邸宅から美術館,または銀行から美術館@luzern

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「Picasso Museum Luzern (ピカソミュージアム)」「Sammlung Rosengart Luzern(ローゼンガルト・コレクション)」に行く.
Picassoの方は,実際には,写真家のDavid Douglas Duncanによるピカソを撮影した写真を展示する美術館.1978年開館.もちろん,晩年のドローイングや版画などの小品は展示されているが,それほど特別なものではない.むしろ,展示空間となっているかつての邸宅(?)は一見の価値あり.1616〜18年に建設されたものとのこと.もう1つの美術館の名前に冠されているRosengart家の寄付によって作られたもので,この建物自体もRosengart家のものだったのだろうか? 一方で,この美術館は旧市庁舎であったというレストランと繋がっている.ということは,この美術館も旧市庁舎?
もう1つの美術館もまた,旧国立銀行を2002年に改修したもの.ヨーロッパでも,住宅や銀行のように,異なる用途の建物が美術館に改修して使われていることが多い.ここには,よくある近代画家たちの絵画が一通り並んでいるが,もちろん日本の公共美術館に比べると圧倒的にコレクションの質は高い.特に地下に展示されているパウル・クレーの作品は,何れも小さいものばかりであるが,作品数も125点と多く,かなり見応えがある.展示室も元銀行だけあって天井も高く,悪くない空間.

しかし,機能を転用した美術館の方が,新築のものよりもよかったりするのはなぜだろうか? 結局,元々の建物が持つコンテクストが魅力的だったり,意図して設計するよりも多様なバリエーションを持つ展示室を生み出すことができたりということなんだろうけど.青木淳さんが言っていた,リノベーションのように新築するということになっちゃうのかな? それが意図して設計できるものなのか,または意図して設計する必要があるのだろうか,ということが次に問題になると思う.これらのこととホワイトキューブの関係も,展示室を考える上で1つのポイントだろう.
余談.スイスの紙幣は,10CHF札はル・コルビジュエだが,100CHF札はアルベルト・ジャコメッティ.建築家よりも彫刻家が10倍高額であるのは正しい関係.200CHF札や1,000CHF札もあるようだが,誰なんだろう?

美術 | Posted by satohshinya at May 10, 2006 14:16


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Comments

はじめて書き込みするきがします
機能転用したものの魅力、興味深いですね
修士の材料にしたいものです
余談についてですが、調べてみました〜
歴史学者がトップみたいですね

10スイスフラン…ル・コルビジェ(建築家)
20スイスフラン…オネガー(作曲家)
50スイスフラン…アルプ(画家)
100スイスフラン…ジャコメッティ(彫刻家)
200スイスフラン…ラミュ(評論家)
1000スイスフラン…ブックハルト(歴史学者)

Posted by yamamura at May 12, 2006 2:04 PM

1度にいろいろ書き込んだ後,誰からもリアクションがなかったので心配していました.書き込みありがとうございます.
歴史学者がトップですか…….逆を言うと,建築家はペケですか。それとも,お札になるだけたいしたものなのかな? でも、コルビジュエだからね,当たり前か…….
機能転用については,ぼくのここでの話題は美術館への転用に限定して考えてみるとどうなるのだろうか,というのをポイントとしています.それでは,修士を楽しみにしています.mtsg研webも.

Posted by satohshinya at May 12, 2006 5:00 PM