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一旦パドックを外れる

雨後の竹の子のようによく生えたもんだ。北京に来てから二回目くらいの快晴。感動的な青。

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視界の悪い日。

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建築家は、小住宅からスタートし、コンペをやって、大家になるとうストーリーがあるならば。小住宅の段階は、出走前のパドックのようなものだ。といったことをこの本の中で隈さんが言っていた気がする。新建築の4月号で内容を深めて書いているようだけど、読んでない。もし、そういう規範があるんだとしたら、万㎡単位の建築、都市計画、ランドスケープを相手にしている、今の自分は脱線していることになる。不安である一方で、どうだはずれてやったぞという気持ちもある。こういう緊張感を望んでいたということだけは確かだ。こちらにずっといるのか、それとも違うのかはわからないが、こちらに来る前、建築(的な規模)が必要とされているような問題を解決していく際に、事態の展開がわかることをしたいと考えていた。都市と建築の間、組織と個人の間が主体となるイメージを持っていた。その重心がどこにあるものなのか、自由な環境で考えながら取り組める状況にあるという仮定で、今、ここにいる。

あしたから沈阳(瀋陽 shĕnyáng)へ出張。日本による占領の歴史を持ち、上海などの南部解放、西部大開発を経て、東北復興が国家の指針となっている東北端(dōngbĕiduān)地域にある辽宁省(liáoníngshĕng)の首府に位置する。四年前にあった、瀋陽亡命事件の記憶が新しい。帰りは、朝鮮と鉄橋で繋がっている丹东(dāndōng)の空港から帰ってくる。

こちらにきて、国家レベルと個人レベルの間にある隔たりは相当に大きいと感じる局面がよくある。一例として、コピーの横行がある。A4版のエルクロや、この本が地域別に分割されていたり。一瞬、笑えるようで、買っていいのだろうかと悩んでしまう。

建築 | Posted by at June 11, 2006 17:37 | Comments (6)

中国的状況を利用する度胸はついてきたのか?

朝五時におろした羊をしゃぶしゃぶで食べる。昼から、白酒(báijiŭ)というきついお酒と共に。

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内モンゴルは羊が名産。中国は空を飛ぶものは飛行機以外、四本足のものは机以外、全てを食べつくす。ここの羊はカシミアとしても有名であり(厳密には羊の種類が違うが)食用としても使い果たす。

内モンゴル周辺は、かつて草原が広がっていたものの、羊の放牧と無作為な農地化によって、街の外に出ると見る限り砂漠に近い。大陸は北西からの風が厳しく、北京の北西に内モンゴルが位置するために、青空はそうそうに拝めない。黄砂の発生地と言われている。

風の流れついでに、たいがいの街は、居住区が北西(上手)にあり、風が流れる下手に、工業地域や発電所が配されている。しかも風水的な思考もそれに等しいらしく、風水は適当ではなく、統計学的な蓄積が根拠なのかもしれない。街の構成、自然環境、風水を一体として読むと、なかなかおもしろい。

噂通り、スケジュールが短い。内面のイメージと実際のプロセスがパラレルに進行していくような感覚。これは、今だけかもしれないし、仕事の種類、建築家としての立場によっては、あまり関係のないこと、おそらく制御可能なことと、考えている。今は、とにかく見渡せる範囲で、くみあげることが求められているので、一定のモデルをくみ上げて、その中で読み替え、再構築を仕掛けていく。自分の提案が、すぐに現状にすり替わっているような感覚。日本的な設計の感覚で言うと、さっきの自分が出したモデルを、今の自分がリノベーションしているとも言えるのかも。モデルは、話し合いで決定するので、ある一定の強度をもっていて、収斂している感覚はザラザラしているけれど、感じられる。即興が即興を呼び、強度を持たせていく。性能的な密度は高めにくいかもしれないが、あたらしい感覚すらある。プロセスの破壊とイメージの連れ戻しを反復することによって、何が生み出されるのか。

建築, 趣味, dine | Posted by at June 6, 2006 23:08