備忘録 051110

 10月は近年まれにみる最悪な月でした。叔父が亡くなり、愛猫のガン発覚。人間関係もうまくいかず、読書や映画、ライブ、演劇鑑賞で気を紛らわしておりました。はぁー、なんか面白いことないですかね。

<最近行った色々>
・10/8【遠足】外房を鴨川くらいまで
・10/9【レイブ】渚音楽祭@お台場
・10/11【観覧】鈴木邦男×二木啓孝@高田馬場トリックスター
・10/14【社会勉強】とある集会
・10/17【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢mona records
・10/18【ライブ】東京中低域@渋谷 公園通りクラシックス
・10/19【観覧】安藤忠雄×福武總一郎@大さん橋ホール
・10/20【取材】すかいらーくスーパーカップ(女子フットサル)@駒沢体育館
・10/26【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@渋谷 7th floor
・11/2【芝居】黒テント『ぴらんでっろ~作者を探す六人の登場人物』@神楽坂 theatre iwato
・11/2【テクノ】luciano@代官山 UNIT
・11/4【芝居】あぁルナティックシアター『バスキア』@池袋 東京芸術劇場
・11/5【観戦】ナビスコカップ決勝@国立競技場
・11/7【ライブ】epoch@代々木 zher the zoo
・11/8【ライブ】角森隆浩@高円寺 楽や

<最近観た映画>
・犬童一心『メゾン・ド・ヒミコ』(初)@渋谷シネマライズ
・ジャン=リュック・ゴダール『アワーミュージック』(初)@日比谷シャンテシネ
・ゴダール、パゾリーニ他『ロゴパグ』(再)
・ジャン・ユンカーマン『映画 日本国憲法』(再)

<最近読んだ本>
・島田裕巳『創価学会』(初)
・村上龍『空港にて』(初)
・宮崎学+大谷昭宏『殺人率』(初)
・見沢知廉『ライト・イズ・ライト』(初)
・見沢知廉『囚人狂時代』(再)
・小宮山典寛『ペットの万能薬―薬を超えたクスリ・バームの不思議』(初)
・宮野のり子+花田道子 『ペットがガンになってしまったら』(初)


 レポートしたいイベントはたくさんあったんだけど……もう記憶の遠くへ行ってしまいました。安藤忠雄×福武總一郎おもしろかったですよ。安藤さん相変わらずオシャベリがお上手で、たくさん笑いました。

 黒テントの『ぴらんでっろ~作者を探す六人の登場人物』は良かった! 私は客演のさとうこうじさんが大好きなのです。特に黒テントと組む時のさとうさんは素晴らしく、何年か前に初めて観た『メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス』ですっかりファンになってしまったのです。とんでもない存在感と、あの独特な語り口調は他を圧倒する。おまけに今回の『ぴらんでっろ』は高橋悠治さんもピアノ演奏で登場。これは行くしかないだろうと。
 ご存知、ルイージ・ピランデッロの代表作「作者を探す六人の登場人物」はものすごい難しい作品です。原作が難解すぎて、演じてる本人たちもよくわかってない、という状態に陥りやすい。黒テントは昨年初演したメンバーを総とっかえして、お芝居の中心人物“父”役にさとうこうじさんを客演で抜擢。原作にはない作家本人(つまりピランデッロ)役に悠治さんを登場させ、これがバッチリとハマりました。昨年のを観てないからなんともいえないけど、たぶん数段に良くなったと思う。

 話の4分の1くらいから登場するさとうさんは、信じられないくらい膨大なセリフを与えられていて正直しんどそうでした。それでもやはり彼の怪演は圧倒的だった! 悠治さんは最初と最後できっちりと場を全部かっさらっていって素晴らしかった。若手中心の配役だった黒テントは多少物足りなかったけど、この難解な作品を考えると健闘していたと思います。
 にしても、この作品は一度観ても難しくてなかなか本質を理解できないですね。難解な言葉が降り注ぐ膨大なセリフに気を取られちゃって、もっとじっくり体感したかった。できればもう1度くらい観に行きたかったんだけど結局行けずじまいで公演終了。theatre iwatoはとてもいい空間で、目の前に舞台があって、役者さんがすぐ横や目の前に座ったりして面白かった。

 一方、お友達のサックス奏者・松本健一さんが客演(?)した、あぁルナティックシアター『バスキア』は非常にわかりやすい陽気な作品で、なにも考えずに楽しめました。天使役のまっちゃんは舞台であきらかに困惑してて面白かった。


 で、今回特筆したいのはゴダールの『Notre Musique(邦題:アワーミュージック)』です(それにしてもこの邦題は酷いな。信じられないセンスです)。以下、長くなると思うので適当に流してください。

 ひとことで言うと、素晴らしかったのです。

 『Notre Musique』のゴダールは、ドキュメントとフィクション、音楽と音響、BGMと効果音、それらの枠組みをスコーンと超越して、すべてが絶妙な関係性を保ち、社会的な問題を芸術レベルまで引っ張り上げていました。これはある意味ドキュメンタリーよりも説得力があった。とある批評家が言っていたように、ここ最近のゴダール作品はアイロニーに満ちたシニシズムと、その裏に隠されたメランコリーを美しい映像と音楽で包み込むものが多く、そこがたまらなく素敵なんですが、『Notre Musique』は撮り方も違うしシニカルさも薄れていました。
 けど、そのせいか(?)ぐっと説得力があって、あらためて“映画”の力を見せつけられました。いやー、ゴダールすごいわ。いまさらですけど。今後もさらにすごくなりそうな予感です。

 私が観に行く前にすでに観ていた友人の音楽家・渋谷慶一郎氏とこの作品について語っていたんですが、「例えばアメリカとイラクのことに関しても、ゴダール以上の批評、というかアメリカ批判は映像に出来ないわけで、それはあくまでもゴダールが映画の側からやってるからというのもデカイなと思った。ドキュメンタリーには出来ないなーという感じだよ。今回のは」と言っていて、まさにそのとおりでした。第3章に出てくるアメリカ兵とかって……本当に発想がすごいと思う。

 ここ最近、ドキュメンタリーフィルムに興味を抱き、いろんなものを観てきましたが、やっぱり“映画”ではなく“映像”なんですね。どんなにキレイに撮ろうが、どんなに素晴らしく編集しようが、結局“映像”の枠からは出られない。
 もっとわかりやすく言うと、原一男や森達也や綿井健陽やエロール・モリスやジャン・ユンカーマンやモーガン・スパーロックは“映像”作家(というかジャーナリスト)であって“映画監督”ではない。是枝裕和やマイケル・ムーア(毛色が違いすぎるけど)は“映像”を“映画”にしようとしてる人(なぜかこの層は社会的に評価が高い)。で、ゴダールは“映像”を“映画”で飲み込んだ正真正銘の“映画監督”ではないかと。

 そう考えるとやっぱり社会問題を扱う作品に関してもいちばん心に響くのは“映画監督”が撮った映画であって、圧倒的な説得力がある。ということに気付きました(←遅い)。もちろんジャーナリストたちが撮るフィルムもじゅうぶん興味深くて楽しめるんだけど、こういう『Notre Musique』みたいなのを観てしまうと「うっわー! 全然圧倒的だ!」と思ってしまうわけですね。
 で、日本にもそういうゴダールみたいな人が出てきてほしいんだけど、いまのところ思い浮かびません。海外でも(私が知るかぎり)あまりいないような気がする。素晴らしい劇映画を撮る監督だったらたくさんいるけど、ドキュメンタリーをフィクションで飲み込んでしまうほどの圧倒的な力を持っている映画監督は、いまのところゴダールとアモス・ギタイしかいないなと。というか、策略的にそういうアプローチで撮ってる監督がいないんだろうな。このふたりは策略的に撮ってるもんね。そこを期待すると森達也はセンスが全然ないし、是枝裕和も力量が足りない(ふたりとも大好きですけどね)。エロール・モリス(いまのところ“映像”寄り)とケン・ローチ(いまのところ“映画”寄り)が開眼してくれればいいんだけど(笑)。

乙女日記 | Posted by at 11 10, 2005 16:21


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Tracked: 2005年11月28日 14:07




Comments

ゴダールか……。もう何年も見ていないね。
もしかすると『右側に気をつけろ』以来、映画館では見ていないかも。久しぶりに見てみようかな、今週までだけど。

Posted by satohshinya at 2005年11月13日 20:28

> しんやさん

ぜひぜひ行ってみて! 今回のは特に、映画館で観るのをオススメいたします。ちなみにまわりを見渡すと爆睡してる人が多かったけど(苦笑)


かんけいないけど、昨日トリエンナーレに行きました。
吉岡くんが青いコーンを運んでる映像を観ました。お元気そうでなによりです。

Posted by mai at 2005年11月14日 11:02

まだ僕はちゃんとみてないんだけど、
見てくれたみたいですね、ありがとう。

重かった、マジで。
人力で地下鉄の改札まで降ろすのは
なかなか大変でした(笑)

Posted by hy at 2005年11月15日 22:57

> よしおかくん

でも楽しそうだったよ。ちゃんと駅でチケット買いました♪ あれ便利。

Posted by mai at 2005年11月28日 18:13