ブラックキューブふただび@graz
「ノイエ・ギャラリー」のすぐ隣には「Stadtmuseum Graz(グラーツ州立美術館)」がある.おそらくこれもまた何かを機能転用したもののようだが,詳細は不明.
ここでは「Die Totale」展をやっていた.絵画保管庫と副題が付けられ,700近い数の作品を一同に展示しようとしている企画らしい.モチーフとなっているのはルーベンス(?)の1枚の絵.webのトップページでも見ることができるが,黒い壁に隙間なく絵画が飾られ,床に立て掛けられているものすらある.これを実際の展示空間で実現させることで,大量の作品を1度に展示させようという意図のようだ.そのため壁は全面黒く塗られていて(おそらくいつもはホワイトキューブと思われる),床は塗るわけにはいかないから黒い布が貼られていて,立て掛けてある作品の安全を考えたのか,人が歩くところだけを仮設の通路が巡っている.その通路はなぜか床より少し持ち上げられていて,しかもご丁寧に手摺まで廻っている.この操作によって単に1つの床面を手摺で区切る場合とは異なり,制約された動線が独立して存在し,最後の部屋には足を踏み入れることすらできないといったオマケも付いて,この展示そのものが1つのインスタレーションのようになっている.その一方で,入口で全作品のリストを渡されるのだが,1つ1つの絵を鑑賞するという感じにはなれなかった.実際にコレクション自体はたいしたものではなさそうだったし…….何れにしてもホワイトキューブではない展示空間(かつての展示室はそうだったのかもしれないけれど)への試みは至るところで行われているようだ.
グラーツにもMuseen und Galerien 2006という小冊子あり.駅のインフォメーションなどで配布している.
美術 | Posted by satohshinya at June 30, 2006 12:42
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