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備忘録 050426

 えーと、書きたいことが多すぎて、なにから書けばいいかわかりません。とりあえず4月の備忘録を。


<最近行った色々>
・3/31 大人のしゃべり場『塩見孝也塾 vol.1』@トリックスター
・4/01【アコースティック】ソロの夕べ@下北沢 mona records
・4/04『創』プレゼンツ「知られざる公安の内幕」@ロフトプラスワン
・4/08【アコースティック】ウクレレナイト@高円寺 楽や
・4/13 大人のしゃべり場『鈴木邦男×朝倉喬司』@トリックスター
・4/15【パーティー】DUO DOUBLE BOOKING―Blast Party C/W 牛―@渋谷 DUO
・4/19 大人のしゃべり場『塩見孝也塾 vol.2』@トリックスター
・4/22『Little Birds』上映開始前夜祭@ネイキッドロフト
・4/23『日本国憲法』完成記念上映会@なかのZERO 小ホール

<最近観た映画>
・合田健二『ANALIFE アナライフ』@シアター・イメージフォーラム
・ジャン・ユンカーマン『日本国憲法』@なかのZERO 小ホール

<最近読んだ本>
・高橋たか子『誘惑者』
・保阪正康『死なう団事件 軍国主義下のカルト教団』
・野上弥生子『大石良雄・笛』
・井伏鱒二『厄除け詩集』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集1』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集2』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集3』
・井伏鱒二『井伏鱒二文集4』
・綿井健陽『リトルバーズ 戦火のバグダッドから』
・『「映画 日本国憲法」読本』
・ノーム・チョムスキー『秘密と嘘と民主主義』
・ノーム・チョムスキー『覇権か、生存か アメリカの世界戦略と人類の未来』
・ノーム・チョムスキー『中東虚構の和平』


 今月はぜんぜん映画を観なかったなあ……ということで、GW用にどっさりDVDを買い込んだので楽しみです。

 読本を見てお分かりのように、いまさら突然、井伏鱒二ブームがきました。全集に手を出してしまう勢いです。もう最高ですね、井伏鱒二は。この独特な、少し抜けてるカンジが。心が安らぎます。モーレツにオススメ。

 チョムスキーは勉強用。綿井さんの『リトルバーズ 戦火のバグダッドから』、ユンカーマン氏の『日本国憲法』は映画、書籍、ともにオススメ。といっても綿井さんのは予告編しかまだ観てないけど。現在『Little Birds』公開されていますのでぜひ! 『日本国憲法』については書きたいことが多いので改めてのちほど。

 そういえば昨日は、かつて“アジアの大砲”と呼ばれたあの方の取材に行ってきました。大変興味深い話を聞けて楽しかった! 本当はテープを止めた後の話のほうが面白かったんですけどね(笑)。やっぱりストライカーの話を聞くのは楽しいです。前に取材した、FC東京の原博美監督と同じニオイのする人でした。

乙女日記 | Posted by at 4 26, 2005 13:48 | TrackBack (0)

塩見塾、テーマは『武士道』

 昨日は“元赤軍派議長の巨頭が闘争の時代と獄中の20余年を語りながら、今を生きる老若男女と未来を模索する「大人の私塾」”と題して先月から始まった「塩見(孝也)塾」に遊びに行きました。塾長が塩見孝也氏(赤軍派元議長)、司会進行役に鈴木邦男氏(一水会顧問)、ゲストが堀辺正史氏(骨法創始師範)、第二回目となる今回のテーマは“武士道”。会場は超満員。私は1時間遅れで参加。
 前回のこの「塩見塾」は“ブルテン”とかの左翼用語ばかりでわかんなかったんだけど、今回はテーマがテーマだけに、すごくよくわかったし、すごく面白かったし、すごく大事な議論がされていました。左(塩見さん)も右(堀辺さん、鈴木さん)もけっきょくのところ、人民のために国を良くしたいと本気で考えている部分では同じだなと。

 以下、興味深かった議論を箇条書き。メモを取れなかったので、お粗末なテキストでスイマセン。

・ナショナリズムというのは必ず最後には暴走し、民族を傲慢にさせる。東アジアのなかでそれを身を持って知ったのは日本のみで、“いままでに他国に侵略されたことがない”という慢心から「日本がアジアの代表になったる!」→「日本が世界の代表になったる!」という傲慢を生んだ結果、大東亜戦争(太平洋戦争)を引き起こして日本は敗戦、無条件降伏した。

・いってみれば今の中国と韓国の過剰な反日感情およびナショナリズム、愛国主義(私は国粋主義だと思うけど)はこれと同じ構造で、中国も韓国も「アジアの代表になったる!」の方向へ進み始めている。こうなると行き着くところは明快で、なんでもう60年も前に日本が身を持って証明したことと同じことを繰り返そうとしているのか。冷静な態度で中国や韓国に教えてあげるべき。

・日本の民族性とは「歴史の上に歴史を重ねることができる」ところだと思う。つまり、いままであったものを根底からすべて壊して新しい文化や支配や社会構造を作り上げるのではなく、すでにあるものに重ねていく民族性。これは世界の他のどの国を見渡しても例がない日本独自の傾向で、おそらく海に囲まれているということから本当の意味での侵略をされていないことが要因となっているだろう。また、ヨーロッパが「いままであったものを根底からすべて壊して新しく作る」のは、石の建築でできた文化ということも要因のひとつと言えるのではないか。

・右翼が左翼から学ぶべきことは、資本主義社会が人民にとって本当の意味では良くないという認識の仕方。資本主義を疑ってかかる姿勢(方法)。つまりマルクス主義、これが左翼思想のなかでいちばん大事。

・竹島は幕府の時代から日本のもので、あの近辺でとれるアワビだかウニだか(失念しました)が季節モノとして将軍の食卓に上がっていたというのは記録にすら残されているのに、なんで韓国人はそういう歴史検証をしないんだろうか。でもまあ欲しけりゃあげちゃえばいいのに。もともとは日本のモノというのは誰の目からもあきらかなので、100年くらい「本当はうちのなんだよねー」と言い続けて、(成長してその事実に気付いた)韓国を世界の恥さらしにしちゃえばいい(笑)。そういう意味での“太っ腹”で“キモがすわっている”“寛大な”指導者がいま世界中探してもどこにもいない。蒋介石だって毛沢東だって「日本政府は罪だらけだけど、人民には罪はない」という考えから、自国民からブーイングを浴びても日本国民に対してはものすごい寛大な処置をしたわけで、あれくらい太っ腹の指導者がいないとダメだ。もっというと、それこそが「武士道」である。

・で、さんざん韓国の恥(もともと日本のモノだという世界の常識を知らずに「返せ返せ」と要求したことに対しての恥ですね)をさらしてから返してもらう(笑)。

・明治維新以後、西郷隆盛を筆頭に日本、中国、朝鮮半島が協力していくべきだと尽力する人々がいたが、大久保利通たち明治政府がそれを阻止したということが近代日本の歴史のなかでもっとも後悔すべき誤りだった。けっきょくそれが日本の傲慢を産むことになった。

・ようするにいちばん大事なのは史実を正確に学ぶことである。

 他にもたくさん興味深い議論になってたんだけど、すでに忘れてしまいました。ひとつだけ理解が出来なかったのは「武士道とキリスト教は似ている」ということ。このことに関しては私はあまりピンときませんでした。両方いちおう勉強したけど……そうかなあ? と思いました。
 ということで今回の「塩見塾」はかなり白熱したし、かなり面白かったです。次回は(なぜか)縄文時代とかの話になりそうなんですが……まだ詳細は未定らしいです。


 この話と関係ないようで関係あるんですが、今回の東アジアの問題について、脳科学者の茂木健一郎さんがこんなことを書いていました。以下、「骨太のセレンディピティ」より部分抜粋(茂木さんスイマセン!)。※セレンディピティ=serendipity:思わぬ発見をする特異な才能

 やはり、みな、近隣諸国とのことが気になるのだろう。
 たとえ、隣人に違和感を抱いたとしても、彼らとのいきかいを創造性のきっかけにしたい。

 自分と異質なもの、やっかいなもの、そのようなものこそを鏡としたい。
 共感や一体感も重要だが、違和感や反発も同じくらい重要だ。
 世の中にはいろいろな人がいるが、そのいろいろな人はきっと意味があって、この世界に、そして自分の前に現れた、と考えることが骨太のセレンディピティであろう。

 いろんな議論と向き合って自分なりに思考するのも大事けど、その合間にこういう感覚をフッと注入することは非常に大事だと思いました。茂木さんがここで言う“骨太のセレンディピティ”というのと、意味や内容はぜんぜん違えど、塩見さんたちが言ってた“太っ腹=武士道”はなにか通じるものがあるんだろうなと感じました。

 以上、毎度ながら長くなってスイマセン……。

行ってきました♪ | Posted by at 4 20, 2005 19:10 | TrackBack (0)

鈴木邦男×朝倉喬司“日本の自殺”

 昨日は鈴木邦男氏がノンフィクション作家の朝倉喬司氏を迎え、日本の自殺について語るというイベントに行ってきました。現在、朝倉氏は日本の自殺(ただし80年代まで)についての本を執筆されているのでそれもちょっと紹介しつつ、という内容。

 以下、長文注意です。

 このトークライブを聞きに行くにあたって、あらかじめ鈴木氏に「なんか読んでおいたほうがいい本ありますか?」と聞いていたんですね。そうしたら高橋たか子『誘惑者』(講談社文芸文庫)保阪正康『死なう団事件 軍国主義下のカルト教団』(角川文庫)を読んでおきなさい、とのことで。
 この『誘惑者』がかなり良かったんですね。久々にいい小説を読みました。なんだろうかこの感覚……すごく共感できるのです。人間(特に女性)のなかにある黒く渦巻く闇みたいなものをかなり正確に描写していて、その曖昧な感覚が的確で驚きました。オススメ。

 で、この『誘惑者』は実際に起こった事件をもとに書いてるフィクションなんですよ。それについての話にもなり、鈴木さんが「マイちゃん読んだでしょ? どう思ったか朝倉さんに話して」と振ってきたので感想を述べさせていただきましたが、実は『誘惑者』はかなり事実を入れ替えたりしていたようで、あんまり私の感想は意味がなかったような。作中にどう考えても澁澤龍彦だろっていうキャラが出てくるので、朝倉さんに「あの澁澤龍彦みたいなキャラはもろに澁澤龍彦ですよね?」と聞くと、「そのとおり。だからね、澁澤世界に足を踏み入れてる人が読むと絶対に気付くんだよね。もっと言っちゃうと、高橋たか子と澁澤は不倫関係だったんですよ。知ってる人はみんな知ってる事実だけど」と教えてくれました。そうだったのかーっ! たしかに共著とかしてるし、親しかったんだろうなとは思ってたけど……高橋たか子うらやましい。

 そんな話はいいとして。

 この『誘惑者』のもとになった事件は昭和8年(1933年)1月9日、当時23歳の女学生、真許三枝子が三原山に投身自殺をしたことが発端で、2月12日にその友人だった松本貴代子が同じく三原山で投身自殺をしたんですね(これが三原山投身自殺ブームを起こしたんだけど)。で、この両方の投身自殺に同行していた富田昌子が“死を誘う女”として話題になってマスコミに追い掛け回され、3ヵ月後に変死してしまうのです。
 たしかに真許三枝子のときはみずからすすんで(?)同行したんだけど、松本貴代子のときはなかば本人に「連れてってくれないと真許三枝子のことをばらす」みたいに脅されて同行したそうで。この3人のなかで松本貴代子がいちばん強い思いで自殺したがっていた、と朝倉さんはおっしゃっていました。小説ではちょっと違うんですけど。

 他に印象的な自殺者として、藤村操(当時16歳)が挙げられていました。彼は明治36年(1903年)5月22日、華厳の滝に投身自殺をしたんですね(これが華厳の滝を自殺の名所にしたわけですけど)。彼は夏目漱石の生徒で、漱石もかなりこの自殺にショックを受けたそうです。『吾輩は猫である』にちょっとそのことについて触れている部分があるらしく。で、この藤村操が印象的だったのは、死ぬときに近くにあった樹を削って辞世の句みたいのを詠んでいるんですね。これがあの有名な「悠々たる哉天壌、遼々たる哉古今」とのことで。知らなかった!

 とかまあこうやっていくつかの事例を挙げて朝倉さんが説明してくれたんだけど、ナルホドなあと思ったのが、野村秋介が言っていたという“右翼の自殺は詩的、左翼の自殺は政治的”という話でした。右翼は死んで高天原(たかまがはら:これは古事記に出てくる天上界ですね)に行く、という共通意識があるから自殺が詩的になるけど、左翼にはそういうものがないから、ただ単に手段としての自殺で政治的だということで。なるほど! 言われてみればそうだなと思いました。
 それから“キリスト教では自殺については禁止されていない”と鈴木さんが指摘していて、たしかにキリストだって「自殺するな」とはひとことも言ってないし、モーゼの十戒にも「自殺するな」とは書かれていない、なのになんとなく“キリスト教=自殺禁止”のイメージがあるのは実は「ローマにおいてキリスト教が国家の宗教になったときに、自殺が法律として禁止された」ということなんですね。なぜ禁止になったかというと簡単で、「労働力が減るから」。これはそういえばフーコーも書いてたなと。そんなもんなんですね社会における人間の命なんて(とか言うと元も子もないけど)。

 で、色々と研究してきた朝倉さんが結局思うところは「自殺する人間は死ぬことで尊厳を守る」ということだそうです。だからよく言われる“尊厳死”というのも、もしかすると自殺の延長線上にあるのかもしれないねぇ~なんて話にもなりました。
 あと最近のネット自殺については基本的にまったく理解できないけど、「自殺する人の感情は自殺してみないとわかりません。もしかすると、やっと死ねる! ってみんなすごく幸せで、ワイワイ言いながら山でバーベキューとかまでしちゃって集団自殺したかもしれないしね」ということでした。たしかに……でも理解できない。

 ということで、『誘惑者』はとてもいい作品なのでぜひ読んでみて下さい……としか言いようがないです。これだけ書いておいて。

行ってきました♪ | Posted by at 4 14, 2005 20:18 | TrackBack (0)

備忘録 050412

 さて。やっと時間ができましたので(あいかわらずモノ書きに関してはスランプ中ですが)、今日は何を書こうかな。何がいいだろか。

 最近はもっぱら東アジア情勢が気になるところですが、あれはマスコミの報道の仕方にも問題がありますよね。たとえば中国各地でデモをやっている人たちの暴挙や過激発言ばかりをテレビ画面にこれでもかこれでもかと大写しにした後で、思慮の浅い無能なコメンテーターたちが憂い顔をして、その場かぎりのチンケなナショナリズムをひけらかすさまは本当に滑稽きわまりない。私たちが知りたいのは正しい情報のみであって、偏執的な(←ここを強調ね)主観が入っているカメラワークや編集作業はなんの意味も持たないのです。あのデモをやってる人たち(大半は無知ゆえに不憫だなあとは思うけど)の中国社会構造でのポジション、というのをもっと正確に教えてくれないと判断のしようがないわけで。

 たとえば現在、中国では国民間の経済格差がどんどん開いて深刻な状況に陥っていますよね。経済の急成長で成り上がった都市に住む市民、経済格差の犠牲となって加速度的に増加している地方の貧困層、その狭間に生きる“民工(正しくは民工潮)”と呼ばれる出稼ぎ農民たち。中国の都市部では、市民と民工で戸籍の種類が違うんですね。お金をたくさん払ったら市民の戸籍を買える(他にも色々と条件があるみたいですが)、というなんとも時代錯誤なことがまかり通ってるのが現状で。市民の戸籍を持ってないと、ろくな教育も受けられない。とてもじゃないけど“人民民主共和制(=主権が人民にある共和制)”なんて言える社会ではないですよね。まさに惨状。

 そういった状況をふまえて、デモをやってる人たちはこの中国の社会構造のどこに属しているのかと、それが知りたいわけです。市民はもちろんなんですが、おそらく民工もたくさん混ざってるんじゃないかなあと。そうすると思うわけですよ。

 「……きみたち何やってんの?」

 と。市民と一緒になって日本をスケープゴートにしてるヒマがあったら、まずは自分たちのその社会構造をなんとかしないとヤバイんじゃないの? と。それだけのパワーがあったら、もっと中国は良くなるんじゃないの? と思うんですね。まあ(よく言われてることですが)'89年の天安門事件以降、中国政府がかなりの愛国教育というか日本スケープゴート教育をしたために、ずいぶん偏った歴史観を植えつけられた国民は気の毒だなあと思うんですけど……韓国に関しては、いまさら何を騒いでいるのかサッパリわかりません。もはや意味不明。

 とか色々思うわけですが、けっこうもうウンザリです(苦笑)。どうでもいいや。自分だけはちゃんと勉強して、正しい史観を身につけようと思います。日本人もこの過熱報道に惑わされて、その場かぎりの薄気味悪いナショナリズムを持たないように気をつけないといけないですね。ナショナリズムを本気で考えるなら、まずは吉田松陰全集を読まないと(笑)!

 ……本当はアモス・ギタイ監督の『キプール』について書こうと思ってたんだけど、長くなってしまいました。反省。これはまた次回に。


 あ、でもこれはちょっと面白い(笑)。

乙女日記 | Posted by at 4 12, 2005 18:20 | Comments (7) | TrackBack (1)