備忘録 051007

 9月もあっというまに過ぎていきました。9月といえば、なんといっても衆議院総選挙。これはもういろんなところでいろんな人と、徹底的に議論し尽くしたのでもうやめときます(苦笑)。選挙が終わって1週間くらいは、落ち込みまくっていたことだけ記しておきます。


<最近行った色々>
・9/8【観覧】月刊「創」プレゼンツ「メディア・市民・国家」@新宿ロフトプラスワン
・9/9【テクノ】PLUS@代官山AIR
・9/10【夏行事】バーベキュー@多摩川
・9/11【映画祭】第18回東京国際映画祭プレイベント@赤坂区民センターホール
・9/12【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢lete
・9/13【観覧】見沢知廉さんの追悼会@高田馬場トリックスター
・9/17【テクノ】CHaOS@西麻布yellow
・9/27【ライブ出演】角森隆浩withダイナミックオーシャンズ@下北沢mona records
・9/30【社会勉強】拷問博物館見学
・9/30【観戦】ヤクルト×阪神@神宮球場
・10/1~10/3【旅行】法事@北海道
・10/4【即興】dub lilac / 高橋悠治+ATAK(渋谷慶一郎 and maria)@新宿ピットイン

<最近観た映画>
・イム・チャンサン『大統領の理髪師』(招待)@第18回東京国際映画祭プレイベント
・フアン・パブロ・レベージャ/パブロ・ストール『ウィスキー』(招待)@第18回東京国際映画祭プレイベント
・オリヴァー・ヒルシュビーゲル『ヒトラー ~最期の12日間~』(初)@渋谷シネマライズ
・ジャン・ユンカーマン『映画 日本国憲法』(再)

<最近読んだ本>
・角田光代『空中庭園』(初)
・鹿島茂『関係者以外立ち読み禁止』(初)
・岩波ブックレット『憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言』(初)
・石原昌家『沖縄の旅・アブチラガマと轟の壕 国内が戦場になったとき』(初)
・熊谷伸一郎『金子さんの戦争 中国戦線の現実』(初)
・関岡英之『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』(初)
・滝口範子『行動主義レム・コールハースドキュメント』(初)

鉄の処女さん
 えーと、相変わらず節操なく色々やっていたんですけど、会社を休んで行った(笑)拷問博物館見学は最高に面白かったっ! 明治大学のアカデミーコモン地下にあるんだけど、これがもう大興奮の内容でした。十手、刺又からはじまり、石抱、釣責、さらし首を置く台などの江戸~明治にかけての拷問器具に加えて、ヨーロッパの芸術作品である“鉄の処女”と“ギロチン”、“貞操帯”、中国のちょっとマヌケな刑具なども飾ってありました(写真は鉄の処女。倒立型は貴重です。彼女が着ている服は当時の流行をふんだんに取り入れてたんだって。オシャレさん♪)。

 会えば必ずバイオレンスの話で盛り上がる友人とふたりで見に行き、「うわ、鉄の処女って拷問がおわって蓋をあけるとき、床が抜けて死体が落ちる仕組みになってるんだって! しってた?」「しらなかったー!」「うわー、ほんとだ、この床落ちるように細工してあるんだー」と食い入るように見つめたり、「この拷問器具はサイズがなんか小さくない?」「いやほら、江戸や明治の日本人ってまだ背が小さかったからこれくらいでちょうどいいんじゃないの?」とか真剣に話し合って堪能しました。他のお客さんはドン引きしてました。

 入場無料なのでまた行きたいと思います。日大5号館からも近いので、みなさんも是非! 解説希望の方は付き添いますよ♪

 という話はまあいいとして。9月に観たイム・チャンサン監督の『大統領の理髪師』オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の『ヒトラー ~最期の12日間~』はとても良い作品でした。
 『大統領の理髪師』に関しては、いまの時代に、韓国人の監督(35歳)が1960~70年代の韓国について撮ったっていうのがまず驚き。当時の韓国は腐敗政治家たちの圧政がはびこっていて、人々は本当に苦しい思いをしていましたが、いままでこういったカンジの風刺映画は出てきませんでした。それをこの若い映画監督は、押し付けがましくなく、ユーモラスに描いていて、ピューンと飛び越えてしまった。すごい才能の人だなあ。こういう若者がこういう作品を撮って、国内でもきちんと評価されているということは、いまの韓国もなかなか捨てたもんじゃないなと思いました。主演のソン・ガンホが素晴らしい! しかしながら、非常にいたたまれないシーンも小さくたくさんあります。風刺が身に沁みる。とあるシーンで、日本人である会場の観客たちがケラケラ笑っていたのには相当驚きました。他人事なんだなあと。
 『ヒトラー ~最期の12日間~』は本当に良い作品だけど、いろんな意味で問題作。ドイツ国内で大論争になったのは納得。最初と最後に警笛としてのフィルムが挿し込まれているけど、全体的には“人間”としてのヒトラーを描きすぎているような気もします。ともあれ良かった。155分という長丁場なんだけど、見入ってしまってあっというまでした。ヒトラー役のブルーノ・ガンツは素晴らしい役者だなあ。傍役たちもすごかった。DVDになったらまた絶対見ると思います。

 最近の小説でも読んでみようと、角田光代『空中庭園』をジャケ買いしたんですけど……すいません、まったく心に響かなかった。小説を書く技巧はものすごい優れていて、おそらくすごい巧妙にプログラムされた優秀な小説なのかもしれませんが、なんせ心にまったく響いてこない。3時間くらいで読了。んー。

 一方、何年かぶりに本を読んで涙を流しました(ちなみに最後に涙を流した本は子母沢寛『新選組物語 新選組三部作』の「流山の朝」。傑作中の傑作)。熊谷伸一郎『金子さんの戦争 中国戦線の現実』の、179ページから180ページにかけて。出勤途中の電車の中で思わず泣いてしまった。この本には、平時においての人間の軽やかさ、天真爛漫さと、有事(つまり戦争下)においての人間の残虐さ、絶望感、苛立ち、諦め等、ありとあらゆるすべての感情が、たったひとりの人間のなかに溢れているのが描かれていて、自分のなかにも同じ感情が潜在しているかもしれないと思い知らされます。
 で、そのなかで件のシーンは、どんなにむごい仕打ちを日本軍にされてきても、捕虜になった日本兵を“人間”として扱い通す、常に冷静な戦犯管理所の中国人たちの姿が描かれていて、その成熟された精神に圧倒されました。この本はぜひ読んでみて下さい。あと、沖縄でアブチラガマに入った人は『沖縄の旅・アブチラガマと轟の壕 国内が戦場になったとき』もぜひ。こちらも途中で読むのをやめたくなるほど壮絶ですが、25年もかけて行った綿密な調査と秀逸なルポルタージュに敬意を表して必読。

 吉岡くんオススメの『行動主義レム・コールハースドキュメント』はとても面白かった(誤植が多くて本としてはヤバいと思う)! 関係者のインタビューが表面的すぎてイマイチだったので、2部のインタビュー対象を減らしてひとりひとりの内容を濃くして、1部をもうちょっと長い追っかけ取材にしてほしかったけど……レムを長期取材するとなったら破産してしまいそうですね(笑)。
 いろんな位相で同時にモノゴトが進行していくダイナミズムは、モノゴトの世界が大きければ大きいほど刺激的で、ゾクゾクするんだろうなと思った。レムの事務所を覗いてみたいなあ。レムの頭にcamとか設置してほしい(笑)。レムは言葉とか理論とかブックレットとかよりも何よりも、本人そのものがいちばん面白そう。

乙女日記 | Posted by at 10 7, 2005 18:00


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