パリで菅原大輔の担当作品が竣工しました。

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Jakob+Macfarlaneで菅原大輔が初担当して勝利したLes Docks Parisが竣工しています。
セーヌ川沿いで水運が発達していたころの倉庫を、ファッションスクールなどを含めた複合施設にしたものです。
その作品はArchitecture Review 2009 2月号に記載されています。

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写真撮影(hiroko Yajima)

Architecture Space / 建築, News / 新着情報, Paris / パリ, Works / SUGAWARADAISUKEの仕事 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 3 29, 2009 21:51 | TrackBack (0)

表現の違い=価値基準の違い

マーケティングや建築の提案書、デザインやファッション雑誌などの情報媒体の表現で、仏蘭西や英吉利などの欧州と日本との間に明らかな違いを感じる。

欧州では、美しい大判のイメージや図表がダイナミックに媒体を埋め尽くす。言葉による解説は見出しや数行程度の説明文に留まっている。 一方、日本もしくは亜細亜では、多くの小さなイメージや図表が所狭しと並べられ、引出線などと共に多くの説明書きが並ぶ。大型書店で日系出版社と欧州出版社の女性誌を見比べるとこの違いが一目瞭然だろう。

欧州の人はイメージや雰囲気を伝える視覚的情報を欲し、評価し、「もの・こと」を選択する手がかりとする。そのイメージが表現している雰囲気や空気感が全てであり、そこに全ての情報が詰まっている。イメージで伝達される以上の詳細情報は必要としない。いや、ここで伝達されない情報は存在しないといえるのかもしれない。それは正に「世界観の伝達」と言えるだろう。

日本の人は定量的な情報を欲し、評価し、選択材料とする。イメージや図版は詳細情報を追っていくための「目次」のようなものであって、そこで情報を濃密に伝達する必要性を感じていない。例えば日系ファッション誌の中で、モデルは横に添えられる値段や機能、性能などの情報を整理整頓するためにだけに振舞っている。主役はあくまでも文字情報であり、イメージ(この場合は写真)がソコソコでも、横に情報が追加されれば伝達される。ここでやり取りされるのは世界観などではない。正に「定量的な情報」である。

このような情報伝達手段の違いは「もの・こと」に対する評価の仕方の違いであり、両者の「もの・こと」のあり方にしっかりとこびりついている。

情報伝達とは一見関係のない河川整備をセーヌ川と墨田川であえて語ってみたい。
セーヌの川岸には手摺が無く、歩行者道は今にも水面に沈んでしまいそうな高さにある。それは明らかに危険である一方で、「親水性の重要性」や「自由で魅力的な空間の意味」を価値観としていることが情報として見えている。一方、墨田川沿いはどうだろう。高いコンクリートの堤防によって私たちの生活からは引き離され、最近出来始めた親水公園もしっかりとした手すりが付いている。そこには「親水性より水事故の防止」「~メートル水位が上がっても決壊しない」などの○×で判断できる定量的な価値観が伝わってきて「川と共にある都市」という世界観は全くない。

欧州をはじめ西欧諸国は彼らの「世界観」=「価値基準」を輸出し、これを貨幣のように世界中に流通させ続けてきた。この流通が彼らの「西欧世界」を目指す人々を増やし、西欧化させてきた。その中で彼らのイメージ至上主義的表現方法も強化されていったのだろうと思う。

一方で、現在日本の「定量的な情報」の表現はあまり優れているとは言えない。しかし、日本の伝統的な抽象画と文字が併記された色濃い表現と見せかけは似ていなくもない。でもその両者の決定的な違いは、絵と文字の抽象さが計算されつくしているか否かだろう。伝統的な表現は個々の「情報の受け手」に解釈の自由を与え、同時に受けての知識を求めた。

色々な意味で「西欧絶対世界」が崩れ、次の何かが探されている。そんな今だからこそ、現代日本人の表現方法を伝統的手法と合わせて再考し、これを同時に「価値基準」の解体と再構築につなげることが出来ればと思う。 それが、日本から世界に「もの・こと」を発信していくことになると信じているから。

「とはいっても、時間のかかる作業」だと改めて痛感する。 

Architecture Space / 建築, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市, | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 27, 2009 13:34 | TrackBack (0)

巴里イベント情報

菅原が在籍していたSBAEが会場構成を行っている
[JAPAN CAR-creations pour un monde sature]
が開催されています。
会場はParc de la vilette近くの Espace Condorcet Cite des Sciences et de L'industrie


Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 4, 2008 10:12 | TrackBack (0)

コーンから世界遺産まで

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街を歩いていたら「擬木」ならぬ「擬石」を見つけた。
浅草寺の参拝者用通路へ車の乗り入れを防ぐ「車両進入禁止」のコーンである。 景観上、工事用コーンでは困るからなのだろう、結果として石「みたいな」コーンが選ばれたのだろう。 もしくは「石みたいだから車が恐れて直進していない」とでも思ったのだろうか?もし景観に対する配慮があるのであれば、木で組んだ標識に墨で書かれた気迫の文字「車両進入禁止」があったほうがよっぽど良かった気がする。外国人に人気がある観光スポットですら、ディズニーランド的景観感覚しか持ち合わせていない。 浅草寺の本堂や塔自体がコンクリート造作られていることを考慮すると、伝統的建造物もしくは景色に関するこのような景観感覚もいやもえないか。

このように、伝統的建造物に対する景観感覚を憂いていると、資本主義者ぶった人が経済の話を振りかざして対抗してくるだろう。 しかし、今直ぐしか有効でない短期的な利益を追うよりも、観光資源としての価値や快適性をなど長期的かつ多面的視野で試算されることを願うばかりである。

話を分かりやすくするために、コーンから世界遺産へ話題を拡大してみる。
世界遺産・平等院鳳凰堂の背景には高層マンションが建っている。 「浄土の世界に現世写り込む」といっても決して詩的には聞こえない。 このマンションは、開発業者や建設会社に確実に短期的利益を与えた。しかし観光資源としての長期的な利益を明らかに阻害した。さらには、周辺の土地が持つ付加価値さえも下げるだろう。

一時期は「東京の景色は世界的に類を見ないバラバラさが価値」などといって、盛んにその無秩序さを魅力として鼓舞する意見があった。 しかし、敷地内行われる建築所有者やデベロッパーの建築的暴狂は過度の自由を謳歌し、これによって日本の風景は醜悪化してきた。これに対して制定されたた「景観法」は評価されるべき流れだろう。 しかし、この法律の制定は日本の景観調整の第一歩である。 適切な運用には市民や企業の意識改革が必要だろう。 仏蘭西では、景観に対する責任と強力な権限を国持つ一方で、経済システムや市民の意識など様々なレベルでの景観意識もかなり強い。 「景観は公益である。」と法律の条文で謳っているいるくらいだ。

コーンから世界遺産まで脈々と続く日本人の景観感覚。 「景観法」という改革のきっかけを掴んだ今、この手強い相手に国民全員で向かって行きたい。

願いを込めて、先日見つけた初春の桜を・・・・
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Dialy / 日常, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 3 24, 2008 0:50 | TrackBack (0)

L’hopital Copgnac-Jay

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伊東豊雄さん設計、L’hopital Copgnac-Jayのオープンハウスに行く。
現場管理を行っていた高塚さんに地下階、一階、基準階をご案内いただいた。

巴里15区の一区画がその敷地。 中庭形式でその区画を囲うのではなく、
周辺に点在する隣地の庭を繋ぐように庭が配置されている。 
機能はがん治療、終末医療、自閉症の子供用施設の三つ。
街路に平衡しながら庭を挟むように薄い建物が配置され、
中庭に面して3つのボリュームがそれにへばりつく。

高塚さんが「借景しあう庭」と呼ぶ、敷地内を貫通する庭と
隣地の庭が作る視覚的な「大きな都市の森」は非常に上手く融合されていた。
これが敷地周辺の環境向上にかなり役立っている。
このように隣地の要素を操作対象としてとり込む計画は、
東京のように常に変化するアジアの都市では短期間しか継続しない。
まさに、強く、安定した町並みを持つ巴里/欧州ならではの計画といえるだろう。
8年に一度、隣接する家が建て替わる東京の住宅地で同じことをやっている
日本人建築家は、環境変化による空間の破綻をどう受け止め、どのように責任を取るのであろうか。

内部を歩いた印象は非常に日本的な空間であるということ。 
原因は窓の設定高さ。立った姿勢の視点やや上部から膝の少し上までと
非常に低く窓が切ってあって、目線が自然と下方に向き、庭を眺めることになる。
それはつまり、庭=季節を内部空間の構成要素として取り込むことを意味する。
庭は連続的でありながらも様々な性格の庭が用意してあるので、
各病室もそれによって色付きが異なっているのだろうと想像した。

最近考えている「予想できる素晴しい空間」と「予想できない新しい空間」の違いを見た気がする。 
現在ある技術、システム、素材を再編集、再構成して作る空間は予想が出来る素晴しい空間を作る可能性を秘める。
 しかし、どうなるか分からない、何が起こるかわからないが、
検討し、実験して生み出される予想できない空間というのもある。
僕が求めるのは明らかに「新しい空間」だと再確認した見学会であった。

最後に、高塚さんありがとうございました。

Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 29, 2006 8:01 | Comments (1) | TrackBack (0)

FRANCEZAPPA出版

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+日本語
仏蘭西のフリーペーパー『FRANCEZAPPA』。
2006年4月1日にその特別号である『AKI KURODA SPECIAL ISSUE』が出版されました。
私も参加させていただいておりますので、巴里にいらっしゃる機会がある方は是非御覧ください。
OPERAにある日本食レストラン、食材販売店、書店などで手にとっていただけます。

固定化された活動形態を持たない黒田アキ。
この特別号では業種を横断した創作者・執筆者が集まり、複合領域創作集団『FRAPON』の結成宣言号となっています。
参加創作者・執筆者
・黒田アキ(アーティスト)
・アリエマキ(アーティスト)
・オノデラユキ(アーティスト、写真家)
・小林康夫(東京大学教授)
・佐藤康司(服飾デザイナー)
・菅原大輔(建築家:Shigeru Ban Architects Europe / creator: atelier+.sugawara_daisuke )
・Jean-Pierre BIBRING(火星に水を発見したESA(欧州宇宙機関)プロジェクト/Mars Express主任)
・野村洋司(写真家)
・PatrickSABATIER(Liberation誌 副編集長)
・前田茂樹(建築家:Dominique Perrault Architecture)

+Française
Madam et Monsieur.
Il y a un journal gratuit en France, qui s'appelle FRANCEZAPPA.
1er avril 2006, Il y a le numéro spécial, ''AKI KURODA SPECIAL ISSUE''.
J'ai participé à ça comme artiste et architecte.
Si vous trouve ce magazin, trouve-moi s'il vous plât!!!
Vous pouvez trouve à le quartier OPERA.

Auteurs et créateurs
-Aki Kuroda (Artiste)
-Maki Arie (Artiste)
-Yuki Onodera (Artiste/Photographe)
-Yasuo Kobayashi (professeur de université Tokyo)
-Kouji Satou (Dessinateur de mode)
-Daisuke Sugawara (Architecte: Shigeru Ban Architects Europe / crèateur: atelier+.sugawara_daisuke )
-Jean-Pierre Bibring (Chef de projet de Mars Express : ESA)
-Hiroshi Nomura (Photographe)
-Patrick Sabatier (Directeur adjoint du journal LIBERATION)
-Shigeki Maeda (Architecte: Dominique Perrault Architecture / Studiomuoto )


+English
Dears
There is free magazine in France, FRANCEZAPPA.
FRANCEZAPPA ''AKI KURODA SPECIAL ISSUE', it was published in 1st April 2006,
I write the text and did graphic design.
If you find up this, Please read it.
You can find up this in Opera area of Paris.

Writers and Creators
-Aki Kuroda (Artist)
-Maki Arie (Artist)
-Yuki Onodera (Artist/Photographer)
-Yasuo Kobayashi (professor of Tokyo university)
-Kouji Satou (Designer of dresses)
-Daisuke Sugawara (Architect: Shigeru Ban Architects Europe / creator: atelier+.sugawara_daisuke )
-Jean-Pierre Bibring (Chief of Mars Express : European Space Agency )
-Hiroshi Nomura (Photographer)
-Patrick Sabatier (Vice-director of news paper LIBERATION)
-Shigeki Maeda (Architect: Dominique Perrault Architecture / Studiomuoto )

Art / 美術, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 4 7, 2006 8:52 | TrackBack (0)

気付けば

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気づけば前の日記から一ヶ月も経っている。
(自分のHPの日記からカウントしてだけど。)

今日までどんな状態だったかと言うと、

雑誌の紙面構成に追われる>atlier+.として

自分がChefをしているShingapore, NewYorkの計画の締め切れに追われる>SBAEの所員として

某調査のヨーロッパ部門を統括に追われる>atlier+.として

Caribbeanの計画の締め切れに追われる>SBAEの所員として

Parisで行われるAfriqu,Maliのアーティストの展示計画に追われる>atlier+.として

今週より、再度NewYorkの計画に追われる予定確定!!
展示計画、雑誌編集も継続して重なる・・・・・・・のも決定。

なんて、忙しさアピールしてもしょうがないし、日本の人たちに比べたらそんな量でもない。
でも、立場、契約関係、仕事のスケール、取り扱われる言語、全ての要素が異なる状態の仕事を
同時、もしくは連続的にこなしていくと、 頭がくるくる回ります。
特に「言語」という大きな壁が頭を余計疲労させるのかな?

そんな日々を過ごしていたら、すぐ傍まで近づいてきている春の雰囲気に気づいていなかった自分がそこに居た。
季節の変化に自分の感覚を埋め込むことが出来てなければ表現者として終わりだ・・・と反省。

写真はそんなことを考えながら撮ったParis、5区のとある町並み。
不安定な気候が続いているパリ。
通り雨の後に春の日差しが顔をだし、町中の水面で光が増幅している風景。

Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 3 6, 2006 9:24 | TrackBack (0)

国立美術館で興ずる

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毎週火曜日の夜、Centre pompidouでは何かしらのパーティーが開かれる。
つまり、一個人や一法人が国立美術館を一晩借り切って、宴に興ずるのだ。
館内にはケータリングの食べ物とシャンペンを含めた各種飲み物が並ぶ。
美術館で行われる最大の利点は、パーティーエリアに隣接している展示室が開放されて
自由にアートが鑑賞できるということ。
フランスは「アートと人々の距離が近い国」と認識しているけど、
これは想像を超えた近さ。
10日はGaz de France(フランスガス公社) のパーティーで、
それこそ全館使われていた、写真は普段のpompidouとパーティー時のpompidou。
「楽むこと」より「問題ないこと」を好む日本ではありえない。

金曜日はC+Aの小嶋さんと赤松さんがいらっしゃった。
小嶋さんたちが、伊東豊雄さんのHospital Cognacq-Jay(コニャック・ジェイ病院)
現場に行くと言うので、僕もこれに便乗してお邪魔しました。
設計競技から関わり、現在、現場管理をしている高塚さんに案内していただくことが出来た。
外装はガラスによる無機質なものだが、一般開放される予定の道を抜け
敷地の庭に入ると非常に広々とした庭が広がっていた。
隣地の庭を借景して、大きな庭を作っている。
そしてそこには単一敷地だけでは得られない「大きな空」が広がっていた。
この庭が「病院という閉鎖社会に生きる患者」と「一般の人=社会」の交差点になるらしい。
病室からの視線や外部からの見え方に至るまで、「表面=境界」の設定が非常に精密になされていた。
あと、この建築は正面のない建築だということ。全てが正面であり全てが裏であるようなかんじ。
写真を何十枚も見て、やっと理解できる建築だろう。
オブジェとしての建築から、随分と遠い場所にある建築だ。
その後、昼食。
小嶋さん、赤松さんと高塚さんの「海外で現場をどのようにコントロールするのか?」と
いうお話は非常に興味深かった。

日曜日は黒田アキさんのアトリエへ。
ある企画のための組織立ち上げ会(?)をノンアルコールで行う。
と言うか組織立ち上げのための事務作業。
いきなり二月末の締め切りをもらいました。

何はともあれ、走ります!!!

Art / 美術, Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 16, 2006 8:36 | Comments (2) | TrackBack (0)

Salon de Meuble

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あけましておめでとうございます。
今年から日本人建築家「坂茂」さんのパリ事務所に勤務します。
建築、プロダクト、グラフィックと、勤務先でも個人的活動でも
精力的に活動を繰り広げていきます。
本年度もよろしくお願いいたします。

というわけで、年末年始は個人的仕事に没頭。
パリにいらっしゃった九州大学の森田昌嗣先生Salon de Meuble(パリ国際家具見本市)へ。
森田先生はGK設計で活躍されていたこともあるかた。
過去から現在、今後のことまで非常に面白いお話を聞かせていただきました。

Salon de Meubleはさすが、世界有数の見本市。
西洋の古典的、東洋的なものから現代的なものまで
さまざまな家具が並んでいた。
世界的な家具デザインの流れを確認するには最適の場所。
仏蘭西政府がサポートする若手デザイナー支援プロジェクト「VIA」のブースは面白かった。
多くの人が集まっていました。
それに負けず劣らずの人気ブースが「日本ブース」
特に乃村工藝社・児島正剛氏デザイン、添島勲商店作成の[Ori-Tatamiser]が興味を引いた。
日本人のnomadicでtemporaryな生活習慣を、現代版「畳×卓袱台」に翻訳したもの。
ピクニックにも応用できるのかな?

なんて思ったりした戌年の初春でした。

Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Product / プロダクト | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 10, 2006 8:29 | TrackBack (0)

Noelに考える

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12月に入り、町中がNoel(クリスマス)一色です。
多くの通りが、様々なものたちを模ったイルミネーションによって飾られています。
HOTEL DE VILLE(パリ市庁舎)前の広場では恒例のアイススケートも始まりました。
頭がキンキンする寒ささえなければもう少し楽しめそうなんだが。

日本で言うお正月なので、家族総出で準備に取り掛かっている。
日本での歪められたクリスマスのイメージが
スカスカなものに感じられてしょうがない。

色々な「もの・こと」を輸入し、修正し展開してきた日本の文化。
その上に根ざしているものは面白いものが多いし
僕の「建築」という分野だってそれによって成立している。
しかし、日本化された「くりすます」や「ばれんたいん」は
そういう部分とは全く切り離された「広告的価値観、商業的価値観」によって
完全に捏造されたイベントとなっている。
そんなことで全国民(特に若い年代)が動かされてしまうのは寂しいかな。

そのようなツルツルした状態は、多くのものことについていえるかもしれない。

特に 日本は、色々な分野が最新で常に新鮮なものを欲している。
しかし、その「新鮮なもの」への検索範囲は海外であることが多い。
「パリ発」「ニューヨーク発」 という言葉に日本人が弱いこともこれを証明してる。
海外から見たら、東京は立派な国際都市であるにもかかわらず、「新しさ」を外に求め、
街には常に、更新された、最先端の、研ぎ澄まされたものが置かれる。
その「更新」は物凄い速さで円滑に進むけど、本質的には何も積み重ていないし、
かつ、「前のものは何も残っていない」というのが日本、特に東京と言う街である気がする。
パリはその点、圧倒的に更新が遅いけど、遅い分何かが残って
その上に確実になにかが積み重ねれれている感じがする。

雑誌に付いてもこれは言える。
日本の特に建築雑誌は、2,3年おきに文末やタイトルだけを変えるだけど
同じ特集を何度も何度も繰りかえす。
松田さんが言っていたが
ヨーロッパ、特にフランスでは、同じような特集を手を変え、品を変え
再生産し続けることはないらしい。

学術的な分野にも同じことが言えるようだ。
日本では論文を書くとき、文献が点在していて研究が積み重なっていくような準備がなされていない。
当然、分類整理されているけど、上手いこと発掘できない。
がゆえに、同じような研究がいたるところで繰り返されていたりする。
気になっていたこの話を、文学の本田さんにしたら
こちらはしっかりとした検索システムが確立されていて、
しっかり研究を積み上げていくシステムが確立されているらしい。
だから、研究はしっかり積み重ねられたりしている。
でも、日本の論文が求めるような「鮮やかさ」をもったものは多いわけでもなく
逆に、 当然の結論しか導き出さないつまらない論文も多いいらしい。

「歴史や根源の不在 」に対する不安から、逆に根源的な部分から思考し直したり、
油断なく積み上げたりして、世界トップレベルのものを作ったりもしてる。
また、突拍子もないところから発想する自由度もある。
良くも悪くも、日本とはそんな国です。

なんてことを言ってるけど、それなりに「くりすます」を楽しんでいた僕も
3,4年前には いたわけです。

Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 12, 2005 9:25 | Comments (2) | TrackBack (1)

頭の体操

土曜日
久しぶりに連絡を頂いて松田達さんとスイスで働く木村浩之さん
3人でラオス料理のお店へ。
お互いの自己紹介や近況報告をさせていただき、その後場所を替え一杯。
異国での建築教育制度、思考方法、設計プロセスからコルビジェに至るまで
海外経験者としての面白い考え方を伺うことが出来た。

久しぶりに「建築」を肴に飲んだという感じです。
意識して考えながら喋るといい頭の体操になって
脳の眠っていたどこかが活性化された感じ。
僕もそれに乗せられるように幾つかお話する。

僕が最近気になっていること、いや驚いたのは
日本人と仏蘭西(欧州ともいえる)人の単位感覚。
僕が前に勤務していた仏蘭西人建築家の設計事務所ではエスキスを「メートル」単位で考え始めた。
そして詳細設計等の時点でもCAD上の基本単位は変わらず「メートル」に設定されていた。
つまり、それ以下の長さは基本単位を「分割したもの」である。
今は仏蘭西にある日本人の事務所で働いているんだけど単位は全て「ミリ」で扱われる。

つまり、同じ50センチを思考するとき、
・基本単位を分割した「0.5メートル」と
・ 基本単位を500倍した「500ミリ」
と言う違いが出る。
これはスケール感覚や視覚的/触覚的建築の作り方にかなり作用している。
全ての部分に焦点が当たっている日本建築の緻密さは
こんなところから来ているのかもしれない。

比較の対象として「全体性が持つ魅力」を好む仏蘭西建築を取り上げると納得行くけど
欧州諸国でも詳細部分の納まりが美しいスイスも同じ「メートル」志向らしい。
「全ての部分に焦点が当たる」ことと「収まりが美しい」ことが
空間の質においては必ずしも同じことではないということかな。

あと、聞いていて印象に残っているのは木村さんの欧州人の「面の扱い方」。
欧州人は、空間に出てくる「細々した物」(電気、排気口、吐き出し口、消火設備など)を
面の要素として自覚的に捉え、面の中に整理整頓して置いているという。
確かに日本人の作品で「これほどこだわっているのに、ここにこれが出てくるのか?」
と言う感じがする。
つまり、日本人は空間を抽象的な存在として捉えていて、「空間」をデザインした後に
実際の使い方や法規的に必要なものが別の次元で「空間」に出てくる感じ。
そんなときはちぐはぐな空間になる。

僕が上記で「細々した物」と書いていること自体、そんな日本人的意識を表している。
完全には一般化できないけど非常に頷けるお話だった。

Architecture Space / 建築, Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 5, 2005 9:25 | TrackBack (0)

雪のエッフェル・耐震問題?

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今週は初雪が降った。
手袋をしていてもその上から氷の矢がプスプスと刺さるような、散歩しているだけで「かき氷」を食したあとの「キーン」とした感じが、暗雲と共に僕らの心に忍び込む冬。
とうとう薄暗く、芯から冷える「憂鬱な巴里」が始まった。

そんな中、建築技術者Effeleを思い浮かべながら、雪のEffeleを塔を眺めた写真。

日本では耐震設計に絡む「建築士の責任」などが話題になっているということはなんとなく耳に入っている。
これを聞いて一級建築士の一人として恥ずかしさと怒りを覚えた。また、建設途中の検査でなぜこの事態が食い止められなかったのか?と、行政監視機能に対しても疑問を覚えた。しかし、それと同時に、日本の建設・建築業界で起こるべくして起こった事件だとも思った。

その前提として、「建築家・建築士」と言う職能を簡単に説明してみる。
「建築」にまつわる業務(建築物の設計、管理)を行う「建築家」と、建築士法所定の国家試験によって行政機関(一級の場合は国土交通大臣)から建築家兼高等技術保持者として免状を交付される「建築士」。
どちらも「建築」と言う言葉が付くが、元々日本語に存在した言葉ではない。江戸末期に海外から概念と共に輸入された言葉「architecture」の訳語である。加えて、我々「建築家・建築士」は日本の建築の歴史から見れば、最近出来たばかりの職能である。それまでは「設計・施工」を行う、大工達が僕らの場所にいた。その職能は現在も日本特有の「ゼネコン」と言う形で継承されている。

日本では自称すればみんながなれる「建築家」含めると話がややこしくなる。ここでは国家資格保持者の「建築士」に限定して話を進めたい。
建築基準法では、施主(消費者)/建築士/施工者の独立した「三角関係」を奨励している。これは小学校で習った「三権分立」に近いあり方で、建築士と施工者の関係を分節し、専門知識のない施主(消費者)を保護するためのものである。
この状況を考慮すると、日本の現状では大きく3つの事柄が原因として挙げられる。

1番目に、最終的な消費者である「住人」が建築性能のチェック機能から排除されている点。「三角関係」でいう「施主」が、「住人」ではなく建築士・施工者と協力に結びついた「デベロッパー」となる。専門技術を持たない実際の「住人」は見えないブラックボックスの中で作成された「性能表示」を信じるしかない。「デベロッパー」は、住空間を綺麗にラッピングされた「商品」として扱う。これは住空間を他の品物と変わらない「商品」として、経済の中で流通させる重要な役目をはたしている。一方で、住人を建築が生成される場所から遠ざけ、知識のない消費者に変えてしまう危険性を持っている。

2番目に、住人の建築に対する無関心さがあると思う。
ヨーロッパでは都市や建築に対する一般層の意識が非常に高い。街づくりや空間に対して「あーだ、こーだ」と議論している。少なくとも思考する対象にはなっている。もともとの家が汚いということもあるが、パリだと新しい住居に引っ越した場合、まずBricolage(日曜大工)することが多い。それは空間を自分らしくカスタマイズしていく行為、つまり着慣れない洋服を自分の体にフィットさせていくような行為である。住空間を「ただの箱」とは考えず、「住人に特性を与えられた場所」とする精神がBricolageという行為に現れている。日本の場合、建売住宅産業が発展していることから分かるように、「ただの箱」としての住空間を求める消費者が多い。つまり、建築に関わる様々な手続きを排除して、一つの「完成された商品」としての住空間を手に入れたいという思考である。これは住空間に限らず、全ての(ことにフランスに比べ)サービスが成熟したことで、幼稚化していく日本人全体の気質に関わる問題だろう。

最後の3番目は、設計が「施工のおまけ」として扱われている点。
日本の建物の文化は歴史的に見て「大工制度」によって支えられてきた。棟梁の顔は見えていたし、施主は皇族であったり、貴族だったり、武士達だったりした。日本の伝統建築が素晴らしいのは、棟梁達が頑固で気高く、仕事に誇りを持ってた(?)からかもしれない。一方で手抜きが発覚したらその場で切り捨てられる緊張感もあっただろう。
その後、日本は様々な面で成長をとげ、国民全体の生活水準も向上した。これによって「建築」の目的は「権力」から「民衆」と民主化されていた。
その過程でも「設計・施工」が一体化した「大工制度」の部分は残った。それは一昔前、「設計施工一環業務」のゼネコンが使っていた「うちは設計料は取りません」という営業文句につながる。
実際は全ての技術的水準と空間としての質を保証するために、「建築士」が膨大な労力を使っているはずだ。しかし、見えない「設計」と言う過程は数値化された価値を獲得することなく、施工の裏帳簿からその業務代が支払われた。
つまり、一般的に義務も権利も、もみ消された存在だった。今回の事件は重大だ。しかし、実状として建築士としての「責任」だけを追及しても問題の解決は難しい。 もみ消された「義務=責任」を明確にしつつも、我々の「権利=設計業務の存在と価値」が一般的に認知されなければ、構造的な解決は図られないだろう。

他の理由としては、建築士の質のばらつきもあるだろう。これは激しいが定量的に見分けることは困難だ。ちょっと乱暴だけど、数値化された違いを言えば、近年登録された一級建築士は、合格率6%の超難関を突破している。一方で、高度経済成長期の時代はみんなが取れた「一級建築士」である。近年の合格者とそれ以前の免状保持者で、公的に何か区別化を図らなければならないとも思う。

設計競技の量、国民性、経済的問題、社会性の問題・・・・・。今回の事件を生んだ原因は様々だろう。
しかし、時間が経ったら重大な事件を忘れる、いつもの日本のようにはなって欲しくない。この事件を、状況を問題を改善する区切りとし、建築の制度や社会的責任を見直すだけでなく、「国民一人ひとりが建築行為にそのように関わるべきか?」「建築や都市がどうあるべきか?」を一般レベルで議論して欲しい。これが日本が建築先進国へ発展していく過程であって欲しいと願う。

Architecture Space / 建築, News / 新着情報, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 28, 2005 11:52 | TrackBack (0)

FETE

今日はパリ在住のアーティスト黒田アキさんにお誘い頂き
FETE(パーティー)に行ってきました。
文学者、建築家、アーティスト、物理学者・・・・・・・・・・・・・。
フランスの大物がゴロゴロいて普段大胆な僕もちじこまってしまった。
それに加えて、パリ第七大学と東大の共同学会でいらっしゃっていた
小林康夫先生もいらっしゃっていた。
黒田さんと小林さんは昔からのなからしい。

黒田さんの「物凄さ」を再確認するとともに、
僕のやるべきことが、予想を超えて膨大な量であることに気づく。
正直、体がいくつあっても足りないな・・・・・・。

Event Lecture / イベント, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 21, 2005 10:16 | TrackBack (0)

貴族の家

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■金曜日の夜、
友人に誘われてFETE(ホームパーティー)に行った。
場所はパリ16区の高級住宅街。
気軽に行った僕は唖然。
ものすごい豪邸に、オシャレした男女が150人くらい集って、
飲んで、歌って、喋っていた。
圧倒的な雰囲気に頭を掻き回されつつ、僕も喋って飲んで朝4時頃に帰宅。
後で聞いてみると、主催者の中に貴族がいて、その方の家で行われそうです。
貴重な体験だったのに、写真一枚取れなかったことが悔やまれる。

FETEでは、建築・デザイン関係以外の人ともお話させていただいた。
そこで、一般の人たちが建築や都市の「近代化に伴う場所性の消滅」というような主題に対して
自分の意見をしっかり持っていることに再度関心。
さすが、歴史を積み重ねた都市や建築の中で生きるパリの人々。
空間に対する意識が一般の人々に、高いレベルで浸透している。

戦後、大部分が白紙の状態から作られた現在の東京は
物理的に「歴史を積み重ねた」と言うには難しい状況。
歴史や文化の断絶など、様々な背景も違うから直接比較はできない。
でも少なからず「物が残ってるかいなか」と言うことは
意識に大きな違いを与えている。
現在、マスメディアによる「流行」というかたちで「空間の意識」が浸透しつつありますが
この過渡期の向こう側に、成熟した日本人の意識が開ければ良いなと思っています。

■土曜
Centre pompidou前にチョーク画家を発見しました。
荒いアスファルトの中から、人が浮かび上がってくるかのようです。
美術館の中でキャンバスにしっかり据えられている絵も良いけど
町の中に溶解している状態の絵と言うのも素晴らしい。
構えていないときに、突然後ろからプスとさされたような感じで
心に入ってきた。

Art / 美術, Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 9 26, 2005 7:36 | TrackBack (0)

JOURNEES DU PATRIMOINE

9月17、18日はJORNEES EROPEENNES DE PATRIMOINEだった。
これは、フランス国内の美術館や市庁舎をはじめとする公共施設が一般公開されるというもの。

僕は風邪気味と言うこともあり、CREDIT MUNICIPAL DE PARISと
LES BATIMENT DU CENTRE HISTORIQUE DES ARCHIVES NATIONALESを
同僚のPILIPPEとパパっと見た。
前者は巴里の質屋。後者は18世紀の貴族の館を現在歴史博物館として使っている。

LES BATIMENT DU CENTRE HISTORIQUE DES ARCHIVES NATIONALESでは
この施設の改修設計競技があったらしく、その結果報告展示会が行われていた。
今回は人が多くて並びもしなかった。
今度また出かけてみよう。

Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 9 19, 2005 7:00 | TrackBack (0)

巴里の素材

僕が勤務する事務所は、2003年の設計競技で「Helold-100 Logements-」という
集合住宅を獲得した。巴里19区に建設予定。
現在、この敷地内で地質汚染が発覚し、土壌改良の検討も含め建設が先送りになっている。

敷地の土の話をしているときに、この物件を担当しているPhilippeが面白いことを教えてくれた。
巴里の地下には無数の空洞があるということ。
と言うのも、巴里の地下は『石切り場』となっていて、巴里に建つ建築物はその石を積むことで作られているという。観光名所となっている共同地下墓地『カタコンブ(catacombes)』も元々は石切り場跡だそうだ。
古い(土着的?)建築物はその地方で良く取れる素材によって作られる。これが、各地方の町並みの色や素材感を決定しているのは常識だけど、大都市巴里の町並みが、『周辺で取れる素材』ではなく、『地下にあった素材』を直接地上で再構成することで成り立っていると聞かされて驚いた。
つまり『巴里の町並み=巴里の地下の色』という事実。

現在、新しい建築物を建設する場合、『石切り場跡』の空洞はコンクリートで充填され、後に新しい建築物の基礎が打たれる。そして、その上に載る新しい建築物にはグローバルに流通する素材、鉄、コンクリート、ガラスが使われる。
『土着性』を賛美するわけでもないし、これを素材の問題に単純化して考えるつもりは全くないけれど、巴里の建築物が持っている土地との親密な関係が、新たな建設によって少しずつ失われていることに寂しさを感じた。

Architecture Space / 建築, Dialy / 日常, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 24, 2005 19:47 | TrackBack (0)

14 juillet

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7月14日は、フランス語で『Le Quatorze Juillet』。
つまり、フランス革命を祝う『fete de national』でした。
今年はフランスにおける『ブラジル年』 と言うこと、
軍事パレードでブラジル国旗が登場したり
夜はサンバと共に花火が打ち上げられたり。

フランス滞在 一年目で、パリで行われる一通りイベントを経験しているので
二年目は「どのイベントをどのように楽しもうか?」という余裕が出てきた。

今回は写真家の洋司さん、MICHEL KLEINのデザイナー、コウジさんたちと
「CHAMPS DE MARS公園」で花火待ちのピクニック。

花火もきれいだったけれど、公園に集まった群集が物凄い迫力。
キューブに刈り込まれた樹木に挟まれた、軸線を持つ広場には、
フランス式庭園のテクスチャーのように人の頭が広がっていた。
日本の花火大会もすごい人出だけれども
『見渡せる場所 』(=広場)の存在は、群集の迫力を増幅して
群集×自分 という形で興奮をも増幅している気がした。
ちょうど「競技場に居るような状態」と言ってもいいのかな。

『見渡せる場所 』(=広場)の存在は、
デモをすぐ行ったりする熱狂的なフランス人(パリ人)の国民性を
構成している一要因なのかな?とボンヤリつぶやいた7月14日。

Dialy / 日常, Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 20, 2005 15:48 | Comments (3) | TrackBack (0)

巴里の夜景

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数日前に誕生日を迎えました。
幾つかのメッセージが届いたり
同僚と昼食にワインを飲んだりして
とても良い日々でした。

写真は午後9時のCHAMP DE MARS公園。
つまり『夜景』 です。

このような気候であることもあり
最近はとても良い気分。

Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 4, 2005 7:30 | TrackBack (0)

安藤案も建設中止

ここで僕がプロジェクトの行く末を心配するには訳がある。
その理由として、DES HALLESの設計競技のゴタゴタに加え
安藤忠雄さんが設計競技で勝った美術館を含む
Seguin島の再開発自体が
ここ
にあるように簡単に中止になってしまったことが挙げられる。

Seguin島の件は、フランスの大富豪PINAULT(PRINTEMPSFNACの所有者)と
Boulogne市との方向性の不一致が原因だが、
フランス国内におけるの様々なレベルでのオーガナイズの悪さを
非常に良く(も悪くも)象徴している。

Architecture Space / 建築, Art / 美術, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 30, 2005 9:36 | TrackBack (1)

国際設計競技に勝つ

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JAKOB+MACFARLANEにおける僕の初担当プロジェクトが
国際設計競技で1位を獲得した。
現在、プロジェクトの実現に向け、市との調整が始まっている。

それに合わせて、Pavillon De L’Arsenal(日本で言うギャラリー間)で
上位11案のプレゼンテーションと模型が展示されている。
そこにはFuture Systemsやフランスの若手建築家Manuelle Gautrandの名前もあった。

設計競技の概要をさっと書いてみると、
セーヌ川左岸再整備プロジェクトの一つで、
国立図書館近くの川岸に
昔、倉庫として使われていた12000平米の建物が建っている。
セーヌ川に開きながら、商業施設、文化施設等、レジャープレイスを
この建物の躯体を活用して構築するのがパリ市からの要求。
躯体を利用するのは、セーヌの水運で発展してきたした「パリの記憶」を
オブジェクトとして継承しようとするものだ。
内部の諸施設は、今後の市との協議で変更があると思う。

圧倒的な敷地の特性(セーヌ川との関係)と
特殊な既存躯体を残した改修計画と言った強いコンテクストに導かれ、
どの案も方向性が非常に似ている。
躯体は、セーヌ川に平行して細長く伸びており、
川の直角方向には4つのスパンを持っている。
「川と直角方向の4スパンに異なる機能、または形態をパラレルに並べた案」
もしくは、
「躯体を皮膜でまるごと包み込み、その皮膜が設定条件によって変形していく」
というのが、だいたい全ての案が持っている方向性。

僕らの案は後者に属していて、動脈のように躯体から皮膜が盛り上がり
そこが館内の動線や屋上レストランのサービススペースになるというもの。
JAKOB+MACFARLANEの作品Restaurant GEORGE(Centre Pompidou内)の
床面の一方向への形態操作を、屋根面・外壁面の3次元方向への形態操作に
拡張したものだと言えるのかもしれない。

パリ市内、もしくは周辺の巨大プロジェクトが立て続けに、
変更、中止されているだけに僕らのプロジェクトの行く末が心配だ。
「この案は実現するのだろうかと」と不安になってしまう。

Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 30, 2005 8:42 | Comments (3) | TrackBack (1)

BACCARAT GALLERY-MUSEE

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NOUVEL(ヌーベル)事務所の山添ナオリさんが薦める
『BACCARAT GALLERY-MUSEE(バカラ美術館)』へ。

昔、大金持ちが、芸術家や作家、音楽家のために
サロンとして開放していた邸宅を改修したもの。
設計は『Phillipe Starck(フィリップ・スタルク )』
鏡やスケール操作を多用した空間は、
『ハイパー・リアル・ゴージャス』と言う感じで、
本物の高級品で作られたディズニーランドのよう。

『本物の高級感 / 似非ゴージャス』の境界とは何なのか少し分からなくなる。
スタルク特有のギャグセンスでこれらの境界を積極的に曖昧にすることで、
現在流行のブランド建築の『意味』と言うか、『在り方』を
『高級』の意味と共に問い直しているのであれば、頭が上がらない。

彼に限ってそんなことはないかな?

ちなみに僕の腕時計は彼のデザインです。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 22, 2005 21:50 | TrackBack (0)

LA NUIT DES MUSEES

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5月14日、『LA NUIT DES MUSEES(ラ・ミュゼ・ニュイ)』に行ってきた。
『NUIT(ニュイ)』はフランス語で、『夜』とか『夜間』という意味で、
つまりは、午後の7時から夜中まで無料(一部は有料)で美術館が開放されるというもの。
閉館時間は美術館によって異なる。

パリ市のみのイベントだと思っていたんだけれども、
公式サイトを見ると、フランス国内どころか
ヨーロッパ中で同時開催されているようだ。

僕は『INSTITUT DE MONDE ARABE(アラブ世界研究所)』
『MUSEE DU LOUVRE(ルーブル美術館)』を見る。
『INSTITUT DE MONDE ARABE』の展示室に入るのは今回が初めて。
北側立面の『機械仕掛けの日よけ』は確かにカッコイイと思うが、
全体を見ると『現代の有数の名建築』といわれるほど
良い建築家なのかは正直分からない。

『MUSEE DU LOUVRE(ルーブル美術館)』では『ハンムラビ法典』を見た。
『目は目を、歯に歯を』の語源になったものだ。
『報復のための暴力的な教え』だと思われがちだが
報復合戦を抑えるために、最小限の『報復』を許可したものだとか。

『事実』とは、何時の時代も『解釈』と『伝達手段』の上で
儚く揺れる、曖昧な存在だ。

Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 22, 2005 21:27 | TrackBack (0)

東京とパリの夜景

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恥ずかしながら、今回の一時帰国で始めて『森美術館』に行った。
『東アジアの現代美術』展が行われていたが展示もほどほどに
六本木ヒルズの展望台、『東京シティービュー』へ。

『東京シティービュー』から見る東京の夜景はなんともロマンティック。
光のない海と皇居、
遠くでゆっくりと回転するお台場の観覧車、
夜空に刺さるように聳え立つ新宿副都心、
そして街の心臓のように温かく光り輝く東京タワー。
色々な『光』を手がかりに、東京の形態を立体的に把握していく。

『光』の状態を見ていて思ったのが「東京」と「パリ」の違い。
何が違うかと言うと『光』の分布が違う。

パリを見下ろすと、
MUSEE DE LOUVRE
SACRE-COEUR
TOUR EIFFEL
AVENUE DE CHAMPS ELYSEES
NOTRE DAME
などといった市内の中心施設(と呼んでおく)が
薄暗いパリの中で、点となって強い『光』を放っている。
この点と点を繋いでいくことによって
簡単に街の構造を理解することが出来る。

一方で、東京は全体が均一に光を放ち面的に繋がっている。
海、皇居、観覧車、副都心といいた、微妙に異なる『光』の状態を見付け出し、
これを注意深く紡いで、初めて街の構造が理解できる。

『光』の状態は都市が持つ「構造」の強弱を
そのまま表しているような気がする。
夜の『光』はそのまま人々の『活動』の分布に繋がっているはずだから
東京では、均一、かつ同時多発的に『活動』が行われているのかと
『メガシティー東京』のパワーに驚く。

Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 17, 2005 21:46 | TrackBack (0)

PARIS COLLECTION

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現在、PRET-A-PORTER(プレタロルテ)の『PARIS COLLECTION AUTOMNS-HIVER 2005』
が開催されています。
PRET-A-PORTERとHAUTE COUTURE(オートクチュール)、合わせて年4回開催される
『PARIS COLLECTION』 ですが、いくら巴里に住んでいても
普通に生活していると、この「ファッション界最大のお祭り」に
接することなく過ごしてしまうのが事実。

今回は巴里滞在10ヶ月目にして初めてこれを見に行きました。

幾つかのDEFILE(ファッションショー)に
INVITATION(招待状)なしで挑戦したんですが
何とかCHLOE(クロエ)だけは見ることが出来ました。

雪がチラツク会場の前で、
ファッション関係の学生と思われる人にまぎれて警備員と交渉。
開場30秒前になだれ込むように開場入りし、立ち見でこれを見る。

開場の雰囲気にタダタダ圧倒される。
ファッション雑誌をパラパラ見ながら
『女性のファッション(服、鞄、靴など)は面白いなー』と思う程度だったのですが
服、モデル、メーク、開場、音楽・・・・・・・・・
この数十分のDEFILEのためだけに、全ての要素が周到に用意された空気の中、
洋服の可能性のようなものを感じた。

物であったり、音であったり、
その『場』を作る全ての要素をある方向に向かって、かみ合わせることが出来れば
本当に面白い状況が起こるものだと当たり前のことながら実感しました。

Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 3 7, 2005 10:12 | TrackBack (0)

巴里の空

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下を向いて歩いていたら、空が見えました。
『ドキ』っとして、
本物の空を見上げた、そのときの写真。

Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 27, 2005 9:55 | TrackBack (0)

改修工事

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先日、去年からはじまった事務所内の改修工事が終わった。
模型室のぼろぼろなった床や壁を剥がし、
表面を平滑にし、白と灰色のペンキを塗っていくというもの。

写真は工事中ではなく、完成した状態。

長い年月の間に何度も改修されているこの部屋には
過去の痕跡が昔の窓枠や扉の建具として残っている。
これらの目地が徹底的に消去されることで、
室内は起伏のある一枚の表面のように仕上げられる。
そこでは、
天井についているはずの『蛍光灯ユニット』が一方の壁に無造作に立てかけれら、
もう片方の壁を、居住空間には使われない『工事用照明』が照らしている。


それだけの事なんだけれども、
これらの『ズレ』の集合が
一般的に『ホワイトキューブ』と呼ばれるものとは決定的に異なる
『抽象的』な空間を生み出している。

普段、慣れ親しんでいる場所が変化したので
特別に気になっているだけかもしれないと思いつつも、
『おもしろい空間』を大掛かりな操作を施さずに作ることは可能なんだなーと
改めて実感する。

現在は、この場所には大きな机がひとつ置かれ
そこで、JAKOBとMACFARLANEがひたすらスケッチしています。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 24, 2005 8:51 | TrackBack (0)

新年

プロジェクトの締め切りを複数抱えていたので
(コンペと、実施設計などなど)
新年最初の書き込みが今日になってしまいました。

今年もこんな速度(週一回程度)での書き込みになりますが
よろしくおねがいします。

Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 17, 2005 9:52 | TrackBack (0)

Joyeux Noel 

これが今年最後の書き込みとなります。
このHPへの書き込みの機会を与えてくださった
高宮研究室の皆様。
特に、SHINYAさん、SIMONさんありがとうございました。

僕は明日からエジプトに発ち
新年はあちらで迎えます。
その報告は年明けに。

それでは、皆様。良いお年をお迎えください。

Bonjour Madames Mesdemoiselles et Messsieurs.

Je vais partir en EGYPTE !!!
Et je vais feter la novelle annee la bas.

Joyeux Noel et bonne annee 2005!!!
Bon VACANCE!!!

Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 25, 2004 14:13 | Comments (1) | TrackBack (0)

DES HALLESコンペの速報

出社前にラジオを聴いていたら
巴里中心の繁華街DES HALLESの国際コンペは
DAVID MANGINが勝ち取ったようです。

参加者は彼以外に、クールハウス、ジャンヌーベル、MVRDV。
建設は2007年からオリンピックがある(かも知れない)2012年まで。
フランスでもっとも注目されているコンペだたのですが
彼に決まったのは意外です。

しっかりした情報は改めて。
出社前なので取り急ぎ。

Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 16, 2004 17:12 | Comments (3) | TrackBack (0)

巴里のイルミネーション

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12月に入り、巴里でもクリスマスイルミネーションが始まった。
久しぶりに街をブラブラしながらこれを見に行く。

写真は
Galeries Lafayette 内部
Printemps 外観
Galeries Lafayette 外観
巴里市内
Chanms Elysees

巴里は東京に比べて、都市空間・室内共に明るさが半分くらいしかない。
クリスマスイルミネーションも、本場ヨーロッパより
東京のほうが圧倒的な光量を使っている。

競い合うように輝く東京のイルミネーションも好きだけれども
都市の中で要所々々がささやかに輝く
巴里のイルミネーションも味があって好きです。

Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 6, 2004 23:32 | TrackBack (0)

古谷誠章氏来仏

・24日
建築家で僕の恩師でもある古谷誠章氏がUNESCO/UIA会議出席のため、来仏なさった。
これを機に古谷研究室のパリ会が開かれた。
というのも現在、
−AJN勤務なさっていて最近母親になられた山添なおりさん
−坂茂パリ事務所に勤務する岡田大海さん。
ラビレット建築大学に交換留学している伊藤玲央くん。
−僕
の早稲田大学古谷研出身者・在籍者4人がパリにいるからだ。

古谷さん自身がスイスで修行されているんだけれども、それが理由なのか
うちの研究室は毎年一人の割合で海外に就職する人がいる。
そして現在、なぜかその人々がパリに集中している。

デザインにおいて、最近あまり元気がないフランスだが
やはり「パリはヨーロッパの中心」ということなのかもしれない。

Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 29, 2004 1:25 | Comments (2) | TrackBack (0)

BECHERの写真

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・18日
毎年11月の第三木曜日に解禁されるワイン・ボジョレーヌーボー(Beaujolais nouveau)を飲む。
日本のように大騒ぎにはなっていないが、レストランや惣菜屋に行くと
店員さんがさりげなく勧めてくれる。
僕も平日の昼食にこれをさりげなく飲む。
このさりげなさ。さすが、ワイン文化が充実している。

日本でのボジョレーやスターバックスの熱狂は、
ワイン文化やカフェ文化の成熟度の違いを表している気がする。
それを証拠に、元々カフェ文化があるパリでは、スターバックが入り込む余地が無く
観光客エリアに二店舗しかない。

・20日
Center pompiduで行われているBERND ET HILLA BECHER展へ。
時代、国籍、文脈が異なる一つの『工業建築・設備』を同じ視点で撮影し、
即物的な『もの』でさえも、それを取り囲む時代や状況によって
様々に変化するということをあらわにするタイポロジー(Typology)。
BERND ET HILLA BECHERはこの技法で有名なドイツ人写真家。

今回の展覧会では下記の10作品が展示されていた。
給水塔(Chateaux d’ eau)
冷却塔(Tours de refrigeration)
ガスタンク(Gazometres)
縦坑(Chevalements)
加工工場(Usine de traitement)
砂利倉庫(Gravieres)
炉(Fours a chaux)
穀物サイロ(Silos a cereales)
石炭サイロ(Silos a charbon)
溶鉱炉(Hauts fourneaux)
パイプ群の詳細(Details)
生産工場(Halles de production)

光が均等に当たる曇りを選んで撮影された写真群からは、
正面のアングルとも相まって
グラフィックデザインのような二次元的印象を強く受けた。
被写体は形態が似ているのにも関わらず、
そこに張り付く「素材」や「スケール」が様々に変化しているので
まるで3Dグラフィックのマッピングスタディーを見ているよう。

「特定の素材が連続していく」という『工業建築・設備』に特有の『表面』構成は、
一般的な「建築」のデザインに適用できる十分な魅力を持っている。
(※写真は展覧会カタログの写真)

Architecture Space / 建築, Art / 美術, Event Lecture / イベント, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 29, 2004 0:56 | Comments (3) | TrackBack (0)

Centre de communication pour RENAULT

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仕事でCentre de communication pour RENAULTの現場へ。

フランスの自動車会社ルノー(RENAULT)が展示・会議・その他催し物を行う施設。
設計競技によって獲得した仕事で、元々あるルノーの工場を改修することで作られます。

既に世界中の建築本や雑誌に取り上げられているので
ご存知の方も多いかもしれません。

我々の計画は、工場の『ノコギリ採光天井』が持つ魅力を最大限に生かし
改修後に作られる諸室群全てを、この『ノコギリ表面』の拡張形態として構成すること。

規模や性質によって、『ノコギリ表面』と各諸室の関係性は変化し
これによって多様性のある空間群の構成を可能としている。
中央の『ガランドウ』空間では、工場が元々持っていた
ダイナミックなスケールを体感することができる。

完成は12月末の予定です。

敷地はパリの外れにある、ルノー地帯と呼ばれるルノーの施設が集まる場所。
その地域は現在、パリの一大文化再開発地区になろうとしていて、
すぐ近くには日本人建築家・安藤忠雄さんの美術館などが建設予定。

元々高級住宅地のであるこの一帯ですが、
この開発によってさらに地価が上がったらしいです。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 18, 2004 23:10 | TrackBack (0)

かみのけんちく

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リクエストにお答えして・・・・・・・・・坂茂さんの事務所情報を。

外観はこんな感じです。
ガラス越しだから上手く撮れませんでした。

場所はレストラン「george」と最上階の展示室をつなぐ廊下に面した
中庭に設置されています。

内観は・・・・・ごめんなさい。プライベートスペースなので記載できません。。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 15, 2004 22:34 | Comments (7) | TrackBack (0)

「紙」と「お寿司」と「浮世絵」と

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・ 10日
坂茂パリ事務所の岡田君に誘われて坂事務所見学へ。
Center pompiduの最上階にはjakob+macfarlane設計のレストラン「George」が。
それを横目に進んでいくと仮設テントとして設けられた事務所が見えてくる。
建物は坂茂さんの「ブランドロゴ」となった紙管による構造。
断熱材に薄い発泡スチロールを使っていて、夜になると光が透けてとてもきれい。
「設置場所」も、「日本人による紙建築」であるということも含め
この建築自体が展示物と化していました。
さすがポンピドーセンター。色々なことがかなり戦略的です。

・ 14日
事務所のみんなを招待して、手巻き寿司パーティー。
早朝に市に買出しに行った甲斐あってかなり好評。

・ 15日
Galeries Nationales du Grand Palaisで行われている「Images du monde flottant」展へ。
Images du monde flottantとは、絵・世・浮。つまり日本の浮世絵の展示です。
フランスで見る日本の展示は何か不思議。
展示よりもフランス人の反応に興味が向いてしまう。

すごい量の浮世絵をまとめて見るのは今回が初めて。
西洋絵画は、あるテーマ(例えば「受胎告知」)に沿って全ての要素が構成されている。
それは絵画の中に一つの(「時間」とも呼べる)物語が存在している。
一方、(特に多人数が描かれた)浮世絵の画面では、ある者は歌い・踊り、ある者は決闘し
そしてあるものは寝ていたりする。
つまり、画面の様々な部分にそれぞれの物語(「時間」)が流れている。

表現方法としては、物の大小関係・位置関係、記号的表現など、
やはり西洋的絵画とはかなり違ていることを再々確認。
とくに、勝川春潮が描いた「EDOcho dans quartier de YOSHIKAWA(江戸よしかわ地区/正式名称不明)」
が興味深い。
道沿った幾つかの建物があって、全ての建物はそれぞれの消失点をもった遠近法で、
道をまたぐ門はアクソノメトリックで描かれている。
先日見た歌舞伎の舞台装置にもった感想と同じで、遠近感が曖昧に設定されているから
見かたによって遠近関係がかなり変化してくる。
無自覚にこの操作を行っているんだろうけど、ホルバインの絵よりやってることが面白い。

そういえば浮世絵も歌舞伎も江戸時代に起源を持つものですね。
この表現は時代によって共通に埋め込まれた表現形式だったのかも知れない。

写真は自宅近くで建設が続くJean Nouvel設計のmusee du quai branly
散歩中に撮影したもの。
壁面の植物が異様で魅力的。

Architecture Space / 建築, Art / 美術, Event Lecture / イベント, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 14, 2004 23:10 | Comments (2) | TrackBack (0)

「演じること」/「観察すること」

巴里で10月9日から22日にかけて
「市川海老蔵」の襲名公演が行われました。
それにあわせて多くの歌舞伎役者さん、スタッフの方々が
日本からいらっしゃったんですが、
今回、片岡市蔵さんをアテンドするという機会に恵まれました。

僕が参加するプロダクトレーベル「TOM products」からその大役を授かったのですが
実は「片岡市蔵襲名記念品」を「TOM products」が手掛けていたりしている。

アテンドさせていただいて感じたのは、非常に鋭い洞察力の持ち主であること。
僕の解説に対してそれをより発展させるようなご質問を常にいただいたことです。

さすが「芸を極めている方」。
「演じること」とは、つまり「演じる対象を鋭く観察する」ことに他ならない。

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Paris / パリ, 映画・演劇 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 1, 2004 10:17 | TrackBack (0)

坂口恭平さんとお会いする

美術家の坂口恭平さんとお会いする。
坂口さん自体自分の職業が何であるのかわからないというので
とりあえず「美術家」と呼ばせていただくことにする。

彼の代表作は
東京の浮浪者の家をガンガン撮影し続けた写真集「0円ハウス」
貯水タンクの中で生活する彼自身を撮影し続けた「貯水タンクに棲む」
などがある。

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彼は早稲田大学建築学科石山研究室の卒業生なのですが
高校時代から建築に対する情熱が物凄く、石山修武に会うために
早稲田に入ったという人物。

お話をしていて「建築を愛する」と言う情熱を物凄く感じました。

現在、彼は「建築ど真ん中」というよりも、「建築の周縁」の活動を行っている。
建築を愛しすぎるがゆえに、その中心に触れることに対する恐怖が
彼を「建築の周縁」へと向かわせている気がします。
彼は否定していましたが。

そんな彼もいつか建築を作りたいらしい。
そのお手伝いができれば、大きな刺激を与えてもらえる気がしました。

建築のどのような「周縁」をついてくるのか?
次の作品が楽しみです。

Art / 美術, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 1, 2004 1:30 | TrackBack (0)

「東京」と「パリ」を往復した一日

■僕の自宅で夕食・兼映画鑑賞会。

映画は「LOST IN TRANSLATION」。
Sofia Coppolaの最新作で、日本ではまだ映画館で公開しているらしい。

この映画は僕の中で特別の映画作品である。
なぜかと言うと、事務所の仲間や海外で出会った人々が
僕が「東京」から来たというと必ず「ダイスケは見たかとがあるか?」聞かれる映画だからだ。

「東京」に行ったことがある無に関わらず、彼らにとっては
この映画の中の「TOKYO」が「東京」であるようだ。

見ていて思ったのが、Sofia Coppolaが大都市・「東京」の「孤独感」しっかり見抜いていること。
−女性主人公が大都会を見下ろしながら涙する孤独感。
−「トンチンカンな通訳」によって、話し合っているのに、本質的には分かり合えていない会話。
−ホテル(海外)では声を掛けられるのに、街(東京)に出ると誰にも気づかれない匿名性。
など。

これらは、普段「東京」に暮らしている僕らの胸に、「ふっ」とした時に染み出てくる感覚だ。

Sofiaは東京が好きで、年に何度も「東京」に来るらしいが、
彼女は東京の暮らしが持つ「表」と「裏」を理解しながら「東京」を「愛している」気がする。
「恋している」という感覚のほうが近いのかもしれない。

各シーンで、少々大げさな表現もあるが、外国に暮らしてみると
外国人の心の中に切り取られている「TOKYO」を生のままで表現するとこうなると思う。

僕はこの映画で、アルファベットの「TOKYO」を眺めながら
漢字の「東京」に里帰りすることが出来た。

映像としての「東京」ではなく、心象としての「東京」を。


■「東京」に里帰りした後は、PARISで開催された「NUIT BLANCHE」へ。

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パリ市庁舎、オペラ座、国立図書館、ノートルダム、ポンピドーセンターなど、
パリを代表する施設郡が一晩中開放され、様々なイベントが開催されるというもの。

一番面白かったのが、パリの老舗百貨店「Printemps」で行われた「Creme de Singe」。
いつもと変わらず電気が煌々と点灯し、エスカレータが動き、商品が並ぶ店内。
ただ一つだけ違うのは、「人間」の変わりに二匹の「さる」店内を歩き回っていること。

彼らは各階をさまよい、好きな商品を手にし、たまに休憩する。
それをショーウィンドウに設置された数台のカメラで眺めるというもの。
愛らしい「さるたち」の行動に、思わず笑ってしまう。

彼らの行動は服を脱いだ人間のように、「買い物をする人間」の動き再表現している。
しかし、これを撮影しているのは店内の監視カメラであるということに、ある時気づく。

どこに居ても映し出される「サル」の映像は、
「買い物をする人間」が常に監視されている事実を再表現しているともいえる。

ふっと笑った後に、少し背中が寒くなる作品だった。

「NUIT BLANCHE」全体の感想としては、全てのイベントがまだリンクしていないという状態。
あと5年続いたら成熟するのかなと思う。

それにしても、パリは都市全体の自覚的な演出が非常に上手い。
東京の自然発生的な魅力も僕にとっては十分に心地良いのだが、
組織的な都市の魅力を志向するパリの意識には頭が下がる。

LOST IN TRANSLATION」と「NUIT BLANCHE」。
「東京」と「パリ」を往復した一日でした。

Art / 美術, Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市, 映画・演劇 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 11, 2004 7:51 | TrackBack (0)