長島昭久『日米同盟の新しい設計図』

 昨日は民主党衆議院議員の長島昭久さんの話を聞いてきました。テーマは『日米同盟の新しい設計図』(彼の著書のタイトルでもあります)。
 先日、ブッシュ政権の2期目がスタートしたわけですが、あのセレモニーの様子はものすごい不愉快だったためにテレビでまったく見ていませんでした。しかもパウエル氏に続いてアーミテージとベーカー大使が抜けたというのがもう本当に信じられなくて、新しいポストに誰がおさまったのかとか私は知らなかったんですね。それをふまえて……。

 長島さんはまず2期目について語ってくれました。就任式での21分間のブッシュ演説で、“freedom”と“liberty”という言葉が42回も出てきたそうです(笑)。あげく「自由を全世界に拡大」とか言って。「そんなのおせっかいなんですけどね」(by 長島さん)。
 長島さんの見解では、次期国務長官のライス女史が狙い目とのこと。彼女はパウエルさんに比べると、もちろん駒としては弱いんだけど、ブッシュとの繋がりが非常に強いらしく。実の娘のように可愛がられて、ブッシュと会談するのに許可が要らない(あのパウエルさんですらいちいち許可を取ってたらしい)ほど密接なんだけど、意志が非常に強く、自分がダメだと思ったことはブッシュに逆らってでも貫き通す根性があるらしいです。彼女がうまい具合にブッシュを導いてくれれば、これはいい方向にいくだろうと。ふーん。
 一方、大使がシーファー(前オーストラリア大使)になったのは残念とのこと。このシーファー氏もブッシュと密接な関係で、いってみればマブダチみたいな立場らしく、しかも彼はライス女史と違ってブッシュの言うことならなんでも聞くタイプらしいです。この人が日本を引っ掻き回さないように気をつけないと、という見解。

 それから今後の日米同盟のあり方として、「主体性」について語ってました。長島さんの考えでは、いままでの日米同盟は“有事のリスク(米)×平時のコスト(日)”だったけど、今後はリスクもコストも適度に負担分配するべきだと。
 具体的にいうと、アメリカの(アメリカ兵の)transformation提案を日本はすでに2001年9月から受けていたはずなのに、2004年10月にアーミテージが来るまで何も真剣に考えようとしなかった、ということです。これはどういうことかというと、アメリカだって他国に自分の兵力を置いておくのはコストがかかるので、当面の目標として「他国に駐留させているアメリカ兵7万人を自国に戻す」と掲げているのです。その内訳はだいたいヨーロッパから5〜6万人、朝鮮半島から1万人、そして日本から数千人なんですが、その提案に対しての日本の回答は「……ちょっと待って。どこの基地を潰すか決めらんないから」の一点張り。
 昨年、沖縄の普天間基地に属するアメリカ軍のヘリが大学の敷地に墜落した問題もありましたが、ああいうふうな生活空間に隣接している基地は無くすべきだと思うんですね。そのためにアメリカが提案してきたtransformationは歓迎すべきだと思うんですけど……いろいろとしがらみがあるんでしょうか、ぜんぜん本腰を入れてませんね。

 とかまあ非常に長くなったので……ひとつだけ。

 現在、日本が国連の常任理事国入りをするしないで揉めていますが、ここで出てくるのが“集団的自衛権”(憲章51条)と“集団安全保障”(憲章42条)、そして憲法9条(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)ですね。
 私はいままで勘違いをしていました。“集団的自衛権”=“集団安全保障”だと思っていたので、日本は憲法9条を変えないかぎり常任理事国に入れないんじゃないの? と思っていました。が、上記のように憲章の条項が違うというのでよくよく読んでみたら、51条の“集団的 / 個別的 自衛権”は国連に加盟している特定の国の都合によって行使される武力であり、42条の“集団安全保障”は国連が「このままでは世界の均衡が保てないから、みんな出動!」と先導する武力であるわけですね。
 ということは、42条の“集団安全保障”に関しては憲法9条が当てはまらないんじゃないかなあと。そしたら常任理事国に入れるじゃん。と思ったんですが、どうやら長島さんに聞いたら、法制局はそういう判断をしていないとのことで。“集団安全保障”に関しても憲法9条が当てはまると勝手に解釈しているので、こんな騒動になってるらしいんですね。

 つまり、いまのまま常任理事国に入ってしまったら「このままでは世界の均衡が保てないから、みんな出動! あ、でもうちは憲法9条があるから行けないけど♪」という、なんともお粗末なことになってしまうらしいです。ある意味非常に日本らしいけど(苦笑)。
 とかそんな話をダラダラとしていました。いろいろと勉強になったし、非常に面白かった。ナルホドーと思うことや、それは違うんじゃないかと思うことや色々。長島さんは夢見がちなところがあると思うけど、モノの考え方は政治家として非常にいいと思いました。熱いんだけど、私情とかには影響されないストイックな部分を持っているという点が特に。

行ってきました♪ | Posted by at 1 27, 2005 18:40


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