草間彌生・長島有里枝

「草間彌生 永遠の現在」
新作中心の「クサマトリックス 草間彌生展」に続き,今回は初期の作品も交えた回顧展.展示されている作品は代表作ばかりで必見だが,展示空間が狭いため,やや窮屈な印象なのが残念.この展示は東京からスタートする巡回展で,サブタイトルを変えながら,「永遠の現在」「魂を燃やす8つの空間」「無限の大海をいく時」「魂のおきどころ」と続く.出展作品や展示構成も会場毎に変化するらしい.その出展作品すべてを納めたカタログが出色.中島英樹氏のデザイン,ホンマタカシ氏によるポートレートもよい.このカタログを買うためだけにでも行くとよいかも.
「木村伊兵衛展」も同時開催.こちらは,日本近代写真の古典.

「長島有里枝展 Candy Horror」
様々なサイズの新作約30点による個展.オープニングには,浅田彰氏も来ていた.会期中イベントとして,モデルを募った撮影会を開催.申し込み方法はこちら.他人を集め,疑似家族写真を撮るという作品のためとのこと.
同時にNADiffでは,「not six」という最新写真集を中心とした個展も開催.

湯島の人々

湯島もみじに関わった人々の展覧会が相次いで開催.

「life/art '04」
中村政人さんが参加しているグループ展の4年目.SHISEIDO GALLERYで開催.今年は永芳リライブプロジェクトを紹介.須田悦弘氏も参加している.

「MUMI クリテリオム61 嵯峨篤」
嵯峨篤さん水戸芸術館のクリテリオムに登場.本人曰く,また磨いているらしい.現代美術ギャラリーでは「まほちゃんち」が開催.

また,湯島もみじ「Archi+Decor」No.2に掲載されている.

We wish you a Merry Christmas and a Happy New Year.

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震災後に初めて長岡リリックホールで行われた,市民吹奏楽団によるコンサートの前座として行われた,ロビーコンサート.

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長岡市内の仮設住宅.後ろの高架は,現時点では不通の上越新幹線.仮設住宅の通路は,入口が向き合った側が広く,反対側の窓が向き合う側はやや狭い.入口に案内図.左上のやや大きい建物が集会所.青いところは駐車場.

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関越高速から見た仮設住宅.十日町付近.

ニュータウン@nagaoka

もちろん,これはニュータウンではない.一見すると同様な配置であるが,建設の意図が大きく異なる.長岡駅から徒歩15分くらいのところにある仮設住宅.山間部で被災した人たちが暮らしているらしい.

がんばってます@nagaoka

いつもと変わらぬ風景@nagaoka

山間を走るバスの車中から,仮設住宅や,家の屋根を覆うブルーシートが見えた他は,普段と変わらなく見える長岡の街.昨日の講演でのぽ氏曰く,反省する大建築家の作品も変わらず建っている.しかし,よく見るとエントランスの取り付きに段差あり.もちろん,地震によるもの.他には大きな被害はなかったそうだが,やはりそれほど,相も変わらぬわけではなかったらしい.

地震のあとで@echigoyuzawa

地震のあとで,初めて長岡に向かう.この写真は越後湯沢駅から出る代行バス.依然として新幹線が不通のため,乗り換えなければならない.

1000000万人のキャンドルナイト

「1000000万人のキャンドルナイト」が冬至の21日に行われます.冬至にもやっているのは知りませんでした.20時から22時まで,電気を消して,ロウソクの灯りで過ごしましょう.

コラボレーションという名のエクスキューズ

「アジアン・フィールド」を見た.アントニー・ゴームリー氏による,旧都立高校の体育館を会場とした巨大なインスタレーション作品.教室で使われていたと思しき椅子と机が並べられていて,それが体育館を別の場所に見せてしまう働きを持ってしまい,少し余計な気がした,素焼きの微妙な色の違いを完璧にコントロールした,アーティストによる配置だけで十分な気がする.入口に展示されている,粘土像とその作者の写真もおもしろい.
受付に置いてあった「毎日新聞」(だったと思う)の本展を紹介する記事に,中原佑介氏の文章が用いられていた.《コラボレーションという考え方には,創造する人間があり,その人間によってつくりだされた作品を鑑賞する人間がいるという二極構造の通念を壊す要素が存在していると私は思います.》「芸術の復権の予兆」『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003』(現代企画室)
もちろん,『アジアン・フィールド』は(中国における)壮大なコラボレーションによる作品である.しかし,一方で,コラボレーションが単なるエクスキューズでしかない作品が増えてきていることもまた事実ではないだろうか?

全国のサッカーファンへ(もしくは全国の構造ファンへ)

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『スタディオ・オリンピコ』(1960)
ASローマとラツィオのホーム.ローマオリンピックのメインスタジアムとして建設され,ワールドカップ対応として90年に座席と屋根が増築.その屋根の構造をJ&P.ズッカーが担当した(らしい).先端のリング状のケーブルを締めることにより,屋根を保持している.

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『アルテミオ・フランキ』(1932)
フィオレンティーナのホーム.P.L.ネルヴィの処女作.キャンチレバーの屋根もいいが,スタンド裏にあった螺旋階段が美しい.階段自体とそれを支える梁によるダブル・スパイラルという不思議なもの.しかし,スタンドを支える梁も柱も細く,おまけにスタンドの鉄筋が露出しているところも垣間見え……。

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『アリアンツ・アリーナ』(2005)
将来のFCバイエルン・ミュンヘンとTSV1860ミュンヘンのホーム.H&deM設計のワールドカップ用スタジアム.アウトバーンから工事中の様子を遠目に見ただけなのでなんとも言えないが,よくなさそう.フッ素樹脂ETFEフィルムによる膜構造.この膜は日本製なのに,日本では法的に使用できない優れもの.

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『ミュンヘン・オリンピアスタジアム』(1972)
現在のFCバイエルン・ミュンヘンとTSV1860ミュンヘンのホーム.ミュンヘンオリンピックのメインスタジアムとして建設され,74年のワールドカップでも決勝戦に使用.ギュンター・ベーニッシュとフライ・オットーの設計.アクリル屋根による力ずくの造形.ベッケンバウアーが,こんなモダンではないスタジアムは使わないとか言ったとか言わないとかで,アリアンツ・アリーナが建設されることに.敷地内には,J.シュライヒ構造によるスケート場もあり,近所のBMW本社前では,コープ・ヒンメルブラウのBMWミュージアムが建設中.

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『ゴットリープ・ダイムラー・シュタディオン』(1933)
VfBシュトゥットガルトのホーム.74年のワールドカップでも使用.93年にJ.シュライヒによって屋根が増築された.06年ワールドカップでも使用.ローマと同様な構造形式だが,こちらの方が軽快で,屋根より上に外側のリングが出ているところが特長.目の前にUNスタジオの現場(オフィス?)あり.

/04

坂本龍一氏のニューアルバム『/04』(スラッシュ・ゼロヨンと読む)がリリース.CM曲,映画音楽や過去の曲など,ベスト版的な内容.ただし,24年も前の曲をピアノ8台分の多重録音で収録するなど(本人曰く,「ピアノ・オーケストラ」),全く新しい作品.sitesakamotoでは,本人による全曲解説あり.

鉄板

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『キョロロ』写真コンテスト参加.
何れも錆びた鉄板に見える手塚貴晴+手塚由比+池田昌弘3氏の『「森の学校」キョロロ』と遠藤利克氏の『足下の水(200m3)』.誰が考えたのか,これが並んで設置されている.一方は建築作品で,見えている鉄板は外壁であるとともに構造体である(らしい).一方は美術作品で,見えている鉄板の下には容積200m3の水がある(らしい).鉄板が構造体であったり,鉄板の下に水が入っていたりすることがどうやら重要なようだが,見ただけではわからない.もしかすると,構造体になんかなっていなかったり,水なんか入っていないかったりするかもしれない.いや,そうでなければ,構造体であったり水が入っていたりする鉄板が,構造体でもなく水も入っていない鉄板とどのように違うのか? それが問題.

舞城最新作?

舞城王太郎の最新刊『みんな元気。』の刊行を記念して,山手線沿線の書店店頭における意味不明なキャンペーンが行われている.「バラバラPOP漫画 on 山手線」というもの.舞城の最新作ということになる.地図上の右の方は見に行けそうだが,左はちょっと遠い.近所に用事があって行った方,舞城作のPOPを写真に撮って送ってください.ご協力お願いします.

更なるこの美術館が用意する組み合わせ

「COLORS:ファッションと色彩 VIKTOR&ROLF&KCI」「小沢剛:同時に答えろYESとNO!」(森美術館)の2つを見た.相変わらずの森美術館による2つの展示と展望台の抱き合わせ販売だが,今回は更にCOLORSを見ないと小沢が見ることができないシステムに発展.
小沢は期待通りの大個展.趣味に合わない人も多いかもしれないが,1つずつ丹念に見ていくと巧妙な仕掛けが理解できるはず.意外だったのがCOLORS.これがおもしろかった.展示品もともかく,シンプルでありながらもかなり質の高い(お金の掛かった)全体のインスタレーションは見物.これがまた小沢のチープさとあまりにも対照的で笑える.その意味では,今回の2つのセットは観光客たちがどちらか(きっと大人はCOLORS,子どもは小沢)に反応するであろうということでは大成功.一見の価値あり(あまりにも入場料が高いけど).しかし,さすがに今回は展望台には見向きもせずに帰ってきた.
それから,出口への質(たち)の悪いみやげもの屋のような動線には閉口.あれはどうにかなりませんか,森美術館?

例えば日本語を壊すとすると

三浦基さんの演出による『三人姉妹』を見た.原作はアントン・チェーホフの有名な作品.それは見事に壊れた日本語で演じられていた.簡単に言うと,完成した日本語を壊れた発声により演じることで,日本語を壊している.後は劇評をリンクするのみ.詳しくはそちらを読んでほしい(劇評はいずれも初演のもの).
現代演劇なんか見たことない人,普通の劇場にしか行ったことがない人.そんな人こそ行ってみてください.きっと楽しめると思います.
  劇評1  劇評2

Antony Gormley

「アジアン・フィールド」
アントニー・ゴームリーによる,旧都立高校の体育館を会場とした巨大なインスタレーション作品.

真下慶治記念美術館

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『真下慶治記念美術館』
設計:高宮眞介,川島茂,佐藤慎也
構造設計:アラン・バーデン,田尾玄秀

開館@murayama

今日は山形.真下オープニング.

言の問い

上野近辺数カ所で開かれる「サスティナブル・アートプロジェクト2004 言の問い」では,セキスイハイムM1・MRをフィールドとしたプロジェクトが展開.中村政人さんの作品も上野桜木空き地に展示予定.

横尾忠則・森万里子

「横尾忠則 in the bath」
会場であるSCAIをテーマとした新作ペインティング9点.確かに,ある意味ではサイトスペシフィック.

「森万里子 縄文 - 光の化石 トランスサークル」
どうしてこんなところで,こんな展示が行われているのかわからないが,普通はこんな時しか行かないところだと思う.植物園自体がよいところなので,天気のよい日にピクニック気分で行くとよいかも.11月7日には「テレビ美術館」で紹介あり.

牛腸茂雄・高木正勝・Noism04

「牛腸茂雄展 自己と他者」
『日々』,『SELF AND OTHERS』,『見慣れた街の中で』の3冊の写真集を全点展示.荒木経惟やホンマタカシ,HIROMIXを知っている今となっては,再発見を実感できる写真家.同時に立派な作品集が刊行されており,そちらに全点掲載されているので,展示もともかく,そちらは必見.

『wonder girl』
高木正勝氏が空間構成・音楽・映像で参加している,コンテンポラリーダンス.最終日は終演後に,舞台で使用した映像を無料で展示.

『black ice』
金森穣氏率いるNoism04の第2作.まつもと市民芸術館(設計:伊東豊雄氏)でも公演あり.

小学校と現代美術

磯崎新さんが『バス・ミュージアム』の発表とともに,「現代美術館のこと」というインタビューに答えている.《今となっては,第一世代の空間の中であろうと,第二世代の中でも関係ない.倉庫の中でもルイ王朝スタイルの部屋でもいい.場所の特定はしなくていいというくらいに現代美術のアーティストは拡張している.……ぼくとしては,この建物は本来の意図が実現していないんだけど,現代美術館にとっては関係のないことかもしれません.》(「GA JAPAN」55号) 単純化すると,「第二世代」は近代美術のための空間,「第一世代」はそれ以前,「第三世代」は現代美術となる.
たまたま近所の図書館へ行く道に迷ってしまったために,旧坂本小学校でやっている「Voice of Site」展に出くわした.これは,シカゴ美術館附属美術大学,スクール・オブ・ビジュアル・アーツ(ニューヨーク),東京藝術大学という3芸術大学の学生,卒業生,教員のインスタレーション作品による現代美術展だ.藝大大学美術館陳列館,gallery J2,旧坂本小学校の3会場を使って開催中.展覧会の存在は知っていたが,たまたま横を通らなければ見に行くつもりはなかった.
都内の廃校となった小学校を利用した現代美術展は,旧赤坂小学校の「日本オランダ現代美術交流展」(1996),旧原町小学校の「セゾンアートプログラム・アートイング東京2001」(2001)などを見たことがある.その他にも,「越後妻有アートトリエンナーレ」(2001,03)でも多くの小学校が使われていたし,アーカス・プロジェクトのように小学校自体をアーティスト・イン・レジデンスの恒久施設にしてしまったものもある.磯崎さんの言うように,現代美術が拡張しているとも言えるけれども,廃校となった小学校は,まるで現代美術のための1つのビルディング・タイプをつくっているかのようでもある.
実は坂本小学校の展示も,会期の早い午前中に行ったためか準備中の作品が多く,ほとんど見ることができてなかった.陳列館などもまだ未見であるので,時間があれば見てみたいと思う.今まで見た中では,坂本小学校の理科室に展示されている,大竹敦人の『光闇の器』が必見.ただし,天気のよい日に行くこと.