アートプロジェクトについて 宍戸遊美レクチャー(その2)

アーティスト、宍戸遊美さんのお話を聞いて
川崎絵里佳
 宍戸さんの参加しているCUVAプロジェクトは、初となる沖縄でのアートプロジェクトであり、「沖縄」という歴史的、文化的価値のある都市にアートを残していくことは、多くの国の人々から注目されるものになり、とても奥が深く、意味のあるものだと思います。
 また、沖縄市銀天街を拠点とし、5名の東京在住のアーティストが継続的に地域と関係を持ちながらアート活動を進めていくという環境はとてもうらやましく感じました。
 その土地ならではのアートを生み出すためには、銀天街を知り、人生の先輩たちや力を持て余している子供達、記憶の染み付いた建物、沖縄の歴史、など、生の日常を感じ取り、その数々の出会いから作品を作り出していかなければならないことを知り、アートはとても奥が深いものなのだと感じました。
 空店舗やアーケード内での展示や、商店街の方々、地域の子供達も参加したイベントを企画し、戦後米軍基地だったこの街の過去を伝え、地域の人たちにも、銀天街を知らない人たちにも、アートを通じて理解を深めていってもらうという活動はとても現代的で有効的な手段だと思います。
 しかしここまでに至るまでには、決してアーテイスト一人でアートを生み出していくのではなく、多くの人と話し、街の様子や歴史を感じとりながら「人と人のコミュニケーション」と「人と街とのコミュニケーション」を重ねていくことが必要なのだと思いました。
 アートを生み出す上でコミュニケーションをとるということも、アーティスト達がおもしろいと思う要素なのかもしれません。
 現在進行中の、銀天号を守る「ロープワーク」というプロジェクトにも興味を持ったので積極的に調べてみたいと思います。
 今回の宍戸さんを見ていて個性や協調性が自然ににじみ出ている方だなと感じました。
 自分もそんな人間になってアートの世界に染まりたいと思いました。

アートプロジェクトを通じて
佐藤香菜子
 今回は、KANDADAというアートプロジェクトにも参加しているアーティストの宍戸遊美さんの作品を鑑賞しました。
 「アート」というと絵画や壁面画など、平面的なもののイメージがありましたが、宍戸さんの手掛けるアートは映像を使った3次元的なもので、私の考えていた「アート」の概念を覆すものでした。その作品の中では、ただ真っ白なキャンバスと向かい合って絵を描いていくという平面的なアートでは感じられない、映像アートにおける一番の特徴、魅力を感じることができました。それは、人とコミュニケーションを取り、人に支えられながら作品が出来上がっていくという過程です。つまり、一人では完成しないアートであるということです。
 実際に宍戸さんの作った数々の作品は、すべてが必ず人の協力があって成り立っているものばかりでした。アートを始めるきっかけとなった東京造形大学時代の、沖縄の商店街のアーケードを使って行われたアートや、同じく沖縄で小学生に参加してもらうワークショップとして行われた「バショカラプロジェクト」、富山県氷見で蔵再生プロジェクトとして行われた「ヒミング2007」など、すべての作品の中にその地の住民の人々の映像が取り込まれて、作品の影に住民の方々の理解や支えが合ったということがうかがえました。その中でも特に、秋田県の大館で行われた「ゼロダテ 0DATE」というプロジェクトの中の『nocturne』という作品が印象に残りました。この作品は、大館の日常的な風景や、一日の自然情景の変化などが視覚的な映像のみで収められ、その映像にnocturneのメロディが付加されているという作品でした。通常日常の暮らしの中にも、自然の変化の中にも必ずそれ独自の音を持っていて、その音と映像が一致することで私たちは景色としてとらえることができているのですが、この作品ではあえて本来の音が削られ、新たにnocturneのメロディが重なることで普段の何気ない景色や人々の飾らない生活の様子がどこか叙情的でより魅力的に感じられてしまうのが不思議で、それがこの映像アートのおもしろいところなのではないかと感じました。
 さまざまな作品を通して宍戸さんのアート活動を知り、特に映像を用いたアートは全く未知の世界でしたが、人と触れ合い互いをよく知り合おうとすることで作品ができていくという過程があることにとても興味を持ちました。宍戸さんが油絵の世界から全く違う映像アートの世界に興味を持ったきっかけとなったように、自分の見ている世界をひとつに絞ってしまうのではなく広い視野で見つめることはとても大切なことだと思いました。その手段として積極的に人とコミュニケーションをとることはとても有効なことだと思いました。自分のつくるものを人とのコミュニケーションを通して完成させていくというのはアートだけに限らず建築を作っていく上でも同様であると思います。建築を作っていく上でのトレーニングとしてもその土地土地で形成されているコミュニティに介入し、積極的にコミュニケーションを図っていくことはとても大切なことだと感じました。

コミュニケーションから生まれるもの
森田有貴
 アートプロジェクトとは何を指すのだろう。取手アートプロジェクトのような取手市と市民と大学が共同で行い、アーティストの創作活動を支援し市を活性化するものもあれば、建築家+芸術家による島の再生プロジェクトなどもある。アーティストがその辺に自分が思う作品を勝手に作って勝手に置いて「これが私のアートプロジェクトです。」と言っても、成立するのだろうか、疑問を持ちながら今回のレクチャーを聞いた。
 宍戸遊美氏は初めてのアートプロジェクトの場として沖縄を選び、その作品であるスライドライブを自分自身の卒業制作にまでしていることに驚いた。初めての事に挑むとき人は自分の身近な場所を選んでしまいがちだと思う。その場所に対する知識やポイントとなるところ、周辺環境を把握しておりやりやすいからだ。しかし、宍戸氏は東京から離れた沖縄に幾度も訪れ、周辺の住民に寝泊りさせてもらったり、自分たちで廃虚を寝床にしたり、未知の世界に積極的であった。沖縄のアートプロジェクトの場となった銀天街という商店街には、そこで店を持つ人々や通りがかったおじいちゃんおばあちゃん、近くの学校に通う子供たちが訪れ、「何しているの?」とか「これ何?」という質問をする。ここからコミュニケーションが生まれる。アートプロジェクトとは造る人(アーティストなど)と観る人(地域住民など)が両方いて初めて成り立つもので、お互いが一つのものを作り上げることに参加して、初めて作品ができるのだと感じた。一人では完成しないのである。
 宍戸氏が小学校で行ったバショカラプロジェクトでは、1.自分だけの好きな場所を探す 2.好きなように表現する・つくる 3.言葉に書いてみる 4.仕上げとして発表するという順序で行っていた。授業のように、限られた時間で教科書に書いてある技法でつくるのではなく、自分が思うように好きなように手を動かしてみるというのは、子供たちにとってとても楽しいことだと思う。自分の思うままに造っているからこそ「つくり上げて、気持ちいい!」というような感想が出てくるのだと思った。子供たちにアートに対する興味を抱かせるだけでなく、創造性も高めているように感じた。
 地元の要素を使って、地元の人に見てもらい、アーティストを介すことによって、また違うものに見える。宍戸氏は、作品である映像を見る人に対してどのような感じ方を求めているのだろう。こんなことを感じて欲しいとか、こんなことを訴えかけているというのが明確にあるのだろうか。その映像になる意味を知りたいと思った。
 ヒミングもゼロダテも地域を巻き込んで活動しており、そこに生まれるコミュニケーションを大事にしている。コミュニケーションが“もの”をつくり上げることにおいて、いかに重要であるかを今回のレクチャーで学んだ。「小さなアクションが大きな世界に拡がっていくのではないか」という宍戸氏の言葉に魅力を感じた。

アートプロジェクト 宍戸遊美さんのレクチャーを聞いて
駒井友香
 大学での卒業制作の話から現在コマンドNで行っている活動についてまで様々なお話をしていただきました。中でも沖縄でアートプロジェクトでの話はとても魅力的でした。東京で生まれ育った一大学生が文化も違う沖縄でアートプロジェクトを立ち上げるというのは本当に大変な事だったと思います。まず商店街の通路に作品を置かせてもらうことからスタートし、徐々に地元の人との信頼関係が築かれていき、活動がどんどん広がって言った様は、このアートプロジェクトが本当に成功していた事を物語っていました。
 アートプロジェクトは、美術館のようにただのハコに作品をかざるわけではありません。そこで生活をしている人達がいて、そういう人達と一緒になって作品が作られ、展示されていく。だから何よりも大切になってくるのは人とのコミュニケーションや信頼関係にあるのだと思いました。
 商店街での活動から発生していった小学校でのワークショップ、バショカラプロジェクトでは、子供たちがみんないきいきとしていて、とても楽しそうにしていたのが印象的でした。カメラを向けられても自然な姿で子供たちが映っているのは、ここでも子供たちといい関係が築かれていたからだと思います。自分の好きな場所を紹介してくださいという質問に対して、うれしそうに答えている子供たちの顔はとても輝いて見えました。子供たちの感性はとても豊かで、妹と一緒に机やおもちゃをたたいて音楽を作ったりと、はっとさせられるものばかりでした。学校の教科書が技法的なことしか書いていなかったということからこのワークショップがうまれたというお話がありましたが、この活動のように自由に楽しみながら勉強する事で子供たちの可能性はもっともっと広がっていくということを強く感じました。そしてとても面白い活動だと思いました。
 今回のレクチャーの中で、その土地の人々とコミュニケーションをしながら、その土地の要素を使って作品を作る。それをまたその土地の人たちにみてもらう。そうして素材は循環していく。というお話がありました。この言葉にすごく共感したと同時にこのように作られていくアートプロジェクトにとても魅力を感じました。自分で作品を作って終わりじゃなくて、人や環境などいろいろなものが関わりあって作品が作られていくということはとても魅力的だと思いました。

無題
古山幸太郎
 今回の講義ではアーティストである宍戸さんの若い頃行っていた活動の概要や苦労、成果などを資料や当時のビデオなどを交えて紹介していただくというものだった。最初に紹介していただいた「cuvaプロジェクト」では沖縄にある銀天街という商店街をアートする、という形で始動していた。この計画の話では無名のアーティスト達の苦労などを感じることができた気がする。特に銀天街に到着して商店街の人々に受け入れてもらうまでや空き店舗の使用の交渉など成功するどころか本格的に活動するまでの作業には感銘を受けた。最初の頃は商店街の通りの端のほうで活動し、自分達の作品に通りを歩く人々が興味を示す方に説明して自分達の活動を知ってもらうなど下積みの時間も多く経験していた。しかし、商店街の人々の信頼を受け協力を仰げるようになってからはしだいに活動も広くなり、空き店舗を活動の拠点とし銀天街周辺の住民を集めての発表会まで行えるほどのプロジェクトになっていた。この成果にはとても感心したし、継続することの大変さと成果を感じることができた。このプロジェクトを通し住民と作品を公表するなどして地域の人々に親しまれていた。
 また、宍戸さんは小学校の授業の特別講師として参加し、小学生には数少ない本物のアーティストと触れ合う機会を持っていた。その授業の内容や経過をビデオにまとめていて見させてもらったが授業の課題に対して小学生はとても積極的に参加していた。完成した作品は無邪気なものが多かったがそれでも表現したいことはだいたい伝わってきた。担任の先生と連携して小学生に授業への積極的な参加を促し、それを上手く作品へ結び付けさせていた。小学生ならではの独創的な作品にもアドバイスを与えていてその芸術への柔軟性は自分も見習いたいと思った。
 最後に、今回の講義では、自分のやりたいことの実現のため苦難を覚悟して突き進む姿には見習うべき点を多く見つけることができたと思う。また、建築とアートは似ているようで異な点が多くあったが、芸術という点では同種のものであると思うので、吸収できるとこは最大限自分に取り入れ、今後の就職活動や卒論、また卒業してからの活動に活かしていきたい。

宍戸遊美氏レクチャーを聞いて
藤井悠子
 知らない土地でアートプロジェクトによって、自分とは世代も習慣も異なる人たちとのコミュニケーションが生まれる、けれどコミュニケーションがとれたことだけが重要ではなく、そこで自分がどう関わるべきか、それによってどう影響を受けたり与えたり、今までに無い何かを発見できることが大切なのだと、わかっていた様でわかっていなかったのだと、宍戸さんのレクチャーを通して改めて気付かされました。
 アートプロジェクトで私が好きなのは、もともとある空間であり、かつそこに人がいるところに作品を置くことである。宍戸さんが卒業制作で行った沖縄の『商店街』はものすごく魅力的だと感じました。殺風景と化してしまった商店街に作品を置くことで空間に明るさを取り戻し、街の人たちと話をし、子供たちは集まり遊び場となる。作品を通じることで様々な人つながる、それによってアーティストは次のアイデアにつながることができ、まちは、まちの活性化にもつながる。きっと様々な問題にぶつかることはあるがアートプロジェクトを行う前と後では主催側とまち、両方に何か新しい変化をもたらし、刺激を与え合うことはすごく大切なことだと思いました。
 また、さらに宍戸さんは範囲を広げ小学校で行ったバショカラプロジェクトの映像では、子供たちの創造の柔軟性に驚かされました。男の子が作品を完成させて、「気持ち良い」という言葉には本当に達成感が伝わってきました。
 宍戸さんが私たちに対して、なぜ建築を学ぶ人がアートプロジェクトに興味を持ったのかと質問を投げかけたが、私はこの大学生活の中でやはり建築を学んでいる人と関わりが多いというのもあり、知らずに視野を狭めていることに気付き、色々な人と関わりたいと思うようになり、偶然アートプロジェクトに出会えたのもあって、きっかけとなりました。
 もしかしたら自分が思っていることを表現できる場となりえることもあるし、逆に他人から教わることもあるアートプロジェクトに関わることで、まだ知らない良さ、きっと良くないことも知ってしまうかもしれないが積極的にアクションを起こしていきたいと感じました。

お話を聞いて考えたこと
松田歩弓
 私は最初に宍戸さんを見たとき、自分のイメージする“アーティスト”とはちがうイメージの方だなと思いました。私がイメージする“アーティスト”は、自分の考えに自信を持っていて、だからこそいつもハキハキと自分の考えを述べる人なイメージで、実際に私の周りの美大に通っている友人や、話を伺ったことのある人はそういう人が多く、また、設計の先生方もすごく考えが明確であるのもやっぱりアーティストだからだと思います。しかし、宍戸さんは、とても穏やかに話していました。淡々としていて、聞いている私たちの様子を伺いながら話をしていて、とても謙虚な雰囲気の方でした。それはなんだか私にはとても不思議な感覚でした。
 油絵を描くことをやめて、他の表現方法を探したというのが印象的でした。同じ芸術でも、表現技法が違えば伝わりかたも違う。自分の方向に迷いが生じる。私は大学に入る前、また入ってからもしばらくは意匠設計がやりたいと思っていました。しかし、コースを選択するころになり、そのころにはとても設計・計画コースか、環境・構造コースかで迷ようになり、私は最終的に環境・構造コースを選択しました。今は自分の選択に間違いはなかった、今の勉強にとても充実感を持っていますが、選ぶ時にはすごく悩みました。でも、今思うときっと設計・計画コースを選んでいても、きっと充実していたと思います。それはやはり、自分の根底には“建築”が好きで、それは例えどんな形だとしても、それに携わっていれることが幸せなんだと思うからです。表現が変わっても、すべきことは同じなんだと思いました。 
 残念だったのは、最後に質問する時間があったのに、なにも聞けなかったことです。自分の力で“形”を考えたりアイディアを形にする機会が減っていることを感じました。また、自分の中にはまだ疑問に思ったことをはっきりと示し、答えやアドバイスを聞く能力が欠けているようです。今後の自分の発展のためにも、感じたことを心にとめて進んでいきたいと思います。

宍戸遊美さんのレクチャーを聞いて
山下浩介
 数々のアートプロジェクトに参加し、活動の場を広げている宍戸遊美さんのレクチャーを聞きました。アートプロジェクトというとTAPを見に行っていたからか、最近自分にはよく聞く言葉となっており、なぜか親近感が湧きました。宍戸さんの今までの活動の中から、大学時代に卒業制作として行った、「CUVAプロジェクト」について詳しくお話しして頂きました。
 舞台は沖縄。過疎化が進み、人々が離れつつあった商店街で、通路や空き店舗などを貸してもらい、そこに自分たちが作成した作品を展示することでアートプロジェクトを行ったということでした。そこには地域の住民の方たちの了承を得ることや、いかにアートプロジェクトに興味を持ってもらうかなど様々な問題があったと思います。そこで多くの人たちとなるべく会話をし、コミュニケーションを図ることでこれらを解消したとのことで、アプローチの仕方や行動力にはとても感心させられました。また、現地で小学校を訪れ、アートを通じて子供たちと交流していました。子供たちにはこういったアーティストの方と直接触れ合う機会は滅多にないと思うので、とても斬新で喜ばしいことだったと思います。でも子供たちから学ぶことの方が多いことだと思います。
 宍戸さんの作品は『映像』でアートを表現するものでした。いくつか作品を見させて頂きましたが、作品を通して一番何を伝えたいのかが、正直私にはあまりわかりませんでした。宍戸さんの口から作品について詳しい説明はあまりなかったと思います。しかし、そこには独特の世界観が広がり、惹きつけられる力を感じました。映画などとはまた違う映像としての芸術に出会った気がします。
 今回のレクチャーではアートプロジェクトというものを具体的に知ることができたと思います。資金面もそうですし、地域の人とのコミュニケーションの大切さ、交流を深めることで生まれるもの。自分の中でアートプロジェクトに参加してみたいという気持ちが強くなりました。

アーティスト・宍戸美遊さんのレクチャーについて
薄葉唯
 今回、宍戸美遊さんのお話を聞いて、アートとは誰かから強制されてつくるわけではなく、まずは制作者自身が楽しむものなのだと改めて思いました。
 卒業制作のお話で、学生なのにお金を貯めて、いくら知り合いがいるからといっても、沖縄という言葉や文化が違う土地で、学生だけでアートプロジェクトをおこし、大学の専攻が違うのに卒業制作に認めさせた、決断力と行動力はとても簡単には真似できないと思いました。また、そこまで作品をつくることに一直線になれる姿勢に尊敬しました。そのような姿勢と地域の方たちとのコミュニケーションを欠かさなかったことが、地域の方たちの気持ちを動かし、アートプロジェクトの成功に繋がったと感じました。商店街のプロジェクトもですが、小学校の子どもたちとのプロジェクトの映像を見させてもらいましたが、どの子どもたちも笑顔で、素直で、自分たちの思い思いのものを楽しく作っている姿に驚きました。子どもたちみんなが、自分たちの世界を持っていて、それを自由な発想で作っている姿は本当に楽しそうで、私も小学生の頃にこのような授業を受けたかったと思いました。また、子どもたちのこんなに素直な姿を撮れたのは、子どもたちといい関係が築けたからこそだと感じ、そこでまた、コミュニケーションの大事さを感じました。
 今まで、正直、アーティストという方たちは、失礼で申し訳ないですけど、天才気質で他人との関わりとかは関係ないという方たちというイメージがあったのですが、今回のレクチャーでイメージが大きく変わりました。私は現在、3年で就職活動中なのでコミュニケーション能力という言葉をよく耳にしますが、人と人との関係の中で何らかのアクションを起こしていくには、どんな分野に関係なくコミュニケーションというものは大事だと感じました。
 また、楽しむことの大事さも子どもたちの笑顔を見ていて感じ、今回のレクチャーで、ものをつくるということの根本を再認識することができました。私も積極的に楽しんで建築に向き合いたいと改めて思いました。

宍戸遊美さんのレクチャーを聞いて
石川雄也
 今回、宍戸遊美さんのレクチャーを聞いてアートや表現は自分が今まで思っていたよりももっと自由で広いものなんだなと思いました。
 沖縄では商店街から始まったプロジェクトが現地の人々とコミュニケーションをとったり、その地の持っている空気を感じ取ったりすることで作品につながっていったり、その作品の展示が新たな出会いを生んだりと、ひとつのアクションがどんどんいろんな可能性を生み出していくことに自分は魅力を感じました。また老朽化して雨漏りをしているアーケードのようにネガティブな要素もポジティブに捉えなおしていく姿勢に素敵な感性や柔軟さを感じました。
 小学校の子供たちとのワークショップや交流を映した映像作品では穏やかな雰囲気の中で子供たちが自分の好きな場所を探したり、粘土で作品をつくったりと、とてもかわいらしく撮られていたのが印象的で見入ってしまいました。その中でも宍戸さんと子供たちとの接し方がどこか不思議で自分には魅力的に感じました。たぶんコミュニケーションのとり方もクリエイティブでいろんな人をプロジェクトに巻き込んでいく力になっているんだと思います。
 それに大学で絵画を専攻していた宍戸さんが卒業制作でアートプロジェクトのような絵画とは一見関係のなさそうな表現方法を選択したところにも一貫した柔軟な姿勢を感じ取ることができ非常に刺激を受けました。
 また最終的な成果物としての映像作品だけではなくそこに映し出されない部分も含めて沖縄での活動や人々との関係性自体が作品となっているところに強い興味と新鮮さを感じました。
 もしアートプロジェクトのようなものがもっと一般的になって、アートのような非日常的な出来事が多くの人々の生活に入り込んでいったなら、日常がもっと豊かになっていく手がかりになるのではないかと思いました。またそういう意識を地域で共有できれば、新しいコミュニティのあり方に繋がっていくのではないかと思います。
 私は、まだアートプロジェクトやワークショップなどに参加したことはありませんが今回のレクチャーをきっかけにいろんな人と関われる場に参加してみようと思います。

ししどゆうみさんの話を聞いて
高野真由美
 卒制で沖縄のアートプロジェクト。
 やったときの何もないところから自分でプロジェクトを立ち上げ、成功させることの大変さと充実感を感じた。問題が漠然としすぎてどう自分と関わらしていくかを悩んだときにまず「動く」というアクションを起こすことにとても尊敬し、すばらしいとおもった。何をすればいいか分からないときに、後のこととかこれからのこととか考えずに、とりあえず行動するというのはなかなかできることではないし、実際わたしもその一歩が踏み出せないでいることがよくある。その一歩を踏み出す勇気と行動力がある人がアートや芸術の中で生きていける人なんだと感じた。
 また、あらゆる環境もすべて受け入れるということ、とりあえず動くということ、そしてコミュニケーションの大切さというのは、アートをやることと建築をやることは似ていると感じた。最初は受け入れてくれなかった商店街の人々も一生懸命コミュニケーションをとっていくことで、自分の思い、やりたいことを伝えていき、それを認めてもらう。そのコミュニケーションの手段は言葉だけではなく、アートであったり、体験であったり、それは建築をやる上でとても近い部分であると思った。先生が最後におっしゃていたことにも深く考えさせられ、建築とはコミュニケーションが大切なんだということを改めて実感させられた。このように建築をやることに似ているアートプロジェクトをやることで、自分の建築に対する思い、取り組み方というものが変わっていくのではないかと、とても興味が湧いた。
 バショカラプロジェクトをやったときの子どもたちのVTRをみてものをつくることの楽しさというようなものを思い出させてもらったような気がした。作品を作り上げたときの楽しさ、うれしさ、気持ちよさというものを子どもたちが素直に言っていたのをみて、自分もそうであったということを思い出したような気がした。
 私は最近設計課題をやることに疑問を感じることがあった。最近設計をやることが嫌になることがあったのだ。1年、2年と設計を楽しくやってきた。自分が好きだから建築をやってきたし、設計もつらいときも楽しくやってきた。しかし3年になって、好きという気持ちが薄れたのか、自分からやるというよりも、やらされているという気持ちが出てきた。その感情が嫌でどうすればいいのか、今後就職も含めどうすればいいのか悩んでいた。このまま就職も建築関係の仕事についてやっていけるか不安だった。だけど、ものをつくることの楽しさは変わらないし、その楽しさを知っているわけだから、ずっとやっていこうと感じた。
 今回ししどさんのお話を聞いて、自分の中でもやもやしていた建築に対する気持ちが少し晴れたような気がした。
 今回の講演を聞いてぜひ私もアートプロジェクトに参加したいと思った。

アーティスト宍戸遊美さんのレクチャーを聞いて
大澤梢
 レクチャーの中で、宍戸さんの作品である、バショカラプロジェクトの話がとても印象に残った。今の学校などでは、変に団体意識を持たせようとしていたり、少し変わったことをすると普通ではないと直させたり、1人1人の個性を潰してしまっていることが多いと思う。
 この映像の中で、子供たちが机や床をぐちゃぐちゃにしながら作品を作っているシーンがあり、印象に残り、とてもいいなと思った。自分の小学校時期の図工では、図工室といえども過度に汚すと怒られ、何をするかは決められ、絵の具は筆で塗り、時間内に終わらせなければならない、ある意味窮屈な時間だったような気がする。
 それを、この映像に出てくる子供たちは、自分たちが好きな場所で好きなモノを好きな表現方法で、汚れるのも気にせずに熱心に作っていた。そして作品を作りあげた後の、「気持ちいい」という一言は、宍戸さんもハッとしたとおっしゃっていたが、私も何か自分の中に強く残った。
 また、このバショカラプロジェクトでは、順序立てて一段階ずつ作品を作りあげていくプロセスがすごくいいと思った。このプロセスを作り上げていくということは、アートや物を作る時だけに限らず、人間が生きていく上でとても大事なことであると思うが、このプロセスを学ぶ場所というのは実はあまりないのではないかと思う。このプロジェクトでは、子供たちの感情や感覚、個性を引き出し、またそこで終わりではなく、それを形、言葉にして、何故そう思うのか、何故こういった形になったのかを1人1人に考えさせている。特に今自分が建築を学んでいて、このプロセスが一番難しいと感じているからなのかもしれないが、こういった順序だてた考え方を子供たちに教えるのは、技術や方法を教えることより大事なのではないかと思う。
 このレクチャーで宍戸さんの話を聞いていて、本当にアクティブな人だなと思った。大学時代にすでに沖縄へ行き、自分たちだけでアートプロジェクトを立ち上げていたことに対してももちろんだが、「自分の視点は社会のディテールの一部」と考え、自分の絵を外につなげようとする体制から、自らが動いてコミュニケーションで繋がっていこうとする体制への切り替えに対してそう思った。宍戸さんはさらっと言っていたがこの切り替えはなかなか容易なものではないと思う。宍戸さんの油絵やアートに対する気持ちが強く、真正面から向き合っているからこそできた切り替えだと思うし、また作品を自分が描きたいもので終わらせていたら、きっと今のような映像作品だったりアートプロジェクトへの取り組みには繋がっていなかったのだろうと思う。
 アートプロジェクトでの、コミュニケーションを取り、その場の環境を取り入れて作品を作っていくということが建築に関しても同じであり、宍戸さんの話を聞いてとても参考になったが、それ以上にもっと自分の根本の意識や表現について考える機会になった。

無題
西濱萌
 2008年12月12日(金)アーティスト、宍戸遊美さんを招いた「CUVAプロジェクト…etc」のレクチャーに参加しました。
 私は絵の具が好きです。
 自分だけの色を作ることが出来る反面、同じ色は作ることができないから。そして、同じ色を作るために色を調合していく過程が楽しくて大好きです。
 遊美さんたちが沖縄の子供たちに、水に浸した画用紙に水彩絵の具を垂らして一枚の作品にするという授業を行ったと紹介されました。計画的に絵を描くのではなく、段々と絵が出来上がっていくことは意外な作品が出来ることもあるので、私も好きです。
 今回、宍戸遊美さんのレクチャーを聞いていて、表現の方法は様々だけれど、すべてにおいて共通するものは“コミュニケーション”だと実感しました。
 絵画科出身だったので、油絵の作品が説明されると思っていました。実際は、沖縄での空き店舗を使ったCUVAプロジェクト、沖縄の学校で子供たちと一緒に「一番好きな場所」紹介から始まり「言葉での紹介」、「ものでの表現」をされている姿、最後に秋田県での雲の動きの映像レクチャーでした。
 CUVAプロジェクトのレクチャーのときに一番面白いなと思ったのが「雨もりのポジティブ化」で、作品はよくわからなかったのが正直な感想ですが、自身がポジティブな考え方の持ち主のせいか、「この発想はいいな!」と素直に思いました。
 地域とのコミュニケーションを半年にわたってとることができたのは、沖縄という小さな地域ならではだと思います。都会でこのプロジェクトをしようとしたら、意識を向けさせることも、店舗を気兼ねなく貸してもらう事もとても難しいと思うからです。
 子供の存在が大きいという視点は私も共感を持ちました。子供の発想力や想像力はすごいと思います。「学んでいない」ことは逆に、何かに縛られることがないので自由な発想をすることが出来るので、素晴らしいと思う反面羨ましいと思います。
 遊美さんの様になにかに没頭してチャレンジすることは、学生のうちにやっておきたいことですが、すごく勇気のいる行為だと思いました。それでも、なにかをチャレンジすることは自分の存在をアピールすることにも繋がるし、知らない人とのコミュニケーションをその場でとれる可能性もあるので素敵なことです。
 自分の価値観や想像力、人への接し方もたくさんの“人”に出会う事によって影響されたり、変化していくし、人は一人で生きていくことは出来ないのでやはり、コミュニケーションは無限の可能性への第一歩だと思います。私は日々出会う人へとても感謝をするし、“縁”という運命を信じています。そして、運命だけではなくこれからも自分から進んでたくさんの人とコミュニケーションをとって成長していきたいと思いました。

ゼミナール | Posted by satohshinya at December 17, 2008 0:32 | TrackBack (0)