セカチューと超愛してる。

明日から『世界の中心で,愛をさけぶ』の再放送をやるそうなので,その話題.ご存じのとおり,小説があって,映画になって,ドラマになった.ここでの話題は,最後のドラマ版.映画は見ていないし,小説も読んでいない.しかし,ドラマには久々にハマってしまった.
『セカチュー』は,映画の脚本家たちがおもしろいことに「潤色」としてクレジットされている.映画は,今や日本映画を背負って立つ勢いの行定勲氏が監督し,脚本も書き,坂元裕二氏も脚本に参加している.しかも,急逝した名カメラマン篠田昇氏の遺作となってしまったので,ぜひ映画館で見たいと思っていたが,結局まだ見ていない.
映画はともかく,ドラマの話.ドラマは,その映画の潤色を元に構成されている.その後の主人公の視点というものが映画で加えられたらしい.テレビにもその視点が加えられている.その意味でこのドラマは,小説ではなく,映画を原作としている.そのため,小説や映画は知らないが,ドラマの舞台は80年代になっている.まさに主人公たちの生まれた年は僕とほとんど同じ.それも個人的にハマった理由の1つ.
演出は堤幸彦氏が中心.堤氏は,『ケイゾク』や『TRICK』で有名だが,不安定なカメラワークと特異な編集で,少し日常とずれる演出が見所.ちょっとデビット・リンチみたい(ほめすぎ?).実は堤氏の映画監督デビューは,『バカヤロー! 私,怒ってます』の1本.これは森田芳光氏のプロデュースによるものだが,さすがに先見の明があった.
その堤氏が,初めてと言ってよいくらいに正攻法の演出を見せたのが『セカチュー』.こういう演出もできるのかと感心する.特に,ほぼ全編に亘る松崎町のロケでの丁寧な演出がよい.ちなみに映画では庵治町がロケ地.これがあるところ.
しかし,このドラマの不思議なところは,主人公の女の子が最後に死ぬという前提で話が進んでいくところ.最後にどのような結末が待っているのか? という期待や裏切りはなく,間違いなく主人公は死ぬ.難病の女子高生ものなんて,それはもちろん,誰でも無理矢理感動させることになるだろう.そう考えるとひどい話だ.だからこそ,そんな難しい前提でありながら,正攻法で丁寧につくるドラマには好感が持てた.
というわけなので,おそらく原作の小説を読むことはないだろう.それを読むくらいだったら,同じ難病女の子ものの,舞城王太郎氏『好き好き大好き超愛してる。』を読む方がよい.明らかに『セカチュー』のパロディであるこの小説は,かなりの傑作.最後のオチは,やっぱり舞城か.まあ,いいか.

TV | Posted by satohshinya at April 3, 2005 8:08


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Comments

火曜の深夜。
MONSTERの後に、攻殻S2が、今週から始まりました。
見ました?
起きたら。内容忘れてた。笑

さくぅー。いいなぁ。

Posted by simon at April 7, 2005 1:13 AM