アート/アーキテクチャ

2013年10月23日(水)、第2回ゼミナールとして、佐藤慎也によるレクチャー「アート/アーキテクチャ」が行われた。以下はそのレクチャーに対するレポートである。

川村修一
 常識というもので、私の建築が縛られていたのだと知った。今回のレクチャーで常識は、作るものだと感じた。新しいものに挑戦することは、様々な批判や偏見が募るだろう。だが、常識通りやることなど、誰にでもできる。新しいデザインや技術を積極的に追求するからこそ、建築は面白みがあるのではないのかと感じた。社会は止まることなく進んでいく。建築も止まることなく進んでいくことが必要であり、私のような若い世代が挑戦し続けていかなければならないのだと感じた。HAGISOパフォーマンスカフェのような新しい観点からの建築には驚きを覚えた。このようなカフェが短期間でも存在していたのだということを考えると新鮮であった。パフォーマンスメニューを作り、カフェのメニューと混在させた発想にはびっくりした。HAGISOパフォーマンスカフェのような形のものが、常識となるかもしれない、今、常識ではないことも将来では、常識として浸透しているかもしれない、建築には可能性がたくさん存在しているとわかった。佐藤慎也先生の学生時代の修士設計を見られたのは、新鮮だった。学生時代をどのように過ごしていたのかということにも、とても興味がわいた。プロジェクトや研究室の決め方や作品の紹介の仕方などにも、慎也先生独自のスタイルが存在していて、自分もそのような独自のスタイルを確立させたいと思った。今後のプロジェクトに、興味がわいた。

小坂翔太
 建築とはただ建物を建てることではなく、もっと幅広いものである。また建物をただ作るだけでは造家でしかなく、そこで建てられた建物は、見た目に画が良くとも利便性がなければ意味がない。使われて初めて建築は生きる。確かに意匠がどんなに良くても、人が集まらない建築はあまり良いところに見えない。逆に良く見る意匠のものでも使いやすさ、利便性が良ければ人が集まり、そこがとても活気付いた場所になる。そんな場、建物を作るのが建築でありアーキテクチャである。また、それらが生む空間は建物だけでなく、そこを生かした活動を計画することにより、より良いものになる。そんな今まで考えてきた建築についての概念がわからなくなった、そんなレクチャーでした。
 レクチャーの中には慎也先生の今までの活動の内容もあり、また修士設計も紹介され、貴重なものを見ることができました。今回のレクチャーで印象に残ったのは居間 theaterのHAGISOパフォーマンスカフェでした。ジュークボックスから流れる音楽が場の雰囲気をつくるように、パフォーマンスも店内の環境の一部という発想がすごいと思いました。パンフレットにも工夫が凝らされており、新しいカフェの形式であると感じました。また、何度このカフェを訪れても違ったカフェ体験ができるのはすごいと思いました。店の雰囲気を作っているパフォーマンスには様々な種類があり、さらにその見せ方にも4種類ある。中でも「まどのそと」はとても異色で面白いなと思いました。ただおすそわけも良いけれど、やはりひとりじめしたいなと思いました。
 貴重なお話ありがとうございました。

儘田祐樹
 佐藤慎也研究室は、知り合いがいて何をやっているのかはだいたい理解していると思っていたが、私が知っている活動内容は表面的なものでしかなかった。
 HAGISOも、カフェであり注文をすればパフォーマンスが見れることしか知らなかった。学生達が、シェアハウスとして使っていた木造アパートを改修し、アート・カフェなどの機能を入れて、文化の拠点となるような場所を作っていると知ったのは、今回のレクチャーを聴いて知ることができた。
 このような活動は、とても重要だと私は考える。慎也先生もおっしゃっていたが、今の時代に新しい建築物や新しい空間を作っていくのは、非常に難しいことである。現在は建物が多い割には、使われていないものが多い。これからの建築というのは、現在使われていない建物や耐震の問題で改修しなければいけない場所を、どのように使っていくかが問題である。最近は、近隣の人とコミュニケーションをとることは少ない。その中で、空いた建物にカフェ・ギャラリー・アートを取り入れた機能を備えれば、人は集まり会話が始まっていくのではないかと考える。建築は、住宅の設計や気持ちのいい空間を作るだけのものではないと改めて感じることができた。

小林澪奈
 今回のレクチャーは研究室の今年度のプロジェクトなどの紹介でしたが、今までどんなことをやっているのかよくわからなかったのですが、こういうことをしているのだとわかりました。
 レクチャーはまず慎也先生の修士設計から今までやったものの紹介から始まりました。20年前は現代アートやインスタレーションが少なかったなか、修士設計でそれらをやったことや、高宮さんの設計した1号館では丸いベンチなどをデザインしたことを知りました。それから劇場の研究から稽古場、練習室をテーマに研究していくうちに、作る側と接する機会が多くなったと聞きました。
 その後、今年度のプロジェクトである「居間 theater vol.4 HAGISOパフォーマンスカフェ」、「Festival/Tokyo13 四谷雑談集+四家の怪談」、「黄金町芸術学校」、「淡路島在住アトウレス家」、「としまアートステーション構想」の話などを聞きましたが、特に興味が湧いたのは居間 theaterです。今はYouTubeもあるので日本や海外のコレオグラファーやダンサーの映像を見ることは簡単だと思いますが、実際に目の前で見るという機会はダンスをやっていたりしなければほとんどないと思います。そういうなかでカフェとパフォーマンスを共存させることで、遠かったものが身近になるのかなと思いました。おすそわけではたまたま居合わせた人も見ることができるので、パーフォーマーにとっても今まで興味がなかった人までも知ってもらうことが出来るのでいいと思いました。

森徹
 今回のレクチャーでは、先生のプロフィールの説明から始まり、そして、これまでに係わったプロジェクトに関するものの話が大半でした。その話の中ででいくつか興味を引いたものがありました。
 それはまず、アーキテクチャの定義についてです。私は、アーキテクチャの意味が建築のみだと思い込んでいたので、社会設計・コンピュータシステムの二つの意味をも含んでいたことは寝耳に水のような話でした。物事の意味は、一つとは限らないということを知るいい機会だったと思いました。また、建築という言葉が、考え出されたのがそれほど古いものではないことも、驚かされました。もっと古くからある言葉だと思っていたからです。外国から、アーキテクチャという概念が伝わったことで、日本語で訳すときに建築という言葉が作られたのを知り、もしこのときに、建築という言葉じゃなければどのような言葉になったのかなと少しおかしく考えてみたりします。今使われている建築という翻訳は、非常にマッチしていると思います。
 次に、HAGISOパフォーマンスカフェについてです。もとあった建物をリノベーションすることは、それほど、目を引くものではありませんが、カフェとアートを一体化させるという考え方には驚かされました。カフェならカフェ、アートならアートと考えていたので、奇抜で興味深い考え方だなと思いました。
 最後に、フェスティバル/トーキョー13の『四谷雑談集』+『四家の怪談』についても、こういった書籍を基にするのもありなのかと、少し目を見張りました。
 建築を立てる際に、その土地、その土地になる物語を基にするという考え方は、出来そうでなかなか出来ない考え方だと思います。私は、こういった、少し視点が変わった、物事の見方が出来るようになりたいと思いました。

ゼミナール | Posted by satohshinya at November 1, 2013 20:35


TrackBacks