« 2006年04月 | Main | 2006年12月 »

L’hopital Copgnac-Jay

_061029-Cognacq-jay.gif

伊東豊雄さん設計、L’hopital Copgnac-Jayのオープンハウスに行く。
現場管理を行っていた高塚さんに地下階、一階、基準階をご案内いただいた。

巴里15区の一区画がその敷地。 中庭形式でその区画を囲うのではなく、
周辺に点在する隣地の庭を繋ぐように庭が配置されている。 
機能はがん治療、終末医療、自閉症の子供用施設の三つ。
街路に平衡しながら庭を挟むように薄い建物が配置され、
中庭に面して3つのボリュームがそれにへばりつく。

高塚さんが「借景しあう庭」と呼ぶ、敷地内を貫通する庭と
隣地の庭が作る視覚的な「大きな都市の森」は非常に上手く融合されていた。
これが敷地周辺の環境向上にかなり役立っている。
このように隣地の要素を操作対象としてとり込む計画は、
東京のように常に変化するアジアの都市では短期間しか継続しない。
まさに、強く、安定した町並みを持つ巴里/欧州ならではの計画といえるだろう。
8年に一度、隣接する家が建て替わる東京の住宅地で同じことをやっている
日本人建築家は、環境変化による空間の破綻をどう受け止め、どのように責任を取るのであろうか。

内部を歩いた印象は非常に日本的な空間であるということ。 
原因は窓の設定高さ。立った姿勢の視点やや上部から膝の少し上までと
非常に低く窓が切ってあって、目線が自然と下方に向き、庭を眺めることになる。
それはつまり、庭=季節を内部空間の構成要素として取り込むことを意味する。
庭は連続的でありながらも様々な性格の庭が用意してあるので、
各病室もそれによって色付きが異なっているのだろうと想像した。

最近考えている「予想できる素晴しい空間」と「予想できない新しい空間」の違いを見た気がする。 
現在ある技術、システム、素材を再編集、再構成して作る空間は予想が出来る素晴しい空間を作る可能性を秘める。
 しかし、どうなるか分からない、何が起こるかわからないが、
検討し、実験して生み出される予想できない空間というのもある。
僕が求めるのは明らかに「新しい空間」だと再確認した見学会であった。

最後に、高塚さんありがとうございました。

Architecture Space / 建築, Event Lecture / イベント, News / 新着情報, Paris / パリ, Urbanism_City / 都市 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 29, 2006 8:01 | Comments (1) | TrackBack (0)

+ARCHILAB 2006 JAPON

_061020-ARCHILAB-01.gif

菅原大輔が前田茂樹氏と共に欧州の建築展覧会 ARCHILAB 2006に参加いたします。
模型や図面の展示ではなく、「庭園」という空間そのものを展示する貴重な機会をいただきました。
10月20日16時、フランス・オルレアンのARCHILABにおいてオープニングイベントが行われます。
ARCHILABはオルレアン市主導で行われる、フランス内外の建築家を紹介するイベントです。
 すべてのコレクションは買い上げられており、現ポンピドー・センターの建築・デザインのチーフキュレータ フレデリク・ミゲルーが文化省の参事官だったときにその収集が始められました。
第7回目のARCHILAB 2006は世界でも注目を集める日本人建築家の特集です。
上記HPのJardin Japonais / Japanese gardenをクリックしていただくと菅原大輔と前田茂樹の作品紹介が御覧頂けます。

_061020-ARCHILAB-02.gif

Body LandSpace = Landscape x Space + Japan
「フランス的」と「日本的」
フランス、オルレアン市で開催される代表的な建築の展覧会「ArchiLab 2006 Japon」のための作庭計画。ArchiLab敷地内にある南北二つに分けられた植込みとその周囲が本計画地である。与条件より白紙から構築するフランス庭園のような作り方も考えられたが、既存を発見し、ズラし、拡張していくような日本庭園の作り方を目指した。

「観賞」と「体感」
既存の南北の植込みは基壇として用意され、そこに植えられた花や樹木は個々のオブジェのように鑑賞の対象として置かれている。 計画地の地面、壁面にそれぞれ白砂、植栽を配すことで場を包み込む面群を一体化し空間化した。これによって観賞の対象としての植込みから、体感される空間=庭園の構築を目指した。

「運動」と「状態」
庭園に起伏をもった市松模様の鏡面群を新たに挿入する。鏡面群は白砂の上で水面のように空や植物を写しだす。遠景では日本庭園の岩のように固体として存在するが、体感者の運動によって地面を覆うように面になり、さらに写像をもって画素のように粒子化する。

_061020-ARCHILAB-03.gif

Architecture Space / 建築, Art / 美術, Event Lecture / イベント, News / 新着情報 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 10 21, 2006 9:40 | TrackBack (0)