小学校と現代美術

磯崎新さんが『バス・ミュージアム』の発表とともに,「現代美術館のこと」というインタビューに答えている.《今となっては,第一世代の空間の中であろうと,第二世代の中でも関係ない.倉庫の中でもルイ王朝スタイルの部屋でもいい.場所の特定はしなくていいというくらいに現代美術のアーティストは拡張している.……ぼくとしては,この建物は本来の意図が実現していないんだけど,現代美術館にとっては関係のないことかもしれません.》(「GA JAPAN」55号) 単純化すると,「第二世代」は近代美術のための空間,「第一世代」はそれ以前,「第三世代」は現代美術となる.
たまたま近所の図書館へ行く道に迷ってしまったために,旧坂本小学校でやっている「Voice of Site」展に出くわした.これは,シカゴ美術館附属美術大学,スクール・オブ・ビジュアル・アーツ(ニューヨーク),東京藝術大学という3芸術大学の学生,卒業生,教員のインスタレーション作品による現代美術展だ.藝大大学美術館陳列館,gallery J2,旧坂本小学校の3会場を使って開催中.展覧会の存在は知っていたが,たまたま横を通らなければ見に行くつもりはなかった.
都内の廃校となった小学校を利用した現代美術展は,旧赤坂小学校の「日本オランダ現代美術交流展」(1996),旧原町小学校の「セゾンアートプログラム・アートイング東京2001」(2001)などを見たことがある.その他にも,「越後妻有アートトリエンナーレ」(2001,03)でも多くの小学校が使われていたし,アーカス・プロジェクトのように小学校自体をアーティスト・イン・レジデンスの恒久施設にしてしまったものもある.磯崎さんの言うように,現代美術が拡張しているとも言えるけれども,廃校となった小学校は,まるで現代美術のための1つのビルディング・タイプをつくっているかのようでもある.
実は坂本小学校の展示も,会期の早い午前中に行ったためか準備中の作品が多く,ほとんど見ることができてなかった.陳列館などもまだ未見であるので,時間があれば見てみたいと思う.今まで見た中では,坂本小学校の理科室に展示されている,大竹敦人の『光闇の器』が必見.ただし,天気のよい日に行くこと.

美術 |Posted by satohshinya at October 1, 2004 07:58 AM | TrackBack(1)
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