市民のターミナル@花之木

中間発表時のシナリオ
1)戦後における全国の全接収面積の内62%を占めた横浜は、「街の構造を決める前」に、東京に従属する関係の中で、急速に人口を増やしてきた。その結果、高額な土地に住宅を求める町作りが先行し、都市戦略の無いまま、街のインフラが後追いの町作りになっている。現在は、最も高齢化が進み、東京に次いで都心回帰が急速に進行している。
2)海岸線とパラレルに、東京へ通勤者100万人が毎日移動しているリニアな幹線道路、鉄道が明確に工業地区と住宅地区を分断してきた。もともと工業地区で市民に開放されておらず、ある意味[空地]と言える海岸線が、かつての接収解除のように次々と都市に還元され始めている。
3)東京や大阪といった大都市は、[ランドマーク]をつなぐ町並みと、交通ネットワークで[ノード]を環状に繋ぎ、都市の骨格を明確にしている。しかし、横浜は[ランドマーク][ノード]が連単せず、関外に代表される伊勢佐木商店街のような消費主義の繁華街の背に配してしまっているような大通り公園という空虚を作っている。
4)他方で、国政レベルでは近年の都心回帰が始まった頃に、国土の均等利用がスローガンにあがっていた。そのため大都市への投資が不十分な中「マスタープラン不在」のまま、インスタントな感覚でマンションに代表されるような歴史の象徴性にすがるような家族像によって高層化される建物が、広大な貨物操車場跡地やアメリカ軍基地、臨海の工場跡地といった[空地]を埋め始めている。巨大な価値を持つ可能性がある高密度の中の[空地]が、都市に対する実践権を放棄している。
5)今回、私は[空地]の止められない構築の代替案を提案するのではなく、[ランドマーク][ノード]を連単させる目的の「街の骨格」を提案する。その中で空地の可能性を示唆したい。
6)横浜アイランドタワーの街区と新山下、今回提案する敷地の花之木に市街地の慢性的な渋滞を緩和するために、パークアンドライドの施設を、三角形のかたちをした干拓地の端部に整備する。それらは高速のランプに近く、川沿いにある。
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7)パークアンドライドが機能するためには、目的地にアクセスしやすい必要がある。先の二カ所は市街地まで徒歩で行ける場所にある。花之木は、市街に出るための選択肢に地下鉄、京急線があるが、それぞれ行ける目的地が限られる。しかも元町中華街地区には直接アクセスできない。また、バスは渋滞の餌食になる。そこで、トラムのような速度の遅いネットワークを構築する。具体的には、川が市街地のエッジを形成している事と、みなとみらいや山下公園などを繋ぐシーバスの交通インフラが既にあることを利用して、三つのパークアンドライドの施設とランドマークを繋ぐ環状のシーバスを提案する。既存のインフラを利用する事でイニシャルコストが安く、川を生活動線として使うことで川から見る町作りを促すことも出来る。
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8)従って提案敷地の花之木は、パークアンドライドの施設とシーバス乗り場というプログラムを持つ、交通ターミナル[ノード]としての機能を持つ事になる。現状の敷地には、公園と公共の市民プラザ、幼稚園、駐輪場が建っており、そのまま機能を引き継ぐ。最後に、中村川の上に走る高速道路が敷地を分断しているので、分断されている自転車や人の流れをつなぐ目的で、提案する機能を内包する丘[ランドマーク]を提案をします。
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バスや鉄道が集まるターミナルのように、集まる場所があり、同時にそこから出発する始点となるような市民のターミナルをつくる。

ひろば

敷地のくびれ部分から西を見た時の、川と高速のランプ風景。右は、同時刻に東を向いて撮った写真。
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市民が集まる風景が広がる蒔田公園。人が集まる理由を考えてみる。周辺に広域避難施設が多く集まっていることからも分かるように、このあたりは、横浜で人口密度が平均と比べて二倍高く、最も高密度の地区。また、公園を取り囲む街区が全て一方通行とあって、車があまり入ってこれないため、身近な存在にある。パリなどにある街区の真ん中の中庭のようでもある。

大通り公園と接続するもの

市街地化しているかつての干拓地は、戦後東(海)側半分を接収され、残りの中で急速に発展した。その結果、商工住問わず、混在した状態が今でも垣間見える。ディベロッパーによる開発や、一旦停止したvoidという現代的な状況も混ざり、まさに混沌としている。開発は、伊勢佐木商店街を中心に行われ、大通り公園の際は、ほとんど中層マンションによって壁になっている。その谷間から見える風景。木密街と一旦停止voidを見る。
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大通り公園に接続する商店街

関外(大通り公園の北側)の地区は、海から内陸(西)に向かう方向へ商店街が延びている。一方、大通り公園を挟んで南側は、東西に延びる大通り公園から接続して南側に延びる。
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このよこはまばし商店街が大通り公園に接続する商店街で一番栄えている。

向こうに見えるMM21

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大岡川が視界を開き、向こうのランドマークが見える。

分流地点

大岡川が中村川と分流する地点
かつての干拓地の起点。
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大岡川沿いにある高校に筏だまりがあって、カヌーを楽しんでいる人もいる。大岡側沿いには、近年プロムナード化する目的で桜を植えられた。

伊勢佐木モールと大通り公園

モールと公園の位置関係
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伊勢佐木モール付近は、関内に対して、関外と呼ばれていた。どちらも昔からの繁華街です。それに対し、大通り公園は、300年前の干拓時は、川として整備され、戦後、公園として整備された。もともと、干拓地の根幹をなす川として整備されたため、現在の市街地の背骨のような位置に、たまたまある。現在は、大通り公園が、商業的にぎわっている伊勢佐木モールの背面的なヒエラルキーを抱えてしまっている。ただ、言い換えれば、喧騒を逃れられる市民のための場所として存在できるポテンシャルはある気がする。