pandora's box 後藤栄子

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「西暦2020年世界人口の3分の2を,そして世界市場の57%をアジアが占める.」と,ある講演会のパンフレットに書かれている.最近になり,いたるところでアジアがもてはやされ,展覧会や,写真展も催されている.日本もアジアの極東に位置しているが,アジアという言葉を聞いたとき,日本人は他の東南アジアの国々のことをアジア人として,自分達のことを,アジア人として認識していないのではないかと思われる.経済の成長が日本の方が早かった為に,自分たちだけは文化的にも上という感覚があるからかもしれない.しかし,日本も同じアジア人の一部であり,これから先,互いの国々が強調し合って行くことが望ましいと思う.そこで,アジアの国々が互いに理解し合い,お互いに与え合う関係をつくることでアジアが一体となる,日本人の意識を高められる様な施設の提案をしたいと思う.

敷地は,不特定多数の日本人が集まること,日本以外国のアジア人が集まるもしくは,良く知っていること,交通の便の良さ,空間が空いていること,という理由で決定した.さらには,駅のホームから見えることからの偶然さをも持ち合わせている.建物については,簡単に言ってしまえば,立体マーケット.市場という所は,その国々の文化や活気が一番反映されているところであり,地位的な上下も存在しない.そこでは,他のアジア人と対等な立場を保てる中で,交流が図れるのではないかと思う.敷地北側は,立体マーケット,南側は,交流する事をメインとして外部の人間も使用可能な,広めのキッチンルームと食事室を設け,キッチンルームを使って,食の文化を通して交流できたらよいと思った.宿泊室は,短期の研修にのみ使うためのものとし,キッチンなどの共用部分は外部の人も入れるような配置とした.建物全体の計画としては,アジアというグリットの中で,様々な可能性を秘めたパンドラのボックスが,それぞれの方向性を持ち,そして,これからさらに広がっていく様子を示す.

1996年度, 卒業設計, 4年 | Posted by tkmy at February 25, 1997 0:00


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