BACCARAT GALLERY-MUSEE

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NOUVEL(ヌーベル)事務所の山添ナオリさんが薦める
『BACCARAT GALLERY-MUSEE(バカラ美術館)』へ。

昔、大金持ちが、芸術家や作家、音楽家のために
サロンとして開放していた邸宅を改修したもの。
設計は『Phillipe Starck(フィリップ・スタルク )』
鏡やスケール操作を多用した空間は、
『ハイパー・リアル・ゴージャス』と言う感じで、
本物の高級品で作られたディズニーランドのよう。

『本物の高級感 / 似非ゴージャス』の境界とは何なのか少し分からなくなる。
スタルク特有のギャグセンスでこれらの境界を積極的に曖昧にすることで、
現在流行のブランド建築の『意味』と言うか、『在り方』を
『高級』の意味と共に問い直しているのであれば、頭が上がらない。

彼に限ってそんなことはないかな?

ちなみに僕の腕時計は彼のデザインです。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 22, 2005 21:50 | TrackBack (0)

あっという間の日本

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5月10日にフランスに帰ってきました。
帰国時は、一年ぶりの日本食三昧と二年ぶりのサーフィンで
だいぶ心の充電が出来た気がする。
なんと言っても、日本は魚とご飯がおいしい。

今回の帰国では出来る限り動いて、色々な人にお会いしたけれども
全ての人々と都合をあわすことが出来なかったのが心残り。
一ヶ月とは非常に短いものです。

日本であった出来事を全て書こうとすると
何時までたってもフランスのことが書き始められないので
また、他のエピソードに絡めて書くことが出来たらと思う。

エピソードを一つだけ。
そんなパンパンの日程を押して石川県に行ってきた。
金沢21世紀美術館がメインの目的。
これに関しては多くの言説が既にあるので語るまでもないが、
僕にとっては、建築表現よりも使用者の活動が印象に残った。
そんな公共建築は伊東東雄さんの仙台メディアテーク以来なかった気がする。
この印象は、この建築が「箱物」ではなく、「市民に愛される建築」であることを
表しているのだろう。

この旅で一番印象に残っているのは石川県の北にある小さな島、「能登島」。
山並みから海岸沿いまで連続する棚田。
水面によるランドスケープを車で走りぬけると
「空を飛ぶよう」というか「海を突き抜けるよう」というか。
建築空間はこの感動を超えることが出来るのだろうか?
などと、ふと考えてしまった。


Architecture Space / 建築, Dialy / 日常, Travel / 旅行 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 17, 2005 21:41 | TrackBack (0)

改修工事

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先日、去年からはじまった事務所内の改修工事が終わった。
模型室のぼろぼろなった床や壁を剥がし、
表面を平滑にし、白と灰色のペンキを塗っていくというもの。

写真は工事中ではなく、完成した状態。

長い年月の間に何度も改修されているこの部屋には
過去の痕跡が昔の窓枠や扉の建具として残っている。
これらの目地が徹底的に消去されることで、
室内は起伏のある一枚の表面のように仕上げられる。
そこでは、
天井についているはずの『蛍光灯ユニット』が一方の壁に無造作に立てかけれら、
もう片方の壁を、居住空間には使われない『工事用照明』が照らしている。


それだけの事なんだけれども、
これらの『ズレ』の集合が
一般的に『ホワイトキューブ』と呼ばれるものとは決定的に異なる
『抽象的』な空間を生み出している。

普段、慣れ親しんでいる場所が変化したので
特別に気になっているだけかもしれないと思いつつも、
『おもしろい空間』を大掛かりな操作を施さずに作ることは可能なんだなーと
改めて実感する。

現在は、この場所には大きな机がひとつ置かれ
そこで、JAKOBとMACFARLANEがひたすらスケッチしています。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 1 24, 2005 8:51 | TrackBack (0)

仏蘭西のArchitectとStagiaire

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今週は一週間あっという間に過ぎてしまった。
年末と言うこともあるのだけれども、それ以上に
今週は毎晩のようにfete(パーティー)があったから、そう感じるのかもしれない。
なぜ毎晩のようにfeteがあったかと言うと
所員1人と2人のstagiaire(研修生)が事務所を去るからです。

フランスの設計事務所は日本の設計事務所と比べて
人の入れ代わりが非常に多く
うちの事務所でも、だいたい3ヶ月おきに壮行会のfeteがあります。

それはフランスにおける設計事務所の契約形態によるところが大きく
日本のような終身雇用より、プロジェクトごと、短期間ごとの契約が多い。
と言うのも、雇用者は能力のある人しか必要としていないし
Architect(アーキテクト・日本語訳の建築家とは異なるニュアンス)は
興味のあるプロジェクトがないと去っていく。
また、色々な事務所で多くのプロジェクトに参加すること自体が
Architectの価値をあげるということも理由に挙げられます。
いかにも『契約社会・フランス』と言う感じだが、
これはヨーロッパ全土で共通のようです。

今回JAKOB+MACFARLANEを退社するのは、
3年半勤務していたオーストリア人のArchitecで
かなりの数のプロジェクトと、事務所のグラフィックデザイン全てを統括していた。
元々ファッション関係出ということもあって、美術関係に精通し
個人的 (PETRA MAIER)にも既に活動している。
来年はオーストラリアの設計事務所に勤務し中東のプロジェクトに関わるらしい。
色々な国で暮らしたいという彼女にとって、そろそろ生活環境(国)の換え時らしい。

人の入れ代わりが多いもう一つの理由としてstageと呼ばれる研修制度がある。
フランスでは、ほぼ全ての職業に
stage(スタージュまたはapprentissageアプランティサージ)があって
ケーキ職人や料理人、心理カウンセラー、整体師、そして建築家にも
一定の研修期間が定められている。

建築学科の学生の場合、Stagiaire(スタジエール・研修生)は社員のように勤務し、
図面を引き、業者の打ち合わせも行ったりする。
正社員の1/3の賃金も保証されていて、
自分の職業で果たす社会的責任も感じることが出来る。
その後に学生の総決算diplome(卒業設計)に取り掛かることができ、、
卒業した時点でArchitectの免状を手にすることが出来る。
この制度のおかげで全ての新卒者は即戦力として仕事につくことができるし、
雇用者側も日本の新人研修のような再教育の期間を省くことが出来る。

素晴らしい制度である反面、『建築』ではあまりにも現実的なことを
学生時代に知りすぎてしまって
新しい思考回路や発想が育ちにくいというのはあるようだ。

どちらにしても今回事務所を去っていく人々の健闘を強く祈っている。

写真は勤務後のお別れ会の様子と
後日 fete(パーティー)で 食べたraclette(ラクレット)と言う料理。
raclette(ラクレット)はチーズを小さい容器でやわらかくし、
ジャガイモ、ハム、ベーコンなどと一緒にいただく。
みんなでワイワイ、ガヤガヤと食べる料理で日本でいう鍋料理かもしれない。

Architecture Space / 建築 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 20, 2004 10:08 | TrackBack (0)

La Saline Royale D’Arc-et-Senans

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・ 11日
松田達さんに誘っていただきFete de la maisonへ。
スペイン人建築家の家で行われたのですが
話してみると、そこにいるほとんどの人が建築家、もしくはstagiaire(研修生)。
国籍はフランス、スペイン、イタリアなど。
僕がたどたどしくフランス語を並べている横で松田さんはスペイン語を話していた。
フランス語と似ているとはいえ、すごい。
翌朝を考慮して、この日は悔しくも早めに帰宅。

・ 12日
La Saline Royale D’Arc-et-Senans(ショーの製塩工場)へ。
18世紀にClaude−Nicolas Ledoux(クロード・ニコラ・ルドゥー)によって建設された
王立の製塩工場で1982年にUNESCOの世界遺産に登録されている。

幾何学的な構成・密度の多様性・方向によって異なる「見え」。
全ての操作は非常に精密であると共に狂気じみたものであった。

正直、今までLedoux(ルドゥー)にはあまり関心が無かったのだけれども、
「もの」を見た後は、その魅力に取り付かれたしまった。
あまりの情報量の多さに上手く消化できていないので
これは、改めてまとめてみたいと思う。

DIJON(ディジョン)へ
午後はブルゴーニュ地方の町、DIJON(ディジョン)に行く。
Arc-et-Senans(アーケセナン)からの乗り継ぎが上手くいかず、
名産のmoutard(マスタード)は買うことが出来たが、
escargot(エスカルゴー)とvin(ワイン)をいただくことができなかった。

しかし、300ページにも及ぶLedoux(ルドゥー)の図版集を
手に入れることが出来たので全く悔しさが残らなかった。
むしろ、これをどう料理(解釈)しようかで頭がいっぱいになる。

Architecture Space / 建築, Travel / 旅行, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 13, 2004 7:03 | TrackBack (0)

BECHERの写真

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・18日
毎年11月の第三木曜日に解禁されるワイン・ボジョレーヌーボー(Beaujolais nouveau)を飲む。
日本のように大騒ぎにはなっていないが、レストランや惣菜屋に行くと
店員さんがさりげなく勧めてくれる。
僕も平日の昼食にこれをさりげなく飲む。
このさりげなさ。さすが、ワイン文化が充実している。

日本でのボジョレーやスターバックスの熱狂は、
ワイン文化やカフェ文化の成熟度の違いを表している気がする。
それを証拠に、元々カフェ文化があるパリでは、スターバックが入り込む余地が無く
観光客エリアに二店舗しかない。

・20日
Center pompiduで行われているBERND ET HILLA BECHER展へ。
時代、国籍、文脈が異なる一つの『工業建築・設備』を同じ視点で撮影し、
即物的な『もの』でさえも、それを取り囲む時代や状況によって
様々に変化するということをあらわにするタイポロジー(Typology)。
BERND ET HILLA BECHERはこの技法で有名なドイツ人写真家。

今回の展覧会では下記の10作品が展示されていた。
給水塔(Chateaux d’ eau)
冷却塔(Tours de refrigeration)
ガスタンク(Gazometres)
縦坑(Chevalements)
加工工場(Usine de traitement)
砂利倉庫(Gravieres)
炉(Fours a chaux)
穀物サイロ(Silos a cereales)
石炭サイロ(Silos a charbon)
溶鉱炉(Hauts fourneaux)
パイプ群の詳細(Details)
生産工場(Halles de production)

光が均等に当たる曇りを選んで撮影された写真群からは、
正面のアングルとも相まって
グラフィックデザインのような二次元的印象を強く受けた。
被写体は形態が似ているのにも関わらず、
そこに張り付く「素材」や「スケール」が様々に変化しているので
まるで3Dグラフィックのマッピングスタディーを見ているよう。

「特定の素材が連続していく」という『工業建築・設備』に特有の『表面』構成は、
一般的な「建築」のデザインに適用できる十分な魅力を持っている。
(※写真は展覧会カタログの写真)

Architecture Space / 建築, Art / 美術, Event Lecture / イベント, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 29, 2004 0:56 | Comments (3) | TrackBack (0)

Centre de communication pour RENAULT

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仕事でCentre de communication pour RENAULTの現場へ。

フランスの自動車会社ルノー(RENAULT)が展示・会議・その他催し物を行う施設。
設計競技によって獲得した仕事で、元々あるルノーの工場を改修することで作られます。

既に世界中の建築本や雑誌に取り上げられているので
ご存知の方も多いかもしれません。

我々の計画は、工場の『ノコギリ採光天井』が持つ魅力を最大限に生かし
改修後に作られる諸室群全てを、この『ノコギリ表面』の拡張形態として構成すること。

規模や性質によって、『ノコギリ表面』と各諸室の関係性は変化し
これによって多様性のある空間群の構成を可能としている。
中央の『ガランドウ』空間では、工場が元々持っていた
ダイナミックなスケールを体感することができる。

完成は12月末の予定です。

敷地はパリの外れにある、ルノー地帯と呼ばれるルノーの施設が集まる場所。
その地域は現在、パリの一大文化再開発地区になろうとしていて、
すぐ近くには日本人建築家・安藤忠雄さんの美術館などが建設予定。

元々高級住宅地のであるこの一帯ですが、
この開発によってさらに地価が上がったらしいです。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 18, 2004 23:10 | TrackBack (0)

かみのけんちく

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リクエストにお答えして・・・・・・・・・坂茂さんの事務所情報を。

外観はこんな感じです。
ガラス越しだから上手く撮れませんでした。

場所はレストラン「george」と最上階の展示室をつなぐ廊下に面した
中庭に設置されています。

内観は・・・・・ごめんなさい。プライベートスペースなので記載できません。。

Architecture Space / 建築, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 15, 2004 22:34 | Comments (7) | TrackBack (0)

「紙」と「お寿司」と「浮世絵」と

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・ 10日
坂茂パリ事務所の岡田君に誘われて坂事務所見学へ。
Center pompiduの最上階にはjakob+macfarlane設計のレストラン「George」が。
それを横目に進んでいくと仮設テントとして設けられた事務所が見えてくる。
建物は坂茂さんの「ブランドロゴ」となった紙管による構造。
断熱材に薄い発泡スチロールを使っていて、夜になると光が透けてとてもきれい。
「設置場所」も、「日本人による紙建築」であるということも含め
この建築自体が展示物と化していました。
さすがポンピドーセンター。色々なことがかなり戦略的です。

・ 14日
事務所のみんなを招待して、手巻き寿司パーティー。
早朝に市に買出しに行った甲斐あってかなり好評。

・ 15日
Galeries Nationales du Grand Palaisで行われている「Images du monde flottant」展へ。
Images du monde flottantとは、絵・世・浮。つまり日本の浮世絵の展示です。
フランスで見る日本の展示は何か不思議。
展示よりもフランス人の反応に興味が向いてしまう。

すごい量の浮世絵をまとめて見るのは今回が初めて。
西洋絵画は、あるテーマ(例えば「受胎告知」)に沿って全ての要素が構成されている。
それは絵画の中に一つの(「時間」とも呼べる)物語が存在している。
一方、(特に多人数が描かれた)浮世絵の画面では、ある者は歌い・踊り、ある者は決闘し
そしてあるものは寝ていたりする。
つまり、画面の様々な部分にそれぞれの物語(「時間」)が流れている。

表現方法としては、物の大小関係・位置関係、記号的表現など、
やはり西洋的絵画とはかなり違ていることを再々確認。
とくに、勝川春潮が描いた「EDOcho dans quartier de YOSHIKAWA(江戸よしかわ地区/正式名称不明)」
が興味深い。
道沿った幾つかの建物があって、全ての建物はそれぞれの消失点をもった遠近法で、
道をまたぐ門はアクソノメトリックで描かれている。
先日見た歌舞伎の舞台装置にもった感想と同じで、遠近感が曖昧に設定されているから
見かたによって遠近関係がかなり変化してくる。
無自覚にこの操作を行っているんだろうけど、ホルバインの絵よりやってることが面白い。

そういえば浮世絵も歌舞伎も江戸時代に起源を持つものですね。
この表現は時代によって共通に埋め込まれた表現形式だったのかも知れない。

写真は自宅近くで建設が続くJean Nouvel設計のmusee du quai branly
散歩中に撮影したもの。
壁面の植物が異様で魅力的。

Architecture Space / 建築, Art / 美術, Event Lecture / イベント, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 11 14, 2004 23:10 | Comments (2) | TrackBack (0)