アプローチ@paris

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「Maison Europeenne de la Photographie Ville de Paris(パリ・ヨーロッパ写真館)」もまたマレ地区にある1706年に建てられた邸宅に増築を加えた建物.1996年にYves Lionの改修によりオープンした.

どの展示室も真っ白な壁を持つが,床は邸宅部分がフローリング,増築部分が石と使い分けられている.邸宅は既存の窓が並び,増築は展示室のために窓のない大きなボリュームとなり,その対比を見せるというよくあるパターンのファサードだが,邸宅が前面道路側に庭を持つことから増築にもそれを延長させ,その境界にアプローチを通す配置計画がよい佇まいを生み出している.内部と庭の関係については,階段に大きな窓があるくらいで,もう少し外部との関係が取り込めていれば更によかったろう.
その増築部分の前庭は,田原桂一による『Le Jardin NIWA』(2001)と題された,白砂と黒砂(?)による庭にガラスのオブジェが置かれた作品となっている.個展を行った際に設置されたようだが,なぜここに? 開館時の写真を見ると,アプローチの左右に同様な植え込みが連続していて,庭の間を通り抜ける状況が明確であったようだが,現在は左右が別物になってしまっている.庭のデザインとしてはともかく,全体の関係としては以前の方がよいように思える.
「Un été Itarien」と題して,イタリアに関する4つの展示が各階で行われていた.2階のSalle Hénault de CantobreではPatrizia Mussaによる「La Buona Ventura」展,3階のGalerie ContemporaineではGabriele Basilicoによる「Photographies 1980-2005」展,4階のCollection Permanenteではイタリアのコレクターによる「La Collection Anna Rosa et Giovanni Cortroneo」展(参考リンク)がそれぞれ開催中.1階のカフェの奥にあるプロジェクトルームのようなLa Vitrineでは,Francesco Jodiceによる「Crossing」展をやっていたが,ここは大きなガラス窓を持ち,アプローチのある道路とは別の道路に直接面していて,ほぼ等身大の通行人の写真と相まっておもしろいスペースとなっていた.帰りに外側から見ようと思って忘れてしまったけれども,どんなふうに見えたんだろう?(参考リンク:
もう1つ,Ángel Marcosによる「À Cuba」展が地下のLes Ateliers,La Cimaiseで開催されていた.ヴォールト天井を持つ石造りの蔵のような既存の空間をそのまま残し,おもしろい展示室となっていた.特に狭い穴蔵のような映写スペースがとてもよかった(参考リンク:地下カフェの写真あり).

美術 | Posted by satohshinya at November 7, 2006 13:00


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Tracked: November 14, 2006 2:39 PM




Comments

パリ というとルーブル!オルセー!エッフェル塔、ベルサイユ…(買い物?)…となりがちですが、
今度行けたら、こういう美術館を丁寧にまわってみたいなーと思いました。
行きたいです、パリ。

Posted by ume at November 8, 2006 2:32 PM

行ってみましょう,パリ.
ただし,こういう美術館が山ほどあります.さすがにパリですね.
パリは3度目でしたが,ルーブル,オルセー,エッフェル,ヴェルサイユ,すべてはじめて行きました…….あと凱旋門にも.こういうところも行かないとダメですね.

Posted by satohshinya at November 8, 2006 5:13 PM

La Galerie de Froggy's Delightにて,Gabriele Basilico展の様子を公開中.

Posted by satohshinya at November 21, 2006 10:22 PM