復興のデザイン – spiralの講演を終え / JP only

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昨日(2011年8月28日)の表参道スパイラルでの講演会では
拙い語り口ながら、数多くの方々が感想や質問をくださった。
本当にありがたいことです。

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計画の内容と合わせてお伝えしたかった事が主に二つあった。
・復興に求められているのは「繋がりのデザイン」である。
・建築家の「本当の職能」について。

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■復興に求められているのは「繋がりのデザイン」である。

僕らが進め、入居が始まった陸前高田の木造応急仮設住宅は、
住田町+住田住宅産業開発の「木造仮設住宅ユニット」がその中心である。
このユニットは地元住田町の技術と想いの結晶である。
「東京から来た建築家」が行ったことは、適切なインフラの取捨選択と
各住居の配置計画である。
ささやかなこの「配置計画」こそ、最適で最大のデザインだと思っている。

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今回の最終形として完成したこの仮設住宅地。
それは新築の集合体で有るのに、むかしからそこにあるような
集落の様な風景を持っている。
その集落「らしさ」は見た目でだけでなく、住人間に生まれるコミュニティーまでも
そうなるような「建ち方」のルールを埋め込んでいる。

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被災地も含め、地方には素晴らしい資源、人・もの・ことがあふれている。
それを外部の視点で評価し、再配置し、一体化する。
大がかりな何かを外から持ち込むのではなく、
客観的な視点で地方資源を「繋ぐデザイン」。
それがいま復興に求められているデザインだと思う。

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■建築家の「本当の職能」について。
「建築家」が関わると、デザイン性について語られがちですが、
本計画では、ハード(建築や家具など)を通じ、ソフト(人々や物の関係)を
構築することを目指しました。

この大きな震災を前に、多くの建築家たちは外で呆然としている人が多い。
それは、建築家達の真面目さが、逆に手を止めてしまうこともある。
一方で、社会が求める「社会性」とはかけ離れた場所で
「奇をてらった建築」を作り続けてきたことにも大きな原因がある。

本計画は今の「建築家」という肩書きにしては派手さに欠け、
関わり方も「横から目線」の地味なものです。
しかし、今回の様な「繋ぐデザイン」が多くの建築家が参加できるし
長期に及ぶ復興支援には必要なデザインだと思う。

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紀元前一世紀に、ローマの建築家ヴィトルーヴィウスが
名著「建築書」を書いています。
その頃、建築家は「建物」だけでなく土木、機械など
身の回りにあるものを与条件の必要に応じてデザインしていました。
「真新しいものを創造する」事も大事ですが、
与条件を的確に読み取り、デザインのスタイルだけでなく、その対象までも変化させる。
それが建築家やアートディレクターの本当の職能であると再認識させられました。


■プロジェクトデーター■■■■■■■■■■■
名称:陸前高田市の仮設住宅
場所:日本岩手県陸前高田市
戸数:60件
木造仮設ユニット開発:岩手県住田町+住田住宅産業株式会社
施工:住田住宅産業株式会社
マスタープラン:菅原大輔/SUGAWARADAISUKE + 原田勝之/ ARCHITECT LOUNGE
写真:太田拓実


http://sugawaradaisuke.com/
http://twitter.com/sugawaradaisuke

Architecture Space / 建築, Emergency Support / 災害支援, Urbanism_City / 都市, Works / SUGAWARADAISUKEの仕事 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 8 29, 2011 16:16 | TrackBack (0)

Speaker at “GS24” about temporary housing / “GS24” で仮設住宅

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I will be one of lectures at “GS24”, a 24 h all-night talking event about Groundscape between different professions,
異分野異世代が、24時間「景観」について語らうイベント“GS24
菅原がスピーカーを務めます。


Daisuke Sugawara from SUGAWARADAISUKE will present an on-going project “master plan for temporary housing at Rikuzentakata” with Mr. Shinichi Mizutani from “more trees”.
一コマ:T(ree)で、more trees の水谷伸一さんを迎え
[木造仮設住宅は日本をデザインする]というテーマでトークイベントを行います。


This is a project by Sumita-Jyuutaku-sangyo, supported by Daisuke and Mr. Masayuki Harada.
菅原が原田勝之氏と御手伝いした、住田住宅産業さんの
「木造仮設住宅マスタープラン」についても御話しする予定です。


GS24----------------------
Location : Homeikan, Hongo, Bunkyo, Tokyo http://www.homeikan.com/
Date : July 01, 2011 04:00 pm – July 02, 2011 04:00 pm
my term is 11am 02dn July.
Fee : 500 yen
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場所:東京文京区本郷 「鳳明館」http://www.homeikan.com/
日時:2011年7月01日16:00 – 02日16:00
   ※菅原のコマは02日11時より入場:GS会員および学生 : 無料一般 : 500円

Detail Info / 詳しくは>>
http://www.groundscape.jp/gs24/

http://sugawaradaisuke.com/
http://twitter.com/sugawaradaisuke

Architecture Space / 建築, Emergency Support / 災害支援, Event Lecture / イベント, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 6 16, 2011 20:41 | TrackBack (0)

Speaker at “Pechakucha Night Tokyo” / “Pechakucha Night” に出演

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Pechakucha Night Tokyo”-------------------------------

I will be one of lectures at “Pechakucha Night Tokyo”, a talking event with cutting-edge creators from different domains,
ペチャクチャナイト・トウキョウで菅原がスピーカーを務めます。


PechaKucha Night was devised in Tokyo in February 2003 as an event for young designers to meet, network, and show their work in public in hundreds of cities around the world, inspiring creatives worldwide.
世界400として繰り拡げられる異分野クリエータ-の集いペチャクチャナイト。


Daisuke Sugawara from SUGAWARADAISUKE will present the recent work “CELL” in PechaKucha Night#83. This is published by dezeen, FRAME and other international media.
第83回ペチャクチャナイト・トウキョウで菅原がスピーカーを務めます。
DezeenやFRAMEをはじめ、世界10メディア近く紹介されている
近作の「CELL」を発表します。


' PechaKucha Night Tokyo #83 '
Location : SuperDeluxe http://www.super-deluxe.com/
B1F 3-1-25 Nishi Azabu, Minato-ku, Tokyo 106-0031
Date : June 29, 2011 8:20 pm – 11:30 pm :
Fee :1000 yen
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場所:東京港区六本木 「スーパーデラックス」 http://www.super-deluxe.com/
時間:2011年6月29日20:20スタート
入場:1000円

詳しくは>
http://www.pecha-kucha.org/cities/tokyo


http://sugawaradaisuke.com/
http://twitter.com/sugawaradaisuke

Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 6 16, 2011 20:31 | TrackBack (0)

Refuge Temporary House & Lecture /仮設住宅マスタープランと報告会

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We support a refuge temporary house in Iwate prefecture
現在、住田住宅産業さんが進める陸前高田の仮設住宅で
マスタープランの作成に関わっています。


住田住宅産業さんは、坂本龍一氏などが支援するLIFE311と
連動した住宅メーカーさんです。
SUMITA-JYUTAKU-SANGYO is a local house maker certificated by FCS.
The company is the main member of LIFE311 arranged by more trees.


SUGAWARADAISUKEの菅原Architect Loungeの原田勝之氏が 共同で
本計画を進めております。
SUGAWARADAISUKE and Architect Lounge support their refuge temporary house with a master plan.


[Lecture/震災活動報告会]
SUGAWARADAISUKE is a guest speaker in an Earthquake talk at Nihon University, 8th Jun 2011.
Further info for lecture >> shinya satoh studio at Nihon university

また、日本大学建築学科震災報告会にパネラーとして参加し、
本プロジェクトを発表いたします。
ご興味のある方は是非足をお運びください。
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日時:6月8日(水)19:00?21:30
会場:日本大学理工学部駿河台キャンパス5号館5階スライド室1
入場:無料

19:00~19:20 八藤後猛先生(建築学科准教授)
被災地における調査について
19:20~19:40 今井隼星さん(横河研4年)
ボランティアで生まれる人のつながり
19:40?20:10 菅原大輔さん(SUGAWARADAISUKE主宰、若色研OB)
被災地における仮設住宅マスタープランの設計
20:10?20:20 休憩
20:20?20:40 島矢愛子さん(大川研M1)
被災地でのボランティアについて
20:40?21:00 mosaki(大西正紀さん、高宮研OB+田中元子さん)
せんだいメディアテークでのけんちく体操
21:00?21:30 ディスカッション、質疑応答


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http://twitter.com/sugawaradaisuke

Architecture Space / 建築, Emergency Support / 災害支援, Event Lecture / イベント, Urbanism_City / 都市, Works / SUGAWARADAISUKEの仕事 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 6 6, 2011 17:38 | TrackBack (0)

カンポ・バエザの建築 展覧会レポート

「ギャラリー間」 スペインの建築家、カンポ・バエザさんの展覧会が行われます。
菅原大輔が「ギャラリー間」web内、本展覧会レポートを行います。
アップは7月前半の予定です。

講演会も開催されますが、応募を締め切っています。

■名前 :カンポ・バエザの建築
■日時 :2009年6月25日-8月29日
■場所 :ギャラリー間
〒107-0062 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
■料金:無料

http://sugawaradaisuke.com/

Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, Urbanism_City / 都市, 海外 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 6 15, 2009 20:46 | TrackBack (0)

林試の森

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初めて林試の森に行った。
目黒区にある公園で開催されていた、「森のフェスタ」というイベントを
視察するため。
駒沢公園や代々木公園など色々な都心の公園は言ったことがあるけど
こんなに深い森が渋谷から遠くない場所にあるとは知らなかった。

沢山シャッターを切ったことを考えると、自然を観察することに
餓えていた自分に気づく。
森も沢ももう少しよく観察して、美しく心地よい空間作りに
繋げてゆきたいと思う。

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http://sugawaradaisuke.com/

※余談
そこで「動物生命尊重の会」言うNPOの活動に出会いました。
保健所で殺されてしまうペットを救う団体です。
自分が飼うときはこういう活動に寄与できればと思ったので上記リンクを残しておきます。。

Dialy / 日常, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 4 28, 2009 10:31 | TrackBack (0)

風景的演劇的感動

日本中が桜色に包まれた。

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都内を歩くだけでも桜は様々な風景を演出していた。

日本の風景が持つ四季の豊かさを再認識する。

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桜が提供するのは静的風景だけれども、感動形式はその短い瞬間を楽しむ、
動的な演劇的で熱狂的な感動に近い気がする。

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Dialy / 日常, Urbanism_City / 都市, 映画・演劇 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 4 6, 2009 15:05 | TrackBack (0)

講演会詳細が決まりました。

講演会のタイトル、ゲスト、形式が下記のように決まりました。

○○○建築サロンVol.52○○○

○タイトル:建築のvalue innovation

○ゲスト:佐藤 義孝 (Mccann Erickson)

○形式
・菅原のプレゼンテーション -社会の中でこれから「建築」ができること
・佐藤氏のプレゼンテーション -「建築家」にとってのバリューイノベーション
・ディスカッション

ご都合がつく方は出 欠:2/26(木)までに下記にご連絡ください。
原田宛(hisa.harada@mac.com

Architecture Space / 建築, Art Direction / アートディレクション, Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Urbanism_City / 都市, Works / SUGAWARADAISUKEの仕事 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 2 23, 2009 14:15 | TrackBack (0)

表現の違い=価値基準の違い

マーケティングや建築の提案書、デザインやファッション雑誌などの情報媒体の表現で、仏蘭西や英吉利などの欧州と日本との間に明らかな違いを感じる。

欧州では、美しい大判のイメージや図表がダイナミックに媒体を埋め尽くす。言葉による解説は見出しや数行程度の説明文に留まっている。 一方、日本もしくは亜細亜では、多くの小さなイメージや図表が所狭しと並べられ、引出線などと共に多くの説明書きが並ぶ。大型書店で日系出版社と欧州出版社の女性誌を見比べるとこの違いが一目瞭然だろう。

欧州の人はイメージや雰囲気を伝える視覚的情報を欲し、評価し、「もの・こと」を選択する手がかりとする。そのイメージが表現している雰囲気や空気感が全てであり、そこに全ての情報が詰まっている。イメージで伝達される以上の詳細情報は必要としない。いや、ここで伝達されない情報は存在しないといえるのかもしれない。それは正に「世界観の伝達」と言えるだろう。

日本の人は定量的な情報を欲し、評価し、選択材料とする。イメージや図版は詳細情報を追っていくための「目次」のようなものであって、そこで情報を濃密に伝達する必要性を感じていない。例えば日系ファッション誌の中で、モデルは横に添えられる値段や機能、性能などの情報を整理整頓するためにだけに振舞っている。主役はあくまでも文字情報であり、イメージ(この場合は写真)がソコソコでも、横に情報が追加されれば伝達される。ここでやり取りされるのは世界観などではない。正に「定量的な情報」である。

このような情報伝達手段の違いは「もの・こと」に対する評価の仕方の違いであり、両者の「もの・こと」のあり方にしっかりとこびりついている。

情報伝達とは一見関係のない河川整備をセーヌ川と墨田川であえて語ってみたい。
セーヌの川岸には手摺が無く、歩行者道は今にも水面に沈んでしまいそうな高さにある。それは明らかに危険である一方で、「親水性の重要性」や「自由で魅力的な空間の意味」を価値観としていることが情報として見えている。一方、墨田川沿いはどうだろう。高いコンクリートの堤防によって私たちの生活からは引き離され、最近出来始めた親水公園もしっかりとした手すりが付いている。そこには「親水性より水事故の防止」「~メートル水位が上がっても決壊しない」などの○×で判断できる定量的な価値観が伝わってきて「川と共にある都市」という世界観は全くない。

欧州をはじめ西欧諸国は彼らの「世界観」=「価値基準」を輸出し、これを貨幣のように世界中に流通させ続けてきた。この流通が彼らの「西欧世界」を目指す人々を増やし、西欧化させてきた。その中で彼らのイメージ至上主義的表現方法も強化されていったのだろうと思う。

一方で、現在日本の「定量的な情報」の表現はあまり優れているとは言えない。しかし、日本の伝統的な抽象画と文字が併記された色濃い表現と見せかけは似ていなくもない。でもその両者の決定的な違いは、絵と文字の抽象さが計算されつくしているか否かだろう。伝統的な表現は個々の「情報の受け手」に解釈の自由を与え、同時に受けての知識を求めた。

色々な意味で「西欧絶対世界」が崩れ、次の何かが探されている。そんな今だからこそ、現代日本人の表現方法を伝統的手法と合わせて再考し、これを同時に「価値基準」の解体と再構築につなげることが出来ればと思う。 それが、日本から世界に「もの・こと」を発信していくことになると信じているから。

「とはいっても、時間のかかる作業」だと改めて痛感する。 

Architecture Space / 建築, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市, | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 27, 2009 13:34 | TrackBack (0)

展覧会 Border Lines

菅原のpartnerの一人である Nathanael Dorentが率いるSpace for Human Rightsが
展覧会「Border Lines」を開催しています。

会場: nous gallery  / 5 Blenheim Crescent, London W11 2EE

会期: 11th November – 17th November 2008

「Border Lines」は、アート、ダンス、演劇、建築、都市など様々なカテゴリーを超越した展示内容となっています。 Space for Human Rightsは人権に対する問題定義ではなく、様々な専門家よる具体的な解決策を提示していく団体です。 社会問題とデザインをつなぐ試みでもあります。

菅原は日本展のキュレーターを務めます。

Architecture Space / 建築, Art / 美術, Event Lecture / イベント, My Partners, News / 新着情報, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 4, 2008 10:20 | TrackBack (0)

巴里イベント情報

菅原が在籍していたSBAEが会場構成を行っている
[JAPAN CAR-creations pour un monde sature]
が開催されています。
会場はParc de la vilette近くの Espace Condorcet Cite des Sciences et de L'industrie


Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 4, 2008 10:12 | TrackBack (0)

事務所の移転

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先週末、池尻から恵比寿に事務所の移転を行いました。

確認申請書類作成業務と引っ越しが重なったのでバタバタとしていましたが、
研修生の早稲田大学・野海さん、SBAEで研修をしていた和歌山大学の坂口さん、上田くんの
助けでなんとか終わらすことができました。
この場をかりてお礼を。

場所は恵比寿、代官山、渋谷の中間で、
歩いているとキャラクターもスケールもドンドン変化していく本当に面白い地域です。
事務所のすぐ近くは雑貨屋や服屋が点在し、安いバーもある。
SBAEがあった巴里のMalaisに「ラフさ」が似ていて、少し懐かしい。


何はともあれ心機一転、しっかりと仕事ができるよう努力してまいりますので
今後とも、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。


2-3-13-601, Ebisu-Nishi, Shibuya-ku, Tokyo,
JAPAN, 150-0021
T: +81.(0)3-6277-5627
E: suga-net@triton.ocn.ne.jp
H: http://www12.ocn.ne.jp/~suga-net/
B: http://tkmy.net/blog/personal/sugawara/

Dialy / 日常, Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 15, 2008 10:53 | TrackBack (0)

仏蘭西料理界の巨匠Alain Ducas

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仏蘭西料理界の巨匠Alain Ducasがプロデュースする
「Le Comptoir de Benoit」があり、オープニングパーティーに出席するために大阪へ。
彼と10分間話す機会を与えていただいた。
緊張しながらも、久しぶりの仏蘭西語を駆使して彼の巴里のレストランや建築のことについて話す。
思いのほか自分の頭に仏蘭西語が残っていて驚く。

場所は大阪駅近くにオープンしたサンケイビルによる複合ビルBreeze Breezeの最上階。
ビルの設計はChristoph Ingenhoven 氏
ガラスの使用を環境的な側面からとらえようとする建築家らしい。
透明感が変化するガラスの白いファサードが印象的。 ガラスと白の色使いが少しsannaっぽい。
自分も「ガラス使用と環境的配慮の融合」を狙っているいるが、
アウトプットがここまで自分と違うかと興味深く拝見する。

Alain Ducas氏の世界25店舗目、「Le Comptoir de Benoit」の料理と内装の印象はまたどこかで。

そのあと、駅前の富国生命ビル新築工事現場をみる。
このビルは仏蘭西人建築家dominique perraut氏の事務所に勤務する前田茂樹さんが担当している物件。 前田さんからは以前からCGを見せてもらっていたが、実際の敷地を訪れ実際の建ち方を想像してみる。

「Le Comptoir de Benoit」と富国生命ビル。
大阪駅前での仏蘭西人の動きは活発です。


Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 9, 2008 10:48 | TrackBack (0)

植物の生息圏

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金木犀の香りが町を包み込む季節になった。
僕が好きな匂いのひとつだけど、ひさしぶにこの香りがする町にすむ。

パリではこの匂いで秋を感じることはなかった。
植物の生息圏を臭覚で感じた瞬間だった。

Dialy / 日常, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 9, 2008 10:39 | TrackBack (0)

空の大きさ

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出張の車窓から、久しぶりに広い空をみました。
東京は特別な場所に行かない限り、背の高い建物がところ狭しと建てこんでいる。
道もくねくねと曲がっているので、大きな空を望める場所がない。

東京と巴里の空の大きさ差を再認識した時。

Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 4 23, 2008 14:02 | TrackBack (0)

コーンから世界遺産まで

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街を歩いていたら「擬木」ならぬ「擬石」を見つけた。
浅草寺の参拝者用通路へ車の乗り入れを防ぐ「車両進入禁止」のコーンである。 景観上、工事用コーンでは困るからなのだろう、結果として石「みたいな」コーンが選ばれたのだろう。 もしくは「石みたいだから車が恐れて直進していない」とでも思ったのだろうか?もし景観に対する配慮があるのであれば、木で組んだ標識に墨で書かれた気迫の文字「車両進入禁止」があったほうがよっぽど良かった気がする。外国人に人気がある観光スポットですら、ディズニーランド的景観感覚しか持ち合わせていない。 浅草寺の本堂や塔自体がコンクリート造作られていることを考慮すると、伝統的建造物もしくは景色に関するこのような景観感覚もいやもえないか。

このように、伝統的建造物に対する景観感覚を憂いていると、資本主義者ぶった人が経済の話を振りかざして対抗してくるだろう。 しかし、今直ぐしか有効でない短期的な利益を追うよりも、観光資源としての価値や快適性をなど長期的かつ多面的視野で試算されることを願うばかりである。

話を分かりやすくするために、コーンから世界遺産へ話題を拡大してみる。
世界遺産・平等院鳳凰堂の背景には高層マンションが建っている。 「浄土の世界に現世写り込む」といっても決して詩的には聞こえない。 このマンションは、開発業者や建設会社に確実に短期的利益を与えた。しかし観光資源としての長期的な利益を明らかに阻害した。さらには、周辺の土地が持つ付加価値さえも下げるだろう。

一時期は「東京の景色は世界的に類を見ないバラバラさが価値」などといって、盛んにその無秩序さを魅力として鼓舞する意見があった。 しかし、敷地内行われる建築所有者やデベロッパーの建築的暴狂は過度の自由を謳歌し、これによって日本の風景は醜悪化してきた。これに対して制定されたた「景観法」は評価されるべき流れだろう。 しかし、この法律の制定は日本の景観調整の第一歩である。 適切な運用には市民や企業の意識改革が必要だろう。 仏蘭西では、景観に対する責任と強力な権限を国持つ一方で、経済システムや市民の意識など様々なレベルでの景観意識もかなり強い。 「景観は公益である。」と法律の条文で謳っているいるくらいだ。

コーンから世界遺産まで脈々と続く日本人の景観感覚。 「景観法」という改革のきっかけを掴んだ今、この手強い相手に国民全員で向かって行きたい。

願いを込めて、先日見つけた初春の桜を・・・・
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Dialy / 日常, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 3 24, 2008 0:50 | TrackBack (0)

卵が先か、ニワトリが先か? 建築士が先か?日本社会が先か?

先日、一級建築士事務所を開設した管理建築士もしくは経営者を対象とした
「新規開設建築士事務所講習会」と言うものに行ってきた。

大きな柱は
1.設計事務所(一級建築士)の義務
2.設計事務所の管理と運営
3.設計・監理に関する紛争
講習の内容は、「業務をする時は契約すること」、「設計監理時に建築主に対して説明責任を果たすこと」、「適切な報酬をとること」を建築士法や経済の話と絡めて行われた。

これらは起業する者だけではなく、資本主義社会の中で報酬を貰う労働者にとっても当たり前のことだと思っていた。しかし、話を聞いていると日本の建築界では当たり前ではないのが実情のようだ。特に下記の二点において非常に未成熟な建築士の慣習に、同じ建築士として落胆した。

まずは、今でも「馴れ合い」や「信用」だけで設計業務を始めてしまう建築士が多いと言う点。
僕ら建築士は建築行為に対して責任と義務がある。つまり、大きい額の「建物」を適切に設計・監理しなければならないし、問題が起これば責任を問われる立場にある。 だからこそ、業務遂行において権限と責任を明確化することは重要であるし、それに対する報酬を示した契約書なしに業務をはじめてしまう建築士の気持ちがまったく分からない。 これは値段や内容も知らせずに、相手に商品を売りつけるようなものだ。また、自分の適切な報酬を設定出来ない建築士にいたっては、自分自身だけでなく、僕も含めた全建築士の能力を過小評価する行為で、非常に悲しいと思う。 資本主義の中で自分の技術や思想に値段を付けられない建築士が何千万も何億もする設計に携わる資格があるのかと、その資質を疑ってしまう。 業務終了時に報酬が支払われず、裁判所で争うにいたる事案がかなりあるようだ。 

もう一つ気にかかったのがリスクの不足説明。
建築物が一つ建つには、建築主、意匠建築士、構造設計者、設備設計者、各施工者という複数の人々の参加が必要だ。 それは2次元の図面を媒体に全員がこの情報を共有し、3次元の構築物を作っていく。 関わる人々それぞれが把握している情報量も違うし、3次元の完成像を創造できる能力も異なる。そんな状況の中では、色々なものを決定していく際に、異なる解釈が生まれる。特に、専門家ではない施主との相互理解不足は最大の問題だ。 建築に関する訴訟の大半はこれが原因だそうだ。 特に、リスクの説明不足は施主の「こんなはずじゃなかった」という思いを生むが、建築士は「施主の言った通りにしただけ」という理解になるらしい。 決定した設計事項に対するリスクと効果を説明しないと計画内容が施主に伝わらないし、さらには「設計行為」自体をブラックボックス化し、社会から切りはなしてしまうことにもなる。 一般客を取り込むために、銀行もいやいやながら金融商品のリスクを説明している。 建築士も「設計行為」を社会に開くために、その美しき効果だけではなく、リスクも合わせて説明するべきだ。

二点は一般的に当たり前のことだが、日本の建築界では徹底されていない。 このような基礎的内容が既に経営を始めている「新規事務所開設者」に対して行われたことが非常に悲しいし、この悪状況を非常に象徴的に表していると思う。

経済行為の中で建築士は自信喪失し、それが日本人の建築設計に対する報酬の軽視を後押ししている部分もかなりある。 まずは、建設の専門/非専門家に関わらず、質の高い建物や都市が出来る土壌を日本の経済活動の中で作っていく必要があると思う。

フランスから日本に帰る飛行機で、旅行客の団体をよく見かけた。
決まって言う。
「パリは良かったわ。何で日本はこうならないのかしらね。帰りたくないわー。」
一人の建築士は心の中で問う。
「あなたはパリの市民以上に何かを失っても街造りに参加する覚悟はありますか?」

Architecture Space / 建築, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 3 8, 2008 23:16 | TrackBack (0)

L’hopital Copgnac-Jay

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伊東豊雄さん設計、L’hopital Copgnac-Jayのオープンハウスに行く。
現場管理を行っていた高塚さんに地下階、一階、基準階をご案内いただいた。

巴里15区の一区画がその敷地。 中庭形式でその区画を囲うのではなく、
周辺に点在する隣地の庭を繋ぐように庭が配置されている。 
機能はがん治療、終末医療、自閉症の子供用施設の三つ。
街路に平衡しながら庭を挟むように薄い建物が配置され、
中庭に面して3つのボリュームがそれにへばりつく。

高塚さんが「借景しあう庭」と呼ぶ、敷地内を貫通する庭と
隣地の庭が作る視覚的な「大きな都市の森」は非常に上手く融合されていた。
これが敷地周辺の環境向上にかなり役立っている。
このように隣地の要素を操作対象としてとり込む計画は、
東京のように常に変化するアジアの都市では短期間しか継続しない。
まさに、強く、安定した町並みを持つ巴里/欧州ならではの計画といえるだろう。
8年に一度、隣接する家が建て替わる東京の住宅地で同じことをやっている
日本人建築家は、環境変化による空間の破綻をどう受け止め、どのように責任を取るのであろうか。

内部を歩いた印象は非常に日本的な空間であるということ。 
原因は窓の設定高さ。立った姿勢の視点やや上部から膝の少し上までと
非常に低く窓が切ってあって、目線が自然と下方に向き、庭を眺めることになる。
それはつまり、庭=季節を内部空間の構成要素として取り込むことを意味する。
庭は連続的でありながらも様々な性格の庭が用意してあるので、
各病室もそれによって色付きが異なっているのだろうと想像した。

最近考えている「予想できる素晴しい空間」と「予想できない新しい空間」の違いを見た気がする。 
現在ある技術、システム、素材を再編集、再構成して作る空間は予想が出来る素晴しい空間を作る可能性を秘める。
 しかし、どうなるか分からない、何が起こるかわからないが、
検討し、実験して生み出される予想できない空間というのもある。
僕が求めるのは明らかに「新しい空間」だと再確認した見学会であった。

最後に、高塚さんありがとうございました。

Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 29, 2006 8:01 | Comments (1) | TrackBack (0)

FRANCEZAPPA出版

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+日本語
仏蘭西のフリーペーパー『FRANCEZAPPA』。
2006年4月1日にその特別号である『AKI KURODA SPECIAL ISSUE』が出版されました。
私も参加させていただいておりますので、巴里にいらっしゃる機会がある方は是非御覧ください。
OPERAにある日本食レストラン、食材販売店、書店などで手にとっていただけます。

固定化された活動形態を持たない黒田アキ。
この特別号では業種を横断した創作者・執筆者が集まり、複合領域創作集団『FRAPON』の結成宣言号となっています。
参加創作者・執筆者
・黒田アキ(アーティスト)
・アリエマキ(アーティスト)
・オノデラユキ(アーティスト、写真家)
・小林康夫(東京大学教授)
・佐藤康司(服飾デザイナー)
・菅原大輔(建築家:Shigeru Ban Architects Europe / creator: atelier+.sugawara_daisuke )
・Jean-Pierre BIBRING(火星に水を発見したESA(欧州宇宙機関)プロジェクト/Mars Express主任)
・野村洋司(写真家)
・PatrickSABATIER(Liberation誌 副編集長)
・前田茂樹(建築家:Dominique Perrault Architecture)

+Française
Madam et Monsieur.
Il y a un journal gratuit en France, qui s'appelle FRANCEZAPPA.
1er avril 2006, Il y a le numéro spécial, ''AKI KURODA SPECIAL ISSUE''.
J'ai participé à ça comme artiste et architecte.
Si vous trouve ce magazin, trouve-moi s'il vous plât!!!
Vous pouvez trouve à le quartier OPERA.

Auteurs et créateurs
-Aki Kuroda (Artiste)
-Maki Arie (Artiste)
-Yuki Onodera (Artiste/Photographe)
-Yasuo Kobayashi (professeur de université Tokyo)
-Kouji Satou (Dessinateur de mode)
-Daisuke Sugawara (Architecte: Shigeru Ban Architects Europe / crèateur: atelier+.sugawara_daisuke )
-Jean-Pierre Bibring (Chef de projet de Mars Express : ESA)
-Hiroshi Nomura (Photographe)
-Patrick Sabatier (Directeur adjoint du journal LIBERATION)
-Shigeki Maeda (Architecte: Dominique Perrault Architecture / Studiomuoto )


+English
Dears
There is free magazine in France, FRANCEZAPPA.
FRANCEZAPPA ''AKI KURODA SPECIAL ISSUE', it was published in 1st April 2006,
I write the text and did graphic design.
If you find up this, Please read it.
You can find up this in Opera area of Paris.

Writers and Creators
-Aki Kuroda (Artist)
-Maki Arie (Artist)
-Yuki Onodera (Artist/Photographer)
-Yasuo Kobayashi (professor of Tokyo university)
-Kouji Satou (Designer of dresses)
-Daisuke Sugawara (Architect: Shigeru Ban Architects Europe / creator: atelier+.sugawara_daisuke )
-Jean-Pierre Bibring (Chief of Mars Express : European Space Agency )
-Hiroshi Nomura (Photographer)
-Patrick Sabatier (Vice-director of news paper LIBERATION)
-Shigeki Maeda (Architect: Dominique Perrault Architecture / Studiomuoto )

Art / 美術, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 4 7, 2006 8:52 | TrackBack (0)

JOURNEES DU PATRIMOINE

9月17、18日はJORNEES EROPEENNES DE PATRIMOINEだった。
これは、フランス国内の美術館や市庁舎をはじめとする公共施設が一般公開されるというもの。

僕は風邪気味と言うこともあり、CREDIT MUNICIPAL DE PARISと
LES BATIMENT DU CENTRE HISTORIQUE DES ARCHIVES NATIONALESを
同僚のPILIPPEとパパっと見た。
前者は巴里の質屋。後者は18世紀の貴族の館を現在歴史博物館として使っている。

LES BATIMENT DU CENTRE HISTORIQUE DES ARCHIVES NATIONALESでは
この施設の改修設計競技があったらしく、その結果報告展示会が行われていた。
今回は人が多くて並びもしなかった。
今度また出かけてみよう。

Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 9 19, 2005 7:00 | TrackBack (0)

巴里の素材

僕が勤務する事務所は、2003年の設計競技で「Helold-100 Logements-」という
集合住宅を獲得した。巴里19区に建設予定。
現在、この敷地内で地質汚染が発覚し、土壌改良の検討も含め建設が先送りになっている。

敷地の土の話をしているときに、この物件を担当しているPhilippeが面白いことを教えてくれた。
巴里の地下には無数の空洞があるということ。
と言うのも、巴里の地下は『石切り場』となっていて、巴里に建つ建築物はその石を積むことで作られているという。観光名所となっている共同地下墓地『カタコンブ(catacombes)』も元々は石切り場跡だそうだ。
古い(土着的?)建築物はその地方で良く取れる素材によって作られる。これが、各地方の町並みの色や素材感を決定しているのは常識だけど、大都市巴里の町並みが、『周辺で取れる素材』ではなく、『地下にあった素材』を直接地上で再構成することで成り立っていると聞かされて驚いた。
つまり『巴里の町並み=巴里の地下の色』という事実。

現在、新しい建築物を建設する場合、『石切り場跡』の空洞はコンクリートで充填され、後に新しい建築物の基礎が打たれる。そして、その上に載る新しい建築物にはグローバルに流通する素材、鉄、コンクリート、ガラスが使われる。
『土着性』を賛美するわけでもないし、これを素材の問題に単純化して考えるつもりは全くないけれど、巴里の建築物が持っている土地との親密な関係が、新たな建設によって少しずつ失われていることに寂しさを感じた。

Architecture Space / 建築, Dialy / 日常, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 24, 2005 19:47 | TrackBack (0)

14 juillet

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7月14日は、フランス語で『Le Quatorze Juillet』。
つまり、フランス革命を祝う『fete de national』でした。
今年はフランスにおける『ブラジル年』 と言うこと、
軍事パレードでブラジル国旗が登場したり
夜はサンバと共に花火が打ち上げられたり。

フランス滞在 一年目で、パリで行われる一通りイベントを経験しているので
二年目は「どのイベントをどのように楽しもうか?」という余裕が出てきた。

今回は写真家の洋司さん、MICHEL KLEINのデザイナー、コウジさんたちと
「CHAMPS DE MARS公園」で花火待ちのピクニック。

花火もきれいだったけれど、公園に集まった群集が物凄い迫力。
キューブに刈り込まれた樹木に挟まれた、軸線を持つ広場には、
フランス式庭園のテクスチャーのように人の頭が広がっていた。
日本の花火大会もすごい人出だけれども
『見渡せる場所 』(=広場)の存在は、群集の迫力を増幅して
群集×自分 という形で興奮をも増幅している気がした。
ちょうど「競技場に居るような状態」と言ってもいいのかな。

『見渡せる場所 』(=広場)の存在は、
デモをすぐ行ったりする熱狂的なフランス人(パリ人)の国民性を
構成している一要因なのかな?とボンヤリつぶやいた7月14日。

Dialy / 日常, Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 20, 2005 15:48 | Comments (3) | TrackBack (0)

安藤案も建設中止

ここで僕がプロジェクトの行く末を心配するには訳がある。
その理由として、DES HALLESの設計競技のゴタゴタに加え
安藤忠雄さんが設計競技で勝った美術館を含む
Seguin島の再開発自体が
ここ
にあるように簡単に中止になってしまったことが挙げられる。

Seguin島の件は、フランスの大富豪PINAULT(PRINTEMPSFNACの所有者)と
Boulogne市との方向性の不一致が原因だが、
フランス国内におけるの様々なレベルでのオーガナイズの悪さを
非常に良く(も悪くも)象徴している。

Architecture Space / 建築, Art / 美術, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 30, 2005 9:36 | TrackBack (1)

国際設計競技に勝つ

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JAKOB+MACFARLANEにおける僕の初担当プロジェクトが
国際設計競技で1位を獲得した。
現在、プロジェクトの実現に向け、市との調整が始まっている。

それに合わせて、Pavillon De L’Arsenal(日本で言うギャラリー間)で
上位11案のプレゼンテーションと模型が展示されている。
そこにはFuture Systemsやフランスの若手建築家Manuelle Gautrandの名前もあった。

設計競技の概要をさっと書いてみると、
セーヌ川左岸再整備プロジェクトの一つで、
国立図書館近くの川岸に
昔、倉庫として使われていた12000平米の建物が建っている。
セーヌ川に開きながら、商業施設、文化施設等、レジャープレイスを
この建物の躯体を活用して構築するのがパリ市からの要求。
躯体を利用するのは、セーヌの水運で発展してきたした「パリの記憶」を
オブジェクトとして継承しようとするものだ。
内部の諸施設は、今後の市との協議で変更があると思う。

圧倒的な敷地の特性(セーヌ川との関係)と
特殊な既存躯体を残した改修計画と言った強いコンテクストに導かれ、
どの案も方向性が非常に似ている。
躯体は、セーヌ川に平行して細長く伸びており、
川の直角方向には4つのスパンを持っている。
「川と直角方向の4スパンに異なる機能、または形態をパラレルに並べた案」
もしくは、
「躯体を皮膜でまるごと包み込み、その皮膜が設定条件によって変形していく」
というのが、だいたい全ての案が持っている方向性。

僕らの案は後者に属していて、動脈のように躯体から皮膜が盛り上がり
そこが館内の動線や屋上レストランのサービススペースになるというもの。
JAKOB+MACFARLANEの作品Restaurant GEORGE(Centre Pompidou内)の
床面の一方向への形態操作を、屋根面・外壁面の3次元方向への形態操作に
拡張したものだと言えるのかもしれない。

パリ市内、もしくは周辺の巨大プロジェクトが立て続けに、
変更、中止されているだけに僕らのプロジェクトの行く末が心配だ。
「この案は実現するのだろうかと」と不安になってしまう。

Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 30, 2005 8:42 | Comments (3) | TrackBack (1)

LA NUIT DES MUSEES

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5月14日、『LA NUIT DES MUSEES(ラ・ミュゼ・ニュイ)』に行ってきた。
『NUIT(ニュイ)』はフランス語で、『夜』とか『夜間』という意味で、
つまりは、午後の7時から夜中まで無料(一部は有料)で美術館が開放されるというもの。
閉館時間は美術館によって異なる。

パリ市のみのイベントだと思っていたんだけれども、
公式サイトを見ると、フランス国内どころか
ヨーロッパ中で同時開催されているようだ。

僕は『INSTITUT DE MONDE ARABE(アラブ世界研究所)』
『MUSEE DU LOUVRE(ルーブル美術館)』を見る。
『INSTITUT DE MONDE ARABE』の展示室に入るのは今回が初めて。
北側立面の『機械仕掛けの日よけ』は確かにカッコイイと思うが、
全体を見ると『現代の有数の名建築』といわれるほど
良い建築家なのかは正直分からない。

『MUSEE DU LOUVRE(ルーブル美術館)』では『ハンムラビ法典』を見た。
『目は目を、歯に歯を』の語源になったものだ。
『報復のための暴力的な教え』だと思われがちだが
報復合戦を抑えるために、最小限の『報復』を許可したものだとか。

『事実』とは、何時の時代も『解釈』と『伝達手段』の上で
儚く揺れる、曖昧な存在だ。

Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 22, 2005 21:27 | TrackBack (0)

東京とパリの夜景

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恥ずかしながら、今回の一時帰国で始めて『森美術館』に行った。
『東アジアの現代美術』展が行われていたが展示もほどほどに
六本木ヒルズの展望台、『東京シティービュー』へ。

『東京シティービュー』から見る東京の夜景はなんともロマンティック。
光のない海と皇居、
遠くでゆっくりと回転するお台場の観覧車、
夜空に刺さるように聳え立つ新宿副都心、
そして街の心臓のように温かく光り輝く東京タワー。
色々な『光』を手がかりに、東京の形態を立体的に把握していく。

『光』の状態を見ていて思ったのが「東京」と「パリ」の違い。
何が違うかと言うと『光』の分布が違う。

パリを見下ろすと、
MUSEE DE LOUVRE
SACRE-COEUR
TOUR EIFFEL
AVENUE DE CHAMPS ELYSEES
NOTRE DAME
などといった市内の中心施設(と呼んでおく)が
薄暗いパリの中で、点となって強い『光』を放っている。
この点と点を繋いでいくことによって
簡単に街の構造を理解することが出来る。

一方で、東京は全体が均一に光を放ち面的に繋がっている。
海、皇居、観覧車、副都心といいた、微妙に異なる『光』の状態を見付け出し、
これを注意深く紡いで、初めて街の構造が理解できる。

『光』の状態は都市が持つ「構造」の強弱を
そのまま表しているような気がする。
夜の『光』はそのまま人々の『活動』の分布に繋がっているはずだから
東京では、均一、かつ同時多発的に『活動』が行われているのかと
『メガシティー東京』のパワーに驚く。

Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 17, 2005 21:46 | TrackBack (0)

La Saline Royale D’Arc-et-Senans

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・ 11日
松田達さんに誘っていただきFete de la maisonへ。
スペイン人建築家の家で行われたのですが
話してみると、そこにいるほとんどの人が建築家、もしくはstagiaire(研修生)。
国籍はフランス、スペイン、イタリアなど。
僕がたどたどしくフランス語を並べている横で松田さんはスペイン語を話していた。
フランス語と似ているとはいえ、すごい。
翌朝を考慮して、この日は悔しくも早めに帰宅。

・ 12日
La Saline Royale D’Arc-et-Senans(ショーの製塩工場)へ。
18世紀にClaude−Nicolas Ledoux(クロード・ニコラ・ルドゥー)によって建設された
王立の製塩工場で1982年にUNESCOの世界遺産に登録されている。

幾何学的な構成・密度の多様性・方向によって異なる「見え」。
全ての操作は非常に精密であると共に狂気じみたものであった。

正直、今までLedoux(ルドゥー)にはあまり関心が無かったのだけれども、
「もの」を見た後は、その魅力に取り付かれたしまった。
あまりの情報量の多さに上手く消化できていないので
これは、改めてまとめてみたいと思う。

DIJON(ディジョン)へ
午後はブルゴーニュ地方の町、DIJON(ディジョン)に行く。
Arc-et-Senans(アーケセナン)からの乗り継ぎが上手くいかず、
名産のmoutard(マスタード)は買うことが出来たが、
escargot(エスカルゴー)とvin(ワイン)をいただくことができなかった。

しかし、300ページにも及ぶLedoux(ルドゥー)の図版集を
手に入れることが出来たので全く悔しさが残らなかった。
むしろ、これをどう料理(解釈)しようかで頭がいっぱいになる。

Architecture Space / 建築, Travel / 旅行, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 13, 2004 7:03 | TrackBack (0)

「Biennale Venezia」という「形式」

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9th Biennale Veneziaにいってきました。
ギャラリー間の相川さんと坂茂事務所の岡田君とベニスにて待ち合わせる。

「I Giardini Della Biennale」と「Arsenale」の2会場があって
これを二日に分けて見学。

「I Giardini Della Biennale」は
カルロ・スカルパ(Carlo Scarpa)による
ベネゼーラ(Venezuela)館のディテールとテクスチャー、
スウェーデン、ノルウェイ、フィンランド(Svezia, Norvegia, Finlandia)館の
土木的ダイナミックさと、光の繊細さに心を奪われました。

我等が日本(Giappone)館は漫画によるオタクの氾濫。
日本の「まんが・オタク」が、世界規模で起こったヒッピーのような流行の
次世代的なものであって、「日本から初めて発信するワールドカルチャーである。」
といわれたら、そうかもしれないと思います。
でも、見ていて不健康で気持ちよくないというのが僕の感想です。
最先端の思想をインプットするまたとないチャンスだったのに
これを逃してしまったのかもしれない。もったいないことをしました。

「Arsenale」は、海軍倉庫の一部が会場として開放され
そこにものすごい量の作品が、分類・編集され、展示されていました。
我々JAKOB+MACFARLANEの作品もここに展示してありました。

Biennale全体の感想は言うと、新しいものは全く感じられませんでした。
次世代の運動や方向性を示すはずのBiennale Veneziaですが
その役割を演じ切れてない印象を受ける。

メディアが発達し、世界中に建築・デザインの情報が駆け巡る現在において
旧来から続く、サロン的な展示方法は次世代を標榜するにはあまりにも
効力を失効した形式なのかもしれないと感じる展示でした。

Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, Travel / 旅行, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 1, 2004 10:30 | TrackBack (0)

「東京」と「パリ」を往復した一日

■僕の自宅で夕食・兼映画鑑賞会。

映画は「LOST IN TRANSLATION」。
Sofia Coppolaの最新作で、日本ではまだ映画館で公開しているらしい。

この映画は僕の中で特別の映画作品である。
なぜかと言うと、事務所の仲間や海外で出会った人々が
僕が「東京」から来たというと必ず「ダイスケは見たかとがあるか?」聞かれる映画だからだ。

「東京」に行ったことがある無に関わらず、彼らにとっては
この映画の中の「TOKYO」が「東京」であるようだ。

見ていて思ったのが、Sofia Coppolaが大都市・「東京」の「孤独感」しっかり見抜いていること。
−女性主人公が大都会を見下ろしながら涙する孤独感。
−「トンチンカンな通訳」によって、話し合っているのに、本質的には分かり合えていない会話。
−ホテル(海外)では声を掛けられるのに、街(東京)に出ると誰にも気づかれない匿名性。
など。

これらは、普段「東京」に暮らしている僕らの胸に、「ふっ」とした時に染み出てくる感覚だ。

Sofiaは東京が好きで、年に何度も「東京」に来るらしいが、
彼女は東京の暮らしが持つ「表」と「裏」を理解しながら「東京」を「愛している」気がする。
「恋している」という感覚のほうが近いのかもしれない。

各シーンで、少々大げさな表現もあるが、外国に暮らしてみると
外国人の心の中に切り取られている「TOKYO」を生のままで表現するとこうなると思う。

僕はこの映画で、アルファベットの「TOKYO」を眺めながら
漢字の「東京」に里帰りすることが出来た。

映像としての「東京」ではなく、心象としての「東京」を。


■「東京」に里帰りした後は、PARISで開催された「NUIT BLANCHE」へ。

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パリ市庁舎、オペラ座、国立図書館、ノートルダム、ポンピドーセンターなど、
パリを代表する施設郡が一晩中開放され、様々なイベントが開催されるというもの。

一番面白かったのが、パリの老舗百貨店「Printemps」で行われた「Creme de Singe」。
いつもと変わらず電気が煌々と点灯し、エスカレータが動き、商品が並ぶ店内。
ただ一つだけ違うのは、「人間」の変わりに二匹の「さる」店内を歩き回っていること。

彼らは各階をさまよい、好きな商品を手にし、たまに休憩する。
それをショーウィンドウに設置された数台のカメラで眺めるというもの。
愛らしい「さるたち」の行動に、思わず笑ってしまう。

彼らの行動は服を脱いだ人間のように、「買い物をする人間」の動き再表現している。
しかし、これを撮影しているのは店内の監視カメラであるということに、ある時気づく。

どこに居ても映し出される「サル」の映像は、
「買い物をする人間」が常に監視されている事実を再表現しているともいえる。

ふっと笑った後に、少し背中が寒くなる作品だった。

「NUIT BLANCHE」全体の感想としては、全てのイベントがまだリンクしていないという状態。
あと5年続いたら成熟するのかなと思う。

それにしても、パリは都市全体の自覚的な演出が非常に上手い。
東京の自然発生的な魅力も僕にとっては十分に心地良いのだが、
組織的な都市の魅力を志向するパリの意識には頭が下がる。

LOST IN TRANSLATION」と「NUIT BLANCHE」。
「東京」と「パリ」を往復した一日でした。

Art / 美術, Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市, 映画・演劇 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 11, 2004 7:51 | TrackBack (0)