根津で考えた「デザインの本質て?」

根津美術館に行ってきました。

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東武や南海などの鉄道事業で有名な
「鉄道王」根津嘉一郎氏よって設立された美術館です。
3年半かけた新築・改修工事が終了し、
2009年10月7日にリニューアルオープンしました。
設計は日本を代表する建築家・隈研吾氏。

切り妻屋根の新館と緑深い庭園が、都心である事を忘れさせる
非常に落ち着いた雰囲気を作っています。

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建築家としては、考えるべき深いテーマを渡されました。
それは、嘘っぽいとされる「表面的で装飾的な空間の作り方」が
実は「本質的な作り方なのかもしれない」ということ。
根津美術館の空間を作っているのは、構造や断熱の為に作られた「床・壁・天井面」に、
貼りつけられた石、竹、鉄板。

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建築設計者は、構造や設備、内部機能という様々な要素を一体化させ、
要素を最小限にし、結果として、空間が装飾的になることを目指す傾向にあります。
つまり、根津美術館の様な、「単なる装飾」による作り方は良しとされない。

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しかし、実感として、「装飾的な作り方」による根津美術館の空間は非常に美しかった。
当然、広く緑深い庭園や、空間自体のカタチやスケール感も大きく影響していますが
空間の魅力を作っているは、明らかに装飾的に貼りつけられた空間の表面です。

それは、結局「人間はモノの表面しか見ることができない」と
いうことを証明しているようでもあります。
つまり、「表面に現れた本質」だけが、もの・ことの本質なのかもしれません。

それは建築家に限らず、もの・ことにかたちを与える全てのデザイナーにとって、
緊張と責任とその可能性を示すテーマとも言えそうです。

http://sugawaradaisuke.com/

Architecture Space / 建築 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 12 7, 2009 20:22


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