貴族の家

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■金曜日の夜、
友人に誘われてFETE(ホームパーティー)に行った。
場所はパリ16区の高級住宅街。
気軽に行った僕は唖然。
ものすごい豪邸に、オシャレした男女が150人くらい集って、
飲んで、歌って、喋っていた。
圧倒的な雰囲気に頭を掻き回されつつ、僕も喋って飲んで朝4時頃に帰宅。
後で聞いてみると、主催者の中に貴族がいて、その方の家で行われそうです。
貴重な体験だったのに、写真一枚取れなかったことが悔やまれる。

FETEでは、建築・デザイン関係以外の人ともお話させていただいた。
そこで、一般の人たちが建築や都市の「近代化に伴う場所性の消滅」というような主題に対して
自分の意見をしっかり持っていることに再度関心。
さすが、歴史を積み重ねた都市や建築の中で生きるパリの人々。
空間に対する意識が一般の人々に、高いレベルで浸透している。

戦後、大部分が白紙の状態から作られた現在の東京は
物理的に「歴史を積み重ねた」と言うには難しい状況。
歴史や文化の断絶など、様々な背景も違うから直接比較はできない。
でも少なからず「物が残ってるかいなか」と言うことは
意識に大きな違いを与えている。
現在、マスメディアによる「流行」というかたちで「空間の意識」が浸透しつつありますが
この過渡期の向こう側に、成熟した日本人の意識が開ければ良いなと思っています。

■土曜
Centre pompidou前にチョーク画家を発見しました。
荒いアスファルトの中から、人が浮かび上がってくるかのようです。
美術館の中でキャンバスにしっかり据えられている絵も良いけど
町の中に溶解している状態の絵と言うのも素晴らしい。
構えていないときに、突然後ろからプスとさされたような感じで
心に入ってきた。

Art / 美術, Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 9 26, 2005 7:36 | TrackBack (0)

巴里の素材

僕が勤務する事務所は、2003年の設計競技で「Helold-100 Logements-」という
集合住宅を獲得した。巴里19区に建設予定。
現在、この敷地内で地質汚染が発覚し、土壌改良の検討も含め建設が先送りになっている。

敷地の土の話をしているときに、この物件を担当しているPhilippeが面白いことを教えてくれた。
巴里の地下には無数の空洞があるということ。
と言うのも、巴里の地下は『石切り場』となっていて、巴里に建つ建築物はその石を積むことで作られているという。観光名所となっている共同地下墓地『カタコンブ(catacombes)』も元々は石切り場跡だそうだ。
古い(土着的?)建築物はその地方で良く取れる素材によって作られる。これが、各地方の町並みの色や素材感を決定しているのは常識だけど、大都市巴里の町並みが、『周辺で取れる素材』ではなく、『地下にあった素材』を直接地上で再構成することで成り立っていると聞かされて驚いた。
つまり『巴里の町並み=巴里の地下の色』という事実。

現在、新しい建築物を建設する場合、『石切り場跡』の空洞はコンクリートで充填され、後に新しい建築物の基礎が打たれる。そして、その上に載る新しい建築物にはグローバルに流通する素材、鉄、コンクリート、ガラスが使われる。
『土着性』を賛美するわけでもないし、これを素材の問題に単純化して考えるつもりは全くないけれど、巴里の建築物が持っている土地との親密な関係が、新たな建設によって少しずつ失われていることに寂しさを感じた。

Architecture Space / 建築, Dialy / 日常, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 24, 2005 19:47 | TrackBack (0)

14 juillet

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7月14日は、フランス語で『Le Quatorze Juillet』。
つまり、フランス革命を祝う『fete de national』でした。
今年はフランスにおける『ブラジル年』 と言うこと、
軍事パレードでブラジル国旗が登場したり
夜はサンバと共に花火が打ち上げられたり。

フランス滞在 一年目で、パリで行われる一通りイベントを経験しているので
二年目は「どのイベントをどのように楽しもうか?」という余裕が出てきた。

今回は写真家の洋司さん、MICHEL KLEINのデザイナー、コウジさんたちと
「CHAMPS DE MARS公園」で花火待ちのピクニック。

花火もきれいだったけれど、公園に集まった群集が物凄い迫力。
キューブに刈り込まれた樹木に挟まれた、軸線を持つ広場には、
フランス式庭園のテクスチャーのように人の頭が広がっていた。
日本の花火大会もすごい人出だけれども
『見渡せる場所 』(=広場)の存在は、群集の迫力を増幅して
群集×自分 という形で興奮をも増幅している気がした。
ちょうど「競技場に居るような状態」と言ってもいいのかな。

『見渡せる場所 』(=広場)の存在は、
デモをすぐ行ったりする熱狂的なフランス人(パリ人)の国民性を
構成している一要因なのかな?とボンヤリつぶやいた7月14日。

Dialy / 日常, Event Lecture / イベント, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 20, 2005 15:48 | Comments (3) | TrackBack (0)

巴里の夜景

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数日前に誕生日を迎えました。
幾つかのメッセージが届いたり
同僚と昼食にワインを飲んだりして
とても良い日々でした。

写真は午後9時のCHAMP DE MARS公園。
つまり『夜景』 です。

このような気候であることもあり
最近はとても良い気分。

Dialy / 日常, Paris / パリ | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 7 4, 2005 7:30 | TrackBack (0)

あっという間の日本

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5月10日にフランスに帰ってきました。
帰国時は、一年ぶりの日本食三昧と二年ぶりのサーフィンで
だいぶ心の充電が出来た気がする。
なんと言っても、日本は魚とご飯がおいしい。

今回の帰国では出来る限り動いて、色々な人にお会いしたけれども
全ての人々と都合をあわすことが出来なかったのが心残り。
一ヶ月とは非常に短いものです。

日本であった出来事を全て書こうとすると
何時までたってもフランスのことが書き始められないので
また、他のエピソードに絡めて書くことが出来たらと思う。

エピソードを一つだけ。
そんなパンパンの日程を押して石川県に行ってきた。
金沢21世紀美術館がメインの目的。
これに関しては多くの言説が既にあるので語るまでもないが、
僕にとっては、建築表現よりも使用者の活動が印象に残った。
そんな公共建築は伊東東雄さんの仙台メディアテーク以来なかった気がする。
この印象は、この建築が「箱物」ではなく、「市民に愛される建築」であることを
表しているのだろう。

この旅で一番印象に残っているのは石川県の北にある小さな島、「能登島」。
山並みから海岸沿いまで連続する棚田。
水面によるランドスケープを車で走りぬけると
「空を飛ぶよう」というか「海を突き抜けるよう」というか。
建築空間はこの感動を超えることが出来るのだろうか?
などと、ふと考えてしまった。


Architecture Space / 建築, Dialy / 日常, Travel / 旅行 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 5 17, 2005 21:41 | TrackBack (0)

久しぶりの日本。

4月10日から5月10日まで東京に帰ってきている。
久しぶりに見る東京は・・・・・・。と
パリとのギャップを書き綴りたいところだが、
自分の体が東京になじんでいて、正直驚いている。

今日は出国前にお手伝いさせてもらっていたC+Aに伺う。
突然の訪問にもかかわらず、小嶋さんと赤松さんが昼ご飯に連れ出してくれた。
浜田さんを加えた4人で海外の建築事情などを話しながら
中華料理をいただく。
うちの事務所が模型を全くつくらづ、全てCGでスタディーを行うことに
一番驚かれた。はじめは僕も驚いていたが・・・。
その後、所員の寺本さん、伊藤さん、壱岐さん、山雄さんなど挨拶を交わす。

その足でギャラリー間へ。
JAKOB+MACFARLANEの友人でもある阿部仁史さんの展覧会へ。
キュレーターの相川さん、廣田さんとお会いする。
うちの事務所紹介を兼ねてヨーロッパ建築話をする。
長々と居座ってしまって申し訳ありませんでした。

展示は
原寸大の表面のモックアップ並んだ3階と
巨大な輪切り模型が浮かんだ4階による構成。
阿部さんとは面識があり、住宅にも訪れたことがあるので
人柄や、実際の空間をリンクさせながら拝見する。

いつも思うのだけれど、阿部さんのボリューム感覚は
なんだか日本人離れしている気がする。
外国事務所での勤務が長かったせいもあるのか、
日本人特有の薄っぺらさが無い。
塊としてのボリューム感覚を覚える。

そう思っていると、表面の操作もしっかり行っているし
「ボリューム」、「表面」や「平面」といった操作の偏りが無く
うまくバランスが取れていると思う。
実は結構好きです。

Dialy / 日常 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 4 14, 2005 3:09 | TrackBack (0)