コンペにおける憂鬱から解放されるのか

最近、エントリーのペースが途絶えがちでしたが、理由は歴然。
コンペをしていたから。
先日、結果的に一ヶ月半におよんだプレゼン作りに区切りがついた。
幾度におよぶ提出期限の変更に、テンションがうまくコントロール出来ない不思議な環境での作業だった。
手は尽くしたとまではなくとも、そこそこ言いたいことを言って、やりたいことをやった気がして、満足している。
(大学院の授業の事まで話すことが出来た。もっと、煽らないのも悪いんじゃない。と、言っときました(笑)。→一応、ウケテました。)
まぁ。最後の提案をまとめる段階で自分の提案を、引っ込めたことだけが、悔やまれるが。
期限が、曖昧なコンペだった事からわかるように、要求も自由に解釈出来るものだったので、あらゆる想定を頭の中で組み立てた結果。アイデアをあたためて、実施に近くなった段階で、出すのもいいんではと、思ったのです。
FIAS.jpg
僕は、一貫して、システムの変更を提案することに徹底した発言をした。
最終的にはアーキテクトが決めるので、そういうことが出来たのですが。
様々なリサーチの結果、既存のシステムに新しいシステムをアディションする事で、結果的に大きなリダンダンシー(冗長性)が得られることを提案しました。
ここでのリダンダンシーとは、「長く使い込んでいける融通さ」というニュアンスであって、
アディションしたモデュールが、例えば気候や風土、オリエンテーションと言った、ローカリティに対応しながら、
共通した自動車工場としての風格が保てるというようなこと。クライアントから求められていたのは、あくまでも工場のヴィジュアルアイデンティティ。
(今回の公式は、ローカリティに対応したエコロジカルなシステムを持つアディショナルモデュール=サスティナブル と言ったところ。)
ただ、アディションするシステムが簡単なコストで解決するのかという、実現性における一押しがないのが、どう見られるか。わからない。現在、コンペティターは三者まで絞られていて、僕らのプライオリティは、エコロジカルな話を唯一していたこと。
そこで、今回の投資は限定的な範囲ではあるが、エコロジカルな機構をまとうことで、それが全体に好影響を与えるという「押し」で僕らはイケルと判断した。
あ。コストにおけるアルゴリズムを書かないことはまずいんじゃないかと言ったら、…そんなん分かるか。って言われたのを思い出した(笑)。フランスだしな。

それにしても、はやく、コンペティションをめぐる憂鬱から、解き放たれたい。

以下は、やりとりの一部。
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Yさんには、翻訳という作業の中で、
企業が持つ思想(アイデンティティ)をリサーチしてもらう。という事ですが、
コンペにおいて大事なことは、やはり、一発のアイデアがあるかどうかです。
建築家が審査するコンペならば、
その審査員の嗜好などを考慮して、イメージが鮮やかに伝わるように、
パーソナルなレベルで寄り添ったりするものですが、
今回は、企業戦略のコンサルタントのような感じなので、
僕らが、実践しようとする具体的なアイデアが、
「どういう新しい仕事場の風景を獲得できるか」や、
「どのように対外的な会社のPRに役立つのか」というメリットが明確になっていると、
相手にも好印象だと思います。
従って、ただ見た情報を整理するというより、
恣意的な視点をもって、編纂するような感覚も必要だと思います。
言い換えると、具体的なアイデアをイメージしながら、リサーチすると効率的だと思います。
単純に自分の興味もあるでしょうから、そちらも同時に深められれば、良いと思います。

・話し合いの中で僕が思いついたこと。→リサーチしたい項目。
・貧弱なエントランスの改善に伴って、会社がもつ判然なアイデアを、プレゼンテーションできるような目的で、共用部の展示方法など、空間を使い込んでいく提案。または、通常、ストレージとして使われるところが、イベントスペースとなるような、ドラスティックに風景が変わる提案。(日本の伊豆にある特種製紙の工場は、坂茂 設計の逆シャッターの倉庫なんかは、原弘賞の展示を行うとき、倉庫を開放して使用したりしています。)→CBDが言っているサポートファシリティの再構築のための調査。
・工場の立地が、人目に付かない場所ならば、風景が際だつような工場の全体像を作って、それが、企業パンフレットやWEBのイメージになるような提案。→立地を調べる。現状の企業PRのパンフレットを手に入れる。ロゴや会社名の由来を調べる。
・もしグローバルに展開している(しようとしている)企業ならば、工場を地球のディテールとみなして、地域に合わせた展開力を持つ一つのアイデアで、様々な工場をつくる提案。→今後の進出予定地域を調べる。
・建材が、自社製品でまかなわれるような、エコシステムの提案。→リサイクルされているマテリアルを調べる。

あと、知りたいことと言えば。
・工場の拡張のルール。例えば、1サイクルごとに展開されるものであれば、その1サイクルのサイズ。
・会社の一般的な概要。社員数や売り上げの伸び。今後の戦略。
などなど。

CBDが、閣下さんに依頼してきたのは、精度の高い建築のイメージと、精巧な部品のイメージがマッチしたからなんじゃないかなぁ。と思いながら聞いてました。そこら辺が、建築の提案に繋がってきても面白いかなぁ。

よいアイデアは、複雑な問題を、非常にシンプルに答えられるものだと思います。
無数の解答がありえる中で、何をたよりに自分のアイデアをシンプルに整理し、
多くの可能性が示唆(しさ)できるものになるか。
それが、次回の打ち合わせの論点になると思います。

建築 | Posted by simon at April 4, 2005 5:00 | Comments (4) | TrackBack (0)

テレビ東京 新番組 Design Channel

テレビ東京 新番組 Design Channel
4月2日(土)3:10〜3:40

本日は伊東豊雄さんが講師です。
次回は、伊東さん part2。

建築だけでなく、広くデザインに関係する番組のようです。
もっと、たくさんの人が見れる時間でもいいのに。次のクールからかな。

たまたま、発見して、途中から見れました。
よく見ている伊東さんなので、新しい一面を発見する事は、なかったですが、簡単に言うと。
メディアテークと、サーペンタインを挙げ、共通して「柱、梁、から出来ているという箱」からの脱却を目指しているんだと。
それが、「いかに美しく実現したのか。」という流れで話をされていました。
僕の美しさの追求を楽しんでよ。という意志が十分に伝わるものでした。
来週は、進行中のプロジェクトなどが出るのでしょうか。

番組の後半は、微妙なデザインニュース。この落差なんだ。

番組のエンドロールによると。企画 インタープラネッツ のようだ。
LINK:c-channel|TOYO ITO

LINK:テレビ東京 Design Channelの新着Blog検索結果

建築 | Posted by simon at April 2, 2005 3:29 | Comments (0) | TrackBack (0)

香川県庁舎

KGWcityhall.jpg

丹下さんの成果って、あまり理解できてないのだ。建築は良い。ということは分かる。

建築 | Posted by simon at March 23, 2005 3:23 | Comments (1) | TrackBack (1)

線の多い家

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いちいちかっこつけないとやってられない。(経緯

建築, portfolio | Posted by simon at March 23, 2005 3:19 | Comments (0) | TrackBack (0)

ホワイトアウト

僕らの世代は「ホワイトアウトの建築」からどう逃れるのか。自立出来るのか。というのが、無意識に抱えている困惑ではなかろうか。こんな会話をプレゼンを作りながらしていた。
先月、あるコンペのプレゼンテーションを作っていた。アーキテクトは、アドビイラストレーター独特のホワイトアウトする仕上がりが、気に入らないらしい。(笑)

ex-planticon.jpg
近年、ユーロで最大規模になった自動車サプライヤーメーカーが、グローバルリーダーとして展開する中、各地に作る工場に、共通のビジュアルアイデンティティを提案して欲しい。というのが主旨だった。
土地が具体的に想定されていないコンペだった。そのため、一つの解答(建築)を目的とする事に、違和感を覚えた僕らは、現代的なテーマや、従来からあるテーマを示唆するキーワードを四つ挙げ、僕らが建築をアセンブルする流れを、プレゼンテーションすることになった。
それらから連想される建築化するアイデアを、彼らが持つ工場のシステムにアディションすることで、はなしの構造と同時に、僕らの持つボキャブラリーを伝えようとした。
キーワードから派生した、離散する20のアイデアを、アイコンに表現できるレベルまで還元し、四つの軸の中での関係性(位置)をプレゼンテーションで表現した。

建築 | Posted by simon at March 15, 2005 0:08 | Comments (7) | TrackBack (0)

萌え@写美

僕が行ったときは、平日の秋葉原くらいの混み具合でした。観覧者も展示の一部。即席のインスタレーションと言った具合で。きっとベネチアよりも臨場感があって、より本質的な環境で楽しめた。(笑)。なぜ、写美で展示が行われたが僕には分からなかったのですが、建築展としては「さいごのポストモダン」という表層を持ったニュアンスが、私的に楽しめた視点でした。もう少し言うと、内生的なきっかけが、あるひとつの徹底を生み、街の風景になったというストーリーの組み立てが、ポストモダンらしいなと。僕は、それよりもランドスケープアーバニズム的なスケールから、街並みを考えたりすることの方が、わかりやすく新しいものを生み出すのかも知れないと、思いこみながら萌えていた。

建築 | Posted by simon at March 14, 2005 23:27 | Comments (0) | TrackBack (1)

Guggenheim@NewYork

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ちょうど一年前は、NYへ行ってました。床は、三度に傾いている。しかし、当時これをやったことがすごいよ。個人的には良さがよくわからなかった。動線の結末を期待しすぎたところもあったし。寒すぎたし。‐10は軽く超えていたし。その上、地下鉄降り間違えて20ブロック近く走った(笑)。68st 86stの駅があるとは思わないさ。展示もいまいち好きでなかったし。いろいろ理由はある。MoMAは工事中だった。(LINK:simon:ビッグネスが生んだ建築

NYにまつわるはなしを。まもなく、チェルシー地区に坂茂氏設計のNomadic museumがオープンするようです。ポンピドーセンターの紙にしろ、このコンテナにしろ、純粋建築を目指して、こういうのをつくる坂さん。かなり良い。

建築 | Posted by simon at February 14, 2005 8:19 | Comments (3) | TrackBack (0)

幼稚園から大学院まで

私、大阪出身なので、関西の情報にはなぜか敏感(な時もある。)まぁ三面記事的なニュースを無理やり全国レベルの話にしてみようかと。
関西大学新キャンパス構想によると、幼稚園から大学院まで入る30階の超高層ビルと、防災センター機能を有する体育館で構成されている一貫教育施設を作るようです。JR高槻駅北側の「都市再生緊急整備地区」に指定された地区に建てるということもあって、助成金と規制緩和が認められ、可能になったプロジェクトだと思う。全国で規制緩和に伴う官民合わせた投資は、全国の7割を占める東京において、五年間で10兆円と見込まれている。なぜ今、投資が必要なのかは、下記リンクを参照して頂きたいが、そのお金が有効に使われているかは、次々に完成しているので、経過を見て判断したい。

AKB.gif

写真の秋葉原のビルもその一例だ。
国土均等利用と言ってみたり、巨大都市にお金を注いだり、ゆとり教育じゃないが、中身がないものになっている気がするなぁ。

LINK:動き出す都市再生事業
LINK:NHK総合「明日を読む」都市再生

建築 | Posted by simon at February 10, 2005 5:55 | Comments (2) | TrackBack (0)

P ジョンソン逝く

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miyajima/weblog:Philip Johnson 逝く/ガラスの棺によると、25日亡くなったそうです。二ヶ月ほど前に、simon:ビッグネスが生んだ建築のエントリーの中で、未だにMoMAとのつながりがあるという話題を共有したばかりだったので、個人的にはタイムリーな話題です。しかし、グラスハウスを自らの墓に見立ててしまうとは…。NYtimesでも特集を組んで、彼の功績をたたえています。フィリップ・ジョンソン著作集(フィリップ・ジョンソン/ディヴィッド・ホイットニー 横山正 訳 ADA発行)をこの機会に読み直そうかな。nationaltrustによって、一昨年前に買い取られたfarnsworthhouseとグラスハウスを取り囲む歴史的な考証もこの際深めたい。

LINK:Architectural Record:Philip Johnson Dies

*写真は、コルビジェの墓。特に関係ないけど思い出したから。コルビジェは、大好きな海水浴中に カプ マルタン の海で。だもんなぁ。

ついでに、カブ マルタンで歩く私。
Colgrave.gif

建築 | Posted by simon at January 28, 2005 1:37 | Comments (2) | TrackBack (3)

名残のある風景

市電跡 大宮通り七条下ル
SDNato.gif

LINK:simon:かたい空間


「建築における日本的な風景をつくる制度は開発可能なのか」
ーPM・CM方式を通しての考察ー

 PM(プロジェクト・マネジメント)は、もともと米軍が第二次世界大戦で、マンハッタン計画という原子爆弾の開発プロジェクトを切り盛りする時に、「最小のコストと時間で高性能」な原爆を作るために、開発した大きなプロジェクトの推進管理手法という発祥を持つ。CM(コンストラクション・マネジメント)もまたアメリカで確立したプロジェクト実施方式だ。30年前アメリカでは、プロジェクトが大規模化、複雑化するのに伴い、工事遅延、予算超過が乱発し、それらを防止する目的で、マネジメントを専門に行う主体として、設けたのが始まり。
 しかし、現在、それらの方式が持つ意味は、歴史的なコンテクストは違えど、事業の推進を得意とするPM、工事の切り回しが得意なCM(施設の管理が得意なFM)。と言った、それぞれの方式が持つ発想の着眼が派生し、建築全体のマネージメントへ発展したものになっている。どの方式も、施主と一体となって良い建築を目指すという、表だった目標は同じものの、ネーミングが似ていることもあり、差異を認識しづらい。施主(発注者)が自分の希望する建築の性格に合わせて、それらのマネージャーを選択する。と、いうのも混乱をまねく原因になると思われる。日本における大型のプロジェクトの推進手法は、これから開発していかなくてはならない。というのが、今日抱える論点である。
 建築におけるCMやPMと言った、日本的な管理方式のスキルを育てるにあたり、社会的な命題としては、魅力的な日本の風景をつくる。と言うことがそれに、値するのではないだろうか。都市計画や、アーバンデザインという概念は、全世紀において、建築家が放棄せざるえなかった分野であると言ってよい。何一つ実現せず、「中銀カプセルタワー」のような派生した建築や、「横浜市の都市デザイン室」というような制度が形骸化して残っているだけで、社会に対する訴求力は、現時点では失われている。
 魅力的な都市を開発していくためには、建築家が関わらなくても、ほとんどの建築が建っているという現実の中、それ以外の9割以上の建築を見捨てていては、一向に日本が持つ風景は良くならない。その指標たるものとして、ヨーロッパのような歴史的な象徴性をセレブレートする風土を受け入れようにも、地震や戦争によって都市をリセットする歴史を背負う日本において、その概念のみによって具体的なアイデアを生むことは、難しい。また、湿度の高い日本において、300年も400年も持つような建築を、作ることは現実的には不可能で、再構築していく中で、都市が持つイメージを培って行く必要がある。また、アメリカのような建築が引き起こす問題すべてを、訴訟に持ち込む風土から生まれたCMやPMを全うに受けていては、それらが日本における風景を創造するにあたり、頭の痛い制度になりかねない。
 縦割り行政の性格上、都市の骨格(ファシリティ)である河川、高速、公園、海岸などは、デザインという価値が存在しなかった土木という分野が責任を負ってきた。もちろん、壊れない骨格を作るという理念に基づき、国土を作るという責務は全うしている。しかし、それのみで都市や国土が覆われており、その上に建つように見えてしまう、建築単体では、社会に対してクリティカルな視点が問えなくなってきていると言っても過言ではない。
 では、どこに「日本の風景をつくる」可能性があるのだろうか。それは、誰もみたことがない地平であり、非常に可能性がある方法論として、今世紀確立していく大きな目標になると考えている。継続して、建築家が建築を建てることも必要だが、もうすこし手前で、従前なる制度をデザインする。というスタンスで再構築も必要だと思う。そこで、ゼネコンが培ってきた技術や組織力、行政への働きかけといったスキルを、建築、土木、行政と言ったフレームを横断し、PMやCMの導入という口実を利用して、開発可能な人材と、社会を作ろうとしている。それらが、どこへシフトしていくかは注意深く見ていく必要があると思うが、建築家が作る建築がただの、ぼやきに。制度がこれ以上の創意の弊害にならぬよう。建築に携わる人たちで、社会に働きかけて行かなくてはならないのは確かだと思う。
 最後に、論点を分かりやすくするために、建築家とゼネコンという二項対立の構図をひいたわけだが、建築家が都市を創造することがあるべきであり、ゼネコンがマンパワーのアイデアを世に問う姿勢を持ち直すべきだと思う。僕は、風景をつくる。都市をデザインする。街をつくる。という事に興味が沸いている。

このエントリーは、
「建築マネジメントの実践p20〜47 日刊建設工業新聞 小菅哲」
「国土交通省 マネジメント技術活用方式試行評価研究会に関するHP」
建築家 塚本由晴、リノベーションについて語る。」を参照しています。

遺構, 建築 | Posted by simon at January 27, 2005 18:53 | Comments (0) | TrackBack (0)

いかに建築は社会的に構想されるのか

nikkori.gif
ほんわかしたら、顔をぽちっと押してあげて
就職活動している人への、メッセージですね。

LINK:145号

就職用の写真を撮るならお勧め。目の前でフォトショップ実演してくれて、みるみるスマートな顔立ちになります(笑)
LINK:アソーカメラ

コメントに出てきた本
LINK:住宅論 SD選書 49  篠原 一男

建築 | Posted by simon at January 26, 2005 20:52 | Comments (3) | TrackBack (1)

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