美術館のショーウィンドウ

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市制記念日に続いてこれも古い話だが,ZKMのSubraumでの展示について.ZKM自体は元兵器工場を機能転用しているが,そのエントランス横にガラス張りのヴォリュームが増築されている.2階はコンサート用スペースのKubusで,その下にSubraumは位置している.

つまりZKMの顔とも呼べる場所なのだが,実際には周囲を巡るガラスは部分的にルーバーのように傾けられた半外部となっており,内部は中央に円形のステージがあって,周囲には水が張られている.なぜ水が用いられているかは,設計時のコンセプトの変遷による名残とかで,とにかく正面に位置しながらもなかなか有効に使うことが難しい場所となっている.ちなみにこの全面ガラス張りの増築だが,Kubusもホールであるために窓がなくて青い壁面が見えるだけで,結局ガラスは単なるスキンとなってしまっている.一応Subraumは作品を展示するショーウィンドウとして利用されているものの,この環境では展示できるものが限られてくるだろう.
そこにイタリア作家Stefano Scheda『Meteo 2004』が設置された.この作品はサッシ割に合わせて並べられた6面のスクリーンに映像が映し出され,それに合わせてマシンガンの音が付近に響き渡るというもの.映像は19時頃からスタートするのだが,展示期間が夏だったため,周囲は21時頃にようやく暗くなり始める.作品をまともに見ることができるのは大分遅い時間になってからで,オープニングも22時から行われたほど.その一方で,スクリーン自体はガラスのすぐ後ろに設置されていたために,昼間は内部の目隠しとなってしまっていた(もちろん内部には何も展示されていなかったが).作品自体は外部に展示するにはやや暴力的ではないだろうかと思うが,確かに迫力のあるものだった.展示室でこぢんまりと見せるよりは,このくらいの方がよいのかもしれない.建物と一体となって外部へメッセージを発する,という意味では成功と言えるだろう.

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@karlsruhe, 美術 | Posted by satohshinya at October 27, 2006 15:21


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