鍋島千恵 展示作品

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輪の家  長野県北佐久郡軽井沢 2006

美しい森の中に建つこの週末住宅は、ある一定の方向を望むのではなく、さまざまな高さからあらゆる向きの森を眺められることが意図された。何層なのか、何階建てなのか、わからないように、森の中に溶け込む建築となる。ブレースや耐震パネル部材が一切無い、木造ラーメン構造のこの住宅は、床スラブ、キッチン、薪ストーブ、浴槽、踊り場、照明といった建築のアイテムを、「輪」の高さに揃えることで、建物のボリューム感を消している。室内を通して見える向こうの森と、ガラスに映り込んだ周囲の木々が幾重にも重なり、木造とは思えない軽やかさで佇んでいる。

設計 TNA  構造 ASA
敷地面積 1,387.27㎡  延床面積 101.61㎡  木造   地下1階 地上2階


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モザイクの家  東京都目黒区 2007

1階は寝室と納戸、2階は水廻りと子供室、3階はLDKという、どこにでもある都市型住宅である。唯一つ異なるのは、この家には屋根がない。3階の天井仕上げは「空」である。その空から注ぐ光は、アール壁に沿って下階へと柔らかく落ちていく。敷地は二面道路に接している角地なのだが、向かいには高い建物が建つことから、道路に対して窓を設けるのではなく、空に向かうことが意図された。同時に、狭小敷地において建物の形を大きく左右する北側斜線、道路斜線といった制限を潜在化するように、建物の形と配置が決められている。天井一面に広がる刻々と変化する空模様を見ていると、都心に居ながらも知らないうちに自然を満喫していることに気付かされる。

設計 TNA  構造 ASA/鈴木啓
敷地面積 58.45㎡  延床面積 84.50㎡  鉄骨造  地上3階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 29, 2009 17:31 | TrackBacks (0)

仲條雪 展示作品

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しおさい  茨城県神栖市 2006

2棟のRC造の家を建て、その上に木造の大屋根を載せたような構成である。ホール部分を建物に挟まれた外部にある家族の広場ととらえ、上部にブリッジを渡している。RC部分の壁は杉板型枠による打ち放しであるが、質感を消さない程度に半透明の白い塗装を施している。白く清潔感があるだけでなく重厚に、重厚なだけでなく繊細であることが目指された。2階は、RCの手摺壁の上に木造の柱が立ち、大屋根が支えられた開放的な空間である。

設計 ジャムズ  構造 カラムアソシエイツ
敷地面積 502.18㎡  延床面積 203.72㎡  RC造+木造  地上2階


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ビアンコネロ  東京都立川市 2004

家族のための黒い箱、それを支えるRCの壁、更に水回りを納めた箱、キッチンや収納を収めた壁、そして、ルーフバルコニーにより構成される。RCの壁に囲まれた部分は、リビングや、テラス、玄関土間など開放的なスペースになり、黒い箱はリビングと吹き抜けを介して緩やかに繋がりながらプライバシーを保つ。

設計 ジャムズ  構造  構造デザインK&S
敷地面積 309.98㎡  延床面積 113.45㎡  木造+RC造  地上2階


そばかす  東京都目黒区 2002

40代の夫婦と高校生の息子、祖母の4人家族のための狭小住宅。外部に開かない代わりに、内部に光庭による豊かな吹き抜けを設け、南側のプライベートな個室と北側のパブリックな共有空間を曖昧に区切っている。道路面には、象徴的な大谷石の壁を配している。

設計 ジャムズ   
敷地面積 62.11㎡  延床面積 83.99㎡  木造  地上3階


ふたつの木箱  埼玉県川越市 2003

アトリエが付加された、夫婦と母親が同居する二世帯的住宅。庭、玄関、リビング部分を地盤面から1段上げ、2階ではダイニングキッチン棟と主寝室棟がデッキを介して向かい合う。ダイニングキッチンのような家族が集う場所と、寝室のようなプライベートな場所の間に、デッキや多目的室を設けることで、「たまたま会える」「よろしかったらご一緒に」といった、家族同士のほどよい距離感を生み出すことが意図されている。2階の外壁は温室部材とスギ板張りの2重壁であり、換気扇を設けることで壁体内換気を行い、断熱・通気性を高めている。

設計 ジャムズ  構造 カラムアソシエイツ
敷地面積 313.32㎡  延床面積 148.10㎡  木造  地上2階


仲條邸  東京都杉並区 2008

施主は設計者の両親であり、デザイナーである父親と設計者自身の2つのアトリエを持つ。北側斜線を避けた西側にスロープによるアプローチを設け、地盤面より上がった1階をエントランスとすることで、3層の上下移動を緩和するとともに、内部の廊下を最小限にしている。吹き抜けにある階段は、等価に並んだ南側の棟と、全く違うリズムの北側の棟を結ぶ。ハイサイドライトを持つ階段室は光庭となり、引き戸で仕切ることで階段室に面した各室を柔らかく閉じる。各室が曖昧に仕切られているために外断熱を採用し、外装はコンクリートレンガ積みの上に塗装を施している。

設計 ジャムズ  構造 構造デザインK&S
敷地面積 97.32㎡  延床面積 145.20㎡  RC造   地下1階 地上2階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 29, 2009 16:46 | TrackBacks (0)

多田脩二 展示作品

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三ツ池の家  神奈川県横浜市 2007

敷地は起伏の多い横浜の住宅地に位置し、遠くに富士山が見晴らせる崖地の上であることから、両妻面を開口とした一室となる筒状の空間が建築家より提案された。そのため、短辺方向には耐震上で重要となる壁を設置することができない。このような木構造の場合、一般的には接合部を半剛接(完全な固定ではない)によるラーメン構造として設計を行うことが多いが、金物を多用する接合部のコストと性能の評価は非常に難しい。更に大地震時には、接合部のめり込みにより建物自体が大変形を起こしやすく、妻面のガラス部への影響も心配される。今回はツーバイ材による斜材を、意匠上で問題のない範囲に取り付けた偏心ブレースとすることで変形を抑制している。また、木材の部材が全て6メートル以下となるように形状を決定した。

設計 仲亀清進建築事務所  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 114.41㎡  延床面積 95.376 ㎡  鉄骨造  地上2階


森の家  長野県軽井沢町 2005

積雪と湿気対策のために地面より1階スラブが浮かせられ、その基壇としての性状を有したRC 造の上に、平屋木造の在来軸組工法が載せられた軽井沢の別荘。ゆるやかに湾曲した形状が特徴的である屋根は、全長約14メートルの集成材を455ミリピッチでジョイスト状に配している。断面形状は全て60×300ミリで統一し、全部材の曲率を徐々に変えて湾曲させる。最大スパンは7.25メートルであるが、ジョイスト梁を受ける壁の無いファサード面や後面に関しては、鉄骨のキャンチ梁(□-100×100)で支持し、梁せい300ミリ のジョイスト梁上部を100ミリ欠き取ってボルト接合することで、天井仕上げ内に収めている。また、徐々に勾配をつけた屋根面の合板は、ジョイスト梁の上部をなめらかに面取りし、形状をなじませながら接合しており、必要な面内剛性としての性能を有している。

設計 三浦慎建築設計質  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 2040.66㎡  延床面積 173.19㎡  鉄骨造  地上1階


e -house  東京都世田谷区 2006

この住宅では、敷地の高低差を利用し、中間階の浴室を介して上部階へと繋がる各部屋を緩やかに連続させ、吹き抜けにより一室空間として構成している。室内内部に柱を立てないようにするため、外壁面に耐震性能を有するブレースを設け、繊細な部材断面(H-100×100)の柱と梁による鉄骨造としている。特に上下階の境界部分となる2階床は、視線を遮らないようにできるかぎり薄くするため、RC と鉄板の組み合わせを採用することで厚さ100ミリとしている。接合部は、剛接合を一切用いずにピン接合とした。しかし、多数の部材がさまざまな角度から1点に集中して取り付くため、ディテールの検討と接合には十分な検討が行われた。

設計 福島加津也+冨永祥子建築設計事務所  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 111.93㎡  延床面積 100.80㎡  鉄骨造  地上2階


西麻布の集合住宅  東京都港区 2008

六本木ヒルズ近くに位置する集合住宅であり、近隣に建物がびっしりとひしめき合い、接道も狭く敷地は非常にコンパクトである。少しでも室内面積と階高を得るためと、施工時における重機搬入や施工性を考え、繊細な鉄骨断面で構成することを考えた。各階・各方向とも、コア部分や意匠計画上で可能でなる壁部分に耐震ブレースを配置し、□ー150×150 ミリ、またはH-150×150 ミリの柱梁断面によるブレース付きラーメン構造を採用した。高さが20メートルを超える「中層建築物」であることから、一次設計の水平力に対してラーメン部分の分担率を30%以上としている。また、短辺方向であるY方向は「塔状比」がほぼ4であり、C0=0.25 以上での弾性設計と保有水平耐力検討を行っている。長手方向であるX方向は、ブレースの水平力負担が70%以上であることから、応力割り増し1.5 倍のC0=0.3 とする強度型設計である。

設計 川辺直哉建築設計事務所  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 115.62㎡  延床面積 435.39㎡  鉄骨造  地下1階 地上8階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 29, 2009 8:17 | TrackBacks (0)

関本竜太 展示作品

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OPENFLAT  埼玉県志木市 2007

事務所を併設した二世帯住宅であり、設計者の自邸である。互いのプライバシーを確保するために、住宅にはフロアで分かれるフラット構成を採用している。しかし、一方では住宅が家族としての親密な結びつきを持つことができるよう、中央には垂直空間としての中庭を挿入した。これにより各戸の視線は大きく開かれ、中庭を介して家族の視線は自由に交わる。構造はボイドスラブによるRC壁式ラーメンを採用。仕上げには多様な素材をパッチワークのように配置し、既知の素材に対する「検証」とともに、未知の素材に対する「実験」を行なっている。

設計 リオタデザイン  構造 与那嶺仁志
敷地面積  150.40㎡  延床面積 222.70㎡  RC造  地上3階


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ILMA  東京都目黒区 2003

緑道に面したわずか13坪の敷地に建てられた住宅。南向きの大きな開口部を持つとともに、住宅密集地の中で唯一の自然が残された北側の緑道にも大きな開口部を設け、狭さを感じさせない空間の「抜け」を効果的に獲得している。ありふれた素材をシンプルに使うことによりローコスト住宅を実現。狭小地での建設や搬入を考慮して、工場で組み立てた床フレームを現場で接合するユニットラーメン構造が採用された。「ILMA」はフィンランド語で「空気」という意味。領域を曖昧にし、浮遊感のある空間が意図されている。

設計 リオタデザイン  構造 与那嶺仁志
敷地面積 43.75㎡  延床面積 51.45㎡  鉄骨造  地上2階


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HAKKO  山梨県南都留郡山中湖村 2005

ミニマルなデザインとホスピタリティ。シンプルなハコ(HAKKO)であること、しかも力強く、美しい。施主からのシンプルな要望に応える、最小限の設備と空間を持つ週末住宅。視界を遮る大木のほとんどない、一枚の傾斜地に建つ住宅は、その傾斜角とほぼ同じ勾配の屋根を持つ。屋根には、山中湖の厳しい気候条件に対して導入されたOMソーラーパネルを設置。極限的なコストの制約からディテールは「普通」であることにこだわり、特殊な構法や材料は一切使用していない。小さいながらも景観を最大限に取り込み、奥行きと視線の抜けを獲得している。

設計 リオタデザイン  構造  与那嶺仁志
敷地面積 413.78㎡  延床面積 53.75㎡  木造  地上1階


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LIGHT BOND  東京都渋谷区 2008

「大きなソファとともに暮らす3人の家族の家」というテーマで、リビングデザインセンターOZONEが主催した住宅コンペ「2008 若手建築家・住宅設計P1グランプリ」のグランプリ受賞作品。家族の象徴として大きなソファを住宅の中心に据え、個人のスペースがそれを取り囲む。吹き抜けを通して家族は繋がり、常に互いの気配を感じることができる。プライバシーへの配慮からリビングの中心には大きなトップライトを設け、家中を光で満たすとともに、より強い求心力を持って家族と空間をひとつに繋いでいる。

設計 リオタデザイン 
敷地面積  61.16㎡  延床面積 65.83㎡  木造  地上2階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 29, 2009 7:57 | TrackBacks (0)

齋藤由和 展示作品

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.730(point730)  沖縄県石垣市

石垣島の石垣港近くに建つ商業ビルである。石垣発のものを扱ったテナントだけが入る、島で最も大きな商業ビルであるため、シンボルとなることと石垣らしさが求められた。1年のほとんどが温暖で、外部がとても心地よい場所であることから、多機能な外部空間が計画された。そこにテラスや動線を兼ねることで、いろいろなテナントを外部から覗くことができ、2つの避難動線を同様に外部に設けることで、18メートル角のテナント部分は柱とエレベータだけの内部空間となる。古屋の解体によって、ごくわずかだが入手できるイヌマキの木をコンクリート部分の型枠として利用し、木目を繰り返し転写することで、半永久的に記憶として残すことを意図した。

設計 ア デザイン  構造 MI+D建築構造研究所/加藤征寛
敷地面積 833.49㎡  延床面積 2,512.12㎡  鉄骨造  地下1階  地上7階


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武蔵小杉の集合住宅  神奈川県川崎市 2008

ワンルーム形式の集合住宅であり、約20平方メートルのワンルームが45戸納まっている。通常ワンルームマンションは、構造上の梁や換気ダクトなどが梁型として天井に現れる場合が多い。6帖ほどしかない居室にとって、梁型の有無がその質を大きく左右する。梁型の無い、すっきりした天井を確保するために逆梁を採用し、床面に現れた梁をキッチンやカウンターテーブルとして使っている。ピロティー形式の1階は、実際のエントランス部分は小さいが、敷地全体を公園のようにすることで、ウエルカムなエントランスとなる。

設計 ア デザイン  構造 中山設計/中山悟
敷地面積 497.38㎡  延床面積 1,393.66 ㎡  RC 造  地上6階


岩城島の家  愛媛県越智郡 2004

愛媛県の人口約2千人の離島に建つ別荘である。1年に数回利用されるだけであったが、水戸に暮らす施主の実家の建て替えであったため、亡き祖先のための記念碑として建てられることとなった。そもそも「家」という施設は、実際に必要とされる以上に堅固な家を構えることで、家族を守っているという安心感を与えるものである。施主にとっては、1年の内に10日程度利用し、あとの355日は遠く水戸から思いを馳せるだけであるが、しっかりと瀬戸内海を眺めている家が、今日も大木のように堂々と建っていることを思い描き、安心させられる。その姿は、夏に法事で集まったときに快適に過ごせるように、敷地に影を落とすように上に向かって広がっている。

設計 ア デザイン  構造 MI+D建築構造研究所/加藤征寛
敷地面積 642.10㎡  延床面積 165.63 ㎡  RC 造  地上2階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 29, 2009 7:49 | TrackBacks (0)

黒川泰孝+馬場兼伸 展示作品

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高松町ガレージ  東京都立川市 2004

外部に対して開くことが必ずしも心地よいわけではない環境下において、内部と外部が漸近した、包容力のある箱を置くことでさまざまな要求を満たしている。建物の外形は単純な箱形であるが、北側壁面を敷地形状に沿って斜めに振ることで、奥行き方向に伸びやかさを与えている。外壁にちりばめられたライトウォールは、昼夜を通じて内外に淡い光の表情を与える。その中に点在する黒い小さな窓は、周辺の雑多な環境を抽象的な風景としてフレーミングし、間仕切りガラスに反射しながら増殖する。そして、はじめから存在していたライトウォールに影響されて計画されたかのように、各スペースの用途と大きさの関係にルーズさを持たせている。

設計 メジロスタジオ  構造 日本大学理工学部/岡田章
敷地面積 118.34㎡  延床面積 158.15㎡  鉄骨造  地上2階


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白州山荘  山梨県北杜市白州町 2004

山々に囲まれた雄大な風景の下、甲斐駒ケ岳を眺めるための居場所をつくることが、施主からの要求であった。屋根を架けるだけで大地を領有するような素朴で力強い状態を意図し、方形屋根の持つ自然体のフォルムで内部空間を確保している。主室の床は隣接する水田の稲穂の高さに合わせられ、オレンジ色の床面がそのまま連続していくことを意図している。主室・ダイニング・キッチンは、それぞれ座位・机座位・立位の状態で目線が一致するように段差が設けられている。こうして、周辺の環境を引き込むフロアレベルと、建築的尺度による段差とが起伏を生み出し、内部空間を特徴づけている。

設計 メジロスタジオ  構造 オーク構造設計/新谷眞人
敷地面積 231.15㎡  延床面積 62.94㎡  木造  地上2階


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熊川の集合住宅  東京都福生市 2007

とらえどころの無い郊外の風景に対し、確かな存在感を纏った建築が求められた。北側の住宅地に対する圧迫感を軽減させるため、上階部分をセットバックさせ、反対に南側へオーバーハングさせている。この周辺環境との調整を意図した極めてシンプルな形態操作は、1階部分に軒下のバッファーゾーンを提供し、2階部分に開放的な幅広の共用廊下を生み出している。各住戸には南北を貫く形で、特定の用途に供することの無い自由度の高い通り土間を配し、リビングルームやベッドルームなどの各室はこの土間空間に面している。そして、外壁に開口部が規則的に配列されることにより、不特定な入居者の生活を抽象化することを意図した。

設計 メジロスタジオ  構造 構造計画プラス・ワン/金田勝徳
敷地面積 824.35㎡  延床面積 370.98㎡  木造  地上2階


井の頭の住宅  東京都三鷹市 2006

公園の裏手に建つ木造2階建て住宅の全面改修計画。バブル末期に建てられた既存住宅に対し、計画・設備・構造のあらゆる面を健全化するとともに、発注・解体・施工といった建設プログラムに施主自らが積極的に参加できることが求められた。設計に当たっては、こういった施主の活動を受け入れる「殻」と「中身」を設定し、施主の思いを受け止めながらも空間全体のバランスを保つことを目指した。具体的には、外壁を全面漆喰塗りとして「殻」の強度を担保しつつ、「中身」では素人仕事との相性を配慮し、既存部材を利用しながら極力単純な納まりとしている。

設計 メジロスタジオ   
敷地面積 62.10㎡  延床面積 88.55㎡  鉄骨造  地上2階


劣化によるメモリーのリレー  映像・音楽制作 2006

<情報化社会において私たちの身の回りにある様々なデータは、劣化せずに完全な状態で保たれていることが優れているとされている。しかしながら、例えば人間が辛い記憶を忘却することで社会生活を円滑に営むことが出来るように、また例えば20年前の色あせた写真にはなんとも言えない独特の雰囲気と連続感があるように、記録や記憶といったデータを劣化させることは必ずしも元の状態から劣ることを意味するものではない。/他者によってデジカメで撮影された風景をディスプレイに映し、それをまたデジカメで撮影すると言うことを数回繰り返し、ノイズを加えて劣化させていった。そのなかに私たちの建築作品や設計作業の風景も同様に劣化させ断片化した記憶としての都市の風景に連続させていった。/これら一連の作業は他者がつくった都市のコンテクストをどのように解釈し、そしていかにして建築を造るか、という設計行為そのものである。>メジロスタジオ

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 29, 2009 7:32 | TrackBacks (0)