綿井健陽×広河隆一×高遠菜穂子

 8月2日文京シビックホールにて行われた、綿井健陽さんの映画『Little Birds イラク戦火の家族たち』上映会+綿井さん、広河隆一さん(「DAYS JAPAN」編集長)、高遠菜穂子さん(イラク支援ボランティア)のトークショーに行ってきました。

 映画に関しては触れません。ここでも何度か書いた(かな?)んですが、実際に自分の目で見てください。2003年3月から1年間、イラクではなにが起きていたのか。戦争に加担した国の国民である以上、目を背けずに見る責任があると思います。私は劇場で1度、上映会で2度観たんだけど、何度観ても色々と考えさせられます。これだけいろんなものを104分の映像の中に詰め込んだ綿井さんは、めちゃくちゃ欲張りな人だなあと(本人に言ったら笑ってましたけど)。

 上映会のあとのトークショーでは綿井さんの司会進行で、私の大好きな(と書くと語弊があるけど)雑誌「DAYS JAPAN」の編集長・広河氏とご存知イラク支援ボランティアの高遠さんが色々とお話をしてくれました。会場の関係上、1時間ちょっとしかできなかったのが残念。そのため質疑応答もナシ。もうちょっと考えてほしかったです。
 とはいえ、この日は貴重なフィルムを見せてもらえました。ちょうどこの日の午後に綿井さんはサマワから帰ってきたのです。まわりにも行くことをナイショにして、1週間ほどサマワに滞在していたんですね。で、現在のサマワの状況を解説を加えてフィルムで見せてもらえました。詳しい内容は綿井さんのブログの「サマワ発」シリーズで読んでみてください。あと、来週あたりくらいからニュース23とかで放送すると思います。といっても、綿井さんが帰ってきた後もサマワの状況は刻々と変わっているわけで、ちょっとニュースを見てみても……

 ・「陸自報じるな」と脅迫状 サマワ地元メディアに (8日22時5分)
 ・イラク各地で30人以上死亡、サマワでも騒乱で1人死亡 (8日8時47分)
 ・知事とサドル派「停戦」 サマワ、夜間も攻撃続く (8日8時35分)
 ・反知事デモ暴徒化、警察発砲=55人死傷、外出禁止発令-陸自活動影響も・サマワ (7日17時1分)
 ・「解任は無効」と知事に反発=サマワの警察本部長-「治安に影響も」 (3日17時1分)

 あきらかに悪化の一途をたどっています。これがいったいどういうことを示しているか、派兵している側の人間はちょっとだけでもいいから考えないといけないんじゃないかなあと思いました。

 で、トークショーでは特に広河氏の発言がとても印象的だったんですが(高遠さんはあまり発言の機会がなかった。これも残念)、いちばん心に残ったのは、DAYS JAPAN創刊号のこの写真について、目を背けたくなるものだけど……というくだりで(この表紙の写真は題字タイトルで女の子の足下を隠しているけど、ページをめくったら壮絶な全貌が見えます)「戦争に加担した国の国民には、撮られているものに対して目を背けていい権利はなくて、見なくてはいけない義務がある」と言っていたことでした。これは本当に衝撃的な言葉だった。
 ジャーナリズムに関しての議論も出ました。これだけ戦争の悲惨な写真や映像がメディアに溢れていて、本来ならばその写真や映像は人々に「戦争は絶対にやってはいけない」という抑止力になるべきものが、人間の感覚が慣れで麻痺してしまっていないか、という話。それに対して広河氏は、本当のジャーナリスト、ジャーナリズムは絶対にあるわけで、それがマイノリティであろうが決してなくなることはない、だから自分たちにできることをひたすらやっていくのみだ、という意見でした。そのとおりだと思います。あとはそれを受け取る側の判断だと思います。こちらも非常に深刻ですが……。

行ってきました♪ | Posted by at 8 12, 2005 16:53


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