インテリア@paris

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3度目のパリだったが,「Musée d'Orsay(オルセー美術館)」は初めてだった.コレクションはもちろんすばらしいものばかりなのだが,ガエ・アウレンティによる改修がどうしても気になってしまった.

ヴィクトール・ラルー設計による鉄道駅とホテルを,1986年に美術館として開館させたことは有名な話で,機能転用美術館の典型例である.実際の改修時の設計はRenaud Bardon,Pierre Colboc,Jean-Paul Philipponによるもので,アウレンティはインテリアを担当した.アウレンティが美術館の改修やディスプレイを得意としていたために選ばれたのだろうが,そのデザインはどうも装飾的な気がする.
有名なホール部分だが,大空間を19世紀の美術作品に見合うように丁寧にスケールダウンしようとしていることはわかるが,そのために空間と作品との関係がうまく取り結べていないように思える.一方で6階の展示室はゴッホなどの印象派による名作が並んでいるのだが,ここは大変に狭く,その上に柱や梁などに装飾過多なデザインが施されていることが鬱陶しかった.その顕著な例が展示壁面にある等ピッチの穴.上部では絵を架けるために,下部ではタイトルを表示するために使われるのだが,これが結構うるさい.何れにしても迷宮のような館内を足早に回っただけなので何とも言えないが,インテリア的なデザインが優先されすぎているため,作品と一体となった展示空間の魅力を獲得できていないように思える.
オルセーでも企画展示が行われていて,1階の大きな企画展示室ではJens Ferdinand Willumsenの個展「From Symbolism to Expressionism」を開催していた.その他にも現代アーティストを招いた企画や,3階の小さな企画展示室では日本の国立西洋美術館が協力した「Auguste Rodin / Eugène Carrière」展か行われていた(日本ではこれだけで西洋美術館の企画展になる!).また,グラフィック写真についても随時展示が替えられているそうだ.この美術館のコレクションを思うと企画展は添え物のように思えるが,それでもしっかりと行われているということだろう.

美術 | Posted by satohshinya at November 2, 2006 21:45


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