シナリオ1
これまで湾岸部は港湾部、工業地区、住宅地が安全面や構造上、単純に交わらないように分離されて開発されてきた。今回横浜港で旬な埠頭本牧、南本牧埠頭を含む湾岸に注目し、その港湾を中心として持続できる港湾、ひとつの副都心をつくる。
自分の提案の核となる物として現在の神奈川臨海鉄道の貨物線をトラムと併用することで根岸から鉄道インフラの孤島である本牧地区まで人の流れを作り出す。
臨海鉄道は物と人の流れをつくる、重要なインフラとなる。
そして、トラム計画の成功の鍵を握るのが、今回のデルタ状の敷地である。その敷地は本牧ふ頭の最前線に位置し、トラムのターミナルとなるところである。すでに物流のノードとなっているが、この敷地は現在港湾労働者の共同住宅となっている。そこにはもっと複数のプログラムが入り、投資される価値のある場所となる。
ガントリークレーン
デルタの中央から見えた風景
コンテナトレーラーにしてもこのクレーンにしても非日常的なスケールである。だからなんか興奮するし、港のダイナミックさがでている。空港で飛行機を見る時の感覚と似ているかも。大桟橋にクイーンエリザベス号が泊まっているのを見た時は鳥肌がたった。空港と違い、海の港は日常スケールと非日常スケールがすぐそこで交錯している。大桟橋と飯田さん設計のシーバスの赤煉瓦倉庫前の駅が隣り合っているといった、非日常と日常のスケールの対比もすごくおもしろい。
デルタ
本牧ふ頭の付け根の敷地である。港湾労働者住宅のど真ん中を貨物の線路が走っている。三角形の敷地で3辺はそれぞれ違ったエッジに面している。港湾、住宅地、工業地。しかし交通インフラで囲まれているため、孤島状態である。貨物はベルトコンベアーのように交通インフラの上を自動運転で絶えず流れている。人は全く流れていない。横浜港の中心である本牧埠頭の最前線に位置する敷地なのだから積極的に投資をできる場所のような気がする。
インタラクティブな関係
shinyaさんのコメントに対するエントリーです。ドメスティックなコミュニティの感覚は否めないですね。隔離された村に等しい。僕が、教示的なコントロールを仕掛けている点はいいんですが、それとインタラクティブに全体を良くしていこうというと仕掛けをたくらむ人がいなくて、いっこうに盛り上がらない。八代のコンペの時なんか極度に明らかだった。アクティブなデザインプロセスとしては論外な事をしている事に誰も気づいていない。気づかない人に言っても危機感まで達しない。自分が前進している事実を、足を踏みしめる感覚でしか、自分を上昇できないようでは、きっとデザインで人を興奮させることは難しい。そういう局面に出会わない、出会おうとしない人たちに僕ははっきり言って、うんざりしている。
「一刀両断」というのは、横浜というバックグラウンド(生活)を知らない僕たちが、飯田さんが言うキーワードを頼りに、恣意的な視点に寄りすぎず、知るという事を意味していて、大げさに振る舞っているだけです。建築家なしの建築みたいなフレーズの感覚ですね。言いたいけど、言えないことはわかっていて、突っついて欲しいという事。(笑)
飯田さんは、個人の視界でリサーチの幅を狭めないで欲しいという事を、様々な言葉に置き換えてコントロールしてくれていて、温度ののっていない情報を検索する必要性と同時に、恣意的な視点を持って整理することを強く言っている。批判的な姿勢や自己陶酔が大切だと言っている。そのフレーズが頭に入っていても技に出来ないようだ。
(仮)記述システム v1.1
横浜ポートサイド地区を一刀両断するために、まず理想をもった妄想ごしに、見渡した。その結果、(従来的な建築が持つ受容的な側面の見える)ネガティブな環境を体質改善する建築タイプ。と、(建築が本来的に備えているストラテジーを売りにするような)投資の盛んな状況下で未知を予見する建築タイプ。の二種類があるのではないかという仮説にたどりついた。この仮説(=勘)を正しく見せるために、共有できる切り口を必要とした。そこで、都市スケールで群れになっている状況を平面的な広がりで把握することにした。そのことによって、制度の境界や慣例化された呼び名などを越えて、ニュートラルな話題のシンボルを獲得することにした。そのシンボルをマトリクスの行とする。
[都市という密度下で際立つ空間的特徴]
district / 面
linear / 線
dot / 点
たとえば、商店街は線的なパースペクティブをもったものから、面的な街区を形成するものまである。それぞれの項目は、建築計画学上の機能と呼ばれるものを持つ「マッス(mass)」と持たない「ヴォイド(void)」のどちらかの性格を持つ。線的なマッスの商店街。線的なヴォイドに川。といった具合。dotというのは、建築単体の話で、電波塔と言ったたぐいは、点的なヴォイドで、ランドマーク的な価値を持つものだったりする。都市的な密度だから、ヴォイドという価値は見いだされる。港湾のコンテナバースは人の立ち入れない面的なヴォイド、緑地やアメリカ軍基地などもそれに属する。
行がフィジカルな性格付けで、列はその状況を表す価値(value)によって構成される。
[都市的状況下で生まれる価値(value)]
node/結節点 (焦点 集合点 集中点 コア 線と線が重なっていたり、面と面が重なっているところ)
edge/接続関係 切断関係の境界的特徴
landform/土地的特徴 (谷戸)
investment/投資 (公共事業 制度変更 特区構想 民間事業)
human/人的資産 (NPO 人口増減 人の流れ)
landmark/風景 (看板 商店 建物 山 スタジアム)
network/交通 流通
historical/歴史的な 文化的な
junk/無駄
白地図でプロットされた特殊な状況を抱えた場所が、マトリクス上で領域的にアプライされる。
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