MindFrames

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「MindFrames」展がZKMではじまりました.
メディアアーティストであるウッディ・ヴァスルカ(Woody Vasulka)とステイナ(Steina)を中心として,ニューヨーク州立大学バッファロー校メディアスタディで活動した人たちを紹介しています.参加アーティストはヴァスルカ夫妻,現在はZKMの館長であるペーター・ヴァイベル(Peter Weibel),メディアスタディのディレクターであったGerald O' Grady,映像作家のHollis Frampton,Paul Sharits,James Blue,Tony Conradの8人.その展示の中心となるラボラトリーをウッディ・ヴァスルカとともに設計しました.
お近くに来ることがあればぜひ.

MindFrames
Media Study at Buffalo 1973-1990

16.12.06-18.03.07, ZKM | Medienmuseum, Lichthöfe 8+9

Gerald O' Grady, Hollis Frampton, Paul Sharits, Woody Vasulka, James Blue, Tony Conrad, Steina, Peter Weibel

Kuratoren/Curators: Woody Vasulka, Peter Weibel
Co-Kuratoren/Co-Curators: Steina, Tony Conrad, Thomas Thiel
Projektleitung/Project Management: Thomas Thiel
Technische Leitung/Technical Management: Martin Häberle, Matthias Ossmann
Technische Unterstützung und Programmierung/Technical Support and programming: Robert O' Kane, David Link
Ausstellungsarchitektur/Exhibition Architecture: Shinya Satoh, Woody Vasulka

アーティストの参考リンク:Peter WeibelHollis FramptonPaul SharitsTony Conrad

@karlsruhe, recommendation | Posted by satohshinya at December 16, 2006 11:15 | TrackBack (0)

近所の交通博物館

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交通博物館とは名ばかりの,日曜の10時から13時までしか開館していないマニアックな場所がカールスルーエにある.「Verkehrsmuseum Karlsruhe(カールスルーエ交通博物館)」がそれだが,古い工場のような建物にさまざまな自動車やバイクなどが並んでいる.そこにこのスチームボーイもあった.

「MONO-KRAD」という名前で,1928年にイタリアで作られたそうだが,名前でググッてみてもこの博物館に訪れた人がいるくらい.と思ったら,こんなページを作っている人もいるようで,どうやら同じようなものがたくさんあるらしい.
この博物館の最上階には鉄道模型コーナーがあって,多くのおじさんと子供たちが集まり,模型の運行について議論している.このためにこの博物館を存在させているのではないかと思えるくらい.ほとんど趣味でやっているのではないだろうか? と思ったら,ドイツ観光局によるこんな紹介もあるくらいで,どうやら由緒ある博物館らしい.とてもそうとは思えないけど.

@karlsruhe, イベント | Posted by satohshinya at October 28, 2006 16:45 | Comments (2) | TrackBack (0)

音楽と映画と美術館

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ZKMMedienmuseumに新しいスペースが登場した.「Das Museum der zeitbasierten Künste : Musik und Museum - Film und Museum」展と題し,音楽と映画という時間芸術を美術館の展示スペース内に組み込むためのものであり,音楽(Institut für Musik & Akustik)と映画(Filminstitut)のそれぞれの部門を持つZKMならではの試みである.

コンサート映像を上映するKonzertRaum,電子音楽アーカイブを常設するHörRaum,映画を上映するFilmRaumの3室が新たに作られた.とは言っても,ビデオインスタレーションを上映していた展示室を改造しただけで,残念ながら特別に建築的な仕掛けがあるわけではない.しかし,企画展に関連した映像を上映するだけでなく,美術館に展示されている作品として映画や音楽を扱うとことはあまり例がないように思う.
KonzertRaumでは「Ein Viertel der Neuen Musik」と題し,ルイジ・ノーノヴォルフガング・リームヘルムート・ラッヘンマンなどの現代音楽家による作品のコンサート映像に解説テキストを被せたものが上映されている.HörRaumでは,国際的な電子音楽アーカイブであるIDEAMA(The International Digital ElectroAcoustic Music Archive)から好きな作品を自由に選び出して鑑賞することができる.FilmRaumではアニエス・ヴァルダの作品や,FilminstitutのディレクターであるAndrei Ujica自身による宇宙飛行士のドキュメンタリー作品などが上映されている.残念ながらフィルムではなくビデオプロジェクターを用いているのだが,貴重な作品を見ることができる.
しかし,確かにおもしろい試みではあるのだが,美術館に長時間滞在して映像を見続けるのは骨が折れる.これはこのスペースに限らず,ビデオアートの持つ問題でもあるだろう.美術館で日常的に貴重なコンサート映像や映画を見ることができる,という意味では画期的であるかもしれないが,既に映像を見るアートがこれだけ溢れている現在において,この行為にどのような意味があるのかを考えなければならない.もし上映(展示)される場所やクオリティがどのようなものでもかまわないのであれば,いっそのことYouTubeで見ることができればもっと画期的なのかもしれないけれど.

@karlsruhe, 映画, 美術, 音楽 | Posted by satohshinya at October 27, 2006 17:40 | TrackBack (0)

美術館のショーウィンドウ

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市制記念日に続いてこれも古い話だが,ZKMのSubraumでの展示について.ZKM自体は元兵器工場を機能転用しているが,そのエントランス横にガラス張りのヴォリュームが増築されている.2階はコンサート用スペースのKubusで,その下にSubraumは位置している.

つまりZKMの顔とも呼べる場所なのだが,実際には周囲を巡るガラスは部分的にルーバーのように傾けられた半外部となっており,内部は中央に円形のステージがあって,周囲には水が張られている.なぜ水が用いられているかは,設計時のコンセプトの変遷による名残とかで,とにかく正面に位置しながらもなかなか有効に使うことが難しい場所となっている.ちなみにこの全面ガラス張りの増築だが,Kubusもホールであるために窓がなくて青い壁面が見えるだけで,結局ガラスは単なるスキンとなってしまっている.一応Subraumは作品を展示するショーウィンドウとして利用されているものの,この環境では展示できるものが限られてくるだろう.
そこにイタリア作家Stefano Scheda『Meteo 2004』が設置された.この作品はサッシ割に合わせて並べられた6面のスクリーンに映像が映し出され,それに合わせてマシンガンの音が付近に響き渡るというもの.映像は19時頃からスタートするのだが,展示期間が夏だったため,周囲は21時頃にようやく暗くなり始める.作品をまともに見ることができるのは大分遅い時間になってからで,オープニングも22時から行われたほど.その一方で,スクリーン自体はガラスのすぐ後ろに設置されていたために,昼間は内部の目隠しとなってしまっていた(もちろん内部には何も展示されていなかったが).作品自体は外部に展示するにはやや暴力的ではないだろうかと思うが,確かに迫力のあるものだった.展示室でこぢんまりと見せるよりは,このくらいの方がよいのかもしれない.建物と一体となって外部へメッセージを発する,という意味では成功と言えるだろう.

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@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at October 27, 2006 15:21 | TrackBack (0)

市の誕生日

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マルクト広場にあるラートハウス(市庁舎)でZKMの出張展示が行われた.

カールスルーエの市制記念日に行われるイベントの1つで,あちこちの広場でコンサートなどが行われている中,やはりメディア・アートらしく暗い室内での展示だった.もっとも,内容としてはアートというよりは,360°のパノラマスクリーンを紹介するもので,撮影した素材を連続した1つの映像に変換させるシステムが重要であるようだ.webで詳細なMovieを見ることができる.
写真は秋のカールスルーエ.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at October 26, 2006 16:59 | TrackBack (0)

Interconnect・Georg Nees・Ignasi Aballí

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ZKMMedienmuseumではいくつかの展覧会がはじまっている.

「Interconnect@ between attention and immersion」展は,副題に「Medienkunst aus Brasilien」とあるようにブラジルのメディア・アートを集めたもの.2000年以降6回目を数えるPrêmio Sergio Motta de Arte e Tecnologia(セルジオ・モッタ賞)の受賞作と候補作から12作品(内1作品はパフォーマンス)が選ばれている.出品作家はLucas BambozziGiselle Beiguelman作品),Caetano Dias,Luiz Duva,Grupo Poéticas Digitais,Raquel KoganDaniela Kutschat + Rejane Cantoni作品),Katia Maciel,Alice Miceli,Simone Michelin作品),Gisela Motta + Leanoro Lma作品),André Parente.展示構成の手伝いをしました.

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「Georg Nees – Die große Versuchung」展はコンピュータ・アートの先駆的アーティストの1人であるGeorg Neesの回顧展.1960年代の初期の作品も並ぶ,クンストハレ・ブレーメンのコレクションを中心としたもの.小さな展示だが,歴史的に重要な作品ばかり.展示構成を行いました.

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「0–24 h. Ignasi Aballí」展はスペイン作家Ignasi Aballíの個展.バルセロナ現代美術館,ポルトのセラルヴェス美術館(アルヴァロ・シザ設計),バーミンガムのIkon Galleryを廻ってきた巡回展.こちらはメディア・アートというよりはミニマルな現代美術.作家本人も河原温に影響を受けていると語っていた.
近くに来る人はいないと思いますが,もしお近くに来ることがあればぜひ.

@karlsruhe, recommendation | Posted by satohshinya at September 9, 2006 7:55 | Comments (3) | TrackBack (0)

Podcastと美術館

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ZKMでもPodcastがはじまっている.といっても「Lichtkunst aus Kunstlicht」展のオーディオガイドのPodcast版で,もちろんドイツ語のみ.ガイド・ツアーをはじめとする観客とのわかりやすい接点を生み出す活動は,Museumskommunikationという部門の仕事だ.

このオーディオガイドは,やっぱり自分のiPodに入れて作品を見ながら聞くことが想定されているのだろうか? こういった記事もあるから,きっとそうなのだろう.しかし,オーディオガイドは最近はどこでも見られるようになり,ヨーロッパの美術館や博物館,観光地では多くの人たちが耳を傾けている.ぼくはこれがあまり好きではなくて,そこから得られる情報が重要であることはわかるのだけれど,作品を見るテンポが阻害されてしまう気がしてイヤになる.事前に作品の背景をPodcastで予習をすると言っても,頭でっかちになってから作品を見るのもまた楽しくない.そうなると,時間の許す限りに読み飛ばすことができる文字情報(印刷物)を配布してくれるのが,個人的にはベターな方法だと思っている.もちろん音声だけでなく,画像や動画までもダウンロードできるようになってくると,確かに別の可能性があるのかもしれない.
そういえばMOTでもネットラジオ「Mot the Radio」をはじめている.もちろんオーディオガイド「Mot the Guide」もある.その他にも,スタッフによるブログ教育普及プログラムのブログなど,いつもは文句ばかりを書いているが,最近はがんばっているようだ.これについてもリンク記事あり.更に余談.長谷川祐子さんがMOTのチーフ・キュレーターになったようだが,金沢はどうなるの? とにかく,がんばれ東京!
おまけに「Lichtkunst」展について.この展示はとにかく膨大な光る作品が所狭しと3層のフロアに押し込まれていた.まるで秋葉原の照明売場に来ているような感じ(笑).その物量には圧倒されるが,どこをどのように見ればよいのか皆目見当が付かない.結局,光の中をさまようくらいしか手がなくなってしまう.もう少し交通整理がされていれば,本当に素晴らしい展示だと思うのだが,それが残念.webでMovieを見ることができる(右上のTRAILERをクリック).
写真は本題と関係なく,ZKM前のキース・へリング.最初はキースの偽物かと思っていたら,タイトルのパネルが設置されていた.なぜメディア・アートにキース? ちなみに子どもの滑り台と化して剥げている.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at September 7, 2006 14:20 | Comments (1) | TrackBack (0)

the carnival is over

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カールスルーエの城(宮殿)の前で行われたパブリック・ビューイングで,ドイツ×ポルトガルの3位決定戦を見た.バーデン・ヴュルデンベルク州を巡回しているこのイベントの最後の2試合は,ここを会場として行われた.

ドイツの人たちは3位決定戦であるためか,アルゼンチン戦の時のような悲壮感の漂う雰囲気ではなく,リラックスして試合を楽しんでいた.カーンがカールスルーエ出身であることもあって,大きく映し出される度にそれだけで盛り上がっていた.結果はご存知の通りドイツの圧勝だったが,試合後もさすがに今までのような盛り上がりは見せず,鳴り響くクラクションも控え目だった.日本で例えるならば夏の終わりに行われる夏祭りのようで,ドイツの試合が終わってしまったこと,そしてワールドカップ自体が終わってしまうことを惜しむような,そんな寂しげな雰囲気ですらあった.
その後の決勝戦はジダンの1人舞台.そして,中田にはこんな記事もあり.日本,ドイツと偶然にも開催国での生活が続いたので,4年後は南アフリカに住もうかな?

@karlsruhe, イベント | Posted by satohshinya at July 12, 2006 6:17 | TrackBack (0)

好々爺の漫談

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HfGにてダン・グラハムのパフォーマンス『Performer/Audience/Mirror』が行われた.グラハムと言えば,こういったパブリック・アートっぽいものの作者という印象があったので,本当に同一人物なのかと疑いながら見に行ってみた.

場所はHfGのGroßen Studio.HfGのアトリウムの中に作られたBOX状のスペース.舞台上には大きな鏡が吊るされていて,そこに64歳になる少しお腹の出たアーティストが登場する.つまり客席から見ると,鏡には客席に座る自分たちの顔が映るため,本当の観客と虚像の観客の間にパフォーマーが立つことになる.パフォーマンスがはじまるとグラハムは,実際の観客を,または鏡に映った観客を,そして鏡に映った自分自身を言葉で描写しはじめる.簡単に書くとそれだけ.それにより,実像や虚像,言葉による描写などの関係を表現しようとするコンセプチュアルな作品と頭では理解してみる.しかし,実際にはお爺さんが舞台に出て来て,適当に客席の観客をいじっている漫談のようにも見える.おそらく日本語で(しかも関西弁で)やったら絶対にそのように見えるはず.
勉強不足のぼくは知らなかったが,これは伝説のパフォーマンスであり(というほど大げさかどうか知らないが,少なくとも入場制限のために見ることができない人が大勢いたらしい),最初に発表されたのは1975年であるそうだ.確かにその時代に,しかも32歳のアーティストが登場して言葉による描写だけを繰り返すパフォーマンスは,さぞかしコンセプチュアルであったことだろう.しかし,これはアーティストの責任ではないが,それから時日が経ってしまい,今となっては好々爺となったアーティストが登場するパフォーマンスは,当時とは全く異なる印象を与えるのではないだろうか.
いろいろ調べてみると,そのパフォーマンスの構成を記したメモや,75年当時のビデオが販売されていたりしていて,更にここではそのパフォーマンスの全てが音声だけだけれども聞くことができる(ZKMMediathekでもビデオが見られるらしい).声は少し若いが,話し方や内容(と言っても観客によって毎回異なるわけだが)は先日のものと変わらないようだから,どうやら同じ事をやり続けているらしい.
写真は本題とは関係がなく,先日までKubusの下のSubraumに展示してあったSiegrun Appeltの『48KW』.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at July 7, 2006 17:50 | TrackBack (0)

adios argentina

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たまには開催国らしい話題も.我が家の近くで発見したワーゲンのバン.ドイツの国旗と同じ色に塗られている.そして後ろの窓には「adios argentina」の文字.

先日のアルゼンチン戦をカールスルーエ市街のビアレストランで見た.巨大なスクリーンが設置された広場のある店を中心に,どの店でもテレビの前に人だかりができている.クローゼのゴールが決まった時なんか,街中に怒号が響き渡っていた.その人だかりの後ろには大勢の警官がいて,それぞれの店を巡回している.たかだかビアレストランでサッカーを見るだけで警官に監視されるなんて,一体何事なんだろうかと思っていると,ご存知のように試合の結果はPKでドイツの勝利.最後の方なんかは大騒ぎしたり,手を合わせて祈っていたりして,ドイツ人たちはほとんど試合なんか見てないんじゃないかと思うくらい.そして試合終了と同時に人々はある通りへ向かって歩き出す.そこにはトラムも走っているんだけど,人だかりができてしまうためにトラムも迂回させられることになる.もちろん自動車も警察によって止められている.そして何百人と人が集まって,通りで何やら大合唱.発煙筒も炊かれたりしていて不穏な空気になんだか付き合いきれず,その場を退散.
その後,街中は車のクラクションがあらゆる場所で鳴り続く.勝利に酔いしれたドイツ人たちは,ドイツ国旗を翻しながら車で走り,対向車線から同じようにドイツ国旗を翻す車を見ると,クラクションをお互いに鳴らして喜びを分かち合う.挙げ句の果てに箱乗りして旗を振ったり,サンルーフを開けて身を乗り出したり大騒ぎ.幹線道路には,巨大な国旗を持ったお姉さんが中央分離帯に立ち,車が来ると旗を振る.もちろん通る車はそれを見てクラクションを鳴らす.鳴らさない車の方が少ないほど.老人たちはアパートの窓からその様子を嬉しそうに見ている.こっちでは試合が終わったのが8時過ぎ.クラクションは12時頃まで鳴り続けていた.イタリア戦でも見てろ,と思うがそれどころではないらしい.
そんなこんなで,町中のドイツ国旗は日に日に増加している.幼稚園の子どもたちも頬に国旗を描いている.近所のレストランなんかは,最初は旗が飾ってあっただけだったのに,昨日は大きな窓を覆い隠す巨大な旗が飾ってあった.そしてこのようなワーゲンまで登場する始末.
今日の9時からイタリア戦.また馬鹿騒ぎが起きるのか? この老若男女の喜び方を見ていると,日本のファンなんてまだまだだなと思う.最後に,中田英寿さん,ご苦労さまでした.

@karlsruhe, イベント | Posted by satohshinya at July 4, 2006 12:14 | Comments (2) | TrackBack (0)

ダークキューブ

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HfGのアトリウムが今度は展示空間として使われ,「Kunst Computer Werke」展が始まった.ZKMのホワイエも会場に使われている.

とは言っても,アトリウムには展示壁面がないのだが,メディア・アートの展示を行うことから,多くの作品がプロジェクタを使用するために暗い空間を必要としていた.その結果,仮設のテント地のようなもので部屋を仕切ってみたり,作品そのものを覆い尽くす巨大な部屋を作ってみたり,大掛かりな仕掛けが必要とされていた(展示作品はこちらを参照).

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例えば『Makroskop』という作品は,吊り下げられたスリット状の壁面に実際は映像がプロジェクトされているのだが,アトリウムのトップライトを覆っているものの,途中階の窓から外光が入ってきたりしていて,日中はほとんど作品として成立していない.メディア・アートにおいては,ある種類の作品では暗い展示空間が必須となってしまうのだが,いつもの光に溢れるアトリウムと比べると,どうも陰鬱な空間に見える.
これらのメディア・アートのための展示空間には,ホワイトキューブならぬダークキューブが常識となりつつあるが,果たしてそれしか方法がないのだろうか? 絵画やインスタレーションなどの現代美術が明るい空間を要請するのに対し,現代美術の多勢を占め始めているメディア・アートは暗い空間を要請しており,多くの展示空間はこの2つを満足させることが必要とされる.その結果,単純に展示室の照明を落とすことから,仮設の壁や天井を作ったり,展示用のボックスを作ったりすることになる.何れにしても仮設的,一時的な対応で,それらを展示するベストな展示空間への解答は得られていない.
作品については,Markus Kisonによる『Roermond-Ecke-Schönhauser』がとても興味深いものだった.詳しくはこちらの動画を見てほしいが,パースが付けられた白い模型の上に,webカメラによるリアルタイムの画像が映し出されるというもの(こちらもまた詳細なアーカイブになっている).その他,Holger Förtererの『Fluidum 1』,Andreas Siefertの『Dropshadows』といったインタラクティブな作品がおもしろかった.
その他,展示構成への工夫として,HfGのアトリウムの床が黒であることから,白いカッティング・シートを用いて作品名が床に表示されていた.それ以外にもライン状のグラフィックなどが会場の床全体に描かれていて効果的であった.

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詳細はよくわからなかったが関連展示として新しいインターフェイスが紹介されていた.大きなスクリーンの前に立って指を指し示すだけで,画面上の情報が選択できるという,『マイノリティ・リポート』でトム・クルーズが使っていたようなインターフェイスを実現していた.他にもオープニングの日にはIchiigaiのコンサートも行われた.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at June 19, 2006 13:54 | Comments (6) | TrackBack (0)

サーカス兼移動動物園

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移動遊園地に引き続き,MeßplatzではCircus Kroneが開催された.巨大なテントが組み立てられ,周囲には出演する人たちとともに動物たちが生活している.そうなると,これを放っておく手はないと考えるらしく,出演のない時間帯は動物生活エリアが移動動物園に変身する.もちろん入場料も取る(笑).

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サーカス自体がまた長かった.15分の休憩を挟んで全部で3時間! たいしたものだ.
ちなみにこのMeßplatz,またもや移動遊園地が登場し,今度は観覧車まで設置されていたらしい.

@karlsruhe, イベント | Posted by satohshinya at June 13, 2006 14:38 | Comments (1) | TrackBack (0)

見られるアトリウム

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HfGのアトリウムを使って,ローリー・アンダーソンのコンサート「The End of the Moon」が行われた.仮設の舞台と客席による大掛かりなもの.

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このコンサートというよりもパフォーマンスと呼ぶべきものは,ローリーがNASA最初のレジデンス・アーティストとして招待されるところからはじまる物語を語り続ける作品で,途中にヴァイオリンによる弾き語りなどが加わる.上部にはLEDの表示板が吊され,ドイツ語が訳し出されていたから,もちろん即興などではなく厳密に決まった物語を語っていたのだろう.しかし,これがとても長かった.1時間半以上は延々と語り続けている.ローリーの語り方は魅力的だが,ぼく自身の英語能力の貧しさとも相まって,さすがに途中で飽きてしまう.
舞台上にはソファとキーボード,スクリーンが置かれ,床にはロウソクが灯されている.配布されたパンフレットによれば,このパフォーマンスを成立させるために非常に難しいことをやっているそうだが,残念ながらその複雑さを十分に理解することができなかった.おそらく,物語とともに音楽も精密に作られているのだが,それにしても長い.もちろん,洗練された良質なパフォーマンスであるという意見には異論がないが,この長さにはバランスの悪さを感じてしまう.それでもドイツの観客は辛抱強く聞いている.音楽家のイシイさんによれば,ドイツに限らず西洋の人たち(アメリカ人であるローリーも含む)は「間」というものに対する感覚が乏しいためか,同じ調子で淡々と長々と続くことに対して抵抗が少ないらしい.
しかし,ここのアトリウムはいろいろな使い方がされていて,まさしく多目的スペースと呼ぶに相応しい.たった一晩のコンサートのためにこんな労力を掛けるのも大したものだが,こういった使い方に応えるタフな空間があることも重要.もちろんコンサート会場としては最悪の音響であるが,照明用のバトンが吊せたり,舞台上手奥に大きな搬入口があったり,イベント会場としては十分に機能する.上部のトップライトを全て覆うのはかなりの労力のようだが(ちなみにZKMは電動ブラインドを装備),力任せに使い倒している感じが好ましい.

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アトリウム内に舞台が作られ,並べられた客席の後部は2階がバルコニー状に巡る下部にまで延びている.その舞台と客席を囲い込むバルコニーには調整ブースが設置されるとともに,ZKMの人たちが無料で鑑賞していた.まさにバルコニー席である.ちなみにこの建物は元々兵器工場であったが,そのときにはアトリウム部分で強制労働が行われ,バルコニーから監視を行っていたらしい.見る見られる関係を持った建物の構成が,そのまま現在でも有効であるようだ.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at June 13, 2006 10:05 | TrackBack (0)

母国での皇帝

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ミハエル・シューマッハだよね,これ? 皇帝も母国ではこんな広告に登場している.タクマ君だけではなかったね.壁紙とか見るとすごいけど…….

先日のヨーロッパGPは,ドイツでの開催であったからか,レースのダイジェストを夜にテレビで放映していた(ちなみにモナコGPはやらなかった).結果はシューマッハが勝ったのだが,いつもは記者会見席でのインタビュー(それに関わらず全ての日本で放映されるインタビュー)では英語を使うシューマッハが,ドイツのテレビ局のインタビューだからなのかドイツ語を使っていた.ドイツ人だから当たり前なんだけど,なんだか不自然に思えて笑えた.

@karlsruhe, イベント | Posted by satohshinya at June 3, 2006 17:07 | TrackBack (0)

電子音楽いろいろ

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LAC2006のもう1つのコンサートについて.タイトルは「Open Source Sounds」.今回は,前回のようなコンピュータ・ミュージックだけではない試みが多く見られた.

特に興味深かったのがOrm Finnendahlの「Fälschung」.舞台上には弦楽器を手にしたカルテットとともに,コンピュータを前にした作曲家自身が並んでいる.カルテットはそれぞれ異なったデッキ(CD? MD?)を持ち,ヘッドフォンからその再生音を聞きながら演奏を始める.演奏する曲は,西欧人にとって「エキゾチック」に聞こえるらしい東欧の音楽で,それがコンピュータに取り込まれて繰り返され,更にその繰り返しに合わせて演奏が重ねられ,曲自体は断片的になるとともに複雑になっていく(作曲家自身がホームページに,この曲の構成について書いている).最近の坂本龍一のピアノ・ライブや先日のHfGでのポップソングもそうだったが,その場でHDレコーディングしたものを再生し,更にその上に実際の演奏を重ねていく手法は,今では一般的なものなのかもしれない.しかしこの曲では,途中からヘッドフォンのジャックを抜き,更にデッキのスピーカからの再生音も加わり,迫力のある演奏となっていく.
単なるコンピュータ・ミュージックの再生と比べると,演奏者が舞台上にいて,更にそれがライブ感を持って複雑に変化していくことは,より観客を演奏に集中させることができるだろう.もちろん,コンピュータを用いた精密な作曲という現代音楽的なアプローチとは異なるが,コンピュータを用いることによって,肉体による演奏だけでは成立しないパフォーマンスを行っているという意味では,もちろんこれもコンピュータ・ミュージックの一種であるのだろう.しかし,その違いは大きい.そう感じてしまうのはぼく自身に原因があるのかもしれないが,パフォーマンスとしての観客に対するアピールが大きく異なると思う.
もう1曲,Martin KaltenbrunnerとMarcos Alonsoによる「reac Table*」は,円形テーブルの上に装置を置くと音が出るというもので,装置の種類によって音の種類が異なり,装置同士の距離や向きによって音が変化する.2人の演奏者が登場し,ボードゲームのように交代で装置の数を増やしたり動かしたりすることで,その結果の音が曲となるというもの.更に装置を置くとテーブルがさまざまな模様に発光し,音の変化などを視覚的に表現している.つまり,この装置自体が1つのサウンド・インスタレーション作品のようになっていて,それを用いた演奏という趣向である.そのテーブル上のパフォーマンスは撮影され,舞台上のスクリーンに映し出されている.
これもまたコンピュータ・ミュージックなのだろうが,作曲とするという行為からは大きく離れているように思う.確かに1つの楽器を発明しているようなインターフェイスのデザインは興味深いが,演奏自体はほとんど即興的なもののように思え,一方のコンピュータ・ミュージックが厳密な音の演奏を企てることと比べると,大きく異なる.
Ludger Brümmerの「Repetitions」は,4チャンネルであった曲を20チャンネルに作曲し直したもので,もちろんKubusのKlangdomを意識したものであろう.ここでのコンピュータは,40個のスピーカに対して20チャンネルの音源の正確な演奏(再生)を厳密に制御するために働いている.
コンサート終了後,ホワイエに面するMusikbalkon(と言っても内部)で「Linux Sound Night」が行われた.写真はその準備風景.VJ付きのクラブという感じなのだが,これもまた確かにコンピュータ・ミュージック.しかもプログラムには曲解説まで付いている.

@karlsruhe, 音楽 | Posted by satohshinya at June 2, 2006 13:32 | TrackBack (0)

長方形以外

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ZKMMedienmuseum3つのインスタレーション作品が登場した.先の2作品は,昨年ZKMで行われた「Making Things Public」展にて展示されたものの修正版.

1つ目はDidier Demorcy,Isabelle Mauz,Studio Ploによる「When Wolves Settle: A Panorama」.アーティストと社会学者のコラボレーションによるこの作品は,オオカミを巡る野生動物保護主義者と地元羊飼いの意見の対立を,アルプスの山と麓の村を再現したミニチュアとインタビュー映像により示したもの.メディア・アートというよりも,学習用のドキュメンタリー作品といった感じ.
Matthias Gommelによる「Rhine Streaming」は,ZKMから6km離れたライン川の映像と音声をストリーミングするもの(ここから昨年の展示の動画などを見ることができる).これもまた学習的な側面の強い作品.もちろん,メディア・テクノロジーを用いなければ成立しない作品ではあるが,全体像がつかみにくい.
最後がPeter Dittmerによる「Die Amme Die Amme_5」.「Amme」とは,ドイツ語で乳母のこと.巨大なマシーンである「Amme」に対して,観客はモニタ上で対話を繰り返す.そのコミュニケーションの結果によって,成功すればミルクを受け取ることができるし(ロボットアームがコップに入ったミルクを差し出す!),失敗すれば霧状の水を吹きかけられたりすることになる.前の2つと比べると,まるでゲームのような作品なのだが,その対話(残念ながらドイツ語なので,ぼくにはわからない)自体が1つの詩のようなものを生み出したり,マシーンそのものが巨大なインスタレーションとして成立させている.この「Amme」は5つ目のバージョンであるが,webを見る限りでは,過去の「Amme」の方がコンパクトに自立していてよい作品だと思う.この「Amme_5」は少し巨大すぎて,1つの生物(乳母?)というよりも工場のような雰囲気.また,アトリウムに置かれているが,プロジェクタを用いた周りの作品のために場内は全体的に薄暗く,もっと明るい場所に置いた方がよいだろう(写真は設営準備中のもの).ZKMでの展示は10月15日まで.
ちなみに「Amme_2」と「Amme_3」を展示したドレスデンのHfBK展示室は,写真を見る限りすごくかっこいい.フランクフルトのMMKもそうだけど,長方形平面を持たない展示室もいいね.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at May 31, 2006 13:49 | TrackBack (0)

コンピュータ・ミュージックが演奏される場所

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「LAC2006 - 4th International Linux Audio Conference」というイベントがZKMで行われた.コンピュータ・ミュージックを制作するアプリケーションを巡って,いくつかの発表と討議が行われるとともに,ワークショップ,コンサートも開催された.これもまた,Institut für Musik und Akustikによるもの.

詳しいことはよくわからないが,コンピュータ・ミュージックを制作するアプリケーションにはさまざまな種類があるらしい.それぞれ特長があって,可能な作業が異なるため,使用するアプリケーションの機能が完成する作品にも影響を与えるそうだ.
コンサートはKubusにて2回行われた.コンピュータ・ミュージックは基本的にコンピュータのハードディスクから直接演奏される.観客は舞台方向を向いて並べられた客席に座って鑑賞するのだが,もちろん舞台上には演奏者が存在しないために照明は当てられていない.場内は全体的に薄暗く,そんな中で全員が一方向を向き続けている.演奏,というよりも再生のための操作は,一般的なコンサートにおける音響卓と同様に客席後方に位置している.
作品によっては,と言うよりも多くの作品が,方向性を持ったものとして作られている.4チャンネル以上の立体音響(このコンサートではKlangdomが使われているので,最大40チャンネル)を用いて作品が作られているため,どちら側に向いて作品を聞くかが決まってくる.つまり,作品自体が前後左右(上下)を持つ空間であるため,鑑賞する観客の向きが限定されてしまう.例えば映画の音響を考えてみると,サラウンドの場合,画面の奥で爆発が起こった場合には前面のスピーカから爆発音が聞こえるし,客席後方のスピーカから爆発音が聞こえれば,カメラ(画面の手前)側で爆発が起こっており,それを眺めている人物の顔のアップが映し出されるというように使われる.このように画面が伴っている場合には,立体音響による空間の存在や向きは容易に理解できるだろう.もちろん,会場内を歩き回ることができるような,いわゆるサウンド・インスタレーションと呼ばれるものに近い作品もあって,それらは限定した向きを持たないかもしれないが,その辺りの音楽作品としての違いはよくわからない.
何れにしてもハードディスクから再生されるものがオリジナルであるという事実には,どうしても不思議な印象を受けてしまう.あくまでも4チャンネルで作られたものは4チャンで,8チャンは8チャンで再生されることがオリジナルであることをキープする必要条件で,CD(2チャン)化されたりすると,それはもうオリジナルとは呼べないことになる.専門外の立場で考えると同じ作曲された曲ではないかと思うのだが,極端に言えば,絵画とその原寸大の印刷物の違いみたいなものがあるのだろう.
一方で,再生される場所は作品に影響を与えないのかと言えば,もちろん与えるだろう.同じ8チャンであったとしても,広い場所と狭い場所では異なるだろうし,響きのある場所と響かない場所でも異なるだろう.Kubusはそれほど広い空間ではなく,電気音響によるパフォーマンスを前提としているため,音響的にはデッドな空間となっている.コンピュータ・ミュージックの場合は,予め必要な響きを作品に含み込むことができるため,演奏空間自体が響きを生み出す必要がないらしい.例えば従来のコンサートホールでは,楽器から発する音を適切に響かせることで,その実際の空間による効果(響き)を含めて作品が完成するのに対し,コンピュータ・ミュージックでは,作品そのものに予め空間が内包しているように思える.無理を承知で例えるならば,美術において,額縁の中に納まる絵画が,空間そのものを作品とするインスタレーションへと変化していったようなものではないだろうか.
そう考えたとき,鑑賞者の位置と向きをどのように考えるべきかが問題となる.Klangdomはドーム状にスピーカが配されているのに対し,客席は平面的に広がっているため,スピーカとの関係が最も効果的と考えられるドームの中心に位置できる観客はわずかである.作者が作品を完成するために位置する場所がもっとも作品を鑑賞するために適切な位置であると考えると,それは一般的に中心となるだろう.更に例えるならば,演劇でも演出家は客席のある位置を中心として作品を完成させていくから,最前列の端の席であったり,最後列の席であったりすると,作品鑑賞という意味からは問題が生じる可能性が大きい.そのため,客席の位置などによって入場料が異なったりするわけだが,そうだとしても,一般的には舞台と客席が明確に分かれているため,鑑賞者の向きが限定される必然性は理解できる.しかし,視覚的な要素の存在しない立体音響による音楽作品が持つ方向性は,どのように強度を持ち得るのだろうか?
話が少し脱線してしまったが,とにかく「LAC2006」のコンサートの話である.1夜目は「Opening Concert」と題されて8曲が演奏された.何人かの作曲家はイベントに参加していたので,曲が終わると本人が立ち上がり拍手を受けていた.もちろん作曲家や演奏家がいなかったとしても,普通のコンサートと同様に曲が終わる度に拍手が起こっていた.しかし,この拍手は誰に向けたものだろう? コンピュータを操作している人たち?
最後の曲Agostino Di Scipioの「Modes of Interference」だけは,トランペット奏者とともに作曲家が舞台上に登場.トランペットの音(といっても,いわゆる曲を演奏するのではなく,音を出しているだけという感じ)を何やらコンピュータでリアルタイムで制御.この時だけは,普通のコンサートという感じだった.
コンサートを含む詳細は,当日に印刷して販売されていたプログラムに掲載されており,ここからpdfでダウンロード可能.曲の解説,作曲家の紹介などもある.

@karlsruhe, 音楽 | Posted by satohshinya at May 23, 2006 10:38 | TrackBack (0)

似て非なるもの

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写真だけ見ると美術館のように見える.しかし,どこかの美術館のようにファサードに動物の絵が描いてあるわけでなく,本物のキリン.

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これはカールスルーエにある動物園の中のキリン舎である.エントランス側の写真を見ると,上部にはハイサイド・ライトがあって,ますます美術館のように見える.内部に入るとトップライトまであって,現代美術館の展示室と大差がない.更に,肝心のキリンは巨大なインスタレーション作品にすら見えてしまう.
この動物園では,他にも象やライオン,カバ,ゴリラなども全て室内で鑑賞(?)する.広大な敷地の中に,ポツポツとパビリオンのように建物が建っている.目の前で見る象なんて,結構な迫力.

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おまけは,ベルン中央駅の脇にあった駅施設.これもどこかで見たようなファサード?

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at May 16, 2006 12:23 | TrackBack (0)

自己満足のドイツ人と既視感の日本人

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IchiigaiというHfGのレーベル(大学が持っているレーベル?)によるコンサートが,Badischer Kunstvereinで行われた.Ichiigaiとは「1以外」という日本語.20時頃から始まり,やっぱり夜中まで様々なグループが登場するのだが,ぼくが見たのはその中の2つだけ.

1つは,このコンサートに誘ってくれたHfGの学生であるシンゴ君とその先輩による,自作の楽器を用いた3曲のパフォーマンス.テルミンとチェロを組み合わせたような不思議な電子楽器を用いて,漫才のような掛け合いとともに演奏が進む.日本人のぼくから見ると,その漫才的な間合いとか,明和電気の楽器のようなユーモラスなパフォーマンスは既視感を生んでしまうが,ドイツ人による自己満足的な演奏(しかも長時間)と比べると,プレゼンテーションすることに意識的であるという意見を聞いた.日本人はそういったことが,比較的に自然とできるのではないかとのこと(これはZKMのアーティスト・イン・レジデンスであるイシイさんより聞いたもの.彼女はドイツ在住の作曲家).
写真は,ドイツ人による自己満足的演奏のもの.左では何十個と並んだツマミを動かしながらサウンドをコントロールし,右のおじさんがサックスを途切れ途切れに吹いている.確かに観客を置き去りにしていた.

@karlsruhe, 音楽 | Posted by satohshinya at May 15, 2006 17:18 | TrackBack (0)

その後

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移動遊園地のその後.たまたま開催地であるMeßplatzを横切ると撤収作業を行っていた.ご苦労さま.その後に訪れたBernでも移動遊園地をやっていたので,こっちでは結構ポピュラーなものかもしれない.
ちなみにこのMeßplatzでは,現在サーカスを開催中.街の至るところにポスターが貼られている.

@karlsruhe, イベント | Posted by satohshinya at May 15, 2006 12:24 | TrackBack (0)

夜中の美術館

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「Die Lange Nacht des Lichtes(光の長い夜)」というイベントが行われた.タイトルの通り,さまざまなイベントが19時から始まり,夜中の1時まで続いた.これはMuseum für Neue Kunstの「Lichtkunst aus Kunstlicht」展に合わせたイベントで,全て入場無料,普段はZKMに来ることのない人たちを集めることを目的としていたのだが,おそらく1,000人以上が集まっていたと思う.企画の中心になっていたのはMuseumskommunikationという部門の人たち.日本で言うと,教育普及部門といったところだろうか.

人気だったのは,「Lichtkunst」展のガイドツアーで,整理券を求めて長蛇の列ができていた.ホワイエではコンサート,Madientheater(実験劇場のようなマルチスペース)では70/80年代音楽によるディスコ(笑)が行われ,先日ポップソング・ライブをやったスペースはそのままラウンジと化しており,ときおりバンドが登場して音楽が演奏されていた.子ども向けの企画も充実していて,ディスコに先立ちMadientheaterでは市内の子ども劇場が出張公演(?)を行ったり,自由に形を作った針金に光を当てて影を楽しむワークショップなどが行われていた.とは言っても,ほとんどがメディア・アートとは関係のなさそうな学園祭のようなイベントが繰り広げられているだけなのだが,それにしても,こんな夜遅くに大勢の人たち(しかも子どもから老人まで)が美術館に集まっているという状況はなかなか日本では考え難い.写真は20時30分頃のホワイエ(エントランス・ロビー).トップライトを見るとわかるように外はまだ明るい.
その中で,唯一と言ってよいメディア・アートは,Christian ZieglerとLudger Brümmerによる「Wald-Forest」という作品.16本の蛍光灯が垂直に吊され(それが森に立つ樹木のように見える),その間を人が通ると蛍光灯との距離によってサウンドが変化するというインタラクティブなもの.ビジュアル上のインスタレーションを担当のChristianはダンスの舞台美術をよくやっており,先日,日本公演も行ったとのこと.この作品もテストの段階でダンサーを連れて来て踊ったらしい.Ludgerは,ZKMのInstitut für Musik und Akustikのディレクターで,音楽を担当.会場はKubusという音楽用スペースで,40個のスピーカがドーム状に空間を覆っている.このスピーカ・システム(Klangdom)は最近Kubusに設置されたもので,その制御プログラムとともに画期的なもの(らしい).
こんなイベントはZKMでも年中やっているわけではないそうだが,日本の公共美術館でもやってみればよいと思う.しかし,こんな企画は通らないように思うし,通っても人が集まらないかな? できるのはここくらいか.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at May 12, 2006 12:35 | TrackBack (0)

怪しげなポップソング

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先日紹介したHfGのアトリウムでコンサートが行われた."THE ERRORISTS"という怪しい名前のバンドで,エレクトリック・チェロとヴォーカル兼ヴィジュアルという,ますます怪しげな2人組であった.おまけにaudio-visual Popsongsだそうだ.大学の校舎内にも関わらず,開始は21時から.昼間から何やら設営していたのだが,完成したものは,自動車が取り付いた金属製のフレームによるステージの前に,透明ビニール製のソファや椅子が適当に並べられ,客席の背後にはさまざまな照明が一面に吊されて,さまざまな色の電球が取り付けられている.

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実際の音楽は思った以上におもしろく,その場でサンプリングしたチェロに,更に音を重ねていくといったようなもの.そして,昼間に見ると粗末にすら見えた照明もおもしろい効果を出していて,なかなかの雰囲気だった.ちなみに,『田無の家』で選んだ照明まで使われていた.しかし,これってどこの主催だったのかな? ZKM? ホームページにも宣伝しているところを見るとZKMらしいが,こんなイベントがたまに行われているらしい.

@karlsruhe, 音楽 | Posted by satohshinya at April 20, 2006 23:10 | TrackBack (0)

湖畔の漱石

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カールスルーエの本屋に行くと,村上春樹の『海辺のカフカ』が平積みになっている.その他の作家を眺めてみても,知っているのはスティーブン・キングくらい.後はハリー・ポッターかな? そんな中,村上春樹はドイツ語になって読まれているようだ.
まあ,タイトルがタイトルだけに,ドイツ語圏の皆さんには馴染みがあるのかもしれないが,日本でドイツ人作家による『湖畔の漱石』なんて作品があったとして,読まないよね,きっと.ちなみに,こんなサイトもあるくらいだから,やっぱり有名なんだろうか,村上春樹は.どうせならば,"Kafka am Strand"なんて読まないで,"Mister Aufziehvogel"を読んでほしいな.

@karlsruhe, | Posted by satohshinya at April 19, 2006 22:59 | TrackBack (0)

全国の構造ファンへ・その2

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カールスルーエにて吊り屋根発見.「Europahalle」なる,コンサートをやったりするイベントホールらしい.こういったものの発見の際には,okd先生への報告が義務付けられているため,特別にこのエントリをアップ.前回,サッカースタジアムを紹介した際には,それを見た人からサッカースタジアムについて原稿依頼があった.気をつけよう.

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このホールは街の中心から離れた小さな川の横に位置している.そんなに大きい建物ではないんだけれど,この構造体が以上にデカイ.遠目には橋でもあるのかと思って近づいてみると,その下に低い建物があって,その屋根を支えていた.この川の辺りは公園のようになっていて,ジョギングをする人たちが多数いた.まあ,ランドマークにはなっているかもしれない.

@karlsruhe, 建築 | Posted by satohshinya at April 19, 2006 8:31 | Comments (2) | TrackBack (0)

移動遊園地

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カールスルーエの郊外に移動遊園地を発見.結構立派なアトラクションも移動してきているのだが,どれもこれも乗物系,もしくは射的などによる景品系の2種類しかない.それらが,おそらく結構な労力を掛けて設営され,しばらくすると移動していくのだろう.ご苦労なことだ.

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写真の巨大な建物のようなものも,実はビンゴによる景品系のアトラクション.壁のように景品が並んでいるだけ.別にこんなに大きくなくてもよいように思うのだけど,他との差別化を図るためなんだろうか?
カールスルーエでは,14日(金)に引き続き,17日(月)もイースターの休日.日本の正月以上に街は静まりかえっている.

@karlsruhe, イベント | Posted by satohshinya at April 17, 2006 9:47 | Comments (2) | TrackBack (0)

作業中

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こちらはZKMのMedienmuseumのアトリウム.先日のエントリは正確ではなく,常設展示室の方と書いたのは,Medienmuseumのことで,こちらにメディア・アートが展示されている.一方,企画展示室と書いたのは,Museum für Neue Kunst(現代美術館)のことで,現在は大規模な「Lichtkunst aus Kunstlicht(人工的な光から光の芸術へ)」という企画展が行われている.この展示は好評のため,期間が3ヶ月間延長されている.
Medienmuseumは現在展示作業中.今日から4日間イースターの休日で,街は日本の正月みたいな雰囲気になるらしい.だからなのかよくわからないが,とにかく大々的に作業が行われている.以前,フランクフルト近代美術館に訪れた時にも書いたことなのだが,ここでも2,3階のみがオープンしており,アトリウムを介して作業を見ることができる.
このアトリウムは,メディア・アートを展示するためか,トップライトの光も抑えられ,アトリウムとアトリウムに挟まれる部分も囲われていて,全体的に閉鎖的な印象を持つ.アトリウムというよりは,巨大な吹き抜けを持ったホール空間という感じ.ちなみに写真の光は人工の光.

@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at April 14, 2006 6:38 | TrackBack (0)

10個のアトリウム

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ZKMの入る建物は,元々は全長312mに亘る兵器工場であった.10個の同じ形のアトリウムを持ち,1つが市立ギャラリー,その隣の4つがZKMのエントランスホール・常設展示室など,その隣の3つがカールスルーエ造形大学(HfG),その隣の2つがZKMの企画展示室である.つまり,ZKMの企画展示室へ向かうためには,HfGの中を通り抜けることとなる.写真は,そのHfGのアトリウム.壁のグラフィックは学生の作品.
1つの建物の中に異なった施設が隣り合っていること.同じ形の10個のアトリウムが並び,それらが異なる施設に利用されていること.これらが,この建物を理解するための1つのヒントとなるだろう.

このエントリとは直接の関係はないですが,「AUTHOR」の「佐藤慎也」をクリックした先に,「Selected Works and Papers」の公開を始めました.お暇な方はご覧ください.

@karlsruhe, 建築 | Posted by satohshinya at April 12, 2006 22:03 | Comments (3) | TrackBack (0)

@karlsruhe

これから約1年間,ドイツのカールスルーエに滞在します.と言っても,特にこのblogの内容が変わるわけでもないのですが,ご報告まで.ボチボチとアップしてゆきます.
ちなみに,エントリーの時間はドイツ時間に修正しています.実際には表示される日本時間の7時間後に書かれたものです.

@karlsruhe, 日記 | Posted by satohshinya at April 7, 2006 20:25 | Comments (5) | TrackBack (0)