金沢ツアー/玉川図書館

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上記は20年以上前に谷口事務所が設計した図書館。印象としては飽きのこないおいしいサンドウィッチを食べた感じだった。その理由は2つあるのだが一つは材料、色数の多さがあげられる。建物の構成は開架書庫のボリュームと学習室,事務室などの閉じた部屋が集められたボリュームが中庭を挟んでリニアに配置されている。この二つのボリュームが違うデザインボキャブラリーでつくられており、開架書庫の方は天井高は高く中庭に面してガラス張りとなっていてかなり品の良い倉庫ような空間で、中からは木々の様子が伺え気持ちよい読書スペースとなっている。もう一つのボリュームは図書館と隣接している古文書館?にあわせて煉瓦が多様され、丸いトップライトや半円状出っ張っている出窓、さがり天井などかなり手の込んだものとなっている。中庭上部に2階建てとは思えない巨大な鉄骨梁が横断しているのだがこれは中庭面に柱をおとさずサッシだけの軽快な立面にし、閲覧場所と中庭との境界線を出来るだけ小さなものにしようとし、また2種類の建物を繋ぎつつ少し囲われ落ち着いた中庭の場所もつくりだしている。一言でいえばドライ,ウエットの空間と中庭が具になっているとてもおいしいサンドウィッチようだった。もう一つの理由は20年前以上たっているにもかかわずサイン,家具が昔から変わらず当初の設計のまま使われていることだ。どこか破綻を来して当初の計画通りの使われ方はしない場合もあったりするのだが、その変化も許容して現在まできている。飽きることのない定番メニューのようだ。MOMAが出来た今では一般的には谷口事務所はガラスが多く淡く白い石ばりの建築ばかりのイメージを持ちやすいがこの建築はそのことを払拭させるとても饒舌なデザインだった。tkmyさんからおもに設計の方法や建築の考え方など今後この仕事を続けていく上で下地となるようなことを教えてもらった。たまにtkmyさんが「〜は〜するとかっこいいんだよ」と楽しげに具体的なデザインの話していたときはなんだかとても説得力がありうなずいていた気がする。長い時間の中でのデザインのおもしろさ,重要さを考えさせられよい刺激だった。それにしても道路側の雨だれ全開の外壁はヘルツォークも真っ青な感じ。

architecuture | Posted by at 12 13, 2004 19:05


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» 図書館@金沢 from simon
Excerpt: 玉川図書館コンテスト参加 読売新聞によると、たばこ工場を再生した近代史料館[別館]と、[本館]の二つで金沢市立玉川図書館になっている。ともに谷口事務所監修。異種の建築をつなぐ部分というのは、建築を見るときの醍醐味の一つだと思うのだけど、これは見た目もいけて†...

Tracked: 2004年12月15日 21:16