相対的

「MUMI クリテリオム61 嵯峨篤」を見た.確かに展示室の壁を磨き上げた今回の作品には,一種異様な迫力がある.しかし,少し残念なところもあった.
今回は展示室の壁面そのものを磨いた『cube on white』とともに,SCAIでの展示作品が大型化された『MUMI』6点が展示されている.『MUMI』は,MDFにウレタン塗装とアクリルラッカーを磨いたもので,ちょっと何でできているのかわからない美しい作品だ(そして,何が描かれているかもわかりにくい).つまり,ここでの表面磨きの順番は,一般の展示室壁面を併せて考えると,
 MUMI > cube on white > 一般の展示室
となる.しかし,今回のクリテリオムの展示室には,
 MUMI > cube on white
の2つの関係しか存在していない.本来であれば,
 cube on white > 一般の展示室
という関係が,大変に大きな差の「>」であることがポイントになる.しかし,その比較対象物である普通の壁が,同時に視角に入ることがなく,しかも近接していないため,この『cube on white』という作品がどのくらい異常であるかがうまく理解できない.もう1度外に出て,廊下の壁面と比較することで,ようやくその異常さに気が付く.それどころか,より完璧な『MUMI』が展示されていることにより,
 MUMI > cube on white
の「>」が大きな差と感じられるため,
 cube on white > 一般の展示室
の「>」がそれほど大きな差ではないように思えてしまう.それが少し残念だった.更に残念なことに,写真ではほとんどその作品が理解できない.本当にバカバカしいほどの労力による,鬼気迫るインスタレーションである.

美術 |Posted by satohshinya at January 19, 2005 11:47 PM | TrackBack(0)
Comments

この週末オープニングだなー。。と思っていたら、こんなところにも嵯峨さんが!!びっくりですね。展覧会へ行くにも楽しみが一つ増えました。

Posted by: masaki onishi at January 21, 2005 06:22 PM
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