同時代美術との併走@bern

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「Kunsthalle Bern(クンストハレ・ベルン)」に行く.1918年のオープン以来,クレーやジャコメッティ,ムーア,ジャスパー・ジョーンズ,ビュランなどの大物たちの個展を行ってきたギャラリーらしい.訪れたときには,Carla Arochaというベネズエラの作家による個展「Dirt」をやっていた.

ここは元々美術館として作られたものであるが,現在から見ると,他の機能(例えば銀行)から転用されているようにすら思えてしまう.開館当時の展示作品が,いわゆる額縁に入った絵画や台座を持った彫刻であったことを思うと,やや高めの位置に取った窓から光を採る展示空間は当時の一般的なものであったのかもしれない.しかし,オリジナルの建物が真白い壁であったのかどうかはわからないが,やや装飾が施されていることを除けば,ここはホワイトキューブの原型のような展示室である.結局,現代美術のためのホワイトキューブは,インスタレーションなどの作品自体によって要請された空間ではなくて,元々ヨーロッパに存在していた展示空間を抽象化していっただけのことなのかもしれない.そして,かつての美術館の展示室にしても,当時のその他のビルディングタイプによる部屋と大きな違いがあったわけではないから,機能を転用した美術館が数多く存在していることも当たり前なのだろう.何れにしても,これらは思いつきで書いているだけなので,もう少し歴史的な検証が必要.
展示されていたArochaの作品もなかなか興味深く,ボリュームの異なる7つの展示室に繊細な素材を用いた作品が並んでいた.写真の作品「Hem」も,完全に反射する鏡とほぼ反射しながらも反対側が透けて見えるガラス(自動車の窓に使われるようなもの)をランダムに吊しただけのものだが,周囲の環境を写し込んだり透かしたりしながら複雑な表情を作り出していた.
しかしこの美術館は,歴史を持っていることもともかく,1年に7つの展覧会を開催して50ページもの記録集を無料で配布するなど,現在でも現代美術をサポートする施設として現役で活動しているところがさすが.モダン・アートからコンテンポラリー・アートまで,常に同時代と併走してきた美術館なんて日本では聞いたことがない.そして次回の展示は,曽根裕とのこと.

美術 | Posted by satohshinya at May 26, 2006 11:34


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Comments

「展示空間の抽象化」もしそうだったおもしろいですね。やはりヨーロッパをみてまわりたいな。

Posted by hy at May 29, 2006 6:59 AM