日本画によるインスタレーション

「横山大観「海山十題」展」(東京藝術大学大学美術館)を見た.黒田清輝に引き続き,横山大観はよく知っているし,おそらく作品もいくつか見ているが,全く興味のない作家だった.更に,六角鬼丈さん設計の展示空間が好きではないこともあって,ほとんど期待をしないで見に行った.ところが,これがすばらしい展示だった.
大戦に向かう国家に貢献するために,大観は海の絵10点と山の絵10点を描き,現在のお金で20億円の売り上げを得て,4機の戦闘機を軍に寄贈したとのこと.その背景の善悪はともかくとして,完成直後でも山と海が10点ずつ別会場で展示されたのみだったものが,一同に20点が集められている.
つまり,同一のコンセプトで描かれた作品が,当時の大観が意図した配列を再現されているとともに,1点ずつ展示ケースが作られている熱の入りようで,展示空間が1つの作品として十分成立している.ここでもまた,確かな展示がすばらしい作品空間を生み出す好例となっている.日本画もバカにできない.

美術 | Posted by satohshinya at August 24, 2004 6:41


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