ジャパニーズ・スマイル
現在開催中のベルリン映画祭のコンペティション部門に出品している、ペンエーグ・ナッタアルナーン監督(タイ)『Invisible Waves』のレッドカーペット映像+プレスカンファレンス映像を見ました。【映像はこちら】
■『Invisible Waves』プレスカンファレンス登場の面々
ヴァウター・バレンドレクト(プロデューサー)
クリストファー・ドイル(撮影監督)
浅野忠信(俳優)
ペンエーグ・ナッタアルナーン(監督)
光石研(俳優)
プラープダー・ユン(脚本)
マイケル・J・ワーナー(プロデューサー)
アナトール・ウェーバー(司会)
ナッタアルナーン監督がカンファレンスの冒頭で言ってるように、クリストファー・ドイルと浅野忠信と、脚本のプラープダー・ユンは『地球で最後のふたり』(03年ベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門で浅野忠信が最優秀男優賞を受賞。監督が言うには「興行としては失敗だった」)でチームを組んだ仲なので、全体的に仲良しムードが漂う。
クリストファー・ドイルが爆弾発言を連発し(まあそれは彼のキャラなんだけど)、その中にも辛らつなシニカルさが含まれているため、会場は爆笑しつつも、なんとなくピンと張り詰めた緊張感があって、記者たちがなかなか質問し辛い様子。
ドイルがギャグで茶々を入れるので、真面目に答えたいナッタアルナーン監督はかなり苦戦していました。浅野忠信に対する「どうして髪の毛を長くしてるんですか?」とかいう下らない質問が出たところから会場の雰囲気がヤバめになり、記者たちと『Invisible Waves』チームとの間に溝が出来た印象。後半は逆にドイルが記者たちに対し、もっと核心的なことが聞けるように質問を投げかけて誘導していた面もあり、ずいぶん持ち直していました。
カンファレンスでは全員が英語で話すなか、浅野忠信と光石研だけは日本語で喋っていました。浅野忠信に至っては「役を演じたなかで、難しかった点を教えてください」の質問に、「撮影中も混乱してて、いまも混乱してるので……勘弁してください」とか、「これみんな僕の言ってること分かってんのかな? ……こんにちは」とか言う始末。これは普段からものすごいシャイな彼のキャラなんだけど、ちょっとどうにかならないかなあと思いました。会場には微妙な間が漂う。
光石研はわりとハキハキと答えていたものの(もちろん日本語)、彼が歌を歌うシーンを再現してくれとのドイルからの(笑)リクエストに、かなりモジモジしたあげく「……勘弁してください。映画を見て下さい」の返事(これくらいなら英語でも言えると思うんだけど)。ここでも会場に微妙な間が漂っていました。
フォーラム部門に出品している船橋淳監督『Big River』でも、上映後のQ&A(フォーラム部門はプレスカンファレンスがないので映像は見れず)で主演のオダギリジョー氏が、帽子を目深にかぶってずっと下を向いていたとか。会場から出た質問にほとんどまともに返事ができなかったようです。
なんていうか……残念です。オダギリジョー氏もそういうキャラだっていうのは充分わかっているんだけど、国際映画祭ってそういうものではないんですよね。お祭というだけでなく、世界にフィルムを売る大事な場でもあるわけです。普段はとてもシャイなガエル・ガルシア・ベルナウだって、主演したミシェル・ゴンドリー監督『The Science Of Sleep』のカンファレンス(これも面白かった。ミシェルは変わってるなあ)ではものすごい聡明に、パーフェクトな英語で答えていました。
しかしこれが日本の国民性と言われれば……私にはワカリマセン。
で、いちばんショックだったのは『Invisible Waves』のプレスカンファレンス映像内のワンシーン。カンファレンスに移る前に、会場前で写真撮影があるんですね。撮影が終了してみんなで会場へ移動するんだけど、クリストファー・ドイルだけ残ってワイングラスを片手に記者たちと談笑していました。
そんななか、ドイルの姿を撮ろうと、どこかの記者が大きな声で「Japanese smile!」と叫び、その場にいたみんなが爆笑したのです(その時、すでに浅野忠信も光石研もいなかった)。
あー、そうだよね日本って、と思ってなんだか悲しくなりました。世界の中での日本の位置って、そんなもんだよなあと。 その後にプレスカンファレンスの映像を見たもんだから、さらにナーバスになってしまいました。浅野忠信大好きだけど……。
もうこうなったら見知らぬ外国人の前では絶対笑わないようにしようと思いました。というのは冗談にしても、それくらいナーバスになるよなあ……この言葉って。
ちーねま | Posted by at 2 16, 2006 17:01
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