ちょっと大きすぎるコレクション

「21世紀の美術館像を巡って アートがつくり出す特別な場所」(東京藝術大学奏楽堂)に行った.地中美術館の1周年を記念した関連イベントとして,Dia Art Foundationディレクターのマイケル・ガヴァン氏の基調講演の後,地中美術館館長の秋元雄史氏とのディスカッションが行われた.美術学部のイベントで,新奏楽堂が使われるのは初めてとのこと.
《Diaの活動の全貌はわが国においてほとんど知らされていませんでした》とパンフレットに書かれているように,確かにDiaについては全く知らなかったが,その基調講演を聴いてたまげてしまった.ランドアートの歴史的な名作,例えばマイケル・ハイザーの『ダブル・ネガティヴ』,ロバート・スミッソンの『スパイラル・ジェティ』,ウォルター・デ・マリアの『ライトニング・フィールド』などは,全てDiaがプロデュースしたものとのこと.それどころか,現在でもDiaのコレクションであり,見ることができるらしい.ランドアートなんて仮設的なインスタレーションだと思っていたら,まだ現存しているみたい.確かに作るのも大変そうだけど,壊すのも大変そう.他にも,ドナルド・ジャッドの『マーファ・プロジェクト』や,現在進行中のジェームズ・タレルの『ローデン・クレーター・プロジェクト』もDiaが実現させているそうだ.
そう考えると,ランドアートの歴史はDiaによる自作自演のようにすら思える.結局,こんな規模の作品を自費でやっているのはクリストくらいだろうか? そんなDiaのプロデュース能力に驚くとともに,ランドアートの歴史に少し幻滅.
それらのDia作品と共通するアーティストによる地中美術館を並べ,21世紀の美術館像ということだったのだろうが大した話にならず,退屈なシンポジウム.秋元氏は『家プロジェクト』を説明しながら,アーティストが主導を握った建築プロジェクトを語る.途中から現れ(そして,途中で去っていっ)た中村政人さんと並んで話を聞いていた僕は複雑な気分.
それはともかく,Diaはギャラリー(Dia:Beacon)も持っていて(それもアーティストによる工場のリノベーション),かなりのコレクションが常設されている.行ってみたい.

美術 | Posted by satohshinya at July 20, 2005 23:16


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Comments

Dia:Beaconはかなり楽しめますよ。一日中いましたから。
工場をリノベーションしている内部空間は工場のそれを想起させません。しかし、地下部分において工場を連想させるような感じになっています。展示されているものによって様々な空間が用意されていて面白かったですよ。

Posted by koz at July 22, 2005 1:12 AM