第1次審査通過作品

審査員の青木淳さんのコメントとともに、第1次審査を通過した各作品を紹介します。作品画像をクリックすると、より大きい画像を見ることができます。
第1次審査通過者は、このコメントをもとに、2011年12月10日(土)に行われる第2次公開審査に挑みます。


1asano_m.jpg
living anothe life
浅野麻由美(生産工4年)小林雅実平方智侑長谷川学(生産工2年)
考えることやつくることの飛距離をのばすために、「人間にとって」という視点を一度外すことは、とてもすぐれたことです。もちろん、そういう場合でも、最終的には「人間にとって」という視点に戻って着地しなければならないわけですが、今の案では、あまりに着地が早すぎるようです。もっと、先まで行ってから、降りてみましょう。


2abe_m.jpg
屋根裏三丁目
阿部雄介(生産工4年)岡安佐和高橋知広髙野隼望月淳史(生産工2年)
すでに、案としてよくまとまっていると思います。これはこれでいい、でも、もっと膨らませようとするならば、家型がひとつでなく、それが重なっていることによってなにかおもしろいことが生まれないか(つまり、貫通する方向の展開)考えてみるといいでしょう、また、家型ごとに断面のヴァリエーションに変化をあたえたらどうなるか、考えてみるのもいいでしょう。


3koizumi_m.jpg
SHEA 廊下を建築に
小泉洋希(工4年)
ダイアグラム、とくに盲腸のような尻尾部分をプライベートな空間にする、というところがおもしろい。しかし、図面を見ると、この尻尾と本体の関係があまり練られていないなあ、という感想。また、外の環境との関係はどうなっているんだろう?とか。出だしは好調。展開はまだまだ。だからこそ、可能性あり、と思って選びました。


4shibata_m.jpg
後戻りしない家
柴田俊太郎(理工建築M1)
そんなバカなと思うくらい、めちゃくちゃなアイデアです。そこがいい。で、そのアイデアを前提とするなら、その世界はどうなっちゃうのだろう。それをどこまで構想・想像できるか、が勝負です。いまのところ、「ね、アイデア、おもしろいでしょ」どまり。この思考実験を前に進めてほしいなあ、と思っています。


5jinbo_m.jpg
家具から家を考える
神保寿弥(理工建築M2)
部屋という単位ではなく、家具という単位(ユニット)から住まい全体を再編する。これは、たいへん、すばらしい着想です。ただ、提示されている計画案は、別に「家具から考える」でなくても、こうなりますね、という内容で、残念ながら、あまりおもしろくない。家具から考えると、こんな具合に思わぬ家になります、というところまで、考えてほしいです。


6tanaka_m.jpg
抽象の森
田中麻未也(理工建築M2)
つまり、「柱」という出発点ではなく、「垂直材」というところからはじめようとしているわけですね。光合成をすることで栄養をとるので光を必要とする、という点ではどの樹木にも共通する側面があるけれど、それぞれが戦略がちがうので、個性が生まれてくる。この案では、各「垂直材」ごとの戦略まではいいけれど、その先がまだまだ。たとえば、この「垂直材」では、水平力を負担できないぞ、とか、ツッコミを入れたくなるところいっぱい。ここをまじめに考えると、おもしろくなるのです。


7yamamoto_m.jpg
都市の大きな家に住む
山本匡希塚越望栗田健佑(理工建築4年)
家と都市の中間項としての「大きな家」。そのアイデア、いいです。グラフィックもいい。足りないのは説得力。この「大きな家」、ほんとうに中間項になっている、と、案そのもので(テキストではなく)素直にぼくたちを説得させているだろうか?このあたりを補強していくのは、もう一段、努力がいりますが、がんばってほしい。


8wakui_m.jpg
にじむくらし
涌井匠海藤航斉藤亮介(理工海建3年)
縁側の復権。縁側に段差を見たのがいいです。ひとつひとつの段の大きさと段差の差だけで、開放的なのに「住める」空間。そのリアリティは、ひとつひとつのユニットの関係を丁寧に考えるところからしか生まれません。もう少し整理された形になってもいいから、それを考えてくれるともっとよくなるでしょう。


9wake_m.jpg
ひろがる 四畳半
和気聡志(理工建築M2)
空間の部品化。四畳半という大きさは、それを行うのにちょうどいい大きさだと思いました。とりあえず、いろいろなバリエーションを提示してくれていますが、5つでいいので、互いに相当違う配置・使い方になるためには、どのような仕掛けが必要/不必要か、考えてみましょう。


10watanabe_m.jpg
シェアする「とびら」の家
渡部亘(理工海建4年)
いろいろな開き方/閉じ方でいろいろな関係がうまれる。それを平屋でやるのではなく、一部、2階建てでやってみるということに興味が惹かれました。そのよりいっそう複雑さを増す全体のなかで、さて、どんな「いろいろな関係」が可変的に生まれるのか、図面から想像してみようと思いましたが、途中でギブアップ。プレゼンテーションでは、ぜひ、そこを伝えてください。

桜門建築会学生設計コンペティション | Posted by satohshinya at 10 29, 2011 21:32


TrackBacks