備忘録 050412

 さて。やっと時間ができましたので(あいかわらずモノ書きに関してはスランプ中ですが)、今日は何を書こうかな。何がいいだろか。

 最近はもっぱら東アジア情勢が気になるところですが、あれはマスコミの報道の仕方にも問題がありますよね。たとえば中国各地でデモをやっている人たちの暴挙や過激発言ばかりをテレビ画面にこれでもかこれでもかと大写しにした後で、思慮の浅い無能なコメンテーターたちが憂い顔をして、その場かぎりのチンケなナショナリズムをひけらかすさまは本当に滑稽きわまりない。私たちが知りたいのは正しい情報のみであって、偏執的な(←ここを強調ね)主観が入っているカメラワークや編集作業はなんの意味も持たないのです。あのデモをやってる人たち(大半は無知ゆえに不憫だなあとは思うけど)の中国社会構造でのポジション、というのをもっと正確に教えてくれないと判断のしようがないわけで。

 たとえば現在、中国では国民間の経済格差がどんどん開いて深刻な状況に陥っていますよね。経済の急成長で成り上がった都市に住む市民、経済格差の犠牲となって加速度的に増加している地方の貧困層、その狭間に生きる“民工(正しくは民工潮)”と呼ばれる出稼ぎ農民たち。中国の都市部では、市民と民工で戸籍の種類が違うんですね。お金をたくさん払ったら市民の戸籍を買える(他にも色々と条件があるみたいですが)、というなんとも時代錯誤なことがまかり通ってるのが現状で。市民の戸籍を持ってないと、ろくな教育も受けられない。とてもじゃないけど“人民民主共和制(=主権が人民にある共和制)”なんて言える社会ではないですよね。まさに惨状。

 そういった状況をふまえて、デモをやってる人たちはこの中国の社会構造のどこに属しているのかと、それが知りたいわけです。市民はもちろんなんですが、おそらく民工もたくさん混ざってるんじゃないかなあと。そうすると思うわけですよ。

 「……きみたち何やってんの?」

 と。市民と一緒になって日本をスケープゴートにしてるヒマがあったら、まずは自分たちのその社会構造をなんとかしないとヤバイんじゃないの? と。それだけのパワーがあったら、もっと中国は良くなるんじゃないの? と思うんですね。まあ(よく言われてることですが)'89年の天安門事件以降、中国政府がかなりの愛国教育というか日本スケープゴート教育をしたために、ずいぶん偏った歴史観を植えつけられた国民は気の毒だなあと思うんですけど……韓国に関しては、いまさら何を騒いでいるのかサッパリわかりません。もはや意味不明。

 とか色々思うわけですが、けっこうもうウンザリです(苦笑)。どうでもいいや。自分だけはちゃんと勉強して、正しい史観を身につけようと思います。日本人もこの過熱報道に惑わされて、その場かぎりの薄気味悪いナショナリズムを持たないように気をつけないといけないですね。ナショナリズムを本気で考えるなら、まずは吉田松陰全集を読まないと(笑)!

 ……本当はアモス・ギタイ監督の『キプール』について書こうと思ってたんだけど、長くなってしまいました。反省。これはまた次回に。


 あ、でもこれはちょっと面白い(笑)。

乙女日記 | Posted by at 4 12, 2005 18:20


TrackBacks

» ねじれと様式 from simon
Excerpt: CIBONEで、4色ボールペンを買った。(¥410税込) ...

Tracked: 2005年04月19日 05:16




Comments

最近、仕事でフランス人とドイツ人を相手にしていたのですが、彼等も歴史の上ではそれになり拒絶する仲だったと思うのですが、そんな彼等が一つ屋根の下に入ろうとする仕事を助ける立場でした。彼等は物わかりがよく結果としてまとまったある答えは出せた。それは何故だと考えていたんだけどやはりお互い先進国で経済的にきちんとしたものがある同士だったので成立できたのかなと思いましたよ。事実、僕の上司のフランス人父親は戦争中ドイツに爆弾なげたとのこと。

Posted by hy at 2005年04月13日 01:43

そうそう、アイスランド人の友達も言ってたんだけど、ヨーロッパだってそれこそ東アジアどころじゃなくありとあらゆる軋轢が交叉し合っているけど、それぞれが正確に史実をとらえようと努力してるのと、経済的に余裕があるためかインテリジェンスが育ちやすい、っていうのがあって微妙なバランスのうえでいまの状態を保ってるんだって。そういう感覚はすごく大事だよね。特にモノをつくる仕事に関してはすごく大事だと思う。

根本のところではそれぞれなんかモヤモヤしていて色々思うことはあってもいいけど、前に進んでいかないと、と思うんだけどね、東アジアも。あと中国に関しては「愛国主義」がいつのまにか「国粋主義」に摩り替わってるっていうのも深刻だと思う。それじゃあ幕末の過激な攘夷思想と一緒じゃないか、と。尊皇が発端だったのに、いつのまにか攘夷だけが走っちゃった、みたいな。で、できあがったものを見てみると……(以下自粛)。

Posted by mai at 2005年04月13日 16:51

すでに目を通されているかもしれませんが。内田樹の研究室|反日デモの伝える声も、盛り上がっています。
中国繋がりで。先日、ガイアの夜明けで、追いかけた中国3年間特集をやっていましたが。不動産投資に走る温習人と、農村から出稼ぎに出ている少女を、反復する構成に振り回されました。「上海は、値がつり上がりすぎて、今は北京。」という、ナレーションを聞いて。僕としては、北京建外SOHOが投資対象として、でてこないか期待して見ていたのですが。出ませんでした。(中国でのSOHOというのは、オフィス付きの住居というより、現代的な住宅という意味合いが強いようです。)
ちなみに、山本理顕のオリジンを見るようなHPの夜景の写真は、すごいです。

Posted by simon at 2005年04月14日 05:12

「内田樹の研究室|反日デモの伝える声」みてきました。基本的に知り合い以外のブログってあまり読まないので(膨大だから)、これは知りませんでした。さっそく“トラックバック”っつーの? に入れておきました。使い方がよくわかんないケド……。

で、このテキストはとても興味深かったです。うん。同感するところと「違うんじゃないの?」と思うところもありました。そこからトラックバックしてる(?)いろんな人の意見も読んでみました。

で、やっぱりみなさんウンザリしてるんだろうなと思いました(笑)。しかしながら、ひとりひとり意見は違えど、ちゃんと自分なりにこの問題を考えているっていうところが大事だと思った。

ちなみにもうひとつトラックバックしといた、“30歳女性会社員の気になるニュース”さんのところに、「反日デモに参加しているのは高学歴の中国人」と書いてありました。ナルホドねー。もう一度考えてみよ。

しっかし、北京建外SOHO……すごいですね。さいばーっ!

Posted by mai at 2005年04月14日 16:07

膨大って(笑)。
どっかのニュース番組で言ってた。としか、覚えてないですが、CNNの調査によると、すでに日本は(公式に?)7回謝っているとか。
まぁ。回数の問題ではないですが、今回の暴動や、中国の社会構造を見ていると、G7と呼ばれる先進国とは違った、ねじれた近代化の道を歩む可能性は高そうですね。

Posted by simon at 2005年04月14日 23:22

TBありがとうございます。

>日本をスケープゴートにしてるヒマがあったら、まずは自分た>ちのその社会構造をなんとかしないとヤバイんじゃないの?

まったく同感です。
ボランティアをしているNGOを通じて知った話ですが、天安門事件の中心人物はつい最近まで刑務所にいましたし、中国政府の人権侵害は本当にひどいですから・・・。

残念ながら私の中国人の友人も、中国政府が自国民に対して行っているひどいこと(チベット問題とか)全然知りません。関心もないみたいですねえ。

Posted by 30歳女性会社員 at 2005年04月15日 00:56

> simonさん

だってインターネット上にあるブログって、数が膨大すぎてどれを読めばいいのかわからないんですもの(笑)。
にしても、7回謝ってるんだ……ちょっとオモシロイ。

> 30歳女性会社員さん

こんにちは、はじめまして。
トラックバックって自分のところ(つまりここ)に興味のあるブログテキストのリンクが貼られるのかと思ってて、読み返すときに便利だなーとさっそくトラックバックしてみたんですが……そちらに足跡を残すだけなんですね(苦笑)。勘違いしてました、スイマセン。お邪魔しました。
30歳女性会社員さんのブログ、とても興味深いです! 今後もこっそり見に行きますねー。

> 全然知りません。関心もないみたいですねえ。

あー、やっぱりそうなんですか。
昨日の「13億人ひとりひとりが日本企業のフリーダイヤルに電話したら」うんぬんの発想もそうなんですけど、だいたい13億人のなかで電話を持ってるのなんて半分もいないんじゃないの? とかいうレベルの問題ですよね。自分の国の現状に自覚なさすぎ。よその国のことながら、すごく心配です。

Posted by mai at 2005年04月15日 16:07