三島賞の文庫

三島賞受賞作2冊の文庫が出た.中原昌也氏の『あらゆる場所に花束が……』と舞城王太郎氏の『阿修羅ガール』
中原氏の作品はまだ読んだことがないが,これは受賞当時からの話題作.単行本の怪しい中原氏による装丁画が変わってしまっているのが残念.
『阿修羅ガール』は舞城氏の作品の中では中くらいの出来.まあ,気持ちは分かるけど,やや構成を意識しすぎていて破綻が少ない.こちらも単行本佐内正史氏写真から,山口藍氏の絵に変わって,大分雰囲気が変わっている.『世界は密室でできている。』(こちらは舞城氏の装丁画)に続いて文庫化が相次ぐ舞城作品だが,『阿修羅』には,単行本に入っていない短編も併載されている.というわけで,こちらで読むことをお薦め.
他にも三島賞受賞作には,青山真治氏の『ユリイカ EUREKA』もある.ご存じのとおり,青山氏自身が監督した映画の小説化だが,なかなかおもしろい.そうえいえば,3氏によるこんな本もある.

| Posted by satohshinya at April 26, 2005 6:44


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Comments

中原昌也は『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』しか読んでないけど、かなり好きです。バリー・ユアグロー(←大好き)みたい。中原氏はたまにロフトプラスワンでオシャベリしてるみたいだから、今度行ってみようかなと思います。

舞城王太郎は知らないなあ。いつか読んでみます。

『ユリイカ EUREKA』は、映画は観ました。ものすごく静かな映画で、そのなかに潜む欲望とか自制とか、その他のものすごい細かい感情たちが混沌としているのが描かれていて好きでした。

是枝さんの『ワンダフルライフ』とかもそうだけど、劇映画をあとで小説化するのが最近増えてきてますね。ドキュメンタリーフィルムの補足としての書籍化っていうのはわかるんだけど、劇映画の小説化っていまいちわかんないなあ……実際、『小説ワンダフルライフ』はたいしたことなかったし。まったく別の手法だった岩井俊二の『リリイ・シュシュのすべて』は書籍、劇映画ともにけっこう面白かったけど。

という偏見を無くすためにも(笑)、『ユリイカ EUREKA』読んでみます。

まあ結局は悲しいかな、映画ってお金にならないんですよね。だからみんな書籍化するんだろうな。森達也さんにいたっては、もうすっかり文筆家になられていらっしゃいますし……映画撮ってほしいんだけどな。

Posted by mai at April 26, 2005 1:05 PM

リリィの大沢たかおの役はびっくりしたなぁ。解夏を見ながらおもいだした。あのくらい障害があったほうがもえるのかねぇ。うぅ。

Posted by simon at April 30, 2005 10:46 PM