人防

人防(rénfáng)

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先週から、ワークショップという名目で学生がやってきています。ブログを作りました。都市に立ち向かう考察。中国をどのように利用するのか。そして、それらと個人との間にあるジレンマ。様々な思いが交錯したブログになっている気がしています。

その一環で、北京中央美術学院に併設される美術館(CAFA)の現場に行って来ました。写真は地下にある防空壕(人防)です。戦時下を想定して必ず作らなければいけない。建外SOHOにも白い空間があります。

美術館本体は、ホワイトキューブをすべて飲み込むような、なめらかな曲面によって全体を構成しています。その曲面部分の鉄骨はまだ組みあがっていません。九月くらいにまた行きたいと思っています。

その時のメモ
美術館の話題
・曲面を構成する鉄骨は最適化だけで決定されたものではない。ものとして決定する瞬間のジレンマ、不純な動機がどういうバランスの中にあるのだろうか?
・部材のカット、接合などはすべて現場でやる。極端な人件費の安さによって、日本だと機械によって代用する部分も、人に頼っている。したがって、何か(材料)と何か(成果)の間を、人がうめている。
・建築家が都市にかかわれる様々なレイヤーの一つとして、品質のいいものを作ってしまうという部分もあると思う。
中国の話題
・建築の供給元は、(ほぼ)国とデベロッパーしかいない。
・出身地と強く関連する、進学、就職、住宅を購入する制度がある(具体的な単位を忘れた)
・都市計画の制度にゆるやかな部分があって、あらゆる境界を越えた提案が可能な雰囲気はある。
・戦時体制に備えて、道路に着陸できるようにする(道路幅を広く、まっすぐにする)こと。土地の所有が国→開発がデベロッパーという図式だけで街を開発しているので、同じ根拠(南面信仰、廊下の最小化、緑化率)によってボリュームが立ち上がり、差異は表層だけなので、遠方からみれば、輝く都市を思い浮かべる。共産主義的な理由によって、構成された街が結果として、輝く都市に近いとするならば、モダニズムの根底と通じる部分があるということなのか?

建築 | at August 4, 2006 12:00

Comments

これは磯崎新氏による美術館のことだね。このプロジェクトはどこかに発表されている?
磯崎新氏の美術館に関する発言は重要なもので、第一〜三世代といった美術館分類は美術評論家も引用している。初期の群馬、北九州の後、第二世代としてLAのMOCA、水戸、ARC、群馬増築などのホワイトキューブ美術館はよいものがあるけれど、第三世代については、奈義とイタリアかどこかの仮設くらい。大きいプロジェクトはみんなつぶれている。これから実現する可能性があるとしたらカタールか中国くらいか?
カタールでは曲面を持った展示室による美術館を提案していたけど、ここもそうだとすると、第三世代を目指したものなのかなと期待しているところ。

Posted by satohshinya at August 7, 2006 5:47 PM

曲面の間違いです。修正済み。
JA55建築文化 仰天的中国号に掲載されています。
磯崎さんの世代論の話を書きたかったのですよ。ポイントはまさに、いかに第三世代なのかですよね。そこのところは、まだわかりません。
ちなみに、中国でもうひとつ美術館をつくるようです。

Posted by simon at August 8, 2006 4:27 PM

掲載情報ありがとう。要するにこちらでは見ることができそうにないね。勉強不足ですみません。「いかに第三世代」か? これは大きなテーマですが、あの磯崎さんが曲面の壁で勝負をしているわけだから、とりあえずは見守りたいと思ってる。

Posted by satohshinya at August 9, 2006 12:39 PM

Posted by simon at August 9, 2006 4:24 PM

情報ありがとう。これですか。
プランがわからなかったけど、「シュトゥットガルト現代美術館」(1990)のコンペ案に似ているような気がする。当時の「SD」磯崎特集に掲載され、確かこのときにはじめて第三世代なんて言葉を使ったように記憶している。手元に資料がないので確かめられませんが。ようやく中国で実現という感じだね。次の報告を期待します。

Posted by satohshinya at August 9, 2006 8:56 PM

きらり
岐阜のほうで出来た曲面ものはちょっとみてみたいです。曲面のフォルムとして美しいかもしれないとそそられます。
佐々○事務所のOBの方から岐阜のやつは合理的に形が収束していて、福岡のものは自由曲面ばかりとききました。おそらくそのあたりも関係するかもしれません。

Posted by hy at August 9, 2006 9:58 PM

第三世代の美術館に関わらず、曲面ものも磯崎さんの最近のテーマですね。屋根については、確か桐生ホール(コンペ案)で初登場し、パラフォルス体育館とか、YCAM(台風で飛んだけど)などを経て、最近のものに行き着いている。壁については、奈良やさいたまアリーナ(コンペ案)のサイクロイド曲線などを経て、第三世代の展示壁まで来ている。ようやく設計、施工の合理性を整合できるようになってきたということかもしれないけれど、一方で中国の壁、福岡のもののように問題を解決しきれないまま実現に至らざるを得ないものがあるということかな? 例えば第三世代の展示壁面というお題目の前では、曲面の屋根でも壁でも床でも何でもやってくれという感じだけれども、曲面自体が目的化してしまったとき、その行き着く先はどこなんだろうね? 伊東さんのプロジェクトを見ていると、そこら辺がよくわからない。岐阜のなんか写真だけ見ると村野藤吾みたい。

Posted by satohshinya at August 10, 2006 9:50 PM

トラックバックを2度送ってしまいました。すみません。
削除お願いします…

Posted by tofuku at August 10, 2006 10:03 PM

トラックバック消しておきました。
十番の祭りに、花火。夏ですねぇ。
北京では23日に向けて、作業をすすめております。みなさんで、囲んでたのしめるようなものになればいいなぁ。

Posted by simon at August 12, 2006 6:31 PM