結局重要なのは作品か?@linz

R0011453.jpg

「Landesgalerie Linz(リンツ州立ギャラリー)」も毎度おなじみのクラシカルな建築.ここも転用ではなく,1895年に展示施設として作られたようだ.創設自体は1855年に遡り,150年の歴史を持つ美術館.

これまたおなじみのようにいくつかの展示が同時に行われている.WappensaalではKatharina Mayerという写真家の個展をやっていて,上質なポートレイトに回転運動が加わった佳作で,更に実際に回転している様子が収められたビデオ作品もあった.展示室はこれもおなじみのフローリングに白い壁のホワイトキューブ.Kubin-KabinettはAlfred Kubinsという画家のコレクションを展示する専用の部屋.Gotisches Zimmerではコレクション展である「Selbstbildnisse」をやっていたようだが,既に見た記憶がない.FestsaalでもChristian Hutzingerの「Festsaal-bild 2006」をやっていたようだが,その夜のイベントに備えていたためか見ることができず.
そしてオーストリアで見た展示の中で最もすばらしかったと思うのが,Landesgalerie 2. StockでやっていたFiona Tanの「Mirror Maker」展.いわゆるプロジェクタを用いたメディア・アートの一種で,橋口穣二のように真っ正面から人物を捉えたビデオ作品と言ってしまえばそれまでだが,スクリーンの扱い方がとてもうまく,空間の完成度が非常に高い.まったく知らない作家だと思ったが,2001年の横浜トリエンナーレにも出展していたらしい.確かにこの作品は記憶にある.展示自体はホワイトキューブを暗くした,これもおなじみのダークキューブだったが,それでも作品に空間的なおもしろさによる強度があるためか,外部に面した小さな窓からはそのまま自然光を入れている.それでも十分成立していた.久しぶりに完成度の高いメディア・アート(と分類することもないけれど)を見た気がする.

美術 | Posted by satohshinya at August 2, 2006 0:32


TrackBacks