篠原一男さんが亡くなった.
大学2年生くらいのとき,知人に連れられて篠原さんの自宅を訪れたことがある.アップダウンのある林の中の細い道を歩いていった記憶があるが,道から少し上がったところに日本家屋と隣接してそれはあった.篠原さんの自宅兼アトリエの増築として建てられた「ハウス イン ヨコハマ」(1984)が,その小高い茂みの中に先端だけを覗かせていた.今から思い出しても,その15年以上前の記憶は幻であったのではないかと思えるくらい,その姿はこの世のものとは思えないような佇まいを見せていた.それどころか見てはいけないようなものを見てしまったような気がした.もちろん中に入ることは叶わなかったし,既に取り壊されてしまったという話も聞く.
後年,偶然に「上原通りの住宅」(1976)に出会った.そのときにもまた目の前にありながら,今まで見てきた建築とは異なるものとして存在しているように思えた.その存在感に圧倒され,ただその前に立ち尽くすしかなかった.
ご冥福をお祈りする.

建築 | Posted by satohshinya at July 18, 2006 6:21


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Comments

篠原さんの住宅は一度でいいから見てみたい。入ってみたい。
ですね、是非。
ご冥福をおいのりします。

Posted by ume at July 19, 2006 1:48 PM