追憶の『ビューティフル・ドリーマー』

押井守脚本・監督の『イノセンス』を見た.僕は押井守の大ファンということになっているのだが(余談だが,誕生日が同じである),実は前編である『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』を見ていない.しかも,押井の作品を映画館で見るのは,『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』以来,20年ぶりになる.『天使のたまご』や『パトレイバー』はビデオやテレビで見ていたが,それほど押井作品を熱心に見続けていたとは言い難い.
押井が『うる星やつら オンリー・ユー』をつくったとき,不運なことに同時上映が相米慎二監督の『ションベン・ライダー』だった.有名な話だが,それを見た押井は,こんな勝手な映画でいいのかと頭に来て,次に『ビューティフル・ドリーマー』をつくった.そんな因縁は後から知った話だが,当時15歳だった僕は,この2作品から大きな影響を受け,相米,押井の2人は僕にとって重要な映画監督となった.
『イノセンス』については,そんな僕からすると,それほど楽しめる映画ではなかった.書店で立ち読みしただけだが,東浩紀「ユリイカ」4月号で,「追憶の『ビューティフル・ドリーマー』」という文章を書いている.彼は僕より3歳年下なのだが,かなり似たような感想を持っているようなので,『イノセンス』評についてはそちらを読んでほしい.「朝日新聞」で亀和田武が,この評を酷評していたが,『ビューティフル・ドリーマー』を思春期に見た者にとっては,『イノセンス』を押井作品として素直に評価することはできない.やはり東浩紀と同じことを書くことになるが,とにかく『ビューティフル・ドリーマー』を見てほしい,としか言えない.

ちなみに,建築に興味がありそうな人が多いので,イノセンスのホームページ内に,「人形と建築の旅」という押井守のエッセイがあります.結構な量があるので,暇なときにでも.

映画 | Posted by satohshinya at May 1, 2004 21:07


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