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取手アートプロジェクト見学会

2008年11月8日(土)、2008年度第2回ゼミナールとして、「取手アートプロジェクト2008」の見学会が行われた。以下はその見学会に対するレポートである。

取手アートプロジェクト2008見学会に参加して
山川慧子
 前回の大内さんのレクチャーを聞いてから、この見学会を本当に楽しみにしていました。まず思ったことは、本当に普通の団地の中に、沢山のアートが埋まっていて、感動しました。団地に行くこと自体が本当に久し振りで新鮮だったのもあり、広い井野団地のあちこちにある、部屋から部屋に行くのも楽しくて仕方ありませんでした。
 最初に入った部屋からインパクト大!で、Guest Artistの生意気さんの部屋でした。私はこれまで生意気さんというアーティストを知らなかったのですが、毎日大変な世話をしなくても、植物が自分で生きていくというシステムを真剣に考えていて、フードジャングルをつくっているというユニットで、作品はとても可愛くて、POPな感じで、とても好きな作品でした。作品を見ただけではここまで真剣な考えがあることはわからなかったのですが、少し生意気さんについて調べてみて、興味を持ちました。
 そして、楽しみにしていた国際交流プロジェクトの韓国人アーティストを見に行きました。元商店街のアトリエでは、韓国人の留学生がいたので、少し話が出来ました。やはり、日本人アーティストと外国人アーティストは感性が根本的に違うようで、そこを感じられてとても考えさせられました。韓国は、2010年の世界デザイン首都に選ばれ、デザイン、アートへの関心が着実に高まっているので、レベルがどんどんと上がってきているのではないかと思いました。もっともっと韓国のアートを見てみたいと思いました。
 解散した後は、みんなで、みかんぐみの「+ト(タスト)」を全て探しに行きました。もうすぐ日が落ちてしまうということもあり、取手市の貸し自転車を借りて、+トの地図を頼りに探しに行きました。私達は運よく、一番初めに掲示板の地図を見つけたので、その地図を頼りに回りました。
 全部が本当にさり気無く置いてあるので、最初は本当に見つけられたのかどうか心配でしたが、中盤に、鈴のものを探している時に、今までのものは探しやすかったな、と感じました。16個のうち、鈴のものだけが見つからなくて、本当に悔しいです。暗くなってしまっていたので、明るいうちに探したかったです。
 今回、取手アートプロジェクトに行って、感じたことは、たすとを探している時に、沢山の団地住民の皆様と会ったのですが、すれ違う度に、皆さん挨拶をしてくださって、何かを探していると一緒になって探してくれる子供たちもいて、佐藤研究室の部屋には元気な子供たちもいて、本当に団地の皆さんも楽しんでこのプロジェクトに参加しているのだな、と感じました。来年の開催を悩んでいる、と前回のレクチャーでは言っていましたが、ぜひ、来年も、再来年も、続けていって欲しいと思います。

取手アートプロジェクト見学会を終えて
藤井悠子
 今回の見学会を通して、『探す』という行為がどれだけ人を楽しくさせるということ、そしてそこでコミュニケーションがとれるということを実感した。
 正直、『アート』については自分では理解不能な未知の世界であったが、一方でアートプロジェクトとして取手井野団地は自分が思っていた以上に魅力的なものだった。
 まず、井野団地の規模の大きさに驚いた。というのも私自身、小さいときに団地に住んでいた経験があるのですが、12棟の団地でも大きいと感じていたのに井野団地を見たら自分が住んでいた団地がものすごく小さく思えました。なので、あの大きな敷地をまわり、展示されている部屋を地図で確認して、探して、訪れるという普段の生活では当たり前である行動がなぜか、ものすごく楽しく思えた。そしてもうひとつ驚かされたのが、予想以上に団地の人とコミュニケーションがとれるということだ。特に驚いたのが、子供たちが話しかけてくれることだった。どうしても、最近の子供は挨拶してこない、知らない人には絶対に話しかけてこないというイメージがあったので、井野団地の子供たちが特有なのか、もしくはアートプロジェクトを通しているからなのか、どっちとははっきり言えないが、少なからず、アートプロジェクトの力はあると思った。
 そして、このTAPの見学会で私が一番おもしろいと思ったのが、みかんぐみ+神奈川大学曽我部研究室が行った、「+ト(タスト)」。はじめはこの広い敷地内を探すこと自体が大変だとわかっていたのであまり乗り気ではなかったけれど、探し始めたら止まらなく、宝探しゲーム状態になってしまい、なぜか近所の子供たちまで巻き添えにして、必死になって探していた。子供のときに戻ったような感覚だった。まさか、自分がたった一日だけアートプロジェクトに見学・参加したことで、こんなにも自然に住民の人と関わりを持つことを実体験できるなんて思ってもいなかったので、驚きとうれしさを感じた。そして改めて、アートプロジェクトが人に与える影響力の大きさを感じた。

取手アートプロジェクト2008見学会
杉田達紀
 この見学会で生まれて初めて取手という町を訪れた。そして、今回のようなアートが普通に生活している空間に入ってく形のアートプロジェクトを見に行ったのも初めてだった。
 率直な全体的な感想としては、アートは、難しいなということである。それぞれの作品は視覚的なインパクトはみんなあるがその中にある作者が訴えようとしていることを作品を見ただけで理解することは、不可能なほど難しい。解説を読みながら理解していく必要があるだろう。そしてまた作品を見返すと新しい発見があるかもしれない。
生意気:パンフレットのkinkymuffland4の解説を読みなんとなくは理解できるが、難しい。
Port B:団地大図鑑。なんかいろいろと考えさせるような作品であった。人間模様である模様を形にするという考えはすごい発想だと思う。また、四方の壁を作品で囲んである部屋で一部だけくり抜かれており、そこからの井野団地の風景は、切り抜かれた風景である反面、なぜか風景が広がってく感じもし、空と団地のコントラストも綺麗で、この団地に住んでいる人が普通の窓から見ている景色と
は違った感じがするのであろう。
金沢寿美:1111さん。純粋な感想は、団地の部屋に土を敷き詰めていいのだろうかというインパクト。そして、数字に囲まれた人間像の影。
奥中章人:world-danchi。物理的に難しいとは思うが、パンフレットのような完全な球体であったらまた違う空間が生まれたと思う。この作品のいいところは、ぜひ触ってほしいというところである。団地に住んでいる子供たちが戯れることによりまた違う形へと生まれ変わっていくことも作品の一部なのだろうか。
奥健祐+鈴木雄介:井野団地足湯プロジェクト。とても解りやすく、また賑わいのあるいい空間生まれていると思う。普通に子供達は楽しそうだし、温かくて気持ちがよかったし、普通なら夏の期間しか利用されない場を活気のある場に変えられたことは成功だと思った。
柴田祐輔:ヘイ!カモン間接照明。この作品も解りやすく面白かった。物体があれば無限に照明がつくれるような気がした。自分も照明が好きで、照明一つでその空間の善し悪しを決めてしまうと考えている。実用性は難しものもあるが、いろいろと楽しい照明のヒントがあるように思った。トイレットペーパーのものが一番綺麗に見えた。
日本大学佐藤慎也研究室:+1人/日。今回のこの団地という舞台に一番あっているように思う。団地ならではの作品である。難しことはしていなくて、+1人/日で生活するということで生まれてくる空間を楽しめているように思う。ベッドの製作をしてみたかった。そして、子供達との交流が一番出来ていたように思う。子供たちが本当に楽しそうだった。地域の人々との交流も大事な要素である今回のアートプロジェクトの中ではとても成功していたと思った。

無題
山下浩介
 11月8日、「取手アートプロジェクト2008」見学会に参加させてもらいました。多くのアーティストの個性ある作品に触れ、アーティストの表現を通し取手井野団地全体が一つの展覧会として成り立っていることを実感しました。新しい観念を自分の中に取り入れることができた気がします。
 取手駅に着くとTAPのポスターが構内に貼ってあり、出口でパンフレットを配っているなど、街全体がTAPに協力し、期待を持っているのだと感じました。歩いて井野団地まで行きましたが、取手市の街並みや雰囲気などを知ることができたので、バスで行くより逆に良かったかな、と思います。
 TAPは地域の住民の人たちとどのように関わりを持ち、協力していくかが一つのテーマになっています。その中で、アーティストの作品と住民の人たちとの関わり方が三つあると思います。一つは制作過程で住民に手伝ってもらい作品を完成させること。二つ目は、制作した作品を住民に提供し楽しんでもらうこと。そして三つ目は、以上の二つに当てはまらず、作品を通して継続的に住民と付き合っていくもの。私は今回多くのアーティストの作品を見させてもらった中で、この三つ目に当たる作品について興味を持ちました。その中で特に二つ興味深い作品がありました。まずは、毛原大樹×中島佑太さんの「井戸端ラジオプロジェクトFMゆめ団地」。誰もが番組作りに携わることができ、団地の住人みんなで集まれるコミュニケーションの場となっていたと思います。佐藤先生や友人の二人も実際参加しましたが、住民の人たちや訪れた人に参加してもらい、ラジオ番組を作り上げるという試みに新しさを感じました。そして、宮田篤さんの「おちゃ感」。とてもユニークな遊びを通して、住民のみなさんとのコラボレーションをし、その作品を展示していました。部屋はとても暖かい空気が流れ、宮田さんの人柄もあってか、とてもアットホームな感じがしました。作品を見させてもらいましたが、誰もが簡単にできるものであるのに関わらず、とても斬新でそのアイディアに感心させられました。
 そして、日本大学佐藤慎也研究室の「+1人/日」は、室内に入ってみると生活の様子が見てとれ、男子・女子ともに寝床の一人一人に与えられたスペースがあまりに狭いので、寝床の確保がとても難しかったことだと思います。当日あまり詳しく話を聞くことはできませんでしたが、今後機会があれば話を聞かせてもらえればありがたいです。
 取手アートプロジェクトのみならず、様々な場所で、その特性を生かしたプロジェクトが行われていると思うので、今後は積極的に自ら足を運び参加していきたいと思います。

取手アートプロジェクトの見学会に参加して
本多恵太
 アートというと、絵画とか彫刻といったものが思い浮かぶ。そしてそれらが、アートというものだと思っていた。
 しかし、取手団地で私が一番感じたのは、その見ている時間や空間や、見学している人も含め、過程も全てがアートになりうるという事だった。
 おちゃ感での、一人が一枚の紙に文章を書いたものを、ドンドン挟んでいき一冊の本にするという作品を一緒に作って楽しめるものや、井戸端ラジオプロジェクトの様に、会話を作品にするということがアートである、という発想に驚かせられた。
 私は以前、中村政人さんのM1の作品造りの一環で住居ユニットのペンキ塗りに参加させていただいたが、その際に、当時まだ8人しか住人がいない+1人/日を覗かせてもらった。普通なら団地の一部屋に住めるのは4、5人が限界のはずなのに、この先どうするのかなと疑問だった。ブログを見ているとベッドをつくったり、目安箱をつくったりと、色々工夫している様だったが、空間不足という観点からやはり、どうやって寝ていたかがすごく気になっていた。アートとして、展示している+1人/日を見たら、随分としっかり作って4段ベッドにしたり、押し入れやベランダまで上手く使っていた跡が見られた。伝言板やパソコンに映したビデオ映像なども含め、一ヶ月間どの様に生活してきたかが感じられる部屋という空間もアートなんだなと感銘を受けた。
 アスレチックの様な物で遊んでいたら、子供に、大人なのになんで遊んでるの、と言われ、ひどく心が傷ついたが、結局少し、一緒に遊んだ。子供が大きなworld-danchiの中でぐるぐる走っていても、小さなworld-danchiを投げていても、その瞬間、瞬間、の光景も展示の一部だと思った。
 TAPは少なからず、団地の住民と関わりを持ち、住民や私たち、多くの人々に影響を与えていると感じた。いつか自分も影響を与える側の人間になれたら、と思う。それには様々な方法があることを今回の見学で学んだ。もしまた来年もTAPの開催が可能ならば、されることを期待したい。

「取手アートプロジェクト」見学
多田早希
 11月8日、前回の第一回目のレクチャーでお話いただいた茨城県取手市で開催されている「取手アートプロジェクト」の見学会に参加しました。井野団地の北側、「生意気」から徐々に見学していき最後に日本大学建築学科の佐藤慎也研究室の先輩方の+1人/日を見学させていただきました。その中でいくつか印象に残ったアートプロジェクトを紹介したいと思います。
 一つ目は奥健祐さんと鈴木雄介さんの「井野団地足湯プロジェクト」です。これは団地の公園の横にある夏以外、利用されない子供用プールを足湯に変化させたものでした。写真からもわかるように親子で足湯に浸かったり、友達同士で来ていたりとたくさんの人の憩いの場となっていました。
tadasaki1.jpg
 二つ目は柴田祐輔さんの「ヘイ!カモン間接照明」で炊飯器や掃除機、アイロン、トイレットペーパーなど部屋にある様々なモノを間接照明にし、室内を演出するというものでした。また、テレビも間接照明になっていたのですが「このテレビはまだ使えるのですか?」と質問したところ柴田さんは「このプロジェクトのためだけでもう使えません」とおっしゃっていました。それを聞いて、私は驚いたのと同時に柴田さんのこのプロジェクトに対する想いが伝わってきました。
tadasaki2.jpg
 三つ目は佐藤慎也研究室の先輩方のプロジェクト「+1人/日」です。それは3DKの部屋に一日ごとに1人ずつ居住者が増えていき、最後には21人が共同生活をしたらどうなるかというのを実体験しながら、ベッドなど様々な工夫をし、新しい住まい方を作り出すというもので、実際に見学させていただきましたが、ベッドが4段くらいになっていたりと大人数で共同生活する上での工夫がされていました。
tadasaki3.jpg
 今回、取手アートプロジェクトの見学会に参加し、部屋にみかんの木が植えてあったり、広場に一本の針金を編み上げた巨大の球体があったりと普通の生活では考えれない世界が井野団地、全体に広がっていました。そこで普段体験できないアートを体験することができとても勉強になる時間を過ごす事ができとてもよかったです。

無題
古山幸太郎
 今回の見学では、講義の際に聞いていた印象や見せていただいた写真から自分が抱いていたイメージとは大きく異なる部分が多かった。特に実際に歩いてみてわかった計画敷地の大きさである。団地とは言っても想像以上に棟があり、また保育園や小さな商店街などもあった。その広大な環境の中に小さな芸術を点在させ、さらに地域に密着させたうえでその芸術を集めて大きな計画として成り立たせているこのプロジェクトには改めて驚かされた。
 見学中は団地の住民と思われる人々がこの計画で設置されることになった作品と触れ合い、活用している光景が多く見られた。子供の遊具として扱われている作品や団地の人や近隣住民がゆっくり集まれる場を提供している作品など、地域住民の活用しやすいものが多く製作されているという印象を受けた。それと、部屋に訪れる場合は参加型のものがほとんどで、気軽に訪れて芸術家の人達が提案する企画に参加することができる。地域参加を目指しているこのプロジェクトの鍵となるような企画を行っている芸術家の方が多くいると感じた。
 見学した企画の中で最も印象に残ったのは足湯をつくっていた「奥健祐+鈴木雄介」のユニットである。夏場しか使われることのないプール。そのプールの夏期間以外の利用方法を提案していて、夏が過ぎ涼しくなってくる季節でも集まれる憩いの場所としてよみがえらせていた。見学に行った日は子供のはしゃいで遊んでいる姿やその横で母親たちが談笑している姿、また見学に訪れた人々が小休止する姿など様々な人に使用されていた。この企画は夏以外に使用頻度が圧倒的に少なくなる子供用プールの他の季節の新たな使用法の提案だけでなく、住民同士のふれあいやコミュニケーションの場としての機能の提案も感じられた。風の冷たい屋外にも関わらず入口にあるカフェと同じくらいの人々が集まっている企画になっていた。個人的に興味を惹かれたのは「柴田祐輔」のユニットである。部屋全体を間接照明で装飾している作品なのだが、驚くべき部分はその全てが炊飯器や液晶テレビ、冷蔵庫やスリッパ、さらにはトイレさえも照明へと変化させていた。間接照明の豊かさだけでなく、家電や日常品を使用していることがこの作品を惹きたてていると感じた。生活感のない家電が並べてあるだけの殺風景な部屋があんな美しく彩られていて、見学に来る人々の目をひきつけていたのではないかと思う。佐藤慎也研究室のユニットの+1人/日計画は21人が暮らすには到底せまい部屋だったがベッドや物置の使い方などでぎりぎりまで与えられた空間を有効に活用していた。実際に生活してみないと感じられない苦労は多々あると思うが、見学した感じでは一人一人の生活スペースは意外と確保されていたと思う。団地に住んでいると思われる子供たちも訪れていて地域密着にのっとった賑わいをみせていた。
 見学会を通してこの取手アートプロジェクトのスケールの大きさが感じられた。団地という閉じられた空間から外の世界に向け芸術を通して発信し、地域の住民も巻き込んでの計画となっていた。みかんぐみ設計のカフェや足湯など住民参加型のプランを多数組み込み地域への貢献も果たしているとても考えられたプロジェクトだと思う。

「取手アートプロジェクト2008」見学会
大澤梢
 11月8日、ゼミナールの一環として取手アートプロジェクト見学会に参加しました。本当に団地をそのまま利用していて、私が今までに行ったことのあるアートギャラリー等の感覚は全然ありませんでした。団地全体を使っていて、作品同士の距離もあるため、作品から作品へと移動する際に普段どおりの団地も見ることができ、日常的にはありえないアート空間と入り混じって、とても面白いなと感じました。みかんぐみの作品である「たすと」は、普段そこに在るものを使い団地中のいたるところに設置されているため、入り混じった不思議な感覚をとても強く感じることができました。
 私が特にいいなと感じた作品は、宮田篤さんの「おちゃ感」と奥健祐さん+鈴木雄介さんの「井野団地足湯プロジェクト」です。この2つの作品はこの取手アートプロジェクトならではの作品であると思ったからです。この見学会で、私は日本大学内の人だけではなく、井野団地に住む人であったり、近くに住む人であったり、いろいろな人と言葉を交わしました。団地内に住む人同士であれば尚更、いつも以上にコミュニケーションをとっていたのではないかと思います。この2つの作品は、このような団地内の暖かいコミュニケーションを生み出す素敵な作品だと思いました。特に、「おちゃ感」は、一度訪れて自分が書いた文章、言葉がどのように変化していくのか気になり、また訪れて……と循環していき、序々に作り上げられていく作品で、これは、アートギャラリーにある作られた空間ではなく、団地の一室であるからこその作品なのだと感じました。
 個人的に齋藤芽生さんの「異野団地表彰状」はすごく好きな作品でした。絵がすごく好きなので雰囲気の違う絵をかけるのがすごいなと思い、また生活する上ですぐ忘れてしまいそうなこと、気持ちに対しての賞状は、壁に賞状が整然と並べられトロフィーが隅に並びちゃぶ台があるだけの殺風景な部屋に相反して少し暖かくなるような言葉が書かれていてそのアンバランスさが良かったです。
 団地という普段、人が考えるアートとは離れた場所に作品が集まり、逆に普段アートを感じることのない人々がコミュニケーションをはかりながらアートに触れることのできるこのプロジェクトはとても素敵でした。これをきっかけに家族でアートギャラリーに行ってみたりというのもあると思います。ぜひ来年もまた違う団地の雰囲気を見てみたいので続けて欲しいなと思いました。

取手アートプロジェクトを見学してみて
布施美那
 取手アートプロジェクト2008を見学しました。先日の大内さんのお話を伺って、このプロジェクトがどのように運用されているのか、なんとなく把握できたような気がしていたし、研究室の参加する、+1人/日も一度お邪魔したことがあったので、会期中に実際に自分で足を運んで見学するのが楽しみでした。
 私はこのようなアートプロジェクトを観に行くのは初めてでしたが、想像していたものよりも規模の大きなものでした。また、団地やその周りに住む人々にも自然に受け入れられている、あたたかみのあるプロジェクトなのだと感じました。
 順番に作品を周りましたが、ここではアーティスト自身に生の声を聞くことができたので、とてもみやすかったです。どのアーティストの方もとても親切でした。
 周った中で一番おもしろかったのは、柴田祐輔さんのヘイ!カモン間接照明です。きれいでした。団地の中の部屋の中の家具、どこの家にもある普通のものが照明に変身していました。それらがきれいだったのです。よく探すとここにもあったのかという遊び心が楽しかったです。
 また、この日はとても寒かったので足湯も印象に残っています。たくさんの人たちでにぎわっていて、皆楽しそうに談笑していました。団地の中にこのようなスポットがあればみんなのたまり場になり、そのような場所がある団地に住む皆さんがうらやましかったです。
 途中、道で吉永ジェンダーさんにお会いしました。彼の作品をみた後でしたが、こういう人がああいう作品をつくるのだと、彼自身がアート作品でした。
 最後に、佐藤慎也研究室の+1人/日ですが、部屋に入ると4段ベッドが目に入りました。4段ベッドを作ったと聞いたときは、それは無理だろう、どうやって寝るのか、と思いましたが実際に目にしてみると意外に快適なのでは思いました。最終的は23人という人数だったそうですが、私にはすごく楽しい共同生活にみえました。できることなら参加してみたかったです。あの部屋で生活するには何人が限界だったのでしょうか、と疑問に思います。
 夜にだけ見られる作品もあったようですが時間的に見られなかったのが残念でした。しかし、半日の中でたくさんの個性的な作品をみることができました。また、このアートプロジェクトを観て周った後で、「団地に住むのって意外に楽しそう。まだまだ団地もいけるじゃん。」私の中の団地の印象が変わりました。
 また機会があれば他のアートプロジェクトもみてみたいと思いました。

TAP2008見学レポート
廣田沙己
 取手アートプロジェクト見学会。私は、前回のレクチャーからずっとこの日が楽しみで仕方ありませんでした。佐藤慎也研究室の『+1人/日』の展示がどのようになっているのかすごく興味と期待がありましたし、他に参加されているアーティストの方々の作品も見てみたいという気持ちでいっぱいでした。なにせ、今回のアートプロジェクトは団地で行われるということだったので、美術館などの展示空間との相違にも関心がありました。
 まず見に行ったのは、生意気さんの作品があるお部屋でした。何の変哲もない団地の一室に作品が展示してあることに対して、私は一切違和感を覚えませんでした。色鮮やかな人形たちが並べられた作品の背後にはごく普通の住宅の窓、ジャングルのように植物を配置した作品の脇にはキッチンの流し台。そこには、不思議な一体感が生まれていました。
  次に、広場に転がっていた大きな球体『world-danchi』。10人くらいは入れそうな大きな球体と、その周りには子供が抱えられるくらいの小さな球体が転がっていました。これは1本の針金を編み上げたものです。大きな球体は中に入ることもできるので、中から見た景色はいつもの団地の風景と一風変わった不思議な世界を作り出し、井野団地に住んでいる方々にも新鮮な感覚を与えるのではないかと感じられた作品でした。
 次に、『井野団地足湯プロジェクト』。夏に子供用プールとして使用されるが、夏が終わると閉鎖されてしまうというなんとももったいない空間が、足湯にすることによって再び賑わいを取り戻す。これは、子供用の浅いプールだからこそできる画期的な計画だと思いました。さらに、「季節はずれのプールに人が集まる風景」を、アートとして捉えようとした発想が素晴らしいと思いました。他にも、こたつを囲んでゲームなどをしながらアートを生み出していく和やかな空間の『おちゃ感』、空き店舗をラジオ局にし、そこを訪れた人が番組を作っていく『井戸端ラジオプロジェクト FMゆめ団地』など、人が参加することによってできる作品がいくつかあり、団地という環境をうまく使っていることに感心したと同時に、アートとは実に幅広い表現の仕方があるのだと実感しました。
 そして、『+1人/日』。部屋に入って、まずその狭さに驚きました。ブログを見たりしている限りでは、21人も入ったら狭いだろうとは思っていたけれど、元の部屋がそんなに狭いなんて思っていませんでした。そして、皆さんが寝ていたベッドを実際に見て、その工夫の仕方に感動しました。あんなに狭い部屋でも、21人が集まって生活することは頑張れば可能なのだとわかりました。そして、すごく楽しそうな雰囲気も伝わってきて、とても温かい作品だと感じました。
 全体的に見て、団地での展示は、美術館などの展示と比べて、アートに関わる人々の生活感などが加わって、たいへん温かみのあるものであったと感じられました。

取手アートプロジェクト見学会レポート
正井芳奈
 今回の見学会を経験してアートというのはとても幅広いものなのだと知りました。
 言葉のアート、人々の生活が作り出す空間によるアートなど枠がくっきりしていそうな団地という場所で枠にとらわれないたくさんのアートに触れることができてとてもいい経験をさせて頂いたと感じています。
 人がいるところにはアートが生まれるものだと実感しました。
 また、私は照明について興味を持っているのですがちょうど照明のアートにも触れることもできました。モデルルームをイメージした室内ではモデルルームという雰囲気に一瞬突き放されましたがよく見るといろいろな生活家電がやさしい光を放っていることに気づき室内全体に親近感を感じ取れました。この部屋では自分の知らなかった照明のありかたを知ることができました。
 佐藤先生の研究室による「+1人/日」という展示では人のいる空間そのものがアートになっていてそのようなものを見たのは初めてだったので少しびっくりしました。時間が数時間違うだけで空間の表情ががらっと変わっている光景を見てなにかとてもわくわくするものを感じられました。人には1人1人の生活、雰囲気というものがあってそれらが交じり合っていろいろな表情を造りだしているということをしっかりと実感することができました。
 団地という舞台のおかげで見学して回っていると探検をしているような気分や、ご近所さんに遊びに行っているような気分になれてとても楽しかったです。
 みかんぐみのいろいろなしかけを探すときに利用したのですがレンタル自転車はとても便利でした!
 またこのようなアートの展示があれば足を運んでみようと思います。 
 ありがとうございました。

TAP2008見学会
小石直諒
 11月8日に、前回レクチャーのときにお話を聞いた、TAPの見学会に参加ししまた。実際に井野団地に行ってみてはじめの印象としては、自分が思っていたよりも訪れている人の数が少なく感じたのですが、団地の中を歩き始めると、その理由がわかりました。それは自分が想像していたよりも、はるかに大きな団地であり、一つの棟にある作品の数は一つか二つ程度といったためだと思います。それだけの大きな規模でありながら、歩いている最中にTAPのパンフレットを持っている人達を何度も見かけることが出来ました。
 団地の広場にあった、奥中章人さんのworld-danchiという作品で、針金でつくられた大小の球体は子どものちょっとした遊び場として成り立っており、自分が思っていたアートという点では関わりの無い子どもたちも、作品で遊んでいるという光景を作っていました。そのときに思ったことは作品はもちろん、またその光景も一つのアートではないかということを思いました。色々なかたちに変化していくアートというものは、やはりそう簡単に理解できるようなものではないのだなということを、この作品で強く感じました。また、「奥健祐+鈴木雄介」ユニットの作品である井野団地足湯プロジェクトでは、夏場にしか利用しない団地内のプールを足湯にすることでTAPを訪れた人や、住民と思われる人、さらにはアーティストの人も入れてくつろげる場をつくっていました。TAP2008インフォメーションセンターで言っていたのですが、「移動手段は徒歩になるので団地内を巡りながら終盤に足湯に向かうように行くと、様々な作品を見たあと最後に休めるようになっているので、いいですよ。」ということを聞きました。このような憩いの場があることで、どのように見て回っていくといいのだろうと、迷っている人達にとっては、ランドマークとしても活用できるのでとても素晴らしい作品だと思いました。また佐藤慎也研究室の+1人/日では、キッチンが部屋と部屋のちょうど中間にあるという室内の間取りもあってか、非常に生活がしづらそうな空間であった。女子の寝間には押入れの奥からベットを配置していたが、そうしないとベットから出れないというような状態であった。男子の寝間ではベットが部屋の割合をほとんど占めているという状態で、四段あるうちの二段目、三段目に寝ていた人達はベットから出るのに一苦労するということで、二度寝することが多かったと聞きました。しかし、極限まで絞られた生活スペースのなかでも苦労と工夫があれば、意外と何とかなるものだなという感じがしました。見学しに行ったときには、団地に住んでいると思われる子どもたちとも、実際にコミュニケーションを取れていたところなどを見ると、住民参加ということも成功しているのだと思いました。
 今回見学会に参加したことで、実際に「アート」というものに少し触れることが出来たのではないかと、自分なりに思いました。しかしTAPのような多くの人が一緒になって進行していくプロジェクトでは、制作などにも関わっていくことでより多くの発見を得られるのだなということも思ったので、今後このような機会があれば参加していきたいと思います。

無題
鈴木直樹
 前回のゼミで取手アートプロジェクトの話をして今回のゼミでは実際に見学しに行くといことだったので自分は非常に楽しみにしていた。
 井野団地の場所に着いてみると、団地の一部に小さな商店街が入っているような、ちょっとした学童保育があるようなそんなイメージを持たせるような空間になっていました。遊具のようなもので子供たちが遊んでいたりと和やかな雰囲気だと思いました。
 まず団地の端から見ていくかたちとなったので歩いていると、自分の家の団地にでもいるような感じでした。しかも歩いてみると意外と広くて大変でした。団地の中に展示しているものだけじゃなく外部空間に展示してあるものも数多くありました。中でも興味を持ったものが2つありました。奥中章人さんと奥健祐+鈴木雄介さんたちの作品でした。奥中さんの作品は1本の針金を編み上げて球体状にするもので、自由に触ったり揺らしたりして遊んでほしいという意図があって作られたものらしいです。そこへ自分たちがちょうど行くと子供たちがそれを使って遊んでいるのを目撃しました。まさにアーティストの想いが伝わった瞬間をこの目で見れて良かったです。つぎに奥+鈴木さんの作品は足湯で、行ってみるとそこには気候のせいかもしれませんが子供たちと保護者でいっぱいでした。もちろん自分も寒かったので、足湯につかりました。とても気持ち良くて足を出すのがいやになるほどでした。
 そして最後には佐藤慎也先生のプロジェクトに行きました。入ってみるとそこは、子供の遊び場と化していました。しかし、そこには1ヶ月間暮らしてきた痕跡がいくつも残っていました。壁にはいくつものコメントが残っており、生活感がかなり出ていました。また住人たちが作ったベッドはなんだかんだ寝心地が良さそうでいいなと思いました。そしてブログにも書いてあったようにまだ何人か住人が増えても大丈夫なキャパはあったので工夫次第でこんなにもたくさんの人が住めるのでとても驚きました。
 さまざまなアーティストたちの作品を見てきましたが、どれも個性が強くて、これがアートなのだろうかというものもたくさんありました。しかし、団地の中の1室(屋外など)でアートを表現するというもので普段とは違った作品となったのだろうと思いました。
 このアートプロジェクトが終わっても続けられるものは続けていけたらこの井野団地の発展に繋がっていいのではないかと思いました。

無題
荒木由衣
 取手アートプロジェクトの見学をして、まずは団地がこんなにも変化することができてしまうことに驚きました。使われなくなったお店の店舗内がアトリエ空間になっていたり、団地の部屋1つ1つが作品になっていたり、普通では見ることができないものをたくさん見ることができました。
 1番記憶に残っているのは、『ヘイ!カモン間接照明』という、柴田祐輔さんの作品です。部屋に入るとまずスリッパが光を放っていて、最初は何かわからなかったのですが、家にあったら面白いなと思いました。また、炊飯器が光っていたり、液晶テレビやアイロン、衣装ケースも光っていました。面白いなとおもったものは、トイレの便器とトイレットペーパーが光っていたことです。普通では思いつかないところまで間接照明にしてしまうということが、やはりアーティストだなと感じました。
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 もうひとつ印象に残ったものは、『井野団地足湯プロジェクト』です。夏は団地の人達にプールとして使われている小さな子供用プールですが、やはり冬になると、全く使われなくなり、もったいないということから、このプロジェクトが始まったそうです。見事に問題を解決し、団地の子供達はもちろん、団地住民でない人も足湯につかりにきていました。これは、造ったもので人を寄せ付けるというところが、建築としても使えるものだと思いました。
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 また、佐藤研究室で行っている、『+1人/日』というプロジェクトもひとりひとりのアイディアがないと、とても21人が一緒に生活するのは不可能だと思うくらい狭いので、部屋に入ってみると意外と机を置くスペースだとか、ご飯を食べるスペースもしっかりと設けてあり、1番驚いたのは、ベッドが二段なのに、寝るスペースが5人分くらいあったり、押入れをベッドとして、活用していたり、楽しそうでした。
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 団地の部屋が面白い、個性的な顔をもった、素敵な部屋に変わっていました。アーティストさん達の想像力は計り知れないなと実感しました。

ゼミナール | Posted by satohshinya at November 14, 2008 4:37 | TrackBack (0)