國武陽一郎 展示作品

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N邸  東京都新宿区 2005

都心の密集住宅地に建つ築60年の木造家屋に対し、上げ屋工事による構造材の補修、断熱工事による室内環境の改善などの性能を確保した上で、現代生活に適した住まいへと再生を行った。建物は何回かに亘り増築されてきた形跡が見られたが、まるですべてが最初からあったような自然な佇まいであった。そこで、新たに現れる構成要素によって意味を付加する手法ではなく、存在するものを受け入れた計画が行われた。切妻屋根の内部は、低い天井や部屋を小割りにしていた間仕切り壁を取り払うことでワンルームとなり、妻面上部や屋根などに開口部を穿つことで、異なる光の質を取り入れている。

設計 one + one+清水淳建築設計事務所  構造 柴村構造設計事務所/柴村豊士
敷地面積 194.92㎡  延床面積 84.38㎡  木造  地上1階


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Y邸  神奈川県横浜市 2006

敷地内に1.6メートルの段差があり、採光面となる南側に崖が聳える環境の中で最大限に床面積を確保した、総勢9名の大家族による2世帯住宅である。道路側と崖側にそれぞれ2階建てのボリュームを想定し、それらを噛み合わせて大屋根を掛けている。土留めの基礎立ち上がりが腰壁となり、世帯間の境界となるフロストガラスの連窓ができることで、段差によって生じたズレを吸収し、持ち上げられたボリュームの下が谷のような吹き抜となる。個を主体としているが、適所で繋がりを持ち、閉じた関係性よりも、扉を開けると空気が循環する1つの屋根で覆われたオープンな生活が意図された。

設計 one + one  構造 dos/山田誠一郎
敷地面積 176.89㎡  延床面積 138.96㎡  木造  地上2階


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H邸  長野県北佐久郡軽井沢町 2006

将来的に移住も視野に入れた週末住宅。雪や湿気の影響を考慮して少し浮かせた住居棟と、主人の休日工房スペースとなる地面に食い込んだ別棟、それらに挟まれた外部デッキという構成である。将来計画される薪小屋を含め、ボリュームを点在させることで、徐々に植樹される木立の中に静かに佇む姿を意図した。住居棟は、正方形の平面形状により外部と等価に接するワンルームだが、南に角度を振ることで周辺環境との距離感を曖昧にしつつ、面の対峙を避けている。暖炉や鋼板で被った柱や階段などの要素が混在しながらも、くすみや日焼けなどの経年変化によって場の空気に馴染む素材の選定を行うことで、周囲の自然に静かに溶け込むことを目指した。

設計 one + one+清水淳建築設計事務所  構造 柴村構造設計事務所/柴村豊士
敷地面積 799.76㎡  延床面積 105.67㎡  木造  地上2階


小笠原伯爵邸  東京都新宿区 2002

1927年に竣工した邸宅の民間資金活用事業(PFI)による修復工事。大きく原状回復と再生に伴う改装とに領域が分けられ、歴史的建造物としての「質」を保存するとともに、状態の悪い部材であってもその構成部材を保存活用するという「物」の保存を行うことが主題となった。そのため、現場における修復作業の中でも、つくられたものから当時のつくり手の意図や手間を探り、職人とともに再生するプロセスを重要視している。

設計 one + one  構造 梅沢建築構造研究所


凛east+  東京都中央区 2008

落ち着いた趣きを感じさせる銀座木挽町に位置する炭火焙煎珈琲店である。L字で16坪ほどのスペースに、喫茶、ケーキ工房、焙煎室を配置している。街と等価な風景を、建物本体に貫入しているトンネル状の内部空間としてつくり出し、街路に面して表出させる。内部には、木漏れ日のように光が落ち、木の葉が舞い、足下に堆積する。舞い落ちる木の葉のモチーフに紛れ、エアコンの吹出口、ロスナイの給気口、照明を適所に散在させることにより、意匠的な統合を図っている。素材選定は距離によって見え方が異なるものとし、肌の違いが微妙に影響し合い、彩度を抑えた統一感のある風景に彩りを与えている。

設計 one+one++plants
延床面積 53.31㎡  地上1階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 28, 2009 17:30 | TrackBacks (0)

木内厚子 展示作品

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O邸コンペ案  神奈川県藤沢市 2007

住宅コンペの応募案。広い敷地、周辺とのゆったりした距離、のどかな風景に対し、この環境を活かした伸びやかな住宅を、室内空間の延長となる半屋外空間の充実=いろんなテラス(前テラス、屋上テラス、階段テラス)をつくることで実現させている。それらのテラスを立体的に配置することで、内部空間と庭や周辺を含めた外部空間が立体的に密接な関係を結ぶ。

設計 Studio8 
敷地面積 434.09㎡  延床面積 131.67㎡  木造  地上1階


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アリツギ(左)

木工の伝統技術である仕口・継手には、先人達の智恵と技術のすばらしさがある。それらにインスピレーションを受け、その技術の1つである四方蟻継ぎ手の形を用い、アクリルと異素材である木を組み合わせてできたランプ。木同士だと見えなくなってしまう継手内部の形が、アクリルと木によりはっきり視覚化される。

デザイン 木内厚子

アクリルラウンドボウル(右)

重合法によってできる自由な着色、2つの色の重なりでできる色、厚みの違いによるグラデーションの面白さなど、素材の魅力を伝えるアクリル製のボウル。

デザイン 木内厚子  販売元 livingplus by acr-ya.com


久留和海岸の住宅  神奈川県横須賀市 2004

久留和海岸を望み、谷を挟んで緑豊かな山の環境にも恵まれた、造成された傾斜地である敷地は、接道する駐車スペースから地盤面へ4.5メートルほど下がる高低差を持つ。そのため、2 階からアプローチを取り、デッキやLDKからは山と海の自然豊かな環境を楽しむことができる。施主が観葉植物の鉢を多く持つことから、住宅の内部に土を入れたプランターを計画し、トップライト、吹き抜け、階段、プランターを中央に集約することで、明るく、観葉植物が豊かさをつくり出す場となっている。構法的にはツーバイ材を外壁と屋根に用い、内部は1階では壁、2階では天井面に現しで見せている。

設計 Studio8  構造 佐藤淳構造設計事務所
敷地面積 170.00㎡  延床面積 96.9㎡  木造  地上2階


南伊豆のセカンドハウス  静岡県下田市 2006

敷地は30年ほど前に分譲された南伊豆の南欧風別荘地にあり、赤や黄の洋瓦と白い外壁の家々に囲まれ、緩い傾斜地の先には相模灘を望むことができる。敷地の東傾斜に合わせて床レベルを変えながら、居室を細長く並べ、一部上階があるものの平屋のような住宅となっている。居室間には間仕切りがほとんどなく、レベル差と段差を活かした造作家具によって、その場所の使い方を決めていく。床レベルを変えていること、上階寝室の床の回りが吹き抜けになっていることにより、平面的なものでは感じられない視界の広がりや、間接的に回る光を感じることができる。

設計 Studio8  構造 佐藤淳構造設計事務所
敷地面積 325.99㎡  延床面積 110.05㎡  木造  地上2階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 28, 2009 17:21 | TrackBacks (0)

大野博史 展示作品

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NEアパートメント  東京都杉並区 2008

全住戸の1階にビルトインガレージが用意されたバイク愛好家のための長屋。旗竿敷地にアプローチ用の車路を計画し、周囲にメゾネット形式の8住戸が放射状に配置されている。構造は放射状に配置された7枚の界壁と各階スラブによる鉄筋コンクリート構造として計画。界壁内に壁柱、壁梁を配した面内方向のみの耐震壁付ラーメン構造となっており、直行方向に梁はなく、スラブが水平力を伝達している。界壁は基礎からのキャンティレバーであるが、放射状に配置されることによってお互いを支え合っている。放射状の壁配置は原点を中心とした回転に弱いが、各壁がカーブし、角度を変えることで剛性を高め、回転に抵抗している。7枚の界壁のみで建物全体の構造が成立するため、外壁を非構造として扱う乾式工法を採用した。

設計 ナカエ・アーキテクツ 高木昭良建築設計事務所 オーノJAPAN
敷地面積 201.89㎡  延床面積 289.02㎡  RC造  地上3階


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南葉山の別荘2  神奈川県横須賀市 2008

小高い丘に続いた道の途中にある三角州状の敷地に計画された2棟の別荘。南に広がる海を望む敷地であることから眺望とプライバシーが要求され、壁と抜けをどのようにつくるかが課題となった。また、敷地の分筆がそのまま建物形状を規定するため、敷地境界と建物の配置・形状を検討した結果、筒状の空間がねじれたり分節されたりしながら連続する空間が生まれた。それらを包むような鉄筋コンクリートによるラーメン構造を計画している。単純なボックスカルバートによるラーメン構造では壁・床が厚くなってしまうが、ここではねじれ空間に合わせて壁を傾けることで、面内剛性を考慮したラーメン構造とすることで壁厚を抑えている。

設計 ナカエ・アーキテクツ+高木昭良建築設計事務所+オーノJAPAN
A棟  敷地面積 98.80㎡  延床面積 101.18㎡  RC造  地上3階
B棟  敷地面積 107.29㎡  延床面積 101.67㎡  RC造  地上3階


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キッチンのない家  東京都豊島区 2008

敷地は前面道路が狭く、周辺を比較的高い建物に囲まれており、ちょっとした渓谷のようである。そこで、暗い底部を離れ、2階、3階、屋根階が中心となる小住宅が提案された。「軽い屋根が架かったような家」とするため、1階を壁式構造、2、3階を鉄骨造として計画。高さ方向の混構造では揺れのバランスに注意する必要があるため、開口形状を調整することによる鉄骨ブレース構造としている。一方、鉄骨柱脚接合部は、軽快に載せられた屋根となるように露出形柱脚としている。柱と一体化したベースプレートにネジを切ってアンカーボルトを捩じ込み、コンクリートに設けたスリーブ孔にセットし、グラウトを注入することで一体化を図っている。

設計 飯塚拓生アトリエ  構造 オーノJAPAN
敷地面積 53.78㎡  延床面積 80.09㎡  壁式構造+鉄骨造  地上3階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 28, 2009 16:51 | TrackBacks (0)