bye-bye Archigram@graz

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グラーツには「Landesmuseum Joanneum(州立博物館ヨアネウム)」として19館の美術館・博物館がある.その中で現代美術を対象としている主なものに「Neue Galerie(ノイエ・ギャラリー)」「Kunsthaus Graz(クンストハウス・グラーツ)」がある.

ノイエは旧市街の中の宮殿であった建物を1941年から美術館として使いはじめたもので,ZKMのディレクターでもあるPeter Weibel氏がディレクターを務めている.訪れたときには3階で「Support 3」展というフルクサスやハプニング,コンセプチュアル・アートを集めたコレクション展が行われており,Spiegelsaal(鏡の間)という部屋では,オーストリア出身のノーベル賞作家イェリネクの挿画を描いた,Gernot Baurの「Die Klavierspielerin」展が行われていたが,その他のスペースは展示替えを行っていた.
コレクション展は,ZKMでのWeibel氏のキュレーションと同様に,とにかく物量で勝負というくらいに圧倒的な数の作品が展示されており,しかも展示動線が明快ではないため,どのように鑑賞すべきなのか戸惑ってしまう.内容を理解した上で丹念に見ていけば興味深いものが数多くあると思うが,短い時間の滞在ではほとんどよくわからなかった.オーストリアの作家が多いようたが,こんな作品ばかりをよくコレクションしていると感心する.
一方の挿画展は作品はともかく,元宮殿だけあって鏡の間が結構な部屋(写真参照)で,今回は大人しくケースに入れられた展示だったが,ここでもインスタレーションを行ったりするのだろうか?

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前面の道がそれほど広くなく,中庭があるものの比較的ラフな感じのエントランスで,展示室の扉を開くまでの階段や廊下は半外部であった.今回は展示替えの真っ最中だったが,通りに面してガラス張りのプロジェクトルームがあり,立地をうまく利用した展示を行っている(村上隆のような美少女フィギュア?による作品の展示中).
もう1つのクンストハウスは言わずと知れたピーター・クック設計の作品(正確にはコリン・ファーニアとの共作).訪れるまではよく知らなかったが,これもまた古い建物が一部に保存されており,その上に覆い被さるように増築されている.こちらも残念ながら展示替え中で,わずかにエントランスと最上階の展望ロビーに入れただけで,展示室自体は作業中の様子を上から見下ろすことができたに過ぎない.作業中の展示や以前の日本作家展(hyのblogを参照)など,興味深い企画が行われている場所だけに非常に残念だった.その上,肝心の夜景も見なかったので,建物についてとやかく書くのもやめておく.
その増築された古い建物には,美術館本体とは別に「Camera Austria(カメラ・オーストリア)」という写真専門のギャラリーが入っていて,Jo Spenceの個展「Beyond the Perfect Image」が行われていた.ここは今となってはヨーロピアン・スタンダードとも呼ぶべき機能転用によるスペース.クンストハウスの新しい空間と一体になって行き来が可能となっているので,実際にはその展示室との対比も楽しめるのだが,それはまたの機会に.
州立博物館としては,他にも「Künstlerhaus Graz(クンストラーハウス・グラーツ)」「Alte Galerie(アルテ・ギャラリー)」がある.これもまた別の機会に訪れてみたい.

美術 | Posted by satohshinya at June 26, 2006 17:52


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