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備忘録 050527

 おひさしぶりです。相変わらずバタバタと忙しくしていて、ゆっくり思想話を(笑)書くヒマがありません。感想を書きたい映画とかたくさんあるんだけどなあ……。ということで5月の備忘録です。


<最近行った色々>
・4/29【ヴァイオリン】HONZI@下北沢 lete
・5/02【ヨーロピアン?】nino trinca@代々木 ザーザズー
・5/04『イッセー尾形とフツーの人々』@草月ホール
・5/04【テクノ】CHAOS@西麻布 yellow
・5/06 松尾貴史×斉藤貴男トークショー&ザ・ニュースペーパー公演@下北沢 本多劇場
・5/07【ポップ?】高橋徹也@下北沢 Club Que
・5/11 鈴木邦男×大塚英志トークショー&ザ・ニュースペーパー公演@下北沢 本多劇場
・5/13【即興音楽】渋谷時代@渋谷 公園通りクラシックス
・5/23【取材】フジテレビ739カップ@駒場体育館
・5/26【即興音楽】マルディーニ@東高円寺 U.F.O. CLUB


<最近観た映画>
・綿井健陽『Little Birds』@新宿 K's Cinema
・森達也『A』(再)
・森達也『A2』(再)
・ピエル・パオロ・パゾリーニ『アッカトーネ』(初)
・ピエル・パオロ・パゾリーニ『マンマ・ローマ』(初)
・ケン・ローチ、アモス・ギタイ、ショーン・ペン他『セプテンバー11』(初)
・カルロス・カレラ『アマロ神父の罪』(初)
・カール・テオドール・ドライヤー『あるじ』(初)
・カール・テオドール・ドライヤー『吸血鬼』(再)
・カール・テオドール・ドライヤー『怒りの日』(再)
・カール・テオドール・ドライヤー『奇跡』(初)
・カール・テオドール・ドライヤー『ガートルード』(初)


<最近読んだ本>
・保阪正康『死なう団事件 軍国主義下のカルト教団』(再)
・森達也『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』(再)
・村上春樹『アンダーグランド』(再)
・港千尋『群集論』(再)
・ワイナー『天才と才人 ウィトゲンシュタインへのショーペンハウアーの影響』(再)
・ショーペンハウアー『幸福について 人生論』(再)


 今月は劇映画をけっこう観たんですが、『アマロ神父の罪』以外ぜんぶイイです。特にカール・ドライヤーの『奇跡』はもう衝撃的でした。「とうとう出会ってしまった」という作品。これはもう人生でダントツ1位かもしれない、というくらい揺さぶられた劇映画(ちなみに次点はパゾリーニの『ソドムの市』)。なんで絶版になってしまったんでしょうか。カール・ドライヤーの作品は現在ではほとんど入手不可なんですが、DVD BOXを先日、やっとの思いで(大枚をはたいて・苦笑)手に入れました。たまに上映会が行われることがあるのでアンテナを張っておきましょう。本当に素晴らしいです。『吸血鬼』『奇跡』と並んで名作の『裁かるるジャンヌ』は近々DVDになるらしいので楽しみです。

 森作品、『Little Birds』、『セプテンバー11』についてはいつか書きたいです(苦笑)。これは本当に観たほうがイイ!

 先日『Little Birds』監督の綿井健陽さんに取材しました。とてもポジティヴな魅力にあふれる方で、「このバイタリティーがあるからこそ、戦火のイラクでも頑張ってこれたんだろうなあ」とただただ圧倒されました。現在映画が公開中なので内容には触れませんが、『Little Birds~イラク戦火の家族たち~』に足を運んで、2003年3月から約1年間イラクではいったいどんなことが起こっていたのか、自分の目で確かめてみてください。
 あ、ちなみに私が取材したのはサッカーネタですけどね(笑)。とてもいいインタビューになったと思うので、掲載されたらお知らせします。

 読書があんまりできなかったなあ。しかも全部再読ものでした。

 フジテレビ739カップ(ハロプロ、ホリプロ、野田社長のとこの事務所、エイベックス等々のフットサルカップ)はすごかったです。業界臭とファンのオタク臭が……。石川梨華ちゃんは驚くほど可愛かったです。よっすぃーはものすごいストライカーぶりでした。足下にきたボールはとりあえず全部シュート。日本代表のFWは見習ってほしいものです。ミキティの粘着マークぶりとかも(笑)。

乙女日記 | Posted by at 5 27, 2005 17:17 | TrackBack (0)

鈴木邦男×大塚英志

 続き。


 鈴木邦男×大塚英志トークショーは新右翼VS左翼、ということで面白いことになりそうだなと思っていたんですが……とにかく大塚氏がものすごい早口で、鈴木さんが口を挟むスキをまったく与えない怒涛の喋りっぷりだったので、特に前半はまったく議論にならず……残念。大塚氏は『サイコ』や『木島日記』等でいまやすっかり若者のあいだでも人気のオタク、サブカル系の人っていう認識だったんですが、本当はこっちの左翼思想的なことを語るほうが本職? 本筋? な人なんですかね。かなり熱いうえに、見た目も暑苦しい(苦笑)。先述したとおり、のっけから護憲論や天皇制廃止について機関銃のように喋っていらっしゃいました。最初の10分くらいまではすごく面白かった。言うこと全部が的を得てるし、合理的な考え方だし、「なるほど、そういう考え方もあるのか!」と思うことも多い。しかしながら、話すスピードに慣れてくると(あと鈴木さんの絶妙な切り替えしによって)、わりとツッコミどころ満載な持論だっていうことと、言ってる内容が延々とループしてることに気付いてしまって、30分をすぎたところで食傷気味でした。

 大塚氏は護憲論者なんですが、それについて実際に行動を起こした(?)企画本みたいのを出しているんですね。『私たちが書く憲法前文』『読む。書く。護る。―「憲法前文」のつくり方』『「私」であるための憲法前文』の3冊なんですが。これは何かっていうと、一般市民(小中高生、サラリーマン、主婦等々)に日本国憲法の前文を書かせているんです。「改憲や護憲と言ってるけど、まず国民それぞれが憲法について考えなければいけない。そのためには最低でも自分なりに日本国憲法前文を書けるくらいの国語力が必要で、それすらできない、もしくはやろうとしないバカ(←本人の言葉ママ)が改憲だの護憲だの論じるのはおかしい話だ。そんなバカな政治家たちを選出した国民にも責任があるし、前文が書けないくらいレベルの低い人間が多すぎる。だったらそんなバカばっかりのいまの時代で、憲法を改正することは何の意味も持たない。むしろ悲惨な結果になるのは目に見えている。よって護憲」という考えだそうで。「そこまでバカバカ言わなくてもいいんじゃないのぉ~?」とは思いますが、彼の言いたいこともなんとなくわかるような気もします。ただ、ちょっと彼の“インテリ選民意識”は鼻につきました(笑)。ちょっとアメリカ人っぽい発想なので大きい声で主張するのはイヤなんですが、「あきらかにデブで汚らしいオタク丸出しの、セルフプロデュースができない人間が色々言ってもあまり説得力がないなぁ~」みたいな。
 ちなみに鈴木さんは「“前文を書いてみよう!”っていうところで大塚さんは改憲派なのかな? って思ったんだけど、そういうことだったんですよね。で、僕が思ったのは(大塚氏がその前にさんざん「前文を一般市民に書かせてみたら、けっこういいものがたくさんあった」と言っていたのをふまえて)この一般市民が書いた前文は、なんだか全部いまの日本国憲法前文に引きずられてる気がするんですよねえ。面白いのがない。だからいまの前文のままでいいじゃんってことを護憲派の大塚さんはこの本で証明してるんだとアマノジャクな読み方をしたんだけど……違ったんですね(笑)」と、おもいっきり皮肉ってました。

 天皇制廃止については「なにも天皇を引きずり落とそうとかじゃなくて、憲法で天皇制を言及することをやめればいい。ようするに8条までは必要がない。天皇家はそのまま代々続いていけばいいし、古来からの歴史的な伝統としての位置づけでいいんじゃないか。国政に関わるということに反対なだけ。というのも、天皇制が憲法で言及されていることによって、政治家も国民もそこにすがってしまっている。具体的には国民が“小泉はバカで嫌いだけど、今上天皇は嫌いじゃない。むしろ好感を持てる”と思うことで、その意識があるせいで政治家はどんどんダメになっていくし、国民も“まあ首相はダメでも天皇いるし”みたいな感覚で政治家に対して諦めている部分がある。“首相=国の代表”という意識、つまり首相がいちばんトップという意識にならないかぎり、このままダメな政治家たちが増え続けていくだろうから、そういった意味で天皇制を廃止すべき」とのこと。これは私もまったくもって同感でした。本当にそのとおりだと思った。この感覚と発想はとても大事だし、日本人の国民性をよく捉えているなあと感心しました。


 長文おわり。

行ってきました♪ | Posted by at 5 13, 2005 16:38 | Comments (2) | TrackBack (0)

松尾貴史×斎藤貴男

 5月6日から11日まで、THE NEWSPAPERという時事風刺コント集団(?)の第67回“TRICKY LIVE”が下北沢の本多劇場で行われました。ライヴ本編の前にトークショーなどもあったので、私は初日(松尾貴史×斎藤貴男トークショー)と千秋楽(鈴木邦男×大塚英志トークショー)を見てきました。

 時間が経ってしまったのでうろ覚えですが、気になった点を2回にわけて書いてみようかと。

 松尾貴史×斎藤貴男トークショーはおもに憲法改正について。斎藤さんはご存知のとおり『安心のファシズム―支配されたがる人びと』『機会不平等』をはじめとして、身近な問題を通して日本社会を考える興味深い著書をたくさん執筆されている方。トークショーは議論というよりは松尾さんが斎藤さんに色々と質問する形で、とてもわかりやすかったです。

 4月1日から東京都が迷惑防止条例を一部改正したことなどを例に挙げながら、“ここまで管理されるのはおかしいんじゃないか”とかいった話になり(斎藤さんいわく「僕は恐らく日本でいちばん携帯電話がキライな人間だと思うんだけど、公共の場で携帯電話を使うことについて規制する条例を作るなんておかしい。他人に迷惑をかけるなんて個人の常識で判断できるはず」)、ここまで国や地方自治体があれこれと人間の行動を規制してしまうと管理国家になってしまうわけで、もっと言うとかつての軍国主義体制に逆行してしまうおそれがある、とのこと。そういえば、たしかにそうだなと思いました。

 電車の中で携帯電話で話したり、ヘッドフォンからものすごい音漏れしてたり云々はたしかに本当に迷惑で、これを規制するという話が挙がったときは「そうそう、そんな迷惑な人間は罰してしまえ!」と思ったんだけど、よくよく考えるとこれは“罰する”とか以前の問題なんですね。人間としてのモラルの話で、当たり前のことである。ということを忘れてしまうほど、いってみればいまの日本の社会にはモラルを欠いてる人間が多いんですけど……規制をたくさん作ることで、「規制されなきゃやっていいだろ」という本当に幼稚で低俗なレベルにモラルが位置づけされてしまうことについての危機感と、“規制で管理される”ということの本当の意味と恐ろしさを再認識しなくちゃいけないなと思いました。

 もうひとつ、松尾さんが言ってた「いまの日本国憲法は、国民に対して“~しちゃダメですよ”って書いてる項目がほぼなくて、国政に対して規制していることばかりだから、とてもいいんじゃないか」というのが印象的でした。たしかにそうだなあと。で、斎藤さんいわく現在与野党で検討されてる改正案を見ると、どちらも国民への規制がソフトに(←ここポイント)書かれているそうです。でももし憲法改正について国民投票をすることになったら、もちろん一条ごとに賛否をとるなんていう面倒なことはできるわけがなくて、「あなたは憲法改正に賛成ですか? 反対ですか?」という投票の仕方だろうから、ズラズラと難しい言葉で条例が書かれている改正案(と現在の日本国憲法)なんて国民はじっくり読むわけがなくて、「別に変えてもいいんじゃないの?」レベルのメンタリティで投票がなされてしまうだろう、と斎藤さんも松尾さんも懸念していました。たしかに。これはもう国民ひとりひとりが勉強するしかないのかなあと思いますが……無理ですよね。少なくとも前文から40条までは熟読しておかないといけないとは思います。

行ってきました♪ | Posted by at 5 13, 2005 16:36 | TrackBack (1)