平面と立体を統合する商品棚

僕自身は建築修士を取得し国内外の建築事務所に勤めた、所謂「建築」を基盤としてデザインをしてきた。しかし、僕は異分野の仕事に携わる機会に同時に恵まれ、多分野の専門家と仕事をしてきた。異分野を横断し統合することで、総合的にデザインされた空間と環境を作ろうと活動してきている。

その中でもなかなかしっくりと統合しきれていない分野があった。それは「グラフィックあるいは平面的要素」と「空間あるいは立体的要素」である。統合されたようなデザインでも、一方が主でもう一方がその装飾になってしまう気がしていた。自分の非力を反省するべきかもしれないが、その悩みを抱えている「ものつくり手」は多いと思う。

しかし、最近これについて一つの気付きの機会があった。それはある商品棚をデザインした時である。商品棚は情報を人に発信し、人を集め、人に行動させるための正にグラフィックデザインと空間デザイン(この場合はモノの配置)がデザインの対象だといえる。この二つのデザインが上手く連動すればするほど「売上増」という効果を上げることができる。商品棚のデザインはまさに競合他社が一分一秒を争い、「売上」を奪い合うビジネスとデザインの戦場だった。

商品棚には製品やサービスの内容を発信するポスター的機能が求められ、同時に御客様に集まってもらい、商品を手に取り、試用してもらう行動を誘発する機能が必要となる。そこでは、商品説明の平面的要素と商品という立体的要素が同列に扱われ、雑誌紙面の構成のように全体に配置される。立体的要素である商品は多くに人に集まって、試用してもえるように配置されるが、一方でモノの配置で、集った人がポスター的な情報発信を遮らないようにしないといけない。
このような機能的な部分に加えて、メーカー、商品特性、価格帯毎の差別化を求め、平面的要素と立体的要素の唯一性を持った体験のデザインが要求される。

そこでは「平面的要素」椅子や扉のように行動を誘発し、「空間的立体的要素」ポスターのように情報を発信する。それらは視覚的にも機能的にも並置ではなく、統合されている。それは正に、互いが主であり、従であり、両要素が一体化している。
(上記が成立してるのは、スーパーよりも専門店やデパートに多い。。。)

この気付き以来、街を歩く楽しみが一つ増えた。

Dialy / 日常 | Posted by SUGAWARADAISUKE | 菅原大輔 at 3 19, 2009 12:42


TrackBacks