「高松次郎−思考の宇宙」 @府中市美術館

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土地とか建物の名前がもつイメージは誰しもなんとなくあるもの。
それが予想外に良い方向に裏切られたときは楽しいものである。

そんな体験を先週の日曜日にした。場所は府中市美術館。案外、蒲田から時間がかからずに目的地には着くことができた。府中市美術館はいくつか文化施設が点在する大きな公園の中に建っている。近場で例えるなら砧公園と世田谷美術館みたいなものだ。世田谷美術館と違うことは府中市美術館のほうが新しい建物ということである。一見お金がかかっている感じがしてなんとなくバブルのにおいがするたたずまい。よくもなくわるくもなくなんとも興味をそそられない建築。外見と反して中身となる展覧会はリートフェルト展など東京の片田舎府中で行われているとは思えないなかなか充実した企画が多い(最近になって気がついた)。そのため地方の美術館への巡回展となるものもある。それで今回は「高松次郎−思考の宇宙」が行われていた。

正直なところ高松次郎はハイレッドセンターのこと、影の絵のこと、この二つだけを少し知っているぐらい。影の絵はある本の片隅に白黒で小さくのっているものを見ただけだが興味をそそられていた。そんな記憶を頼りに行ったこともない土地の知らない美術館を体験してきたである。展覧会の内容は簡潔にいえばよいものだった。最近みたものの中では上位ランク。内容は充実していてなおかつ難解そうな高松をわかりやすく時系列で紹介していた。中でも本の挿絵でみた影の作品はよかった。シンプルなアイデアがそのまま表現に結びつき批評性も感じられる。磯崎新が設計した福岡銀行の応接間を高松がデザインしているのだがその原寸が復元されてい(上の写真)。また高松は膨大なスケッチを描く人みたいでその一部が公開されていて、それが結構おもしろい。ドローイングの途中段階をスケッチで展示されているのはよくみかけるのだが今回はそのようなドローイングはむしろ少なく、ダイアグラムや図面みたなもの、コンセプトや作業手順がこと細かく記されたテキストがあった。高松は頭の中で考えたり想像したりしたことを全て書くことしていたのだろうか?最近思うのだが自分が学生の時よりだいぶ手書きでもなんでもかくようになった。頭で考えていることと実際描かれるものとの違いを発見し、再確認することが思考のプロセスの上あたりまえが大事なことなのだと改めて感じた。描く精度も大事だがとにかくかきとめることもかなり大事だと思う。

art | Posted by at 8 20, 2004 2:21


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Comments

僕は結局行くことができませんでした.残念.
よかったようですね.でも,結構地味な作家だよね.
昨年,著作集も2冊出ましたが,これも高い本ですね.
ほしいけど.

Posted by shinya at 2004年08月22日 17:46

確かに地味ですね。
地味か派手かのレベルで話すかなら、高松二郎の地味さはかなり好きな方ですよ、僕は。
最近、いろものがあまりピンとこなくて。

Posted by hy at 2004年08月22日 18:19

いやいや,ここで言っている地味は完全にプラス評価です.
もちろん僕は色物派ですが.

Posted by shinya at 2004年08月23日 01:08