多田脩二 展示作品

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三ツ池の家  神奈川県横浜市 2007

敷地は起伏の多い横浜の住宅地に位置し、遠くに富士山が見晴らせる崖地の上であることから、両妻面を開口とした一室となる筒状の空間が建築家より提案された。そのため、短辺方向には耐震上で重要となる壁を設置することができない。このような木構造の場合、一般的には接合部を半剛接(完全な固定ではない)によるラーメン構造として設計を行うことが多いが、金物を多用する接合部のコストと性能の評価は非常に難しい。更に大地震時には、接合部のめり込みにより建物自体が大変形を起こしやすく、妻面のガラス部への影響も心配される。今回はツーバイ材による斜材を、意匠上で問題のない範囲に取り付けた偏心ブレースとすることで変形を抑制している。また、木材の部材が全て6メートル以下となるように形状を決定した。

設計 仲亀清進建築事務所  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 114.41㎡  延床面積 95.376 ㎡  鉄骨造  地上2階


森の家  長野県軽井沢町 2005

積雪と湿気対策のために地面より1階スラブが浮かせられ、その基壇としての性状を有したRC 造の上に、平屋木造の在来軸組工法が載せられた軽井沢の別荘。ゆるやかに湾曲した形状が特徴的である屋根は、全長約14メートルの集成材を455ミリピッチでジョイスト状に配している。断面形状は全て60×300ミリで統一し、全部材の曲率を徐々に変えて湾曲させる。最大スパンは7.25メートルであるが、ジョイスト梁を受ける壁の無いファサード面や後面に関しては、鉄骨のキャンチ梁(□-100×100)で支持し、梁せい300ミリ のジョイスト梁上部を100ミリ欠き取ってボルト接合することで、天井仕上げ内に収めている。また、徐々に勾配をつけた屋根面の合板は、ジョイスト梁の上部をなめらかに面取りし、形状をなじませながら接合しており、必要な面内剛性としての性能を有している。

設計 三浦慎建築設計質  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 2040.66㎡  延床面積 173.19㎡  鉄骨造  地上1階


e -house  東京都世田谷区 2006

この住宅では、敷地の高低差を利用し、中間階の浴室を介して上部階へと繋がる各部屋を緩やかに連続させ、吹き抜けにより一室空間として構成している。室内内部に柱を立てないようにするため、外壁面に耐震性能を有するブレースを設け、繊細な部材断面(H-100×100)の柱と梁による鉄骨造としている。特に上下階の境界部分となる2階床は、視線を遮らないようにできるかぎり薄くするため、RC と鉄板の組み合わせを採用することで厚さ100ミリとしている。接合部は、剛接合を一切用いずにピン接合とした。しかし、多数の部材がさまざまな角度から1点に集中して取り付くため、ディテールの検討と接合には十分な検討が行われた。

設計 福島加津也+冨永祥子建築設計事務所  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 111.93㎡  延床面積 100.80㎡  鉄骨造  地上2階


西麻布の集合住宅  東京都港区 2008

六本木ヒルズ近くに位置する集合住宅であり、近隣に建物がびっしりとひしめき合い、接道も狭く敷地は非常にコンパクトである。少しでも室内面積と階高を得るためと、施工時における重機搬入や施工性を考え、繊細な鉄骨断面で構成することを考えた。各階・各方向とも、コア部分や意匠計画上で可能でなる壁部分に耐震ブレースを配置し、□ー150×150 ミリ、またはH-150×150 ミリの柱梁断面によるブレース付きラーメン構造を採用した。高さが20メートルを超える「中層建築物」であることから、一次設計の水平力に対してラーメン部分の分担率を30%以上としている。また、短辺方向であるY方向は「塔状比」がほぼ4であり、C0=0.25 以上での弾性設計と保有水平耐力検討を行っている。長手方向であるX方向は、ブレースの水平力負担が70%以上であることから、応力割り増し1.5 倍のC0=0.3 とする強度型設計である。

設計 川辺直哉建築設計事務所  構造 多田脩二構造設計事務所
敷地面積 115.62㎡  延床面積 435.39㎡  鉄骨造  地下1階 地上8階

4展示作品 | Posted by satohshinya at 3 29, 2009 8:17


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