのインタビューテクノDJ・田中フミヤさんのインタビューやりました。サッカーファンはぜひ読んでみてください。音楽ファンも。


 <最近読んだ本>のとおり、靖国問題について、対極にいるおふたかた(高橋氏と小林氏)の著書をそれぞれ読みました。これが非常に面白かったんですが、“立ち位置が違うと、同じ物事に対してこれだけ見方や解釈が違うのか”と本当に驚かされ、むしろ靖国問題うんぬんよりもそちらのほうが興味深かった。

 ようするに靖国問題は“A級戦犯を祀っているのは対外的にもよろしくない。そこに首相が公式訪問をすると、日本が過去に行った侵略戦争を肯定することになる”“首相が公式訪問をすることは、日本国憲法第20条で定めている、政教分離(特に第一項の「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」)に違反するのでは”、というのが代表的な論点なんですが。

 前者に関しては“A級戦犯というのは東京裁判で勝手に戦勝国が戦敗国である日本を一方的に裁いたものであって、実際のところはA級戦犯と呼ばれる人たちが行ったことは国際法にも大日本帝国憲法にも触れていない”という反論。
 それに対して“日本が戦後復帰するきっかけとなったサンフランシスコ講和条約の第11条に「日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする」と明確に記されているから、東京裁判を否定することはサンフランシスコ講和条約を否定することになり、よって戦後復帰でここまできた日本そのものを否定することになる”という議論が続きます。
 さらにそれに対して“サンフランシスコ講和条約の「裁判を受諾し」の部分の訳がそもそも間違っている。「Japan accepts the judgements」は正確に訳すと「日本は諸判決を受諾する」だから裁判を受諾したわけではない”という議論が続くわけですね(苦笑)。

 後者に関しては“政教分離というが、「追悼」というものを宗教儀式なくして行うのは不可能ではないか。政教分離とされているアメリカ合衆国だって、大統領は演説の前に聖書に手を置いている。むしろ宗教儀式のない国家追悼施設を別に造ったとしても、それは第二の国家神道となっていくのではないか。そう考えたら靖国神社には御剣と御鏡が祀ってあるだけで、位牌や遺骨があるわけじゃなので、唯物論の中国共産党が何か言ってきても「モノがないんだから指摘すること自体間違ってるんじゃないの?」と言えばいい”という議論になるわけで。

 ……と、ざっと書いただけでもわかるように、水掛け論なんですね。もちろん正しい歴史認識や事実確認は必要ですが(小泉首相のように、靖国神社のことを話してるのに「仏様」という言葉を使うとかっていうレベルの無知はもう致命的に恥ずかしい)、そこからはもう個人個人で考えて、自分なりに結論を出すしかないと思います。
 なのに何故ここまで大きな問題になってしまっているかというと、靖国問題が外交カードに使われてしまうからなんですけどね。もちろん国内でも政治的な切り札として使われる。現在の自公連立体勢もこのポイントだけは意見が真っ二つに分かれているので突きやすい。

 なんでもかんでも利権、利権、のこの世の中は、自分で考えて判断する余裕も与えてくれないんだなあとションボリしました。

乙女日記 | Posted by at 9 6, 2005 18:45 | Comments (11) | TrackBack (1)

備忘録 050729

座喜味城跡

 7月もあっというまでした。なんでこんなに時間が流れるのが早いんだろか。7月の思ひ出といったら、なんといっても沖縄です。こんなに心を揺り動かされるとは思いませんでした。沖縄から帰ってきてからというもの、どうやったら沖縄に移住できるかということばかり考えています。んー、手に職があればよかった(苦笑)。中途半端に生きてきたツケが……しょぼーん。


<最近行った色々>
・7/4【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢lete
・7/7【授業を受ける】茂木健一郎×渋谷慶一郎@東京芸術大学美術解剖学
・7/12~16 沖縄旅行
・7/22【テクノ】CHaOS@西麻布yellow
・7/23【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@渋谷7th floor
・7/26【取材】冒険王サテライトイベント 女子フットサル公式戦すかいらーくグループCUP@代々木第一体育館
・7/27【サッカー】レアル・マドリード×ジュビロ磐田@味の素スタジアム
・7/28【サッカー】バイエルン・ミュンヘン×FC東京@味の素スタジアム

<最近観た映画>
・河毛俊作『星になった少年』(試写)@イイノホール

<最近読んだ本>
・森口豁『だれも沖縄を知らない 27の島の物語』(初)
・森口豁『子乞い 沖縄孤島の歳月』(初)
・小林よしのり『新ゴーマニズム宣言SPECIAL沖縄論』(初)
・石原慎太郎『秘祭』(初)
・鈴木邦男、斎藤貴男、森達也『言論統制列島 誰もいわなかった右翼と左翼』(初)
・沢木耕太郎『テロルの決算』(再)


 東京芸術大学の茂木さんの授業(美術解剖学)にお邪魔させていただきましたが、これが大変おもしろかった。音楽家の渋谷慶一郎さん(って改まって書くと不自然ですけど……友人です)がゲストで、“ドローン(反復)とメロディ(差異)”を中心に、音楽史みたいなのとそれに対するご自身の葛藤を素人の私でもわかるくらいにわかりやすく、楽しく解説してくれました。
 東大の池上高志先生も遊びに来てたんだけど、現在渋谷さんと池上さんで新しい音楽が作れないかと企んでいて、そのへんのところも聞きました。ドローンとメロディの二項ですべての音楽は構成されているわけだけど、その中間に装置なりシステムなりを設置して“第三項音楽”が作れないか、ということ。まだボンヤリしたイメージだけど、なんだか楽しみです。ぜひとも実現してほしい。
 授業のあとに学生も一緒に上野公園(茂木さんのインタビューをした場所)で総勢30人くらいで遅くまで飲んで喋って、刺激的な夜になりました。私はひたすら「選民意識と国粋主義はダメだ!」と言っていたような気がする(苦笑)。茂木さんはニコニコしながらブランコに乗っていて、池上さんはギラギラした目で渋谷さんと下ネタで盛り上がり(笑)、本当に愛すべき人たちだなあと思いました。ずっと昔からみんな仲良しだったような、それでいて適度な緊迫感もある、心地よい空気が流れている。

 この茂木さんの美術解剖学の授業は誰でも参加できるので、機会があったら覗いてみてはいかがでしょうか? って……次はいつだろ?

 レアル×ジュビロはまずまず。ラウルがキレキレでかっこよかった。久々にああいうラウルを観た気がします。まあでも試合自体は所詮“興行(見世物)”なので、そのわりには良かったというレベルですけど。
 バイエルン×FC東京は4-0というスコアだけどもマッタリしていて低調な試合でした。ルシオのあの豪快な上がりを生で観られたのはラッキー。「本当に強引に上がるんだなぁ」と爆笑しました。ルシオいい選手。ロケ(サンタクルス)くらい出したれや!
 まあでも年々この手の興行は空席が増えてきていますね。強行スケジュール、コンディション不良、ベストメンバー揃わず(今年はけっこう来てるけど)、高いチケット代等々の問題を抱えながらもチケットが売れていた欧州ビッグクラブツアーだったけど、いい加減日本のファンも「こんなのボッタクリだっ!」とわかってきたんでしょうね。個人的にはこの時期の欧州ビッグクラブツアーは大反対です。大事なシーズン前になにやってんの? という気になる。じゃあなんで観に行ったの? と問われたら……スイマセン、招待券です(苦笑)。お金を払って観に行く気にはならないなぁ。

 映画をぜんぜん観なかった。試写で観た『星になった少年』は……ノーコメント。

 本もそんなに読みませんでした。読書リストで一目瞭然ですが、沖縄モノばかりです。『秘祭』(なんでこれが絶版になるのか理解が出来ない)も離島の豊年祭にまつわる小説なのでね。『だれも沖縄を知らない 27の島の物語』はモーレツおすすめ。この森口豁という作家さんは今回初めて読みましたが、ルポルタージュが非常に良いです。この人の書いた沖縄本は読破してみたい。40年以上かけて取材しているので、ひとつひとつのエピソードに深みがあるし、それでいて文章になにか温かみがあります。
 ちなみに『言論統制列島 誰もいわなかった右翼と左翼』はめちゃくちゃ面白い。なにが面白いって、鈴木さん、森さん、斎藤さんのグラビア(笑)。なんだこれー! 森さんと斎藤さんがよく承諾したなあ。くーにんはおそらく大喜びでやったと思うけど。

 そういえば世界水泳やってますが、前にここで書いたイタリアのアレッシオ・ボジャットは相変わらず男前です。現在、苦手な200m個人メドレーが終わりましたが、決勝で4位(タイムは2'00"28)と健闘。表彰台に上がってほしかったなあ。まあでもアテネ五輪のときの準決勝敗退(タイムは2'11"27)に比べたらグッと良くなっているので。400mに期待! FORZA ALESSIO!!!!!

 ……長くなりました。

乙女日記 | Posted by at 7 29, 2005 17:41 | TrackBack (0)

備忘録 050701

 6月はなんというか、すごかったです。怒涛のように過ぎ去っていった。ゆっくりまばたきをしていたら、あっというまに目の前を6月が走り去り、10馬身くらい離されて「おーうい、待ってよう」と追いかけていくカンジで。最初は真顔で何かを考えながらひたすら下を向いて淡々と走っていたけど、最終的にはアヒャヒャヒャー! と笑顔全開で両手をブンブン振り回して……6月は私の前を通り過ぎていった。さて、追いかけねば。こうしちゃいられない。

 夏も本番ですね。また一年でいちばん楽しい季節がやってくる。


<最近行った色々>
・5/29【ハウス】KARAFUTO@恵比寿 リキッドルーム
・5/29【テクノ】world's end girlfriend@代官山 UNIT
・5/30【コント】ザ・ニュースペーパーマンスリーライブ@トリックスター
・6/5【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@代々木 Zher the ZOO
・6/7【サッカー観戦】FC東京×ユヴェントス@味の素スタジアム
・6/8【議論】大人のしゃべり場『鈴木邦男×植垣康博×中村うさぎ』@トリックスター
・6/13【アコースティック】角森隆浩×アラン・パットン@高円寺 楽や
・6/15【議論】塩見孝也×木村三浩×鈴木邦男×小林節@一水会フォーラム
・6/16【議論】朴保×森達也×綿井健陽×原文次郎トークショー@渋谷 UPLINK
・6/22【あそび】富士サファリパーク
・6/23【アコースティック】清水ひろたか@下北沢 mona record
・6/25【テクノ】FUMIYA TANAKA@名古屋 mago
・6/26【見学】愛知万博


<最近観た映画>
・綿井健陽『Little Birds』(再)@渋谷 UPLINK
・エロール・モリス『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』(再)
・アレクサンドル・ソクーロフ『エルミタージュ幻想』(初)
・原一男『極私的エロス・恋歌1974』(初)


<最近読んだ本>
・渋沢竜彦『快楽主義の哲学』(初)
・渋沢竜彦『黒魔術の手帖』(初)
・綿井健陽『リトルバーズ 戦火のバグダッドから』(再)
・オスカー・ワイルド『幸福な王子』(再)
・沢木耕太郎『テロルの決算』(初)


 今月は遊びまくり、仕事しまくり(1週間で大きな取材2本とかのペース)、心身のアップダウンが激しかったため、映画も本もあまり吸収できなかった。映画の上2本は仕事のために観た感もあり。そのなかで沢木耕太郎の『テロルの決算』は群を抜いた面白さでした。沢木耕太郎のレポートはいいなあ。文春文庫版を読んだのですが、文字の大きさがちょうどいい。これくらい小さい文字の文庫が好きです、非常に。

 新たな発見として、サファリパークはめちゃくちゃ面白いということに気付きました。すごかった。動物たちのユルさがすごい。何の危機感もなくて敷地内に放たれている動物たちは、ノンビリと非常に平和に時間を過ごしていた。関東近郊のサファリパークをこれからひとつずつ巡っていこうと思いました。
 愛知博は何の準備も予約もしないで日曜の昼2時くらいに行く、というナメきった態度で行ったためほとんどなにも見れず。暑くて並ぶ気もしない。ので、トルコ館でまったりと涼んできました(笑)。吉岡君とこのフランス館を見たかったんだけど、並ぶ元気がなかった……すんません。
 6/15で知り合った慶應義塾大学法学部教授で弁護士の小林節さんは、話がものすごい面白くてチャーミングなおじさまでした。今度授業に遊びに行くことにしよ。6/16に聞いた原文次郎さんの話は大変興味深かったです。ブログ必見

 ぜんぜん関係ないですが、バンドを作りました(笑)。ダイナミック・オーシャンズという小粋なハワイアンバンドです。私以外はみんなベッピンさんの女子4人のバンドなので、気が向いたら遊びに来てください。いま決まってるライブスケジュールは7/4下北沢lete、7/23渋谷7th floor、8/5下北沢club Que(私はこの日DJもやります)。ムームーを着たユルユルな乙女たちが、腰砕けな歌をお届けします。

 8月から仕事で扱う媒体がひとつ増えるため(しかも紙)、殺人的なスケジュールになるらしく。編集長に「7月中に夏休みを取っておいたほうがいいよ」と言われたため、7/12~7/16で沖縄に行くことにしました。楽しみ! オススメがあったらコッソリ教えてください。

乙女日記 | Posted by at 7 1, 2005 15:58 | Comments (2) | TrackBack (0)

備忘録 050609

 毎日がものすごい勢いで過ぎていくため、ゆっくり考えごとができなかったり、あとで考えようと思っていたことをすっかり忘れてしまったり、おまけに超絶鬱期に突入してしまったり(なんとか脱出できたつもり)していて、いったん脳内を整理しないといけないなと思いました。つまらない箇条書きが続くと思うので、「あー、また気持ち悪いことを言ってるなあ」程度に寛大な心で流し読みしていただければ幸いです(苦笑)。


・憲法9条について。ジャン・ユンカーマン監督『日本国憲法』の話を一水会代表の木村三浩さんとしていて、「9条は日本が世界に誇れる憲法で、世界からもものすごい評価されていると言うけれど、それはある意味で思考操作をされているんだと思う。平和というのは相対的なものじゃないといけないんじゃないか」と言われました。ようするに日本だけが9条を遂行していても、まわりの国が軍事武装をしていたらなんの意味もない。本当の意味で日本の9条を評価しているんだったら、自分の国にも9条を作ろうとするはずだ。それをやらないで日本の9条は素晴らしいと言ってるのはオカシイ。ということなんですが、たしかにそれはそうだなと思いました。“平和というのは相対的なものじゃないといけない”という言葉が印象的だった。

・植垣康博さん(元連合赤軍兵士であさま山荘事件から生還した人。27年の獄中生活を終えて、いまは静岡でスナックを経営)と中村うさぎさんの話を聞いてきました。私は植垣さんが言う“兵士”という概念がまったく理解できず(うさぎさんも同じく理解できなかった模様で、「ちょっと下の私たちの世代は個人主義に走ったから~」というお話をしていた)、総括される側も総括する側も本格的なマゾだったとしか思えないんだけど、そこのところは結局わからず。植垣さんにはもうちょっと本音トークしてほしかった。中村うさぎさん独自の連合赤軍の解釈は面白い。ようするに永田洋子(革命左派)と遠山美枝子(赤軍派)の戦いだったんじゃないか、という考え。ひいては“母性の革命左派”と“父性の赤軍派”が連合しようとして、やっぱり無理だったためにああいった事件が起こってしまったんじゃないか、ということでした。これについてはもっと勉強して具体的に書きたいな。

・先日インタビューした綿井健陽さんの記事がアップされました。明日アップ予定の後編は、いい内容だと思います。よかったら読んでみてください。綿井さんの映画『Little Birds -イラク 戦火の家族たち-』は現在アップリンクで上映中。これも必見。私は16日にもう一度観に行こうかなと思っています(森達也さんがゲストのトークショーあり)。

・そういえば日本代表がドイツへの切符を手にしましたね。正直、アジア枠が(39カ国のうち)4.5っていうのはどうかと思います。2.5とかで全然イイのになあ。まあ経済効果等のこともあって、FIFAは日本にどうしても予選通過してほしいっていうのはわかるんだけど、ここまであからさまに(第三国試合の経緯とかを見てもあきらかですね)出来レースみたいにされると喜びも半減……どころか、なんか世間の興奮ぶりを横目で見つつ、自分との温度差に萎えてしまいます。こういうのをアマノジャクっていうんですかね? はぁ……落ち込むなあ。スポーツメディアに属してる身なのに、ぜんぜん乗りきれない。ちなみに各地区の枠は以下のとおりです。非常にわかりやすいというかなんというか……。

   欧   州:(51→)13+開催国ドイツ
   南   米:(10→)4.5
   アフリカ :(51→)5
   アジア  :(39→)4.5
   オセアニア:(12→)0.5
   中南米カリブ海:(34→)3.5

・先日、友人に紹介されて、第47回群像新人文学賞優秀作を受賞した佐藤憲胤氏に会いました。ひとつ年下の佐藤さんはとても落ち着いたカンジの青年で、少しだけ文学談義をしたんだけど楽しかった。哲学もよく勉強されていて、学ぶところが多い。そんな佐藤憲胤氏の著書『サージウスの死神』を読みました。これは一気に読むものですね。物語の流れが驚くほど滑らか、かつ速度があって、終盤の混沌とした描写は夢野久作の疾走感みたいだった。ひとつ印象的だったのは「他者と会話をすることが極上のギャンブルだ」(うろ覚えですが、だいたいそんな内容)という描写で、この感覚はすごく新鮮だなあと思うと同時に、よく考えてみたら私もそれは日々痛感してることだったなと。とにかくオススメです。

・議論の場でよく目にする“インテリの選民意識”みたいのは本当に滑稽で幼稚だと思う。前にも書いたような気がするけど、選民意識を持ってしまった段階でもう成長はないと思います。

・澁澤竜彦『快楽主義の哲学』がもう本当に面白くて笑ってしまいます。

乙女日記 | Posted by at 6 9, 2005 18:29 | Comments (2) | TrackBack (0)

備忘録 050527

 おひさしぶりです。相変わらずバタバタと忙しくしていて、ゆっくり思想話を(笑)書くヒマがありません。感想を書きたい映画とかたくさんあるんだけどなあ……。ということで5月の備忘録です。


<最近行った色々>
・4/29【ヴァイオリン】HONZI@下北沢 lete
・5/02【ヨーロピアン?】nino trinca@代々木 ザーザズー
・5/04『イッセー尾形とフツーの人々』@草月ホール
・5/04【テクノ】CHAOS@西麻布 yellow
・5/06 松尾貴史×斉藤貴男トークショー&ザ・ニュースペーパー公演@下北沢 本多劇場
・5/07【ポップ?】高橋徹也@下北沢 Club Que
・5/11 鈴木邦男×大塚英志トークショー&ザ・ニュースペーパー公演@下北沢 本多劇場
・5/13【即興音楽】渋谷時代@渋谷 公園通りクラシックス
・5/23【取材】フジテレビ739カップ@駒場体育館
・5/26【即興音楽】マルディーニ@東高円寺 U.F.O. CLUB


<最近観た映画>
・綿井健陽『Little Birds』@新宿 K's Cinema
・森達也『A』(再)
・森達也『A2』(再)
・ピエル・パオロ・パゾリーニ『アッカトーネ』(初)
・ピエル・パオロ・パゾリーニ『マンマ・ローマ』(初)
・ケン・ローチ、アモス・ギタイ、ショーン・ペン他『セプテンバー11』(初)
・カルロス・カレラ『アマロ神父の罪』(初)
・カール・テオドール・ドライヤー『あるじ』(初)
・カール・テオドール・ドライヤー『吸血鬼』(再)
・カール・テオドール・ドライヤー『怒りの日』(再)
・カール・テオドール・ドライヤー『奇跡』(初)
・カール・テオドール・ドライヤー『ガートルード』(初)


<最近読んだ本>
・保阪正康『死なう団事件 軍国主義下のカルト教団』(再)
・森達也『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』(再)
・村上春樹『アンダーグランド』(再)
・港千尋『群集論』(再)
・ワイナー『天才と才人 ウィトゲンシュタインへのショーペンハウアーの影響』(再)
・ショーペンハウアー『幸福について 人生論』(再)


 今月は劇映画をけっこう観たんですが、『アマロ神父の罪』以外ぜんぶイイです。特にカール・ドライヤーの『奇跡』はもう衝撃的でした。「とうとう出会ってしまった」という作品。これはもう人生でダントツ1位かもしれない、というくらい揺さぶられた劇映画(ちなみに次点はパゾリーニの『ソドムの市』)。なんで絶版になってしまったんでしょうか。カール・ドライヤーの作品は現在ではほとんど入手不可なんですが、DVD BOXを先日、やっとの思いで(大枚をはたいて・苦笑)手に入れました。たまに上映会が行われることがあるのでアンテナを張っておきましょう。本当に素晴らしいです。『吸血鬼』『奇跡』と並んで名作の『裁かるるジャンヌ』は近々DVDになるらしいので楽しみです。

 森作品、『Little Birds』、『セプテンバー11』についてはいつか書きたいです(苦笑)。これは本当に観たほうがイイ!

 先日『Little Birds』監督の綿井健陽さんに取材しました。とてもポジティヴな魅力にあふれる方で、「このバイタリティーがあるからこそ、戦火のイラクでも頑張ってこれたんだろうなあ」とただただ圧倒されました。現在映画が公開中なので内容には触れませんが、『Little Birds~イラク戦火の家族たち~』に足を運んで、2003年3月から約1年間イラクではいったいどんなことが起こっていたのか、自分の目で確かめてみてください。
 あ、ちなみに私が取材したのはサッカーネタですけどね(笑)。とてもいいインタビューになったと思うので、掲載されたらお知らせします。

 読書があんまりできなかったなあ。しかも全部再読ものでした。

 フジテレビ739カップ(ハロプロ、ホリプロ、野田社長のとこの事務所、エイベックス等々のフットサルカップ)はすごかったです。業界臭とファンのオタク臭が……。石川梨華ちゃんは驚くほど可愛かったです。よっすぃーはものすごいストライカーぶりでした。足下にきたボールはとりあえず全部シュート。日本代表のFWは見習ってほしいものです。ミキティの粘着マークぶりとかも(笑)。

乙女日記 | Posted by at 5 27, 2005 17:17 | TrackBack (0)

備忘録 050426

 えーと、書きたいことが多すぎて、なにから書けばいいかわかりません。とりあえず4月の備忘録を。


<最近行った色々>
・3/31 大人のしゃべり場『塩見孝也塾 vol.1』@トリックスター
・4/01【アコースティック】ソロの夕べ@下北沢 mona records
・4/04『創』プレゼンツ「知られざる公安の内幕」@ロフトプラスワン
・4/08【アコースティック】ウクレレナイト@高円寺 楽や
・4/13 大人のしゃべり場『鈴木邦男×朝倉喬司』@トリックスター
・4/15【パーティー】DUO DOUBLE BOOKING―Blast Party C/W 牛―@渋谷 DUO
・4/19 大人のしゃべり場『塩見孝也塾 vol.2』@トリックスター
・4/22『Little Birds』上映開始前夜祭@ネイキッドロフト
・4/23『日本国憲法』完成記念上映会@なかのZERO 小ホール

<最近観た映画>
・合田健二『ANALIFE アナライフ』@シアター・イメージフォーラム
・ジャン・ユンカーマン『日本国憲法』@なかのZERO 小ホール

<最近読んだ本>
・高橋たか子『誘惑者』
・保阪正康『死なう団事件 軍国主義下のカルト教団』
・野上弥生子『大石良雄・笛』
・井伏鱒二『厄除け詩集』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集1』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集2』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集3』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集4』
・綿井健陽『リトルバーズ 戦火のバグダッドから』
・『「映画 日本国憲法」読本』
・ノーム・チョムスキー『秘密と嘘と民主主義』
・ノーム・チョムスキー『覇権か、生存か アメリカの世界戦略と人類の未来』
・ノーム・チョムスキー『中東虚構の和平』


 今月はぜんぜん映画を観なかったなあ……ということで、GW用にどっさりDVDを買い込んだので楽しみです。

 読本を見てお分かりのように、いまさら突然、井伏鱒二ブームがきました。全集に手を出してしまう勢いです。もう最高ですね、井伏鱒二は。この独特な、少し抜けてるカンジが。心が安らぎます。モーレツにオススメ。

 チョムスキーは勉強用。綿井さんの『リトルバーズ 戦火のバグダッドから』、ユンカーマン氏の『日本国憲法』は映画、書籍、ともにオススメ。といっても綿井さんのは予告編しかまだ観てないけど。現在『Little Birds』公開されていますのでぜひ! 『日本国憲法』については書きたいことが多いので改めてのちほど。

 そういえば昨日は、かつて“アジアの大砲”と呼ばれたあの方の取材に行ってきました。大変興味深い話を聞けて楽しかった! 本当はテープを止めた後の話のほうが面白かったんですけどね(笑)。やっぱりストライカーの話を聞くのは楽しいです。前に取材した、FC東京の原博美監督と同じニオイのする人でした。

乙女日記 | Posted by at 4 26, 2005 13:48 | TrackBack (0)

備忘録 050412

 さて。やっと時間ができましたので(あいかわらずモノ書きに関してはスランプ中ですが)、今日は何を書こうかな。何がいいだろか。

 最近はもっぱら東アジア情勢が気になるところですが、あれはマスコミの報道の仕方にも問題がありますよね。たとえば中国各地でデモをやっている人たちの暴挙や過激発言ばかりをテレビ画面にこれでもかこれでもかと大写しにした後で、思慮の浅い無能なコメンテーターたちが憂い顔をして、その場かぎりのチンケなナショナリズムをひけらかすさまは本当に滑稽きわまりない。私たちが知りたいのは正しい情報のみであって、偏執的な(←ここを強調ね)主観が入っているカメラワークや編集作業はなんの意味も持たないのです。あのデモをやってる人たち(大半は無知ゆえに不憫だなあとは思うけど)の中国社会構造でのポジション、というのをもっと正確に教えてくれないと判断のしようがないわけで。

 たとえば現在、中国では国民間の経済格差がどんどん開いて深刻な状況に陥っていますよね。経済の急成長で成り上がった都市に住む市民、経済格差の犠牲となって加速度的に増加している地方の貧困層、その狭間に生きる“民工(正しくは民工潮)”と呼ばれる出稼ぎ農民たち。中国の都市部では、市民と民工で戸籍の種類が違うんですね。お金をたくさん払ったら市民の戸籍を買える(他にも色々と条件があるみたいですが)、というなんとも時代錯誤なことがまかり通ってるのが現状で。市民の戸籍を持ってないと、ろくな教育も受けられない。とてもじゃないけど“人民民主共和制(=主権が人民にある共和制)”なんて言える社会ではないですよね。まさに惨状。

 そういった状況をふまえて、デモをやってる人たちはこの中国の社会構造のどこに属しているのかと、それが知りたいわけです。市民はもちろんなんですが、おそらく民工もたくさん混ざってるんじゃないかなあと。そうすると思うわけですよ。

 「……きみたち何やってんの?」

 と。市民と一緒になって日本をスケープゴートにしてるヒマがあったら、まずは自分たちのその社会構造をなんとかしないとヤバイんじゃないの? と。それだけのパワーがあったら、もっと中国は良くなるんじゃないの? と思うんですね。まあ(よく言われてることですが)'89年の天安門事件以降、中国政府がかなりの愛国教育というか日本スケープゴート教育をしたために、ずいぶん偏った歴史観を植えつけられた国民は気の毒だなあと思うんですけど……韓国に関しては、いまさら何を騒いでいるのかサッパリわかりません。もはや意味不明。

 とか色々思うわけですが、けっこうもうウンザリです(苦笑)。どうでもいいや。自分だけはちゃんと勉強して、正しい史観を身につけようと思います。日本人もこの過熱報道に惑わされて、その場かぎりの薄気味悪いナショナリズムを持たないように気をつけないといけないですね。ナショナリズムを本気で考えるなら、まずは吉田松陰全集を読まないと(笑)!

 ……本当はアモス・ギタイ監督の『キプール』について書こうと思ってたんだけど、長くなってしまいました。反省。これはまた次回に。


 あ、でもこれはちょっと面白い(笑)。

乙女日記 | Posted by at 4 12, 2005 18:20 | Comments (7) | TrackBack (1)

備忘録 050331

 以下、ただのボヤキなので気にしないで下さい。


 たまに“公の場に文章を書くこと”が非常に恐くなるときがある。思えば私は毎日、なにかしらの形で公の場に文章を書いているわけだけれども(その影響力の大小は別として)、たまに本気で恐くなる。

 あまりにも無責任ではないか。

 自分のこのちっぽけな頭で考えることなんてたかが知れているわけで、そのコンプレックスと、どうしようもない自意識に嫌気が差してしまう。ありとあらゆることを知りたいという欲望と、実は何も知らないんだと自覚してしまう絶望の間で板挟みになっている自分をどこかで冷笑しながらも、虚栄を張ってまた今日も筆をとってしまう。虚構の文字を並べて空白を埋める作業は、実はなんの意味も持たないんだともう十分わかっているのに。

 ……ツライっす。私のソクラテスはどこにおるんやろ。


 ということでスランプ中ではありますが、これは自信作のインタビュー記事でございます。サッカーファンはぜひ読んでみてください。茂木健一郎さんインタビュー


<最近行った色々>
・3/18【テクノ】OVA(live:Keiichiro Shibuya, DJ:KARAFUTO@代官山UNIT
・3/25~3/27 京都旅行。祇園にある一見さんお断りの老舗料亭で豪遊。
・3/26【テクノ】AOKI takamasa@京都shin-bi
・3/28【ヨーロピアンポップ?】nino trinca@下北沢mona records

<最近観た映画DVD>
・アモス・ギタイ『キプール』
・Paul Schrader『Mishima - A Life in Four Chapters』
・阪本順治『この世の外へ クラブ進駐軍』

<最近読んだ本>
・巖谷國士『澁澤龍彦事典』
・細川周平『サッカー狂い』


 オススメはアモス・ギタイ『キプール』。これは見るべし。

乙女日記 | Posted by at 3 31, 2005 16:28 | TrackBack (0)

備忘録 050316

 いっぱい書きたいことはあるんですが、時間がありません。どうしよかな。とりあえず最近の活動。このなかから印象に残ったものを時間をみつけてレポートしよかな。パゾリーニ『ソドムの市』とエロール・モリス『フォッグ・オブ・ウォー』は必見! 月曜日は取材で脳科学者の茂木健一郎さんにお会いして感激しました。茂木さんの著書『脳のなかの小さな神々』もオススメ!


<最近行ったコンサート、ライヴ、パーティー>
・2/20【ジャズピアノ】ブラッド・メルドー@すみだトリフォニーホール
・3/01【ニューオリンズ】DIRTY DOZEN BRASS BAND@渋谷クラブクアトロ
・3/02【クラシック】高橋悠治『ゴルトベルク変奏曲』@浜離宮朝日ホール
・3/04【アコースティック】ソロの夕べ@下北沢mona records
・3/04【デトロイトテクノ】DJ RUSH@渋谷WOMB
・3/12【ピアノ+ビブラフォン】半野善弘ほか『VISIONARY MUSIC』@横浜みなとみらい

<最近行ったイベント>
・2/25 ザ・ニュースペーパー『2月連続ライブ』@トリックスター
・2/26 POISON GIRL BAND初単独ライブ『カド番』@ルミネ the よしもと
・2/28 吉本興業 みーんなよしもと次のヒト大集合@シアターサンモール
・3/09 大人のしゃべり場『鈴木邦男×立松和平』@トリックスター
・3/10 松元ヒロ・ソロライブ@R's ART COURT

<最近観た映画DVD>
・ピエル・パオロ・パゾリーニ『パゾリーニ・コレクション ソドムの市』
・ピエル・パオロ・パゾリーニ『王女メディア』
・エロール・モリス『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』
・ヤン・シュヴァンクマイエル『ヤン・シュヴァンクマイエル 短編集』
・ヤン・シュヴァンクマイエル『アリス』
・アレクサンドル・ソクーロフ『ドルチェ 優しく』

<最近読んだ本>
・茂木健一郎『脳の中の小さな神々』
・納富信留『プラトン 哲学者とは何か』
・E・パノフスキー『イデア 美と芸術の理論のために』
・中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』
・港千尋『群衆論』


 そういえばこないだ書いたイタリア人ジャーナリストのジュリアナさん事件の顛末は、思いもよらない方向へいってしまいましたね。思うところいろいろ。あと海賊事件に興味津々です。皇室もあいかわらずドタバタしているようで。

 皇室といえば、上に挙げたアレクサンドル・ソクーロフ監督がベルリン映画祭で昭和天皇を題材にした『太陽』を公式上映しました。ソクーロフ監督はこの映画をもう5年くらい(?)前からずっと撮りたがっていて、しばしば来日しては色んな人の意見を聞いていたそうです。で、アドバイスしてくる日本人は全員口をそろえて「昭和天皇は絶対にやめたほうがいい。命の保証がない」と反対していたんですが、ゆいいつ鈴木邦男氏だけは「ぜひやったらいい」と賛成したそうです(笑)。しかし最初、ソクーロフ監督はこの映画のタイトルを『HIROHITO』にしようと思っていたらしく、「それだけはやめたほうがいい」と忠告したそうな。とかいう話はいま出ている月刊『創』、鈴木氏のコラムに書いてあるので興味のあるかたは読んでみてください。田代まさしの獄中日記も面白いですよ(笑)。

 しかしこれ日本で公開しないかな……たぶん無理だろうけど。ちなみに某民放のドキュメンタリー番組にて放送されるはずだった、天皇についての番組がボツになりました。この番組を作っている現場に何度か足を運んでいた私としては、非常にいい内容だというのを知っているので大変残念です。日本でこれを放送するのはもうほとんど絶望的なんですが、現在とある国でドキュメンタリーフィルムとして上映できないか画策中とのこと。『太陽』が世界で話題になったら、これもいけるかもしれないので頑張ってほしいところです。しかしやはり昭和天皇以降、皇室関係って本当にタブーなんですね。すごく不思議なカンジがする。

 ……時間がないとか言いながら長くなった。

乙女日記 | Posted by at 3 16, 2005 11:12 | Comments (4) | TrackBack (0)

アイスランド人との手紙

 Sigtryggyer Berg Sigmarssonという名前のドイツ在住アイスランド人の友達がいるんですが、彼はStilluppsteypaというヨーロッパのエレクトロニカ系音楽ではわりと人気のアーティストさんなんですね。もともと私はこのSiggiのファンで、めちゃくちゃカッコイイ音楽を作る人なので憧れていたんですが、去年の年末に来日してライヴをやったときに紹介されてオシャベリしたら気が合ったので、彼がドイツに帰ってからもメールのやりとりをしているんです。

 毎回お互いに超長文で、自分勝手に趣味をぶちまけあって「でも周りはわかってくれないんだよね……」とか言い合っているんだけど、趣味嗜好が本当に似てて恐いです。サイコキラー、カニバリズム、拷問、ホロコースト、ナショナリズム、サッカー、ドキュメンタリーフィルム等々、話題が尽きることがないんですけど、日本人とアイスランド人がこんなメールのやり取りをしてるっていうのがそもそもおかしいと思いました。最近のメールをちょっとご紹介。(私が送ったメールにSiggiがレスしてます)
 前のメールでクラウス・キンスキ話をしていたことから『マルキ・ド・サドのジュスティーヌ』好き!→ソドム120日最高だよね!→パソリーニのソドム120日みた?(中略)ヤプー話……という経緯です。これでもメール本文のほんの一部で(笑)、原一男監督『ゆきゆきて神軍』の話、チャンピオンズリーグの話、高原選手の話、ノルウェーの話、Siggiの卒業論文の話などなど多岐にわたっています。以下、Siggiのレスを緑色で。


I like "Marquis De Sade's Justine",because I love the literature of Marquis De Sade (especiarlly "les 120 Journees de Sodome". There is every type of vice!!!).

WOWOWOWOWOWOWOW!!!!!!!!!!!!!! this must be some coincident, it seems that we have A LOT in common!HA!!!! i like also the literature of Marquis De Sade. i must say that i dont believe this!HA! you like his writing aswell! that is just AMAZING!!! i am all happy to have met you!

did you see the film italian director Pasolini made on "les 120 journess de sodome"? i have that on tape, i really like that film! i have quite a few Pasolini movies, you like his work??? i remember seeing "les 120..." for the first time, i was like 17 years old. it was some experience!


(中略)


So, I read a book named "KA CHI KU JIN YAPOO". It's a scatology novel, but so academic. In this story, the white race is a human being, the black race is a half human being, and the yellow race (like us Japanese) is a domestic animal named "YAPOO"!!! It's so interesting that the author of this novel is of course Japanese, but he wrote Japanese like as a beef cattle, pig, or horse...how masochistic!!!! And in Japan this novel sell well. I want that this novel will be translated in English or other language. Who read this novel will think "How Japanese is crazy!!!!"...it's interesting :)

yes i am all for learning more about the japanese culture, i am all for it! i really loved being in japan it was like i have probably told you before a dream come true... there is something that i really admire about the japanese!!!!


 そんなSiggiですが、彼の作る音楽は本当にイイので、興味をもった方は買ってあげてください(笑)。これとかこれとか特にオススメ。

乙女日記 | Posted by at 2 17, 2005 18:40 | TrackBack (0)

チェ・ゲバラを知っていますか?

ゲバラとカストロ 先日、ちょっと驚愕することがありました。

 イタリア語教室にて。うちのクラスは毎回、授業の最初にみんなで(その日はイタリア人の先生+クラスメイトのOLちゃん3名+私)イタリア語の雑談をします。で、先生がカストレーゼっていう名前なので、「イタリアでのあだ名って何だったの?」と聞いたら、「フィデル。まあわりと冗談でみんな言うけどね」と苦笑しながら答えたのです。もちろんこれはフィデル・カストロとカストレーゼをかけてるわけだけど、OLちゃん3名(28、29歳)がポカンとしてるのです。「……なんでフィデルなの?」と。「え? だってフィデル・カストロだからでしょ」と答えると……

 「カストロって誰?」

 って……まじかよー! フィデル・カストロ知らんのかいこのお嬢さんたちは! 先生と私は唖然呆然。先生がフォロー気味に苦笑しながら「チェ・ゲバラは知ってるよね?」と聞くと「……誰それ?」「なんとなく聞いたことあるかも」

 えええええええ!!!!! チェ・ゲバラを知らないですと?!!!

 驚きました。驚くというか、ショックを受けた私はイタリア語会話教室ということをすっかり忘れ、日本語でカストロおよびゲバラの概要を説明。いつもは日本語を喋ると注意する先生も「このお嬢さんたちに説明してあげて……」みたいな視線を投げかけてくるし(ちなみに彼は非常にジェントルで、今まで皮肉のひとつも言ったことがないんですが「イタリア人でカストロ知らない人はいないよ」とサクッと言ってました)。

 なんかもう驚愕しすぎて疲れが。しかもみなさんに悪意はまったくなく、ものすごい無邪気に「マイちゃんってほんとに何でも知ってるよね〜♪」とか言うんですよ。このOLちゃんたちですが、それぞれ名のある会社で営業とか企画とかバリバリ働いてる人たちですよ。
 なんつーかもう……憂国? 「憂国ってこういうことなんだ!」と体感しましたよ松陰先生。100歩ゆずってカストロはまだしも、ゲバラぐらいは知っててほしい。というか、こうもみんな知らなかったので私の頭がおかしいんじゃないかと錯覚に陥るほどでした。

 ひとそれぞれ常識にもプライオリティっていうのはあると思いますが(政治経済はよく知ってるとか、歴史については詳しいとか)、ゲバラやカストロってそれ以前の問題じゃないかと思うんですよ。そもそも、ケネディを知ってるのに、なんでカストロを知らないのかと。ケネディとカストロはセットで覚える(というより、歴史の流れで常識として知ってる)もので、それは本当に普通のことだと思っていたんだけど……憂国。なにも詳しく知ってろってわけじゃなくて、「フィデル・カストロ=もう長いことキューバの長」「チェ・ゲバラ=革命家っていうか革命マニアで男前」くらいはみんな知ってて当然のことだと思ってたんだけどなあ。そういえば前に、勝海舟のことを中国人と思ってた知り合いがいたなとか思い出したり。

 日本は平和ボケしてるんですかねえ……とかいうレベルの問題ではないと思うけれども。憂国すぎて、もうなんか恋とかしないとやっていけないカンジ。浮き足立ちたい。マジで。婿募集!

 結論としては『無知の知』は『無知の恥』でもあるということで。

乙女日記 | Posted by at 9 24, 2004 19:29 | TrackBack (0)

明日は舞踏会

30649060.jpg えーと、わたくし、鹿島茂氏が大好きなんですけど、なかでも『明日は舞踏会』『悪女入門 ファム・ファタル恋愛論』を生きるバイブルとしている淑女でありまして……こんなことを書いたらモテてしまいそうですが☆

 今日はそんな私が敬愛する鹿島茂氏の著書『明日は舞踏会』から学んだ、革命前のフランス貴族の素晴らしき生態をご紹介したいと思います。非常に参考になりますので覚えておいて下さい。簡単に言うとフランス貴族最高! ものすごい合理的!

 つまりこういうわけです。

 1. 若く美しい貴族令嬢が年老いた資産家貴族と結婚。
 2. 子供を作っちゃったら夫婦はまるで他人のように家庭内別居し、好き勝手な生活をする。夫婦が顔をあわせるのは朝ゴハン(といっても、貴族は朝に寝て昼過ぎに起きる生活)のときだけ。で、ゴハンのあと、ママンが身支度を整えて部屋で待機してると、裏階段から若くて美しいツバメくんがやってきてランデブー。
 3. 年老いたパパンが死んでしまったら、その遺産がママンに転がり込み、ツバメくんたちを増殖していってウハウハ。
 4. そのうちママンも年老いて、いちばんお気に入りのツバメくんに財産を譲渡して死亡。
 5. そのツバメくんも気が付いたら年を取っていて、若くて美しい貴族令嬢を嫁にもらう。
 6. 1に戻って延々ループ。

 どうですか! この合理的なシステムは! なんというか、これを読んで私は目からウロコが落ちました。“金は天下のまわりもの”っていうんでしょうかね。ホントすごいと思う。おもわず「これだ!」と、本に折り目を入れてしまいました。日本もこういうシステムを作ればいいと思う。

 ホストクラブなんて貧乏臭いこと言ってないで、舞踏会ですよ舞踏会。

乙女日記 | Posted by at 9 7, 2004 17:04 | TrackBack (0)

Ciao a tutti!!

左からボヘちゃん、ティーちゃん、ポンチョちゃんです♪

 最初は自己紹介ということで、前になんか“お見合い用のプロフィールを作ろう!”と突然思い立ったときに書いたのを貼っておきます。

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■生年月日:
 3月4日(誕生花は あせび、花言葉は“献身”)
■好きな言葉:
 「おもしろき こともなき世を おもしろく」(高杉晋作)
 「身はたとへ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」(吉田松陰)
 「愛国は日本の宗教」「一攫千金」「一等3億」
■好きな食べ物:
 エビマカロニグラタン
■趣味:
 サッカー観戦、読書、音楽鑑賞、映画鑑賞、ゲーム、飲酒、人形遊び、妄想
■好きなもの:
 赤ワイン、球体関節人形、拷問関係の本、幕末の長州藩の動向、かわいい女の子、色っぽい男の子、革命前のフランス貴族文化、一水会、イタリア……他たくさん
■好きな人:
 ファビオ・カンナバーロ、ハンス・ベルメール、成宮寛貴、高杉晋作、吉田松陰、澁澤龍彦、鈴木邦男、井川遥……書ききれない
■やりたいこと:
 成宮寛貴くんを監禁 、赤ワインの風呂に入る 、ホストクラブで一晩600万使う
■夢:
 フランス貴族文化の再現で、舞踏会三昧の生活
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 「花言葉は“献身”」あたりが、かなり高感度アップだと思います。エビマカロニグラタンとか普通にかわいいし。これでなんで結婚できないのか、ホント不思議。ちなみに写真は私の大事なお人形たちです♪ ブライス3人娘。かーわーいーいー!

乙女日記 | Posted by at 8 21, 2004 22:43 | Comments (5) | TrackBack (0)