取手アートプロジェクトの紹介 大内伸輔レクチャー
2008年10月24日(金)、2008年度第1回ゼミナールとして、取手アートプロジェクト(TAP)運営スタッフの大内伸輔(東京藝術大学音楽環境創造科助手)により、「取手アートプロジェクト(TAP)の紹介」と題したレクチャーが行われた。以下はそのレクチャーに対するレポートである。
TAPスタッフ大内さんの講義を聞いて
藤井悠子
『アートプロジェクトは、市民をも巻き込み、人の価値観を揺るがす』という大内さんの言葉がものすごく印象に残った。
はじめに、作品と空間の関係について考えてみる。街全体が美術館になるというTAPのようなアートプロジェクトなどは、むしろ普通の美術館よりも魅力的だと私は思う。例えば美術館の場合、はじめから決められた空間に作品を置くが、このようなアートプロジェクトでは美術館としてではなく機能している、もしくは、機能していた空間に作品を置く。TAP2008で言えば井野団地という人が生活する場である『住宅』、先日行われていた赤坂アートフラワー2008では、廃校になった小学校(旧赤坂小学校)や元料亭(島崎)を展示空間にしたように、普段アートとは直接関係が薄い場所、つまり美術館でないものとして作られた美術館に作品を置くことで、作品かつ空間がより一層おもしろくなり、TAPでもその他のアートプロジェクトにも共通に言える楽しさであると思う。
冒頭にも出したように、市民を巻き込むというところで、TAPのもう一つおもしろいと感じたのが、制作過程を見ることができ、それを団地で行うということで自然とその光景が目に入り、さらに住民とのコミュニケーションがとれることだ。住民も何気なく目に入ることで、作品に興味を持ち始めて、アーティストとコミュニケーションをとり始める。作品を介して人と人がつながることは素敵なことだと思う。
大内さんが言っていたが、アートは、完成だけが作品ではなくプロセスこそが作品だと。そのプロセスを見ることができるのは、ごく偶に美術館の企画展示などで会期中に作品が制作されるということもあるが、自分から見に行くという行為をしようとしなければ見ることができないのだ。TAPのように、例えば学校から家に帰れば外で作品を制作している光景が自然と目に入ってしまう、という行為はなかなか経験することのできないことだと思う。こういうことからも、何か刺激を受け、きっと価値観が揺らがされるのだろうと感じた。
子供から大人まで地位関係なくたくさんの人を巻き込み、美術館でアートに触れるのとはまた違う感覚でアートに触れることで、新たに、何かしら人に影響を与えてしまうアートプロジェクトの力はすごいと感じた。今度参加するTAP見学会が楽しみである。
無題
山下浩介
10月24日、佐藤慎也先生の第1回のゼミに参加しました。今回は、日本大学佐藤慎也研究室として参加している取手アートプロジェクト2008(以下TAP)について、TAPスタッフの大内さんのお話を伺いました。全体的なプロジェクトの流れ、過去のTAPの作品の紹介、そして今回参加しているアーティストの紹介など、詳しく話を聞かせて頂いたので、とてもTAPに興味がわきました。毎年、取手市内で会場を選び、そこに様々なジャンルのアーティストが参加し、アートを通じて街を活性化させるという取り組みには、非常に大きな効果があり、また労力も凄いモノがいると思います。それをボランティアでやっているということなので……一層感慨深いものがあります。TAPも今年で10年目を向かえたということで、とりあえず一区切りついた、と大内さんは仰っていましたが、来年も何らかの形でこのプロジェクトを継続していってもらいたいと思いました。
私は、毎年行われるTAPはある意味、美術館だと思いました。毎年違う場所、違うアーティストによって形成されるTAPは、取手市を1つの美術館として捉え、市民の人たちも参加できる、新しいスタイルの美術館だと思います。アートというものをどの程度まで捉えていいのか自分には答えは出せませんが、きっとそこに境目はないのでしょう。また、アーティスト同士のコラボレーションによって新たなものが生まれるのかもしれません。私の両親は今仕事の関係で青森に住んでいるので、帰省したときに青森県立美術館へよく行きます。そこには、建築家の青木淳さんと芸術家の奈良美智さんの二人による作品があります。二人の対談を著書で見て思ったのですが、異なった分野の方々が作品をつくる段階からコラボレーションすることによって、二つの作品(建築と美術)が独特の雰囲気というか、うまく言葉では表せないものが生まれてくると思います。白い雪、白い壁、白い巨大な犬。二人による独特な世界観を感じました。
11月8日にプレゼミ生としてTAPの見学会がありますが、非常に楽しみにしており、地味にブログも毎日チェックしています。今回、スライドで写真を見せて頂き、とても楽しそうな感じでしたが、ブログに書いてあるように様々な問題もあるのだと思います。毎日住人が1人ずつ増え、高密度化が要求されたときに、どのように解決していったのかを実際現場で見ることができることは、自分にとって有意義なものであり、佐藤慎也ゼミの方々の意見を直接聞ける機会でもあると思います。先輩の話を聞き、今後の生活に活かしていきたいです。また、他の多数のアーティストの作品にもふれることで、TAPのあり方を感じ、純粋にアートを楽しみたいと思っています。そのなかで建築と展示空間の関係性についても学べたら良いと思います。
取手アートプロジェクトについて
山川慧子
私は建築学科に入学してから美術館や博物館に通うようになりました。いまでは本当に好きで、色々な展覧会や、美術展に通っています。
小さい時から図画工作が好きで、学校とは別に近所のプレイルーム(工作教室)や、絵画教室に通っていました。その影響もあるのか、私はよく人とは違うね、と言われます。昔は人と違うね、と言われることが嫌いでしたが、今では人と違うことがしたい!!と思うようになりました。そのようなこともあって、今回のレクチャーをとても楽しみにしていました。アートプロジェクトのような企画にどのようにして参加するのか、アートと関わる仕事をするにはどうしたらいいのか、というような事を聞きたかったのですが、大内さんの話を聞いていて、本当に羨ましくなりました。取手アートプロジェクトに真剣に取り組んで、しかも自分が取手に住んでしまうなんて、なかなか出来ないことだと思います。毎日毎日、アートと関われるなんて、本当に羨ましいです!!!
2年生の時の建築学科オリエンテーションのときに、横須賀美術館も見学したのですが、その時の展示がヤノベケンジさんでした。その時の作品(トラやん)を見て、私はファンになったのですが、その直前の2006年に取手でヤノベケンジさんがプロデュースしていたのを知って、もうちょっと早くヤノベケンジさん、または取手に出会っていれば、と思いました。
取手アートプロジェクトの中でとても良いなと思ったことが、「こどもプログラム」です。小学校にアーティストを派遣して授業を行い、子供たちの感性を刺激するなんて、本当に取手の小学生は羨ましい環境にいるなーと感じました。小学生の時にアーティストから直接授業が受けられたら私も何か違ったのかな、などと考えてしまいます。このプログラムは、取手のような、市民からアートと関わったイベントをしたい!という声があがってくるところではないと成り立たないのではないかと思いました。やっぱり、近くに東京藝術大学があることがとても大きいと思います。
2008年の取手アートプロジェクトは、全国公募展、オープンスタジオはもちろん、韓国との国際交流も目的として韓国のアーティストや交換留学生の作品もあるそうです。私は韓国にとても興味があり、独学で言葉を勉強しているのですが、韓国のアートを見る機会などなかなか無いし、実際にあまり見たことが無いので、作品を鑑賞するのがとても楽しみです。11月8日の見学会がとても楽しみです! アートな雰囲気を沢山吸収して帰りたいと思います。
取手アートプロジェクトのレクチャーを聞いて
島田梨瑛
今回の取手アートプロジェクトについてのレクチャーを聞いて、取手井野団地という普通に一般の人が生活しているところに、たくさんのアーティストや大学が飛び込む形で参加している大プロジェクトだと知り、とても面白いと感じました。場を共有することでモチベーションを高く持っていて、土地に根ざした作品を多く輩出しているのだと思いました。
2006年に行われたヤノベケンジさんを中心とする「一人前のいたずら-仕掛けられた取手」の映像の中では終末処理場をアミューズメントパークの様に仕上げていて、人を引き寄せ、その空間に一体化させる力があると思いました。その場にいなくても映像を通してその迫力を感じ、多国籍の人も中にはいましたが、その中においても、アートには言葉が通じなくても分かり合える力があるのだと感じさせられました。今までアートというのは触れてはいけず、離れて鑑賞したり、美術館に行ってもその芸術と私たちとの間に少し壁を感じることがありましたが、このプロジェクトではそのような壁を感じず、アーティストがどのように考えたうえで作品を作っているのかや、価値観を直接肌で感じることができ、とても身近に感じるものだと思いました。
また、2007年の展示の仕方にはトラベル方式があり、地元の人がアートを巡るために遠くにあるアトリエを訪問したりなど、ツアー形式になっているのが面白いと思いました。
普段は美術館に展示されている作品を、描かれている現場に見に行くことで、日常の作業場などの風景が切り取られ、展示会とはまた違った発見ができると感じ、自分もその作品に大きく関わっているような気がするのではないかと感じました。見に来た人をも他人として扱うのではなく、その場に溶け込ませる力がある所が魅力的だと思います。このようなプロジェクトはとても素敵なので地元の人だけでなくもっと全国的に行ったら面白いと感じました。
また慎也先生の研究室で行っている“+1人/日”の1人ずつ住人が増えていくプロジェクトでは3LDKの部屋に21人が生活したらどうなるかという新しい発想があり、私たちが3LDKには何人くらいが住むものだと決め付けている固定観念を壊すものであり、このように一般の人が住む団地の中で行われることに意義があると感じました。地元の人と交わることで、そこに住む人たちの生活の考え方を見直すことができるきっかけとなり、今までにない違ったアートとなり得ると思いました。そして他のアーティストの作品を触発し、同じ空間で生活していることにより、身近に感じさせるのではないかと思いました。このプロジェクトの映像を見る中で、部屋が広ければいいものではなく、極限の状態でも人は生活できるのだと感じ、昔はどのように暮らしていたのか原点に返って学ぶ必要もあるのだと思い、住宅の在り方についての考え方が変わりました。
第一回レクチャー「取手アートプロジェクト」:ゼミレポート
多田早希
取手アートプロジェクトはアートや芸術に直接触れ合うことができるプロジェクトで1999年から開崔され、茨城県の市民、東京芸術大学の学生が共同で行なっているアートプロジェクトである。アーティストたちの創作発表活動を支援し、市民が芸術とふれあう機会を提供することで、取手が文化都市として発展していくことを目指している。また、国内の活動だけでなく日本と韓国、交互にアーティストを派遣し、日本と韓国のアートプロジェクトの交流も図っている。
主要事業として公募展(展覧会)は今までに6回開催され、アーティストだけでなく市民も気軽に参加することができる。また、茨城県の市民がアーティストのプロセスを見学できるオープンスタジオや、芸術環境の整備、芸術教育・普及、人材育成などの環境整備事業も行っている。
2006年のアートプロジェクトでは終末処理場を舞台にヤノベケンジさんというアーティストが地元の人も参加し、いらなくなった粗大ごみや施設の部材・装置を使った巨大なオブジェを制作。2008年、今年のプロジェクトでは、13組の選出アーティスト、23組のアーティストが一ヶ月間、井野団地に滞在し、「におい」というテーマを絵にしている。また、佐藤慎也研究室の4年生も参加し、「+1人/日」をテーマに3DKで21人が生活したらどうなるかというのを実体験しながら、ベッドなど様々な工夫をし、新しい住まい方を作り出している。
授業時間とレクチャーが重なっていたため大内さんのお話を少ししか聞くことができなかったのですが、取手アートプロジェクトのホームページを見させていただきました。私は今までこのようなプロジェクトが行われていることを知りませんでした。しかし、普段直接触れることのできないアートや芸術を取手市民や学生、アーティストが共同で作り上げるというプロジェクトにとても興味が沸きました。また、先輩方のプロジェクトのスライドからは徐々に住人が増えていく様子や大人数で生活する上での工夫を見ることができました。次回は実際に取手アートプロジェクトの見学に行きます。今まで触れることのできなかったアートを感じることを楽しみにしています。
無題
柄孝行
3DKの団地の一室に一日一人ずつが入室していき、最終的に21人もの人数が一つの部屋でどう暮らすか。初めてこの取手アートプロジェクトの話を聞いたときには、大きな驚きを感じた。21人の大人数が狭い空間に入って、何が生まれるのか? 普通の日常生活で必要な家事、洗濯などはどうなるのか? この大きな疑問を抱えつつ、参加したゼミでは東京芸術大学の大内氏の話を聞きながら、このプロジェクトをやる意味、面白さが多少わかった気がする。人間は一人一人、個性も違えば、考え方、好み、視点も違う。そんな人間が一つの空間に多く集まり、生活すれば、一つの空間から様々な色、視点が生まれてくる。日々、一人一人の与えられた領域がどんどん失われていくなかで、人間はどのようにして一人の空間を守り、21人の集合体として空間を作っていくのか。なにか人間が追い込まれたときに出てくる究極の発想をこのプロジェクトでは求めて、研究しているような気がした。その21人の中には、人間関係がうまくいかない者同士もいることだろう。しかし、その21人の発想を基に作られた生活空間をアートとして、公開するのはとても斬新でこれまで目にしたことない、面白いプロジェクトであると感じた。また、建築、アートという枠組みを超えて、日頃普通に生活していた日常生活をも見直す経験になり、実際の団地を使用することで建築空間の様々な大きさや容量を、身をもって体験でき今後、建築を学んでいく学生としての行動に反映できるのではないか。
次回のゼミでは、実際に団地を見学するわけだが、生活空間のアートとはなにかを見てみたいと思う。一人で作られるアートとしての空間と21人で作られるアートとしての空間の違いとはなにか。建築とアートの関係性がいまいち理解できていない私にとってはよい経験になると思う。
このプロジェクトは実際、やってみないとわからないし、自分の目で見てみないと分からないと思う。ただ、生活空間とアートの関係性を考えられる大きな機会だと思って、次回のゼミに参加したい。
無題
荒木由衣
「取手アートプロジェクト」とは、1999年に始められた、茨城県市民と芸大の学生による、芸術やアートに直接触れ合うことのできるプロジェクトである。
主に、公募展・展覧会が6回行われており、ここでは、プロはもちろん、市民の人達も気軽に参加できる。また、オープンスタジオというものもあり、これは、プロのアトリエを茨城県市民がツアー方式で見学できるものである。さらに、環境整備事業の中で、芸術環境の整備・芸術教育や普及も行っている。
2006年では、ヤノベケンジさんが手がけるプロジェクトにおいて、“ごみ”を使い、芸術作品を作るというテーマで進行していった。使われなくなった粗大ごみなどを用い、地元の人も参加し、大きな風車を完成させていた。説明を聞いていると、とても壮大で途中でその風車が壊れるなど大変そうだった。また、スライドからは、地元の人も楽器を演奏したりとても楽しそうに過ごしていた。楽器を演奏する人もプロではなく、地元の人に呼びかけ、募集する。やはりプロだけでなく、自ら参加できるというシステムが重要であり、日常では体験できない、アートや芸術に触れ合うことができるのだと思う。
2008年のテーマは「におい」である。今回は、13組の選出アーティストと23組のアーティストが同じ場所に1ヶ月間滞在し、テーマにそったものを絵にするというプロジェクトである。場を共有することにより、アーティスト達のモチベーションをあげる。これに似たプロジェクトを行っているものが佐藤慎也研究室で行われている「+1人/日」である。これは、1日ごとに1人増える形式で、1ヶ月間で21人が3DKに暮らすというプロジェクトである。ここでも同じテーマを持ち、それに対してなにか形にしていく。その中で、新しい「住まい方」の発見をするのが目的である。3DKの中に21人が暮らすというのは、聞くだけでは、ルームシェアのようで楽しそうだが、自分の寝る場所、荷物置き場、いろいろな問題が出てくる。それを工夫しながら、改善しながら暮らしていく。これは、住宅を設計するうえで、参考になると感じた。実体験をするのはとても重要であり、役立つと思う。
今後、私もいろんな研究をすると思うが、自分でしっかりと体験し、自信を持って研究の成果を伝えることができたら良いなと思う。
無題
古山幸太郎
今回の講義の中心であった『取手アートプロジェクト』。そのプロジェクトの中枢で活躍されている方の話を聞くことで建築の設計とは違う大きな考え方が自分に持てたと思う。これまでの設計とは違い参加者の生活や創作活動なども考慮したプロジェクトで、それぞれの時間軸も計画しているように感じられた。また、地域の住民やボランティアの力を借りて運営していてプロジェクトの方はつらいとおっしゃられていたが今後の発展も望めるのではないかと感じた。
このプロジェクトは毎年異なる趣向を凝らした企画が行われていて、その内のどの企画でもゲストの芸術家の方との距離は近く、また若い芸術家の発表の場も設けられているためテーマに掲げられていた地域市民の芸術へのアプローチや文化都市としての発展と共に、将来のある芸術家の成長にも繋がると思う。またこのプロジェクトを通し地域の子供に限らずボランティアで参加した大人の方にまで視野を広げた人材育成は都市の発展に大きく貢献していると思うし、このことからも地域密着のプロジェクトであると考えられる。また、このプロジェクトを通して芸術都市取手を確立し、取手発の芸術家の影響を利用して日本全体の芸術の向上や芸術に関心を持つ日本人の今まで以上の増加も望めるのではないかとも思った。
毎年大きなイベントとして年毎に異なる企画では、ただ出題したテーマを若い芸術家が発表するというものではなく、発表の場を提供しても必ず地域に還元する企画であることこのプロジェクトの考えられている部分が伺えるのではないかと思う。テーマも取手市やその周辺地域を題材にしたものばかりで、他にもオープンスタジオを設置したりコンペを行ったりなど地域参加型の企画が多いと感じた。さらには韓国からの芸術家の派遣など国際交流も視野に入れている。この取り組みで芸術都市への発展だけでは無く国際都市への発展も望めるのではないかと感じられた。
このプロジェクトは数年間に渡って実現させてきた実績と取手市をも巻きこんで行われてきたことから、このまま終わらせてしまうにはあまりにももったいないプロジェクトではないかと思う。まだ改善点や発展していく箇所はあるだろうし、取手市がこのプロジェクトから受けるメリットも多いと思われる。プロジェクトに参加しているわけではないので運営のつらさやデメリットが見えているわけではないが今後の継続と発展を期待したい。
+1人/日の説明と映像を見せてもらって、自分のイメージとは大きく違っていた。この計画の概要だけ聞いた時は窮屈さやプライベートのことなどのデメリットばかり頭をよぎったが映像を見る限りではそんな雰囲気は感じられなかった。もちろん一部しか見ていない人間には思いつかないようなつらい部分もあるはずだが、それを踏まえても映像や説明を聞く限り当初に予想していたよりはるかに大きな成果が得られるのではないかと感じた。最終的な人数になるとまた新たな課題が見てくると思うので今回の講義で聞けなかったその後にとても興味がわいた。
第一回レクチャー「取手アートプロジェクト」
小石直諒
取手アートプロジェクト(以下TAP)の運営スタッフである大内さんからTAPについてのお話を聞かせていただきました。TAPとは市民、取手市、東京藝術大学の三者が共同となって制作するアートプロジェクトです。TAP2008では取手井野団地を作品発表の場としていますが、これは普通の人が普通に生活していてもなかなか体験できることではないと思います。なぜなら、TAPが隔年で行われる公募展では、その都度違う場所取手市内からを選出し、作品発表の場が変わるからです。それが、今年は団地という、人が普段生活している場を使うようですが、これにより普段あまり接する機会が少ないアーティストや目にする機会が少ない作品制作の過程を見ることが出来るのです。住民にとっては団地内で制作することで見に行こうとしなくても、自然と制作風景が目に入ってくるので徐々に興味がわいてくると思います。それにより、アーティストとも話すようになり、アーティストによっては住民に理解してもらうことで高いモチベーション作業が行うことができるのではないでしょうか。また、違うジャンルのアーティストたちが、同じ団地内で制作をしているので気分転換に他の人の作品を見に行ったり、共に話し合ったりなど色々とおもしろそうなことがあるように感じられます。
TAP2008では、公募展をやっていますが、もう一つの事業として、取手市在住のアトリエを公開するオープンスタジオもあります。TAP2007では、取手市を一つの会場と見立ててバスを使いツアー形式で回るといったものです。これは、取手市民に身近にアーティストがいるということを知ってもらうためや、アートに対する考えを聞ける場を設けるためのもので、アーティストの人達がどのような環境に身を置いて作品を制作しているのかを知ることができるので、これには、公募展とは違った楽しみがあると思います。
次回のゼミでは、実際にTAP2008を見学しに行きますが、非常に楽しみにしています。佐藤慎也研究室が企画した“+1人/日”のプロジェクトの途中経過をレクチャーの最後に少し見ることが出来ましたが、食事のときなどは非常に一人当たりのスペースが少なかったように思いました。その現場を実際に訪れることで、高密度化を要求された結果どのような工夫が成されたのか、といったことを見ることで今後に役立てていくことが出来ると思います。その他にも、多くの作品に触れることで、『アート』を感じることが出来れば自分にとってプラスになるのでは、と思っています。
取手アートプロジェクトについて
杉田達紀
順序立てて述べていくと、まず運営組織図の構成である。取手市、東京芸術大学、市民の3本柱からできており、その中でも市民からの要望が強いという特徴がある。アートプロジェクトだからといって、芸術家とスタッフだけで成り立っているのではないことを知った。
主要事業としては、毎年行われている環境設備事業と隔年で行われる公募展、オープンスタジオがある。今年は、公募展の年で全国から公募した13組の選出アーティストほか、23組のアーティストが、取手井野団地に1ヶ月間滞在し、住民たちと交流をはかりつつ作品を製作するというものだった。一月の間、工房として使う人もいたり、団地を活かして、布団を干したり、壁に色を塗ったり、みんなでジャンプしたり、みんなで過ごしてみたり……いろいろな作品がある。その作品を11月に団地の敷地、部屋に展開するものである。それぞれいろいろな考えをもったアーティストたちが同じ団地内に滞在しながら交流をはかるというものは、自分の身近な地域ではなかった。このレクチャーを聞いているとき、思ったことは、もっと他の地域でも開催するべきだと思った。
特に、こどもプログラムもような企画は、こども達に芸術というものにより多くふれられまた芸術の感性を高められると思う。小学生のときにたくさん芸術とともに育つことにより、大人になったときに、違った感性を持てるだろう。こちら側からこども達に芸術とふれられる場を提供することは、とても大事なことだと思う。
いままでは、アーティストの作品の中に見学をしにいくということが普通であったが、取手アートプロジェクト2008では、逆にアーティストが住んでいる人のところに飛び込んでいってその場が芸術空間と変わっていくという新しい試みも面白い。
慎也研の作品である『+1人/日』は正直快適な空間は望めないであろう、そんな中でどのように暮らしていけているのかが見学会では楽しみのひとつである。
無題
鈴木直樹
まず、先日の取手アートプロジェクト運営スタッフである大内伸輔さんのレクチャーを聞けて、自分が知らない世界を知れたとても良い機会だと思いました。
しかし、正直アートの世界はさまざまでありました。そのアーティストの人が「これはアートだ!!」と言ってしまえばそれは他の人がアートじゃないと思ってもアートになってしまいます。それほどアートの世界とは奥の深いものだと思いました。よく理解のできないようなものも多々ありましたが、大内さんのレクチャーを聞いてみる限りではとても面白そうなものだと感じました。
今回でこの取手アートプロジェクトは記念すべき10周年を迎えたみたいですが、ここまでくるのにはとても大変な道のりだったにちがいありません。自分個人としても10年以上何かをし続けたことはないかもしれません。
2006、2007年とビデオで見ましたが、2006年の方ではヤノベケンジさんのトらやんと呼ばれるちょびひげのキャラクターが飛ばされるところがとても面白かったです。しかもそれが横須賀美術館に飾られていたものだから尚更興味深かったです。2007年の方では、ツアーとしてアーティストのアトリエを回っていくという奇抜な発想ながら、アーティストと参加者の双方にメリットのあるものであったというのがスゴイなと思いました。
そして今年のプロジェクトにはなんと「みかんぐみ」も参加しているので驚きました。さらには、国際交流として韓国のアーティストも参加していると聞き、取手アートプロジェクトがとてもグローバルなものになったのだと思いました。
自分個人としては生意気と呼ばれるクリエイティブユニットの活動がとても気になったので見学会の時に行ければいいなと思いました。
来週の土曜日に取手アートプロジェクトを実際に見に行くので、大内さんのレクチャー以上のものが見られるのではないかと楽しみにしています。また佐藤慎也先生の「+1日/人」の展示形式がどうなっているのかなと思いました。
ゼミナール | Posted by satohshinya at October 28, 2008 15:50
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